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この記事は2025年4月、米国の関税の発表で相場が大きく下がった直後に書いたものです。当時のタイトルは「今こそ投資のチャンス」でした。今読み返すと言い切りすぎていますので、書き直しました。先に結論を書きます。過去の暴落はどれも回復していますが、回復までにかかった年数は数か月から25年までばらばらでした。私が2025年4月に売らなかったのは、チャンスだと確信したからではなく、何年かかっても待てる金額しか入れていなかったからです。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事は2026年10月時点のものです。相場の数字は、それぞれ記載した時点のものです。
この記事の内容は、YouTube動画でも話しています。

2025年4月、この記事を書いたときの状況
2025年4月、米国の関税の発表を受けて相場が大きく下がりました。「今から投資を始めても大丈夫でしょうか」「せっかく始めたのに損をしたらどうしよう」という声をたくさん見かけました。
当時の私は、原因がはっきりしている下落なのだから、過去の暴落と同じように回復するだろうと考えていました。その見方自体は、結果としては外れませんでした。ただ、確信して書くべきことではなかったと今は思っています。
当時の記事には「トランプ前大統領」と書いていました。2025年1月に再び大統領に就任していますので、これは私の書き間違いです。直しました。
100年のチャートに書かれていた出来事

Screenshot
出典:AERA(米国株式チャート 1925年〜2022年)
当時の記事で使ったのは、米国株の約100年分のチャートです。世界大恐慌、第二次世界大戦、オイルショック、ブラックマンデー、リーマンショック、コロナショック。どれも当時は「もう終わりだ」と言われた出来事です。
そのうえでチャートは右肩上がりに見えます。ただ、チャートを縦に長く圧縮して見ると、途中の落ち込みが実際より小さく見えてしまいます。私が今回あらためて確かめたのは、落ち込みの深さと、戻るまでにかかった年数でした。
下落率を数字で見直しました
当時の記事で私は「リーマンショックでは株価が60%以上暴落した」と書いていました。改めて調べると、S&P500の下落率は約57%でした。2007年10月の高値から2009年3月の安値までです。私の書き方は盛りすぎでしたので直します。
コロナショックについても「1〜2年で回復」と書いていましたが、S&P500は2020年2月から3月にかけて約34%下げ、同じ年の8月には最高値を更新しています。半年ほどでした。こちらは私が長く見積もりすぎていました。
| できごと | 下落率(おおよそ) | 対象 |
|---|---|---|
| 世界大恐慌(1929年〜) | 約84% | AERA掲載のチャートの表記 |
| ブラックマンデー(1987年) | 約36% | AERA掲載のチャートの表記 |
| リーマンショック(2007年〜2009年) | 約57% | S&P500の高値から安値まで |
| コロナショック(2020年) | 約34% | S&P500の高値から安値まで |
世界大恐慌とブラックマンデーの数字は、元の記事で使ったAERA掲載のチャートに書かれていた表記です。私自身で原データまでは確かめられませんでしたので、その前提で読んでいただきたいです。
回復までにかかった年数は、暴落ごとにまるで違いました
ここが今回いちばん書き直したかったところです。「時間が経てば必ず回復する」と当時の私は書きましたが、その「時間」の長さが問題でした。
世界大恐慌のあと、ダウ平均が1929年の高値を取り戻したのは1954年だったとされています。25年です。50代の私が同じことに巻き込まれたら、取り戻す前に使う年齢になっている可能性があります。
一方でコロナショックは半年、リーマンショックは安値から4年ほど、暴落前の高値に戻るまでで5年半ほどでした。2025年4月の下落は、日経平均の水準で言えば1か月で元に戻っています。
つまり「回復する」はあてになっても「いつ回復する」はあてになりませんでした。私はここを混同して書いていました。
「原因がわかっている下落はチャンス」を今はこう考えています
当時の記事で私は、原因不明の暴落は怖いが、原因がはっきりしている下落はむしろチャンスだと書きました。今はこの言い方を使っていません。原因がわかっていても、その原因がいつ終わるかはわからないからです。
政治は変わるから政策も変わる、という当時の見立ても書いていましたが、これは私が政治を予想しているだけで、投資の根拠にはなりません。私が予想を根拠に買うのをやめたのは、当たったか外れたかが後からしかわからないからです。
今の私が見ているのは、持っている会社がその原因に耐えられるかどうかです。関税であれば、輸出の比率、価格を上げられる立場かどうか、借入の重さ。そこは決算に書いてあります。「関税だから全部売る」も「関税だから全部買う」も、私はやらないことにしました。
2025年4月に私が実際にしたこと
数字で残しておきます。日経平均は2025年4月7日に終値3万1136円58銭まで下げ、前日比2644円安、1年5か月ぶりの安値になりました。1日の下げ幅としては当時の歴代3位です。
