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結論から書きます。JAL(日本航空)グループと鹿児島大学が2020年10月15日に結んだ「地域密着型パイロット人財創出のための連携協力協定」から約5年半が経ち、2026年5月、第1期生の2人が日本エアコミューター(JAC)の副操縦士として初めて乗務しました。学生のうちに小型機で操縦を体験するところから始まって、実際に離島路線の副操縦士の席に座るところまでつながった形です。この記事では、公表資料で確認できた事実だけを時間順に整理します。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事は2026年10月時点のものです。日付と人数は鹿児島大学・JAL・報道の公表資料で確認できたものに限り、確認できなかったものは本文でそう書いています。
いつ、どこが、何を始めたのか
まず関係者を整理します。この取り組みに関わっているのは、鹿児島大学、日本エアコミューター(JAC)、日本航空(JAL)の3者です。JACはJALグループの会社で、鹿児島を拠点に離島路線を飛ばしています。
協定の名前は「地域密着型パイロット人財創出のための連携協力協定」です。JALが2020年10月15日に公表しました。プログラムの名前は「地域密着型パイロット人財創出プログラム」で、その中の学生向けの体験プログラムが「SKYCAMP」です。
第1期は2020年から2024年までの5年間でした。鹿児島大学が2025年2月12日に出した資料で、第2期の5ヵ年を継続して実施することが決まったと公表されています。
SKYCAMPは何をするプログラムか
SKYCAMPは「操縦飛行体験プログラム」です。鹿児島大学の学生が、JACの便に乗って現場を見たうえで、小型機で実際に操縦を体験します。
パイロットの仕事は、外から見ているだけでは何をしているのかわかりにくい職業です。学生のうちに操縦席に座って、自分に向いているかどうかを確かめられる機会があることは、進路を決めるうえで大きいのではないかと私は思います。向いていないと気づくことも、同じくらい意味があります。
第1期5年間で公表されている数字
鹿児島大学が2025年2月12日に出した資料に、第1期の実績が書かれています。
| SKYCAMP参加者(第1期5年間) | 39人 |
| パイロット候補者に選ばれた人(4年間) | 7人 |
| SKYCAMP第4期の参加者 | 8人 |
| SKYCAMP第5期の参加者 | 8人 |
5年で39人が体験し、そのうち7人がパイロット候補者としてライセンス取得の訓練に進んだ、という規模です。数としては大きくありませんが、1人のパイロットを育てるのに何年もかかることを考えると、毎年8人前後を受け入れて続けている形は現実的だと思います。
この成果報告会は2025年3月10日、鹿児島大学の稲盛会館で開かれました。
第1期生から副操縦士が出た(2026年5月)
この記事を最初に書いたあとの動きです。ここがいちばん大きな進展でした。
第1期の参加者のうち2人が、約3年の基礎課程を修了して必要なライセンスを取得し、2025年2月にJACにパイロット訓練生として入社しました。その後、地上訓練と副操縦士への昇格訓練を終えています。
2026年5月15日、JACは4人のパイロットに副操縦士の発令を行いました。このうち2人がSKYCAMPの第1期生です。2人は2026年5月20日に初めて副操縦士として乗務しました。1人は鹿児島と屋久島を結ぶ路線をATR72-600で、もう1人は鹿児島と奄美を結ぶ路線をATR42-600で飛んでいます。
2020年10月の協定から、学生が副操縦士の席に座るまで約5年半かかったことになります。お名前は報道で公表されていますが、この記事では書きません。これから長く飛ぶ方々ですし、人数と経緯がわかれば趣旨は伝わると思いました。
なぜ鹿児島なのか
鹿児島県は離島が多い県です。島に住んでいる人にとって、飛行機は観光の乗り物ではなく、通院や通学、物を運ぶための足になります。路線が止まると生活が止まります。
JACはその離島路線を担っている会社です。離島路線は乗る人の数が限られるので、路線だけを見れば利益を出しにくい事業です。それでも飛ばし続けるには、そこで働くパイロットが安定して確保できていることが前提になります。
地元の大学で学んだ人が、地元の路線を飛ぶ。この形であれば、都市部へ出ていく人材の流れとは別の道筋ができます。私はこの点が、このプログラムのいちばんの中身だと受け取りました。
稲盛和夫氏との関係について、確認できたこと
当時の記事には「鹿児島大学名誉博士でもある稲盛和夫氏の支援により、このプロジェクトは大きな後押しを受けました」と書いていました。
今回この記述の出どころを探しました。確認できたのは、第1期の成果報告会の会場が鹿児島大学の稲盛会館だったことまでです。稲盛氏個人の支援がこのプログラムを後押ししたという記述は、公表資料の中で見つけられませんでした。ですので、その部分は外します。
会館の名前が残っていることと、その人がこのプログラムを支援したことは別の話です。私は当時、名前のつながりだけで話を作ってしまっていました。
元客室乗務員として思うこと
私は客室乗務員として働いていました。ここから先は公表資料ではなく、私が現場で見てきたことです。
パイロットになる道は、長いあいだ限られていました。航空会社の自社養成に受かるか、私費で留学して取るか、自衛隊から移るか。そのどれも、志望する人からすると入口が狭く、学生のうちに自分に向いているかを確かめる機会もほとんどありませんでした。
私がご一緒した機長や副操縦士の方は、技術が高いことに加えて、不確かな状況で落ち着いて判断できる方が多かったと記憶しています。天候が崩れたとき、どこで引き返すかを決めるのは最後は人です。そういう判断ができる人を育てるには、やはり時間がかかります。5年かけて数人という進み方は、遅いのではなく、そういう仕事なのだと思います。
これは私個人の記憶であり、現在の訓練制度や各社の採用の仕組みを説明するものではありません。
当時の記事から外したところ
この記事には、メリットとデメリットを箇条書きで何度も並べた部分がありました。JAL側、大学側、全体、まとめと、同じ内容が4回繰り返されていたので、重複はまとめました。
「航空業界の人材不足の緩和(2030年問題への対応)」という記述がありました。2030年問題という言葉で何を指しているのかを本文で説明していませんでしたし、出どころも確かめられなかったので外しました。
「インフラ維持策の一環として間接的な補助金・助成金は活用されている可能性が高く」という一文もありました。可能性が高いと書いているだけで、私は何も確かめていませんでした。推測なので外します。公表資料に金額の記載はありません。
養成にかかる費用についても、当時は1人あたりの金額を書いていました。鹿児島大学とJALの公表資料には金額が示されていないので、こちらも外しました。
これから私が見ていきたいこと
第2期の5年が始まっています。私が気にしているのは、第1期で副操縦士になった方々がこのあと鹿児島に残って飛び続けるかどうかです。地域に根ざした人を育てるという目的が果たされたかどうかは、そこを見ないとわかりません。
もう一つは、この形が他の地域にも広がるかどうかです。離島路線や地方路線を抱えている県はほかにもあります。鹿児島で5年半かけてひとつの事例ができたので、続く例が出てくるかどうかを見ていきたいと思っています。
この記事は教育プログラムの紹介です。株価や投資の判断につなげるつもりで書いたものではありません。航空会社の決算をどう見ているかについては、別の記事にまとめています。
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