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先に結論を書きます。私が50代のうちに決めたのは、金額の目標ではなく3つの段取りでした。1つめは自分の生活費を1年分の実績でつかむこと。2つめは口座をひとつにまとめること。3つめは、取り崩すときにどの順番で手をつけるかを先に決めておくことです。いくら貯めるかは相場と寿命で変わりますが、この3つは今の自分だけで決められます。決めてしまったら、老後のお金のことを毎日考えなくて済むようになりました。
※私は投資助言・代理業の登録を受けていません。この記事は私が自分で決めたことの記録であり、推奨ではありません。数字は2026年10月時点で確認できたものです。税金の取り扱いは所得や口座の種類で変わるので、具体的な判断は税理士や税務署にご相談ください。
まず自分の生活費を1年分の実績でつかんだ
老後にいくら必要かという問いに、私は長いあいだ答えられませんでした。理由は単純で、今いくらで暮らしているかを知らなかったからです。
家計簿をつけ始めて最初にわかったのは、月によって支出がまるで違うということでした。固定資産税や車の保険、帰省の費用のように、毎月は出ないけれど年に1回まとまって出るものがあります。だから月の平均を1か月だけ見ても意味がありませんでした。
私がやったのは、1年分を集めて12で割ることでした。その金額が、私の「ほんとうの月の生活費」です。思っていたより多くて、最初は見るのが嫌でした。
参考として、総務省の家計調査(2025年平均)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月263,979円でした。平均と自分の数字がどれだけ離れているかを知っておくと、人の話を聞いたときに自分に当てはまるかどうかの見当がつきます。
支出を「止められるもの」と「止められないもの」に分けた
生活費の金額がわかったら、次に中身を2つに分けました。収入が減ったときに止められる支出と、止められない支出です。
止められないのは、住居費、水道光熱費、食費、保険料、税金と社会保険料です。止められるのは、外食、旅行、趣味、被服費、サブスクのような毎月の会費です。
分けてみてわかったのは、私の場合、止められない支出が思ったより小さかったことです。つまり、何かあったときに縮められる余地がある。これがわかっただけで、将来への怖さがかなり減りました。
そのうえで、私は止められる支出を今すぐ全部削ることはしませんでした。50代の今を削って70代に備えるというのは、私には続かないやり方でした。削ったのは、使っていないのに払い続けていたものだけです。会費を2つ解約して、それで終わりにしました。
口座をひとつにまとめた
これが思っていたよりずっと効きました。私は銀行の口座が5つ、証券の口座が3つありました。転職や引っ越しのたびに増えていったものです。
何がいけなかったかというと、全部でいくらあるのかを知るのに半日かかることでした。残高を足すだけで疲れてしまうので、結局やらない。やらないから自分の資産額を知らない。知らないから不安、ということの繰り返しでした。
整理したのは、使う口座を決めるところからです。給料と年金が入る銀行を1つ、生活費を出す銀行を同じ1つ、投資をする証券会社を1つに決めました。残りは、解約できるものは解約して、できないものは残高をゼロにして置いてあります。
証券口座を1つにまとめるときに迷ったのは、持っている会社を移すのに手間がかかることでした。移管の手続きは無料でできるところが多いのですが、書類のやりとりに時間がかかります。私は焦らず、1年かけて少しずつ移しました。
まとめてよかったことは、残高が1画面で見えるようになったことです。それと、自分が何歳のときに誰が困るかを考えたときに、口座が8つある状態は家族に渡せないと思いました。
どこに何があるかを、1枚の紙に書いた
口座をまとめたあと、金融機関の名前と口座の種類を1枚の紙に書きました。残高は書いていません。残高は変わるので、書くと古くなるからです。
書いたのは、どの銀行とどの証券会社に口座があるか、生命保険はどこか、年金手帳はどこにあるか、というところまでです。これを夫と同じ場所に置きました。
これは老後資金の話とは少し違うかもしれませんが、私は50代のうちにやっておくことの中でいちばん大事だと思っています。お金があっても、どこにあるかわからなければ使えないからです。
取り崩す順番を先に決めておいた
いちばん時間をかけて考えたのがここです。65歳を過ぎて、入ってくるお金が足りなくなったときに、何から手をつけるか。
私が決めた順番は次のとおりです。
- 現金(生活費の2年分を普通預金に置いてあります)
- 配当金(受け取ったものを使う。元本は売らない)
- 課税口座の投資信託
- NISA口座の中のもの
- 持っている会社の株式(最後)
この順番にした理由を書きます。現金を先に使うのは、相場が下がっている年に売らずに済むようにしたいからです。下がったときに売るのが、私がいちばん避けたいことでした。
配当を2番目に置いたのは、受け取ったお金を使うだけなら元本が減らないからです。私はウォーレン・バフェットのやり方を真似していて、良い会社を長く持つことにしているので、会社そのものは最後まで手元に置きたいと思っています。
課税口座をNISAより先に使うことにしたのは、NISAの中は利益に税金がかからないので、できるだけ長く置いておきたかったからです。ただ、課税口座を売れば利益に税金がかかりますし、売った年の所得が増えることで翌年の社会保険料に影響することもあります。この取り扱いは所得や年齢で変わるところなので、私も実際に売る年には税務署か税理士に確かめるつもりです。
この順番は私の事情で決めたものです。持っているものの内訳や、ご家族の構成、お勤めの状況が違えば、順番も変わると思います。
金額の目標は決めなかった
「老後2,000万円」という数字を目標にすることは、私はやめました。出どころは2019年6月3日の金融審議会 市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」で、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯で毎月およそ5万円の赤字が20年続けば約1,300万円、30年なら約2,000万円という単純計算でした。
この前提には、働く収入も配当のような資産からの収入も入っていません。介護の費用や住宅のリフォームも入っていないと報告書自身が書いています。つまり前提が私と違います。
前提が違う計算の答えを自分の目標額にすると、追いかけても安心にならないと思いました。だから私は金額ではなく、毎月いくら足りないかという形で持つことにしました。入ってくるお金の組み立て方は別の記事に書きました。
50代で決めておいてよかったと思う理由
生活費をつかむ、口座をまとめる、取り崩す順番を決める。この3つは、どれも相場と関係ありません。株価が上がっても下がっても同じようにできます。
そして、どれも65歳を過ぎてからやるのは大変だと思いました。口座の移管の書類を揃えるのも、家計簿を1年つけるのも、気力と時間が要ります。私は50代で体を壊して前の仕事を辞めているので、気力が落ちているときに手続きができないことを知っています。
決めたあとに変わったのは、気持ちのほうでした。老後資金の話を聞いたときに、自分はどこまで決まっていてどこが決まっていないかがわかるので、人の金額を聞いても揺れなくなりました。
いま決まっていないのは、何歳まで働くかと、どこで暮らすかです。これは決められないので、決められないものとして置いてあります。全部決めようとしないほうが、私には続きました。
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口座をまとめるなら、1株から買えて投資信託も置けるところに寄せておくと、取り崩す順番を決めるときに迷いません。私が残した2社を置いておきます。
私が実際に使っているのは次のとおりです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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