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NISAで売ったあと、その枠はいつ、いくら分戻ってくるのか。2026年8月31日、金融庁が公表した「令和9年度税制改正要望」に、このルールを変える案が入りました。今は翌年まで待つ必要がある枠の復活を、売った年のうちにする、という案です。
ただし、これはまだ要望の段階で、決まったわけではありません。この記事では、今のNISAの枠の仕組み、カギになる「簿価」という考え方、要望の中身と注意点を、決まっていることと検討中のことに分けて整理します。
※この記事は公表資料をもとにした私の整理と考えの紹介であり、特定の金融商品をすすめるものではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。ここで紹介する案は、2026年8月31日に金融庁が公表した「要望」で、今後の議論で変わったり、実現しなかったりする可能性があります。内容は2026年9月時点のものです。具体的な判断は税務署や税理士にご確認ください。
決まっていること1:NISAの2つの上限
- 1年間に入れられる上限:つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円、合わせて年360万円
- 一生のうちに入れられる上限:1,800万円(そのうち成長投資枠は1,200万円まで)。これを「非課税保有限度額」と呼びます
年360万円ずつ入れると、5年で1,800万円になり、満杯になります。
決まっていること2:枠は「簿価」で数える
1,800万円の枠は、今の評価額ではなく、買ったときの金額で数えます。これを「簿価」といいます。私は「レシートの金額」だと思っています。100万円で買ったものは、200万円、300万円に値上がりしても、簿価は100万円のままです。
だから、1,800万円を入れて評価額が3,000万円に育っても、増えた1,200万円には税金がかからず、枠が減ることもありません。1,800万円は入れたお金の上限で、中で育った分に上限はないのです。私も昔、1,800万円で頭打ちになると勘違いしていました。
一方で、売ったときに戻る枠も、簿価の分だけです。100万円で買って150万円に育った投資信託を全部売ると、戻る枠は100万円分。増えた50万円は非課税で受け取れますが、その分の枠は戻りません。半分売った場合も、対応する簿価の分だけ戻ります。
決まっていること3:今は、空いた枠が使えるのは翌年から
今のルールでは、売って空いた枠を使えるようになるのは翌年です。3月に売っても、その枠が使えるのは翌年の1月から。法律の上でも、判定の基準日が「前年の12月31日」と決められているので、年の途中で売っても、その年には反映されません。
要望の段階:売った年のうちに枠を戻す案
金融庁が要望したのは、この「生涯の枠」を、売った年のうちに復活させることです。3月に売ったら、その年のうちに枠が戻り、翌年まで待たなくてよくなります。実現すれば、生涯の枠を使い切ったあとの入れ替えがしやすくなります。
ただし、年360万円という年間の上限は変わりません。簿価500万円分を売って枠が年内に戻っても、その年に買い直せるのは最大360万円までで、残りは翌年以降です。金融庁の資料にも、復活した枠を使えるのは年間投資枠の範囲内だと書かれています。年間の投資上限そのものが増える話ではありません。
新しいNISAが始まった2024年から毎年満額を入れた人でも、生涯の枠が埋まるのは2028年です。「売った枠を年内に使いたい」という悩みが本格的に出てくるのはその先ですが、投資する人が見通しを立てやすくするため、金融機関がシステムを直す時間を確保するために、今から要望しているようです。
私にとっての意味:老後の組み替え
私は今、特定口座で持っている会社を、少しずつNISAの成長投資枠に移しています。75歳以降の社会保険料の負担を考えてのことです。移し替えは「売る」と「買い直す」がセットになるので、枠が年内に戻るのか翌年まで待つのかで、段取りの組み方が変わります。
また、相続の手続きの負担を考えて、持っている米国ETFを少しずつ売って円に戻していく方針です。そのお金の行き先を考えるときにも、枠がいつ空くかは関わってきます。70代、80代の自分の判断力がどうなっているかはわからないので、手続きはできるだけ単純にしておきたいと考えています。
まとめ:今日やることは、何もない
- NISAの生涯の枠は1,800万円で、数え方は買ったときの金額(簿価)
- 増えた分に税金はかからず、枠も減らない。ただし売ったときに戻る枠も簿価の分だけ
- 今は、空いた枠が使えるのは翌年から。売った年のうちに戻す案は、まだ要望の段階
- 年360万円の年間上限は、案が通っても変わらない
案が決まるかどうかは、年末の税制改正大綱でわかります。「こうなるかもしれない」と先回りして売買してしまうと、実現しなかったときに困るのは自分です。私は制度の話で自分の投資のやり方を変えることはせず、良い会社を割安なときに買って長く持つ、ということを続けるつもりです。
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