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株式会社ミルボン(4919)は、美容室で使われるヘアケア製品をつくっている会社です。私が最初に名前を知ったのは投資の本ではなく、通っている美容室のシャンプー台の棚でした。この記事は、私がこの会社の決算をどの順番で読み、どこで手が止まったのかを書いたものです。私の保有・検討状況の紹介であり、この会社の株式を推奨するものではありません。以前の版には星の数での採点、確率つきの株価シナリオ、最終推奨といった項目が並んでいましたが、私が自分で根拠を示せないものはすべて削りました。
※本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄を推奨するものではありません。株価・配当・財務の各数値は時期によって変わるため、本文には具体的な数値を載せていません。最新の数字は同社の決算短信・有価証券報告書・決算説明資料でご確認のうえ、投資の判断はご自身の責任でお願いします。記載の内容は記事公開時点(2025年7月)のものです。
ミルボンという会社が何を売っているのか
ミルボンは1960年に設立された、ヘアケア製品と化粧品のメーカーです。特徴は売り方にあります。ドラッグストアの棚に自社ブランドを並べるのではなく、美容室に向けて売っています。いわゆる美容室専売品です。
オージュア、エルジューダ、ヴィラロドラといったブランドを持っていて、私が美容室で勧められて買ったものもこの中にありました。値段は、スーパーで売っているシャンプーより高いです。それでも売れているのは、美容師の方が「あなたの髪にはこれ」と説明してくれるからだと思います。
この会社を見ていて私が面白いと思ったのは、商品を買う人と、商品を選ぶ人が別だという点です。お金を払うのは私ですが、どれを使うかは美容師の方が決めています。つまりミルボンのお客さんは、私ではなく美容室です。だからこの会社は、美容室の経営を支える仕組みにも力を入れています。
美容師向けの教育や資格の制度、サロンの顧客管理をデジタル化する取り組み、美容師が自分の得意分野を深めるための仕組みなど、製品以外のところにお金と人を使っています。これは一見すると遠回りですが、美容室がミルボンから離れにくくなる仕掛けだと私は受け取りました。
美容室専売というやり方の、強いところと弱いところ
私がこの売り方を強いと思う理由は3つあります。
一つめは、値段の競争に巻き込まれにくいことです。量販店の棚は、隣に安い商品が並びます。美容室の棚は、美容師の方が選んだものだけが置かれています。二つめは、美容師の方を通じて「なぜこれがいいのか」が説明されることです。説明がある商品は、安いだけの商品に置き換わりにくいと思います。三つめは、髪は伸びるので、通い続ける人は買い続けるという点です。
一方で、弱いところもはっきりしています。
- お客さんが美容室なので、美容室の数や来店の頻度が減ると、そのまま売上に効く
- 美容室は小さな事業者が多く、景気が悪くなると仕入れを絞りやすい
- 自分でお客さんに直接届ける道を持たないので、美容室の経営状況に左右される
- 原材料や容器の値段が上がったとき、すぐには値上げしづらい(美容室の仕入れ価格に跳ね返るため)
私がこの会社を「わかる範囲」に入れられたのは、自分が客として美容室に通っていて、この構図が頭に浮かんだからです。逆に言えば、美容室に行かない方には想像しにくい事業だと思います。ウォーレン・バフェットが「わからないものは買わない」と言っているのは、こういう身近さのことだと私は理解しています。
私がこの会社の決算で見ている順番
以前の版には、売上高・営業利益・経常利益・純利益・ROE・自己資本比率・営業利益率を並べた表が2つ入っていました。四季報と企業情報サイトから引いた数字です。
この表を全部外しました。株価で決まる指標は毎日変わりますし、業績の数字も決算が出るたびに入れ替わります。記事に貼り付けた表は、公開したその日から古くなっていきます。
代わりに、私が決算短信を開いたときに見ている順番を書いておきます。
- 売上が増えているか。増えているなら、それは値上げによるものか、数量が増えたものか
- 国内と海外の内訳。どの地域で増えて、どの地域で減っているか
- 営業利益率が去年より上がっているか下がっているか。下がっているなら、原材料か、人件費か、広告費か
- 自己資本比率と、手元の現金。借金に頼らずに回せているか
- 配当の方針と、配当性向。利益のどれくらいを配当に回しているか
ミルボンは、この5つのうち財務の部分が私の目には落ち着いて見えました。借入に頼らず、手元の現金も厚い会社です。具体的な比率は決算短信の貸借対照表に出ているので、気になる方はそこを見ていただくのが確実です。
配当について、私が考えていること
ミルボンは配当の方針を自分の言葉で示していて、配当性向の目安を公表しています。私はこの「目安を書いてくれている」というところを評価しています。方針が書かれていない会社だと、来年いくら出るのかを自分では見当がつけられないからです。
ただ、正直に書くと、私が高配当株として探している水準からすると、この会社の配当利回りは物足りないと感じました。私は配当で生活費の一部をつくりたいと思って会社を選んでいるので、利回りの高さは外せない条件です。
それと、配当性向が目安の水準に近づいているときは、私は少し慎重になります。配当性向が高いということは、利益のうち会社に残る分が少ないということです。利益が減った年に配当を維持しようとすると、性向はさらに上がります。そこが続くかどうかは、利益そのものが伸びるかにかかってきます。
以前の版には、1株あたりの配当金の予想額や、数年後の配当がいくらになるかの見通しを書いていました。増配が続く前提で先の金額を出すと、それが決まったことのように読めてしまうので、削りました。配当は減ることもあります。
株価が大きく下がったときに、何が起きていたのか
この会社の株価は、数年前の高いところから大きく下がった時期があります。私が興味を持ったのも、そのニュースを見たときでした。
下がった背景として挙げられていたのは、だいたい次のような話です。中国での売上が伸び悩んだこと。原材料の値上がりが利益を押したこと。会社が示していた利益の目標が下に修正されたこと。そして、金利が上がる局面で、成長を期待されて買われていた会社の株が全般に売られたこと。
