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2026年10月15日、日経平均株価は1日で3,318円34銭下がりました。過去3番目の下げ幅です。「何が起きているの」と不安になった方もいると思うので、私も調べてみました。結論から書くと、きっかけはAIそのものへの失望ではなく、AI向けの設備に借金を重ねてきた会社が、その借金を返せるのかという不安でした。実際、同じ日のアメリカではダウ平均が556ドル上がっています。いま起きているのは「AIが終わった」ではなく、借金で走る会社と、自分で稼いだお金で投資できる会社を分けて見る動きだと、私は考えています。この記事では、その経緯と、私が確かめられた数字、確かめられなかった数字を順番に書きます。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事は2026年10月時点のものです。投資の判断は、ご自身で各社の開示資料を確認のうえ行ってください。
2026年10月15日、日経平均は3,318円下がりました
この日の日経平均株価の終値は6万4,425円95銭。前日より3,318円34銭、4.90%の下落でした。6日続けての下落で、取引中には一時3,600円を超えて下げる場面もありました。
下げ幅としては、2024年8月5日の4,451円安、1987年10月20日の3,836円安に次ぐ、過去3番目の大きさでした。TOPIXも3,999.34まで下げ、前日より97.44ポイント、2.38%の下落です。
数字だけ並べると、市場全体が同じように沈んだように見えます。でも中身を見ると、そうではありませんでした。
売られた会社には、はっきりした偏りがありました
報じられたところでは、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの3社だけで、日経平均を合計2,100円以上押し下げています。つまり、この日の下げの大半は、AIや半導体に近い数社で説明がついてしまう形でした。
日経平均は225社の株価から計算されますが、1社の値動きが指数に与える影響は会社ごとに大きく違います。株価の水準が高い会社の影響が大きくなる仕組みです。ですから「日経平均が4.9%下がった」ことと「日本の会社の価値が平均4.9%減った」ことは、同じではありません。
ここを分けて見られるかどうかで、下がった日の過ごし方が変わると思っています。
きっかけはAI向けの借金|コアウィーブという会社
日本経済新聞はこの下落を「コアウィーブ・ショック」と呼びました。コアウィーブはアメリカの会社で、AIを動かすための高性能なコンピューターを用意し、その計算能力を企業に使ってもらう仕事をしています。
いま世界中の会社が、AIのために莫大なお金を使っています。その中には、借金をしてAIの計算機をそろえている会社があります。コアウィーブはその代表格として見られていました。
2026年6月末の貸借対照表に載っている債務は約351億ドル。これに加えて、オペレーティングリース負債が約163億ドルありました。設備を借りる形の負担も含めると、背負っているものはかなり重いということです。
借金で設備を増やすと、売上を伸ばすだけでは足りません。機械を動かす費用に加えて、利息を払い、借りたお金も返す必要があります。2026年4月から6月の決算では、売上高は約25億7,500万ドル。一方で支払利息は約6億4,000万ドルで、前年同期の約2億6,700万ドルから2倍以上に増えていました。売上の4分の1近くが利息で出ていく計算になります。
そして決定的だったのが社債です。2032年に満期が来る、表面利率9.625%の社債の流通利回りが、一時16%ほどまで跳ね上がりました。社債の利回りが上がるのは、お金を貸す側が「返ってこないかもしれない」と考え始めたときです。株主より先に、お金を貸している人たちが不安になった。これが今回の株安の始まりでした。
たとえるなら、全額ローンで部屋を貸す大家さんです
私はこの話を、大家さんにたとえて理解しました。
家を全部ローンで買って、部屋を貸している大家さんがいます。借り手がいて家賃が入っているうちは、ローンを返しながら手元にもお金が残ります。でも金利が上がると、利息の支払いが増えて、だんだん苦しくなります。借り手が思ったほど集まらなければ、もっと厳しくなります。
一方で、現金で家を買った大家さんは、家賃が多少下がっても困りません。借金がないので、金利が上がっても支払いが増えないからです。
AI関連の会社も、この2種類に分かれます。借金で設備を買っている会社と、本業で稼いだ現金で設備を買える会社です。同じ「AI関連」という言葉でまとめられていても、金利が上がったときの苦しさはまったく違います。市場が10月15日に見ていたのは、まさにこの違いでした。
同じ日のアメリカ市場は、むしろ上がっていました
ここが、私がいちばん意外だったところです。日本がこれだけ下がった10月15日、アメリカの株式市場は反発しています。
| 指数・銘柄 | 2026年10月15日の動き |
|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 5万2,177.69ドル(556.21ドル高、1.08%高) |
| S&P500種株価指数 | 7,744.06(25.12ポイント高、0.33%高) |
| ナスダック総合指数 | 2万6,713.03(20.16ポイント高、0.08%高) |
| エヌビディア | 1.8%下落 |
| デル・テクノロジーズ | 6.9%下落 |
| ヒューレット・パッカード・エンタープライズ | 7.1%下落 |
| イーライリリー | 3%以上上昇 |
| ユナイテッドヘルス・グループ | 2.8%上昇 |
フィラデルフィア半導体株指数は0.9%下がり、7営業日続けての下落でした。一方でS&P500の11業種のうち8業種が上がり、ヘルスケアは1.84%高、素材は1.71%高でした。
つまり、お金は市場から逃げ出したのではなく、AI関連の設備に近いところから、別の業種へ移っていた、ということです。「全部が売られた」のではありませんでした。
AIの需要そのものは止まっていません
では、AIへの需要自体が減ったのでしょうか。同じ時期に出た決算を見ると、そうは読めませんでした。
