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インデックス投資は、売らない限り利益が表に出ません。だから毎年配当が出る高配当株に比べて、75歳からの保険料や窓口負担の判定には乗りにくい。これは今も変わらない事実です。
ただ、裏を返すと、売らないあいだにたまった利益は、売った年に一気に表に出ます。投資信託を300万円売っただけで、病院の窓口負担が1割から2割になる。そういうことが起こり得ます。この記事では、4つの例で「誰が、どんな年に上がるのか」を確かめ、私が考えている備えをまとめます。
※この記事は制度の一般的な整理と概算の試算で、特定の金融商品や方法をすすめるものではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。今の制度では、特定口座(源泉徴収あり)で確定申告をしなければ、配当や売却益は原則として判定に入りません。ここでの例は、確定申告をした場合、または2029年8月から反映が始まる予定の制度を前提にしています。内容は2026年9月時点のもので、具体的な判断は自治体の窓口や税理士にご確認ください。
75歳からの窓口負担:1割・2割・3割の分かれ目
75歳になると、原則として誰もが後期高齢者医療制度に入ります。病院の窓口で払うのは医療費の一部で、所得が多いと1割では済みません。
- 2割:課税所得28万円以上で、かつ「年金収入+その他の合計所得」がひとり暮らしなら200万円以上、夫婦なら320万円以上
- 3割(現役並み):課税所得145万円以上が基本。ただし収入がひとりで383万円未満、夫婦で520万円未満なら、申請して3割から外れることができる
この「その他の所得」には、株や投資信託の利益も入り得ます。そして3割から外れるための「収入」の判定では、売却した場合は売却代金そのものが数えられます。私が75歳以降もパートやYouTube、ブログで収入があれば、それも数えられます。
例1:300万円を一度に売って、窓口2割になったAさん
Aさんはひとり暮らしで、年金は月15万円(年180万円)。資産はインデックスの投資信託300万円だけで、富裕層ではありません。ある年、屋根の修繕のために300万円を一度に売り、そのうち利益が120万円でした。
年金収入180万円と、その他の所得120万円を足すと300万円で、基準の200万円を超えます。課税所得もざっと計算すると約132万円で、28万円を超えています。つまりAさんは、売った翌年の8月から1年間、窓口2割になる可能性があります。原因は、お金持ちだからでも、高配当株を持っていたからでもなく、「まとめて売った年」があったことです。
例2:500万円を売って、窓口3割になったBさん
Bさんは、老人ホームの入居一時金のために500万円を一度に売り、利益は300万円でした。課税所得は約330万円で、145万円を大きく超えます。収入も売却代金の500万円だけで383万円を超えるので、3割から外れる申請もできません。翌年、窓口3割の可能性があります。
見落としがちなのは、3割になると、ひと月の医療費の自己負担の上限も上がることです。医療費100万円の入院なら、一般の区分の上限は57,600円ですが、現役並みの区分では課税所得に応じて約8.7万円、約17.2万円と上がっていきます。入院が重なる年ほど、この差が効いてきます。
例3:売っていない妻まで3割になったご夫婦
夫は年金200万円で、売却益が300万円。課税所得は145万円を超えます。妻は年金100万円で、何も売っていません。それでも世帯の収入が520万円を超えるので、3割から外れる申請ができません。3割は、同じ世帯の後期高齢者全員に当てはまるので、売っていない妻まで3割になります。
例4:同じ500万円を売っても、何も変わらなかった人
違いは口座です。NISA口座の利益は、この判定に入りません(今の制度での話です)。NISAには、税金がかからない以上の意味があると私は考えています。
また、毎年4%ずつ少しずつ取り崩す人は、まず影響を受けません。資産500万円なら利益は年12万円ほどで、年金180万円と足しても200万円に届かないからです。実際に、後期高齢者の窓口負担は1割の人が約7割、2割が5人に1人ほど、3割は1割に届かない程度です。年金だけで3割になる人は、まずいません。
まとめて売る年に備えて、私が考えている3つのこと
- 売る年を分ける:判定はその年の所得で決まるので、2年に分ければ線を越えにくくなります
- NISAを使う:NISAの利益は判定に入りません
- 大きく売る前に相談する:翌年の保険料や窓口負担がどうなるかは、市区町村の後期高齢者医療の窓口(75歳前なら国民健康保険の窓口)で確かめられます。住民税や課税所得は市民税の担当課、税金は各地の税理士会の無料相談会も利用できます
まとめ:怖いのは毎年ではなく「まとめて売る年」の翌年
「インデックス投資のほうが、75歳からの負担を抑えやすい」という考え方は、取り消す必要はないと思っています。ただ、それには「少しずつ売る」という条件がついていました。増やしたあとの老後は、「どう増やすか」だけでなく、「いつ、どの口座から、いくら売るか」まで考えておく。私はそう決めて、老後の準備を進めています。
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