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もし48歳の私が今ここに座っていたら、「S&P500を買いなさい」「高配当の会社を買いなさい」と言う前に、伝えたいことがあります。
私は年収400万円の客室乗務員でした。30年勤めて、一度も昇格できませんでした。48歳まで投資の経験はほぼゼロで、為替も金利もわかりませんでした。
20歳から働いて、48歳でへそくり2000万円。そこから投資を始めて、53歳で1億円、50代半ばの今は1億7千万円、配当は税引前で月48万円。これが私の実際の道のりです。この途中で私は二度、大きな病気をしました。そのお話も隠さずに書きます。
※本記事は私個人の体験談であり、将来の成果を約束するものではありません。特定の銘柄・商品の購入を推奨するものでもありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
最初の2000万円は、30年近くかけたへそくりでした
年収400万円ですから、月に10万円を貯金に回すなんてとても無理でした。月に5万円、多い月で7万円。ボーナスが出たら少し足す。月5万円で1年に60万円。それを30年近く続けて、やっと2000万円です。親から受け継いだ資産はありません。むしろ仕送りをしていました。
でも、通帳の数字が増えても、不安はちっとも減りませんでした。
くも膜下出血で倒れて、後遺症で働けない体になりました。それでも会社は辞めませんでした。もう一度飛びたくて、リハビリを続けていました。暮らしを支えてくれたのは傷病手当金で、月17万円を1年半受け取りました。
自分で稼げない分、人よりも多く資産を持っていないといけない。計算すると、自分の年金では足りません。夫が定年退職してから年金をもらうまでの空白の期間は、退職金だけでは足りないこともわかりました。経済的に夫に頼りきっている自分が情けなくて、自分ひとりの力で生きていけるようにならなくては、と思ったのが2019年4月。私は48歳でした。
投資を始めてすぐにコロナが来ました。そして50代に入ってすぐ、大腸がんのステージ3で、余命は5年と告げられました。20歳から30年勤めた会社を辞めました。
あのときの私に伝えたい5つのことを、順番に書きます。
① 何を買うかの前に、「いくら必要か」を数字にした
私にとっていちばん大切だったのは、投資の目的でした。自分の老後にはいくら必要なのか。これは何に投資するかより大事だったと、今も思っています。そのために開いたのが、ねんきん定期便です。
年収400万円で働いてきた私の年金の見込み額は、月14万円。もし一人でアパートを借りて暮らすなら、必要なのは多く見積もって月30万円。足りないのは月16万円でした。
数字にした瞬間、「老後2000万円」というぼんやりした怖さが、「月16万円をどうつくるか」という問題に変わりました。
② 種銭は労働。でも、労働だけでは足りなかった
私の考えは「種銭は労働、成長は企業、老後は配当」です。30年のフライトで貯めた2000万円がなければ、私は何も始められませんでした。
月の3分の1しか家にいてあげられない母親だった、という負い目もあります。それでもあの30年を後悔はしていません。憧れていたJALの客室乗務員になれた。それは私に唯一残されたアイデンティティでした。毎月5万円から7万円の貯金はつらくはありませんでした。大正生まれの祖母に育てられたので、節約は苦ではなかったんです。
ただ、当時の普通預金の金利は0.001%。2000万円を1年置いて、つく利息は200円です。税金を引かれると159円。30年近く働いて貯めたお金が、1年でジュース1本分でした。足りない月16万円には、どうやっても届きません。
③ わからないうちは、わかるものだけを買った
私の投資は、ウォーレン・バフェットのやり方の真似です。いちばん助けられたのは、ウォーレン・バフェットが2013年の株主への手紙に書いた言葉でした。自分が亡くなったあと、妻に残すお金は「1割は短期の米国債に、9割は手数料のとても低いS&P500のインデックスファンドに」と。
もうひとつは山崎元さんの本です。手数料の低いインデックスファンドでいい、と書かれていました。世界一の投資家が家族に残すお金に選ぶ方法なら、決算の読めない私にもできるかもしれない。そう思いました。
2019年4月、SBI証券でeMAXIS SlimのS&P500を始めました。まず生活費の1年分は貯金に残しました。何かあっても投資したお金を崩さなくていいようにです。そのうえで、へそくりの半分の1000万円を最初に入れました。あとは毎月、NISAで3万3千円と特定口座で30万円。へそくりを少しずつ移していきました。(※私が選んだ商品の紹介であり、購入をすすめるものではありません)