台湾のTSMCは、2026年7月から9月の売上高が前年同期より50.9%増え、四半期として過去最高額になりました。純利益も68.7%増えて最高益を更新しています。さらに、先行きの売上高見通しも市場予想を上回る水準を示しました。
AI向けの半導体を実際に作っている会社の受注と売上は、強いままだったということです。
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも、2026年10月15日(米国時間)のブルームバーグの取材で、コアウィーブの競争力は日々高まっているとし、資本コストは実際に下がっていると述べて、先行きを楽観していると語りました。追加の金融支援は必要ないという考えも示しています。
ただ、この発言で相場が落ち着いたわけではありません。コアウィーブの株価は10月15日の終値は5.9%高でしたが、翌16日には一時11.2%安まで売られました。直近5営業日では21%下がっています。市場はまだ答えを出していない、ということだと思います。
起きているのは「AIが終わった」ではなく、会社の選別です
ここまで調べて、私はこう整理しました。いま起きているのは「AIが終わった」という話ではありません。「借金で走る会社」と「自分で稼いだお金で投資できる会社」を、市場が分けて見始めたということです。
この選別がどこまで続くのか、どの会社が残るのかは、私には予想できません。誰にも分からないと思っています。
だから私は、予想できないものに期待を託すのではなく、暮らしに必要な仕事をしている会社に投資して、ゆっくりでも着実に進む道を選びたいと考えました。これは、ウォーレン・バフェットのやり方を真似しているつもりの私の、いつもの考え方でもあります。良い企業を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で見る、わからないものは買わない。この3つです。
日本には、お金が戻ってきていました
もうひとつ、調べていて印象に残ったことがあります。この株安の直前まで、海外の投資家は日本の会社の株を買っていた、という事実です。
2026年10月5日から9日の週、海外投資家は東京と名古屋の取引所で、現物株を1兆4,318億円買い越していました。2週連続の買い越しで、その前の週も9,559億円の買い越しでした。
決算も出ています。半導体の製造装置をつくるディスコは、2026年4月から9月の営業利益が前年同期より4割ほど増え、過去最高を更新したと報じられました。AI向けの需要が追い風になったとのことです。
株価が下がる日は、不安になる人がいるのは当然だと思います。でも、良い会社の稼ぐ力が、その日のうちに消えたわけではありません。1日で3,318円下がったからといって、日本の港で荷物が止まったわけでも、工場が動かなくなったわけでもないのです。
出どころを確かめられなかった数字について
ここは正直に書いておきます。調べていく中で、裏づけが取れなかった数字がいくつかありました。
ひとつは、コアウィーブの借金が自己資本の7倍を超えているという話です。私が確認できたのは、2025年12月末時点での負債自己資本倍率が約6.5倍という数字までで、7倍を超えるという具体的な数字の出どころは確かめられませんでした。ただ、債務が約351億ドルあり、支払利息が売上の4分の1近くに達しているという点は確認できました。借金が重いこと自体は、変わらないと思います。
ふたつめは、同じ10月15日にマイクロソフトの株価が上がったという話です。この日の米国市場をまとめた記事を複数見たのですが、マイクロソフトの値動きについての記載を見つけられませんでした。現金で稼ぐ力のある会社が強かったという見立ては、デル・テクノロジーズやヒューレット・パッカード・エンタープライズが大きく下げ、ヘルスケアが買われたという事実とは整合しますが、マイクロソフトの個別の株価については出どころを確かめられませんでしたので、断定は避けておきます。
みっつめは、キオクシアの純利益が今期5兆円を超えて日本企業として過去最高になる、という話です。調べてみると、キオクシアは今期の通期業績予想を開示していませんでした。市場のアナリスト予想は1兆9,000億円台から4兆2,000億円台まで大きく幅があり、5兆円という数字の出どころは確かめられませんでした。会社自身が出していない数字なので、ここでは使わないことにします。
私が、株価が下がった日に決めていること
最後に、私自身がどうしているかを書きます。
株価が下がった日、私は3つのことを確かめるようにしています。1つ目は、下がったのが市場全体なのか、特定の業種なのか。2つ目は、自分が持っている会社の事業に、その下落の理由が本当に関係しているのか。3つ目は、関係しているとしたら、それは一時的な話なのか、稼ぐ力そのものが変わる話なのか。
今回の場合、AI向けの設備に借金を使ってきた会社については、3つ目にあたる話だと思いました。一方で、港で荷物を運ぶ会社や、住まいを管理する会社まで同じだと考える理由は、私には見つけられませんでした。
それから、もうひとつ。私はウォーレン・バフェットのやり方を真似して、稼ぐ力のある企業に投資してきました。これからは、私自身も少しずつ稼ぐ力をつけていきたいと思っています。投資する側として会社を見てきた経験を、自分の仕事にも生かしていく。50代になってからの、新しい目標です。
株価が下がった日にほしいのは、「すぐ戻る」という約束ではありません。その会社が何でお金を稼いでいるのか、これからも稼げるのかを、自分の言葉で説明できることです。これは私自身の考え方の紹介であり、推奨ではありません。最終的な判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。
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3,318円下がる日は、前の日には分かりません。私は、下がってから準備を始めるのではなく、落ち着いているうちに口座を整えて、調べたい会社のリストを作っておくことにしました。
私が実際に使っているのは次の2つです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
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