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結論から書きます。物価が上がっているから投資を始めたほうがいい、という書き方を今回やめました。私は50代で、預金だけで持っているお金の価値が目減りしていくのが嫌だと感じて、自分の判断で投資を続けています。でもそれは私の事情から出した答えで、他の人に同じ答えが当てはまるとは思っていません。この記事では、2026年10月時点で確かめられる物価の数字と、公的年金を運用しているGPIFが公表している資産配分の数字を並べて、私がそこから何を決めたかを書きます。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事は2026年10月時点のものです。
もとの記事の書き方を変えました
この記事は2025年3月に書いたものです。読み返して、気になったのは数字よりも書き方でした。
「スーパーで高いと感じたこと、ありませんか」と呼びかけて始まり、「投資っていう選択肢が大切になってくるんです」と続き、最後は「始めてみましょう」で終わっていました。読んでくださる方に向かって、始めるように勧める形になっていました。
私にはそれを勧める資格がありません。金融商品取引業の登録も受けていません。それに、投資を始めないという判断もひとつの判断だと思っています。今回は全部、私がどう考えてどう決めたか、という形に書き直しました。
物価はどれだけ上がっているのか(2026年の数字)
もとの記事には「昔100円で買えたものが、今は150円になってる」と書いていました。これは出どころがありません。感覚で書いた数字です。削って、公表されている統計に置き換えました。
総務省の消費者物価指数によると、2026年8月の全国の数字は、総合が前年同月比プラス1.9%、生鮮食品を除く総合がプラス1.7%でした。指数そのものは2025年を100として102.2です。東京都区部の2026年9月の中旬速報値では、総合も生鮮食品を除く総合も前年同月比プラス2.7%でした。全国の9月分はまだ出ていません。
| 対象 | 時期 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 全国・総合 | 2026年8月 | プラス1.9% |
| 全国・生鮮食品を除く総合 | 2026年8月 | プラス1.7% |
| 東京都区部・総合(中旬速報値) | 2026年9月 | プラス2.7% |
「150円になってる」というような倍近い上がり方ではありません。ただ、年に2%前後ずつ上がり続けると、10年で2割強です。私が気にしているのは、一年ぶんの数字よりもこの積み上がりのほうです。
GPIFが株式比率を上げなかった話、その後どうなったか
もとの記事では、2025年3月11日の日本経済新聞に「公的年金運用、株式比率の引き上げ見送り GPIF方針」という記事が出たことを紹介していました。GPIFは年金積立金管理運用独立行政法人で、公的年金の積立金を運用している組織です。
その後どうなったかを、GPIF自身が公表している資料で確かめました。第5期中期目標期間(2025年度から2029年度)の基本ポートフォリオは、2025年4月1日から適用されています。内容は次のとおりで、資産の構成割合は第4期と同じでした。
| 資産 | 構成割合 | 乖離許容幅 |
|---|---|---|
| 国内債券 | 25% | プラスマイナス7% |
| 外国債券 | 25% | プラスマイナス6% |
| 国内株式 | 25% | プラスマイナス8% |
| 外国株式 | 25% | プラスマイナス7% |
もとの記事では「株式25%、債券25%、外国株式25%、外国債券25%」と書いていました。正しくは国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4つです。訂正します。
この基本ポートフォリオを決めた考え方も公表されています。名目賃金上昇率にプラス1.9%を加えた利回りを、最低限のリスクで確保することが運用目標で、その条件を満たす組み合わせのうち、目標を下回る確率がいちばん小さくなるものを選び、5%刻みに丸めたと書かれています。オルタナティブ資産は独立した区分にはせず、全体の上限を5%としています。
私がここで驚いたのは、目標の立て方でした。「いくら増やすか」ではなく「最低限のリスクで必要な利回りを確保する」という順番になっています。増やす話が先に来ていません。
「過去10年で年平均6.81%」を取り下げます
もとの記事には、GPIFは過去10年で年平均6.81%増やしていると書いていました。この数字の出どころを、今回確かめられませんでした。どの期間のどの基準で計算したものなのかを示せないので、取り下げます。
かわりに、GPIFが公表している数字を載せます。2026年度第1四半期(2026年6月末時点)の運用状況によると、市場運用を開始した2001年度以降の収益率は年率でプラス4.95%、累積の収益額はプラス221兆201億円で、うち利子・配当収入が63兆3,662億円です。運用資産額は317兆7,596億円でした。
同じ時点の構成割合は、株式が国内・外国合わせて49.81%、債券が50.19%です。25%ずつの基本ポートフォリオに対して、許容幅の中に収まっています。
年率4.95%という数字は、6.81%よりずいぶん地味に見えます。ただ、こちらは2001年度から25年近い期間の実績で、リーマンショックもコロナショックも含んだ数字です。私にはこちらのほうが参考になりました。
私が自分の配分をどう決めたか
GPIFの真似をしたわけではありません。私の場合は、良い会社を割安なときに買って長く持つというウォーレン・バフェットのやり方を学んでいるので、会社の株式が中心です。日本の会社に投資することが多く、配当を受け取りながら持ち続けています。
そのうえで、GPIFの資料から一つだけ取り入れました。先に配分を決めて、個別の買い物はその枠の中でする、という順番です。それまでの私は、良さそうな会社を見つけてから買うお金を考えていました。順番を逆にしてから、一社に寄りすぎることが減りました。
生活費の何か月ぶんを現金で置いておくか、という部分も自分で決めました。私は生活費の1年ぶんを現金で持つことにしています。これは数字で出した結論ではなく、1年ぶんあれば株価が下がっている間に売らずに済むだろう、という私の安心のための線です。人によってこの線はまったく違うと思います。
「攻めすぎず、守りすぎず」という言い方について
もとの記事では、GPIFの判断を「とっても賢い判断だったんです」「攻めすぎず、守りすぎずが大事」と書いていました。これは私の評価です。GPIFが株式比率を上げなかったことが結果として良かったかどうかは、まだ分かりません。第5期は2029年度までで、途中です。
公表資料に書かれているのは、どういう考え方で配分を決めたかであって、それが正解だったという話ではありません。そこを混ぜて書いていました。
100円から買える、という話について
もとの記事には「100円から投資できるサービスもたくさんある」と書いていました。これは事実として、少額から買える仕組みが広がっているのは確かです。ただ、金額が小さいことと、始めるのが適切かどうかは別の話です。
私が少額から買う仕組みを使っているのは、一度に大きく動かすと自分が落ち着かなくなるからです。金額を小さくすると、下がったときにも慌てずに決算を読み直せました。手数料は金額が小さいほど割高になることがあるので、そこは自分で確かめています。
まとめ:私が決めたこと
物価は2026年8月時点で全国の総合がプラス1.9%、上がり続けています。この数字を見て私は、預金だけで持っておくのをやめ、会社に投資するぶんを残すことにしました。配分を先に決めて、その枠の中で買う。生活費の1年ぶんは現金で置く。この二つが私の決めたことです。
これが正しいやり方だと言うつもりはありません。投資を始めないという判断もあります。私は自分の年齢と、残りの働ける年数と、眠れるかどうかで決めました。判断に迷ったときは、自分で一次資料を開いて数字を確かめるようにしています。GPIFの資料も消費者物価指数も、誰でも無料で読めます。
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