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使う予定はないけれど、投資に回すには早いお金。良い会社が安くなるまで待っている買付資金や、ETFの分配金として入ってきたドルなど、数か月から1年くらい置いておきたいお金です。その置き場所として、最近よく名前が出るのがMMFです。
結論から書くと、MMFは資産を育てる商品ではなく、すぐ動かせるお金の待機場所だと私は考えています。そして外貨建てMMFで増えるか減るかは、利回りよりも為替でほぼ決まります。この記事では、円建てと外貨建ての違い、計算例、落とし穴、私の使い分けを整理します。
※この記事は私の考えと使い方の紹介であり、特定の金融商品をすすめるものではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。金利・利回り・為替は2026年9月7日時点のもので、その後の日米の利上げで変わっている可能性があります。実際に取引する際は、各金融機関の最新の数字をご確認ください。
MMFとは:安全な短期債券だけを詰めた投資信託
MMFは、格付けの高い短期の国債や社債だけを組み入れた投資信託です。お弁当にたとえるなら、から揚げもハンバーグも入っていない、安全な短期債券だけのお弁当。食べても元気は出ませんが、お腹を壊す心配はほとんどありません。
同じ「MMF」でも、円建ての国内MMFは「マネー・マネジメント・ファンド」、外貨建てMMFは「マネー・マーケット・ファンド」で、名前も仕組みも別の商品です。安全性のイメージは「預金>MMF>債券>不動産>株式」で、預金にかなり近いけれど、預金より少し利息がつく場所、と理解しています。
円建ての国内MMF:10年ぶりに復活の流れ。ただし個人向けは続報待ち
国内MMFは1992年に登場し、2000年ごろには人気がありましたが、マイナス金利で国債の利回りがほぼゼロになり、各社が販売をやめました。その日本の金利が戻ってきています。日銀の政策金利は2026年9月7日時点で1.0%(9月の会合で1.25%に引き上げ)、メガバンクの普通預金金利も0.001%から0.4%前後に上がりました。
これを受けて円建てMMFの販売を再開する動きが出ていますが、9月7日時点では、個人が買える国内MMFはまだ出そろっていません。個人がいま使えるのは、MMFの姉妹商品で、さらに短期・預金寄りのMRFです。MRFの利回りは0.5〜0.6%前後と、上がってきています。
ドル建ての外貨建てMMF:3年前とは前提が変わった
| 2023年ごろ | 2026年9月7日時点 | |
|---|---|---|
| 米国の政策金利 | 5.25〜5.50% | 3.50〜3.75% |
| ドルMMFの利回り(税引前) | 4.8%前後 | 3%台前半 |
| ドル円 | 130〜140円台 | 154円台 |
この3年で米国は金利を下げ、日本は上げてきたので、日米の金利差はかなり縮みました(その後、9月の会合で米国は3.75〜4.00%に利上げしています)。それでも外貨建てMMFには、私が便利だと感じている点があります。
- 円の預金より利回りが高い(ただし円の預金とドル建ての投資信託では、リスクの性質がまったく違います)
- 利息が毎月自動で再投資され、複利で育つ
- ドルで見た基準価額はほとんど動かない(元本保証ではありません)
- 少額から、売買手数料なしで買える
- 米国株の配当と違い、米国で10%の税金が引かれない
- 満期がなく、いつでも売れる。良い会社が安くなったとき、すぐ買付資金に回せる
ひとつ気をつけたいのは為替手数料です。「米ドルの為替手数料0銭」とうたっていても、外貨建てMMFを円で直接買う場合は対象外になっていることがあります。先にドルに替えてから、そのドルでMMFを買うと手数料を抑えられる場合があるので、各社の条件を確かめています。
計算してみる:100万円分を買って、為替が動いたら
利回り3.1%(税引前)で、100万円を1ドル154円でドルに替える(6,493ドル)と、1年後の利息は約201ドルで、合計約6,694ドルです。
| 1年後の為替 | 円に戻した金額 | 増減 |
|---|---|---|
| 1ドル160円 | 1,071,169円 | +71,169円(約7.1%) |
| 1ドル148円 | 990,830円 | −9,170円(約−0.9%) |
160円になった場合、増えた分の内訳は利息が約3万1,000円、為替の差益が約4万円です。148円になった場合は、利息を受け取っても為替で失ってマイナスになります。外貨建てMMFで増えるか減るかは、利回り3%ではなく、為替がどちらに動いたかでほぼ決まる、というのが正直なところです。
外貨建てMMFの3つの落とし穴
- 利回り3%は、為替が3円動けば消える:154円で1万ドル買って年3%なら、利息は約300ドル、円で約4.6万円。でも151円になれば、元本の円換算は3万円目減りします。利回り4.8%の頃より、為替へのクッションは確実に薄くなっています
- 預り金のままだと利息ゼロ。為替差益の申告も自分で:米国株やETFの配当は、証券口座に米ドルの預り金として入ります。置いておくだけでは利息がつきませんし、預り金として外貨を持っている間の為替差益は、特定口座でも自動で税金を計算してくれません。私も以前、分配金が入ったことに気づかず、何か月もドルを寝かせてしまったことがあります。外貨建てMMFにしておけば、分配金は源泉徴収で完結します
- NISAでは買えない:外貨建てMMFはNISAの対象外です。私は特定口座の株をNISAへ少しずつ移しているところなので、限りあるNISAの枠は、長く持ちたい会社に使いたいと考えています
また、外貨建てMMFには信託報酬がかかります。短期米国債の利回りからこのコストを引いた残りが、受け取る利回りです。
MMFは「預金の上位互換」ではない
MMFは元本保証ではなく、保有中は信託報酬がかかります。普通預金は1,000万円まで預金保険で守られ、保有コストもかかりません。そして実際に元本割れした前例もあります。2001年に米国のエンロンが破綻したとき、同社の社債を組み入れていた複数のMMFが元本割れを起こしました。安全な短期債券だけでも、発行体が突然倒れることはあります。
元本保証でコストゼロで預金より利回りが高い商品があったら、世の中から預金がなくなってしまいます。良いリターンには必ず何かの引き換えがある。うまい話を見るたびに、私はこの原則に立ち返るようにしています。
まとめ:私の使い分け
- 円:すぐ使うお金と生活費は普通預金。証券口座で待機させる買付資金はMRF。1年以上動かさない守りのお金は個人向け国債(変動10年)
- ドル:すでに手元にあるドル(米国ETFの分配金など)の置き場所として外貨建てMMFを使う。新しく円をドルに替えてまで置くことは、今はしていない
ウォーレン・バフェットは、買いたい会社が割安でないとき、現金を短期の米国債に置いてチャンスを待ちます。MMFは、その個人版のようなものだと私は思っています。ただ、0.5〜3%程度の利回りでは、長い目で見てインフレに勝つのは難しい。長く育ってほしいお金は、私は良い会社に投資するほうを選んでいます。「今日の為替が安いから買う」ではなく「自分の配分がこうだから買う」。この順番を守っている限り、為替がどちらに動いても自分の判断に納得していられると考えています。
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