私がここで自分に確かめたのは、「下がったから安い」と思っていないかという点です。株価が下がる理由には、相場全体の都合で下がる場合と、その会社の稼ぐ力が落ちた場合があります。前者なら待てますが、後者なら待っても戻りません。
そこで私は、株価のチャートではなく、売上と営業利益の推移を並べて見ました。稼ぐ力そのものが崩れているのか、成長の速度が落ちただけなのか。この見分けは今も完全にはついていません。これは私の宿題として残しています。
以前の版には、何年に株価がいくらだったかという数字と、将来の株価レンジの予想を確率つきで並べていました。確率の根拠を私は示せませんので、その部分はすべて削りました。
海外事業と、中国での苦戦をどう見ているか
ミルボンは国内だけでなく、韓国、中国、米国などで事業をしています。私はここを、この会社のこれからを左右する部分だと思って見ています。
国内の美容室の数は、人口が減っていくなかで大きく増えるとは考えにくいです。すると、売上を伸ばす道は、一人あたりの単価を上げるか、海外を増やすかになります。
中国については、ここ数年うまくいっていないと会社自身が説明しています。消費のしかたが変わって、美容室に行く頻度が落ちたことが理由として挙げられています。会社は、高価格帯のブランドに絞る、美容室の経営を支える、韓国や米国に力を振り向ける、といった方向に舵を切っています。
私がこの説明を読んで思ったのは、海外は国内と同じやり方が通じるとは限らないということです。日本では美容師の方が丁寧に説明して売るという形が成り立っていますが、その形が同じように根づくかどうかは、国によって違うはずです。
以前の版には、中国と米国の売上がそれぞれ何億円で全体の何パーセントか、海外比率が何パーセントか、韓国が年率何パーセント成長しているかという数字が入っていました。出所が確かめられないものがあったため、落としました。地域別の内訳は決算説明資料に図で出ているので、そちらが正確です。
関税や為替の話が出たときに、私が確かめること
以前の版には、関税をめぐる政策とこの会社の業績を結びつけた分析が一節ありました。断定できるだけの材料を私は持っていないので、書き直しました。
私が実際にやっているのは、予想ではなく確認です。この会社は海外では現地で売る形が中心なので、日本から大量に輸出する会社に比べれば、関税がそのまま響く部分は限られていると思っています。ただ、原材料や容器を海外から仕入れる部分には、為替や物流の影響が出ます。
なので決算説明資料を開いて、為替をいくらで前提に置いているか、原材料の値上がりをどのくらい織り込んでいるかを見ます。会社が置いた前提と、いまの相場がどれくらい離れているか。それを見るだけでも、次の決算で何が起きそうかの見当はつきます。為替がどちらに動くかは、私にはわかりません。
以前の版から、点数と採点表を全部外した理由
以前の記事には、星の数での評価が5か所あり、よそのブログで使われている10項目の採点基準を引いて「10のうち8つをクリア」と書いた節がありました。最後には「最終推奨」という見出しで、どういう投資家に向いているかまで書いていました。
これを全部削りました。理由は3つです。
- 私は投資助言の登録を受けていないので、どの会社がどなたに向いているかをお伝えする立場にありません
- よその採点基準を借りて合否を出す形は、その会社を自分で見ていないのと同じだと思いました
- 点数は、自分の判断が外れたときに言い逃れができる形になっていて、自分でも気持ちが悪かったからです
それと、株主としてこういう提案をしたいという節も丸ごと外しました。配当方針や自己株式取得、取締役の構成についての要望が並んでいた部分です。これは会社の分析とは別の話で、しかも私がきちんと調べて書いたものではなかったので、ここに置いておくのをやめました。
私がいま、この会社について決めていること
ここまで書いて、私がこの会社について出した結論は「もう少し決算を見る」というところです。
事業の形は私にもわかりますし、財務は落ち着いて見えます。ただ、配当利回りは私が高配当株に求める水準には届いていませんし、海外での伸びがどうなるかは、これから何期か見ないと判断できないと思っています。
私が自分に課しているのは、次の2つです。
- 一つの会社は、持っている会社全体のうち数パーセントまでにする
- 一度にまとめて買わず、決算を1回読むたびに少しだけ、という形にする
この2つを守っていると、判断を間違えたときの痛みが小さくて済みます。良い会社を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で見る、わからないものは買わない。私がウォーレン・バフェットのやり方から真似しているのはこの3つだけですが、いまのところ、この3つで足りています。
最後にもう一度書いておきます
この記事は私の保有・検討状況の紹介であり、株式会社ミルボン(4919)の株式を推奨するものではありません。私は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、どの会社をいくら買うべきかをお伝えする立場にありません。
私がこの記事でお伝えしたかったのは、良い会社か悪い会社かの結論ではなく、自分で確かめる順番です。誰が買っているのかを売り方から考えて、売上の内訳を地域ごとに見て、配当の方針を会社の言葉で読んで、最後に株価を見る。この順番を守れた回は、あとから後悔することが少なかったように思います。
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私は、気になった会社をまず1株だけ買って、決算のたびに自分で資料を読む時間をつくっています。ミルボンのように自分が客として知っている会社は、1株持っているだけでも決算を読む気になるので、この入り方が合っていました。私が実際に使っている口座を参考までに置いておきます。
私が実際に使っているのは次の2つです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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