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この記事はもともと「年収1,000万円超えた会社員、労働の半分は税金のため」というタイトルでした。本当に半分なのか、自分で計算してみました。結果は、所得税・住民税・社会保険料の本人負担を合計して年収の27.8%でした。会社が払っている社会保険料まで足しても36.6%、さらに消費税を見込んでも34.3%で、どう数えても半分には届きませんでした。「半分」は成り立たなかったので、この主張は取り下げます。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事の数字と制度の内容は2026年10月時点のもので、出典は国税庁のタックスアンサー、全国健康保険協会(協会けんぽ)、厚生労働省の資料です。税額や保険料は住んでいる自治体、加入している健康保険、家族構成、各種控除で変わります。この記事は私が自分の条件で計算した記録で、個別の助言ではありません。具体的な判断は税理士や所轄の税務署に相談してください。
結論:本人負担は年収の27.8%でした
年収1,000万円の会社員(賞与なし、東京都、協会けんぽ、40歳以上、扶養する家族なし、生命保険料控除などの追加の控除なし)という条件で計算しました。
| 項目 | 年額 |
|---|---|
| 健康保険料(本人分) | 490,524円 |
| 介護保険料(本人分) | 80,676円 |
| 厚生年金保険料(本人分) | 713,700円 |
| 雇用保険料(本人分) | 50,000円 |
| 社会保険料の本人負担 合計 | 1,334,900円 |
| 所得税+復興特別所得税 | 808,100円 |
| 住民税(概算) | 約632,000円 |
| 合計 | 約2,775,000円(年収の27.8%) |
| 手取り | 約7,225,000円 |
約4分の1強でした。重い負担だと思いますが、半分ではありませんでした。
使った料率と控除の出典
計算に使った数字と、その出どころです。
- 健康保険料率:東京都 9.85%(令和8年度、労使折半で本人は4.925%)。全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率」。3月分(4月納付分)から改定
- 介護保険料率:全国一律 1.62%(令和8年度、本人は0.81%)。40歳から64歳の方が対象
- 厚生年金保険料率:18.3%(本人は9.15%)。標準報酬月額の上限は65万円
- 雇用保険料率:一般の事業で労働者負担 0.5%(令和8年度)。厚生労働省が令和8年3月12日付の官報告示を受けて公表した率です
- 給与所得控除:収入850万円以上は上限の195万円。国税庁タックスアンサーNo.1410(令和8年4月1日現在法令等)
- 基礎控除:合計所得金額655万円超2,350万円以下は62万円(令和8年分)。国税庁タックスアンサーNo.1199
- 所得税の税率:課税所得3,300,000円から6,949,000円までは20%、控除額427,500円。国税庁タックスアンサーNo.2260
- 復興特別所得税:所得税額の2.1%。国税庁タックスアンサーNo.2260
標準報酬月額は83万円(厚生年金は上限の65万円)として計算しました。賞与がある場合は賞与にも別の上限があるので、金額は変わります。
所得税の計算
順番に並べるとこうなりました。
- 給与収入 10,000,000円 − 給与所得控除 1,950,000円 = 給与所得 8,050,000円
- 給与所得 8,050,000円 − 社会保険料控除 1,334,900円 − 基礎控除 620,000円 = 課税所得 6,095,000円(千円未満切捨て)
- 6,095,000円 × 20% − 427,500円 = 所得税 791,500円
- 791,500円 × 1.021 = 808,100円(百円未満切捨て、復興特別所得税を含む)
一つ補足しておくと、復興特別所得税は令和9年1月1日以後に生ずる所得から税率が1.1%に引き下げられ、同時に防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税額の1%相当)が加わることになっています(国税庁タックスアンサーNo.2260)。2027年からは内訳が変わります。
住民税の計算
住民税は概算です。所得控除の額が所得税と違うので、別に計算しました。
- 給与所得 8,050,000円 − 社会保険料控除 1,334,900円 − 基礎控除 430,000円 = 課税所得 6,285,000円
- 6,285,000円 × 10%(所得割)= 628,500円
- 調整控除 −2,500円 + 均等割 5,000円 + 森林環境税 1,000円 = 約632,000円
住民税は前年の所得をもとに翌年度に課税されるので、同じ年の年収で計算するのは簡略化です。均等割の額や自治体独自の税率がある場合もあるので、正確な金額は住んでいる市区町村で確認してください。
「労働の半分は税金」を、どう数えても半分になりませんでした
「半分」という言い方が成り立つ数え方があるのかどうか、3通りで試しました。
| 数え方 | 負担の合計 | 割合 |
|---|---|---|
| 本人が負担する税と社会保険料だけ | 約277万円 | 年収の27.8% |
| 会社が負担している社会保険料も足す(分母にも足す) | 約417万円 | 36.6% |
| 本人負担に、手取りを全部使ったと仮定した消費税10%を足す | 約343万円 | 34.3% |