始めて1年もしないうちにコロナが来ました。2020年3月、S&P500は34%下がりました。世の中では「米国株は終わった」と言われていました。正直に言うと、私はそれが暴落だということさえよくわかっていなかったんです。ただ、株価は暴落と回復を繰り返しながら長い目では育ってきた、というジェレミー・シーゲルのグラフを見ていました。人が暮らして物を買い続けるかぎり、会社は稼ぎ続ける。そう考えて、この月に500万円を追加で入れました。
そのあと、がんが見つかりました。会社を辞めて退職金が出ました。企業年金を含めて差し引き500万円。休職の期間が長かったので多くはありませんでした。これも全部入れました。傷病手当金と失業給付金は生活費を引いた残りを、保険を解約して戻ってきたお金も。手術のあとは、ハローワークで認められる範囲で、デパ地下のレジ打ちのパートも始めました。時給は1170円でした。
私が入れたお金は、合わせておよそ3000万円です。それが2024年6月、53歳のときに1億円になりました。3倍あまりです。
理由は2つ。この時期、アメリカの会社が育ってS&P500は2.4倍になりました。そこに1ドル106円が160円になった円安で1.5倍。私の腕ではありません。たまたま追い風の時期に市場にいただけです。為替は逆にも動きますし、S&P500は過去に半分以下になったこともあります。(※金額は概算です。過去の実績であり、同じ結果になるとは限りません)
④ 決算を自分で見て、会社に投資するようになった
余命5年と告げられて、考えが変わりました。インデックスファンドは15年、20年と持ち続けて育てるものです。でも15年後、私は生きていないかもしれない。それなら、これ以上増やすことより、生きているあいだに受け取れる形にしたい。足りない月16万円を、売らずに配当で受け取りたい。
税金や社会保険料だけで比べれば、取り崩すほうが有利になりやすい。それはわかったうえで、私は「売らなくていい安心感」を選びました。
初めて受け取った配当は、米国債のETFからの250円でした。たった250円です。でも勉強してきたことが報われた気がして、うれしかったのを今でも覚えています。実はそのETFはドル建てでは今もマイナスです。それでも毎月、配当は届き続けています。
日本の会社は、こんな条件を物差しにして、決算を一社ずつ見るようになりました。
- 配当利回り3%以上
- PBR2倍以下
- 自己資本比率40%以上
- 流動比率200%以上
- 累進配当(減配しない方針)
私が自己資本比率を最初に見るのには理由があります。2010年、私が勤めていたJALは倒産しました。大きくて有名で、誰もがつぶれないと思っていた会社です。その中に私はいました。だから私は会社の名前ではなく、借金に頼りすぎていないかを決算で確かめます。気になる会社があったら、まず1万円分だけ。配当と業績を見ながら、少しずつ増やしてきました。
正直に書きます。いま日本の会社77社に投資していて、そのうち13社は買った値段を今も下回っています。いちばん大きいものは2割以上のマイナスです。それでも眠れるのは、ひとつの会社を全体の3%までに分けているからです。逆に、買った値段の6倍近くに育ってくれた会社もあります。どれがそうなるのか、買ったときの私にはわかりませんでした。(2026年9月時点)
⑤ 時間を味方にした
2000万円まで30年近く。そこから1億7千万円まで7年。なぜこんなに違ったのか。
30年のあいだ、働いていたのは私ひとりでした。いまは、働けなくなった私のかわりに77の会社が働いてくれています。受け取った配当で、また会社に投資する。それをやめなかっただけです。
足りなかった月16万円。いま配当は税金を引く前で月48万円です。客室乗務員のころは、月に80時間以上飛んでもお給料は月30万円が限界でした。
もうひとつ変わったことがあります。お金の不安が消えていくと、夫との関係が良くなりました。投資を続けられたのは暖かい部屋で安心して暮らせていたからで、それは夫のおかげだった。あとになってそう気づきました。私はお金がないという不安で、心の余裕をなくしていたんだと思います。
1億円を超えたとき、わかったことがあります。私が欲しかったのはお金そのものではありませんでした。一度も昇格できなかった私が、誰かに認めてもらうことでした。48歳の私に伝えたいのは、結局それかもしれません。
すべては口座をひとつ開いたところから始まりました
今日お話ししたことは全部、口座をひとつ開いたところから始まりました。私が使っているのはSBI証券で、NISAもここです。いまは1株から会社に投資できます。口座をつくるのは無料で、つくったからといって何かを買う必要はありません。私は画面を眺めるところから始めました。
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