私がしたのは、何もしないことでした。売りませんでしたし、慌てて買い増しもしていません。積立の設定をそのままにして、口座を開かないようにしていました。怖くなかったわけではなく、見ないことで売らずに済ませた、というのが正直なところです。
買い増しをしなかったのは、そのとき手元の現金が少なかったからです。当時の記事では「下がったらむしろ買い増し」と書いていましたが、現金がなければ買えません。書いておくべきだったのは、買い増すための現金を先に用意しておくというところまででした。
その後、相場はどうなったか
日経平均は2025年4月7日の安値のあと、4月10日に前日比2894円97銭高と当時の歴代2位の上げ幅で戻し、4月末の終値は3万6045円38銭でした。月間では前月末比1.20%高で、4か月ぶりの上昇です。
米国のS&P500は2025年5月初めに関税発表前の水準を回復し、2025年6月27日に最高値を付けました。日経平均はさらに上がり、2026年6月3日に終値で初めて6万8000円台、2026年6月25日の終値は7万2366円34銭で最高値を更新しています。
ただ一本調子ではありません。2026年9月30日の終値は6万6753円72銭で、最高値からは下がっています。結果だけ見れば2025年4月に売らなかったほうが私には良かったのですが、これは私が当てたのではなく、結果としてそうなっただけです。同じことが次も起きるとは考えていません。
何年かかっても待てる金額とは、私にとってどれくらいか
回復に25年かかった例があると知ってから、私は入れる金額の決め方を変えました。「余ったお金」ではなく「この先10年使う予定がないお金」という線にしたのです。
具体的には、生活費の1年分以上を現金で置いて、時期が決まっている支出は別に取り分けます。残った分だけを会社に投資します。私は50代ですので、何歳までにいくら必要かがある程度見えています。その見通しから逆算しました。
この線引きをしてから、相場が下がった月に売らずに済むようになりました。売らずにいられたのは私が我慢強いからではなく、売らなくても生活が回る金額だったからです。ここは性格の話ではなく、設計の話だと考えています。
どれくらいが適切かは、その方の年齢や収入や家族構成で変わります。私の金額をそのまま当てはめないでいただきたいです。
私が少しずつ買うようにしている理由
当時の記事で「1株ずつ、個別株なら2年くらいかけて分析して」と書きました。この部分は今もそのままです。むしろ年数をかけることの意味が、あのあとよくわかりました。
一つの会社を2年見ていると、好調な期と不調な期の両方を見られます。売上が落ちた期にその会社が何をしたか、配当をどうしたか。そこで会社の性格がわかります。上がっている時期だけ見ていた会社は、下がったときに私が持ちきれませんでした。
私はウォーレン・バフェットのやり方を真似しています。良い会社を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で読む、わからないものは買わない。この「わからないものは買わない」を守るには、時間がかかるのだと受け取っています。
買う量も一度に決めません。同じ会社でも何回かに分けて買います。そうすると、買ったあとに下がっても次を買う余地が残ります。当てる必要がなくなる、という言い方のほうが近いかもしれません。
私が自分に決めている4つのこと
一つめは、10年使う予定のないお金だけを入れること。二つめは、積立の金額を相場のニュースで変えないこと。三つめは、買い増すための現金を先に用意しておくこと。四つめは、売るのは会社の中身が変わったときだけにすることです。
この4つを決めてから、相場の下落が「判断しなければならない出来事」ではなくなりました。2025年4月に私が何もしなかったのは、決めてあったからです。その場で考えていたら、たぶん売っていたと思います。
ここに書いたのは私が自分で決めたやり方で、どなたかにおすすめするものではありません。投資は元本が減ることがありますし、回復に何年かかるかは誰にもわかりません。金額も時期も、ご自身で決めていただくものだと考えています。
最後に、当時の記事で私がいちばん反省している言い方を書いておきます。「怖いから始めないのではなく、怖いからこそ積立投資で時間を味方に」と書きました。言葉としてはきれいですが、怖いと感じているときは、その金額が自分の受け止められる範囲を超えている合図でもあります。
私が最初に減らしたのは不安ではなく、金額でした。金額を下げたら、同じニュースを見ても落ち着いて読めるようになりました。順番は、気持ちを変えるより先に金額を変える、だったと思っています。
もう一つ付け足すと、私は下落の深さより「自分があと何年投資を続けられるか」を先に考えるようになりました。50代の私に残っているのは、20代の方と同じ年数ではありません。同じ暴落でも、残り年数によって意味が変わります。回復に25年かかった例を知って以来、私は年数のほうを基準に金額を決めています。
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2025年4月に私が何もしないでいられたのは、口座を開かなくても積立が続く設定にしてあったからです。私が実際に使っている口座を紹介します。
私が実際に使っているのは次の2つです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
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