いちばん大きく見える数え方でも36.6%でした。会社負担ぶんを分母に入れずに計算すれば42%近くになりますが、それは「会社が払っているお金を自分の収入に数えないのに負担には数える」という形になるので、私はこの数え方は使いませんでした。
元の記事は「労働の半分は税金のため」と書いていました。これは実効税率の話とそれ以外の負担が混ざって、数字が大きく見えていたのだと思います。検算して成り立たなかったので、この主張は取り下げます。
ただ、負担が重いという感覚そのものが間違いだとは思いません。手取りが約722万円で、約277万円が引かれているのは事実です。「半分」という言い方を使わなくても、十分に大きい金額でした。
年収が上がると負担の割合が上がる仕組みの部分
ここは制度の事実として確認できたところです。
- 所得税は累進税率で、課税所得が増えると適用される税率が上がります(5%から45%までの7段階、国税庁タックスアンサーNo.2260)
- 給与所得控除は収入850万円以上で195万円が上限です。それ以上収入が増えても控除は増えません(No.1410)
- 基礎控除は合計所得金額が2,350万円を超えると段階的に減り、2,500万円を超えると0円になります(No.1199)
- 一方で、厚生年金保険料は標準報酬月額の上限が65万円なので、報酬がそれ以上になっても保険料は増えません。だから年収が高くなるほど、厚生年金の負担割合は下がる形になります
元の記事は「社会保険料は給与に比例して増加」と書いていましたが、厚生年金については上限があるので、比例し続けるわけではありませんでした。ここも直しました。
【成立済み】2027年9月から厚生年金の上限が上がります
2025年6月13日に成立した年金制度改正法(「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」)で、厚生年金保険の標準報酬月額の上限が段階的に引き上げられることになりました。
- 2027年9月:68万円
- 2028年9月:71万円
- 2029年9月:75万円
いまの上限は65万円なので、報酬が高い人は保険料が増えることになります。そのぶん将来の年金額の計算に反映される仕組みですが、私は自分の受け取り額を試算できていないので、増える・減るという言い方はしません。該当する方は、ねんきん定期便や年金事務所で確認してください。
マイクロ法人について、制度の事実だけ書きます
元の記事は、法人を作って役員報酬を低く設定し、個人事業と組み合わせると手取りが大きく増える、という形で書かれていました。読み返して、この書き方はやめることにしました。私は税理士ではなく、金額の裏も取れていないので、節税の手順として書くべきではないと考えました。
そのうえで、制度としてこうなっている、と確認できた部分だけ書きます。
- 法人を設立して役員に報酬を支払う場合、その法人は健康保険と厚生年金保険の適用事業所になります。加入は任意ではありません
- 健康保険料と厚生年金保険料は、標準報酬月額の等級にもとづいて計算されます。報酬の額で等級が決まります
- 法人は、赤字であっても法人住民税の均等割がかかります。金額は自治体で違います
- 法人の設立と維持には費用と手間がかかります。登記、帳簿、決算、申告が必要です
- 事業に実態があることが前提です。私自身、個人事業の確定申告について、税務署から事業の実態を確認する電話を受けたことがあります
社会保険料がどう計算されるかは、報酬の決め方、ほかの事業との関係、加入している制度によって変わります。私はここを断定できる立場にないので、金額の試算は書きません。元の記事にあった「社会保険料は固定でたった26万円」「役員報酬を月4万5,000円に設定すると年間26万4,000円」という数字も、裏を取れなかったので外しました。
法人を作ったほうがいいかどうかは、所得の額、事業の中身、家族構成、将来の年金の受け取り方で変わります。具体的な判断は、必ず税理士に相談してください。
元の記事から外した数字
何を取り下げたのかを残しておきます。
- 年収400万円・1,000万円・2,000万円・3,000万円の「会社員の手取り」と「マイクロ法人+個人事業の手取り」の比較表。計算の前提が書かれておらず、出どころを確かめられませんでした
- 「年収1,000万円の会社員は約150万円以上の社会保険料」。私の計算では本人負担が約133万円でした。会社負担を含めれば約273万円になるので、どちらの数え方なのかが書かれていない数字でした
- 「お金に弱いフリーランス」「お金に強いフリーランス」の手取り比較表。前提が書かれていませんでした
- 「年商80万円の一人法人+年収320万円のフリーランスが最適解」。最適と言える根拠を確認できませんでした
- 「家賃は社宅にできる」「家族を扶養に入れられる」「誰でも節税できる」。条件つきの話を条件なしで書いていたので削りました
- 書籍を引いて主張を裏づけていた部分。その本にそう書かれているかを確認できなかったので外しました
数字を書き直すのではなく、確かめられなかったものは消す、という方針にしました。
私が自分の家計でしていること
ここからは制度の話ではなく、私の決め方です。助言ではありません。
- 給与明細と源泉徴収票の数字を、年に一度は自分で足し算して確かめる。人の作った表をそのまま信じないことにしました
- 控除の仕組みは毎年変わる前提で、年末調整の前に国税庁のタックスアンサーで番号を引いて確認する
- 税や社会保険料は自分では動かせないので、手取りのなかから配当の入ってくる部分を少しずつ増やすほうに時間を使う
- 節税のために事業の形を変えるという判断は、私はしていません。必要になったら税理士に相談します
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