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「年金に、毎月あと5万円あったら」。60歳からそれを配当金で作ろうとしたら、元本はいくら必要なのか。先に答えを書きます。NISAを使った場合で、およそ1,500万円です。
「そんなにないわ」と思われた方、どうかここで閉じないでください。私も最初にこの数字を見たとき、同じことを思いました。でも電卓を叩き続けてみたら、1,000万円でも形になるやり方がありました。それから、65歳から始めた場合、70歳から始めた場合の数字も全部出してみました。
私は48歳まで投資をしたことがありませんでした。30年、飛行機の中で働いて、老後のお金のことは後回し。50代の今、ウォーレン・バフェットのやり方を真似しながら、日本の企業に少しずつ投資をして、自分年金を作っている途中です。
この記事は「この会社がいい」という話ではありません。毎月5万円という暮らしの数字を、元本、NISA、年齢、取り崩しまで、私が自分のために計算した結果をそのままお見せします。
※私は投資助言業の登録をしていない一個人です。本記事の数字は私の試算で、将来を約束するものではありません。特定の銘柄・商品の購入を推奨するものでもありません。ご自身の判断の材料のひとつとしてお読みください。
なぜ「月5万円」なのか
厚生年金を受け取っている方の平均は、月におよそ15万円です。ただしこれは男女を合わせた数字で、女性だけの平均は11万円ほど。私も自分の年金の見込み額を見たとき、こちらの数字の方が身近に感じました。
最新の家計調査を見ると、年金暮らしのご夫婦は毎月4万円ほど足りていません。去年までは3万円台でしたので、物価が上がった分、不足も広がっています。この4万円を埋めて、さらに孫へのお小遣いや年に一度の旅行の分まで考えると、私の中で出てきた数字が月5万円、年間60万円でした。
月5万円は贅沢のためのお金ではなく、「貯金が減っていくのを毎月見なくて済む」ためのお金だと私は考えています。
元本はいくら必要か|年間60万円÷配当利回り
計算はとても単純です。年間60万円を配当利回りで割るだけです。
| 配当利回り | NISA(非課税)で必要な元本 | 課税口座(約20%課税)で必要な元本 |
|---|---|---|
| 3% | 2,000万円 | 約2,510万円 |
| 3.5% | 約1,710万円 | 約2,150万円 |
| 4% | 1,500万円 | 約1,880万円 |
NISAを使わず課税口座だと、配当から約20%の税金が引かれます。手取りで60万円を残すには税引前で約75万円が必要で、利回り4%でも約1,880万円。同じ月5万円なのに、380万円も差が出ました。
ちなみに月3万円なら、NISA・利回り4%で900万円。月10万円になるとNISAの枠を超える分に税金がかかるので、およそ3,460万円です。
ここで「じゃあ利回り5%や6%の会社を選べばいいのでは」と、私も考えました。でも利回りが高いのは、多くの場合、株価が下がっているからです。なぜ下がっているのか。本業の稼ぐ力が落ちているなら、その配当は続きません。ウォーレン・バフェットは「わからないものは買わない」という趣旨のことを言っています。私はそれを真似して、決算を自分で見て、自己資本比率や配当の歴史を確かめて、結果として全体で3%台後半から4%くらいに落ち着いています。ですからこの記事では4%を上限として計算しています。
NISAならどうなるか|お一人なら約1,580万円
NISAで個別の企業に投資できるのは成長投資枠で、年間240万円、生涯で1,200万円までです。1,200万円を利回り4%で持てたとすると年間48万円。月4万円が一生、非課税です。
残りの月1万円を課税口座で作るには約380万円。合わせて約1,580万円。これが私が計算した、お一人の場合の「月5万円」の現実的な設計図です。
調べていて驚いたことがあります。NISAの配当が非課税になるのは、配当の受け取り方を「株式数比例配分方式」、つまり証券口座で受け取る設定にしている場合だけでした。銀行振込や郵便局で受け取る設定のままだと、NISAなのに約20%引かれてしまいます。私は自分の口座の設定をすぐに確かめました。
もうひとつ大事なのは、1,200万円の枠を埋めるのに足かけ5年かかるということです。60歳の年から始めると、枠がいっぱいになるのは64歳から65歳。年金が始まる頃です。
ご夫婦なら枠は2人分。2,400万円で月8万円まで非課税という計算になります。冒頭の1,500万円も、ご夫婦で分ければ全額がNISAに収まります。
60歳・65歳・70歳、始める年齢で何が変わるか
必要な元本は何歳から始めても同じです。変わるのは、作る時間と使う時間でした。
60歳から。まだ働いている方が多い時期です。退職金とお給料からの積み立てで、足かけ5年で枠を埋められます。ちなみに55歳から月10万円ずつ積み立てて配当も再投資した場合、利回り4%・株価が変わらないという仮定で、10年後の65歳に約1,440万円。配当は税引前で月4.8万円です。ただ、積み立てた元本だけでNISAの1,200万円を使い切るので、再投資した分は課税口座に入って税金がかかります。手取りでは月4.6万円ほどになりました。
65歳から。年金が始まるので、お給料からの積み立ては難しくなります。すでにある貯金を足かけ5年で移していく形です。70歳ごろに完成します。
70歳から。完成は75歳ごろ。それでもそこから先の人生は15年、20年とあります。ただ、私ならこの年齢では全額を企業への投資に回すことはしないと思います。生活費の数年分は現金で残した上で、と考えます。
どの年齢でも共通して私が決めていることがあります。退職金を一度に入れないことです。NISAの年間の枠がそもそも一括を許してくれませんが、それはむしろありがたい仕組みだと私は思っています。悲観で株価が下がったときに、決算を見て、少しずつ。私はそうやって買っています。
1,500万円がない場合|配当と取り崩しを組み合わせる
冒頭でお約束した、1,000万円の場合です。
500万円を高配当の企業に。利回り4%で年間20万円、月に約1万7千円。残りの500万円は投資信託か預金に置いて、毎月3万3千円ずつ取り崩します。合わせて月5万円です。
取り崩す方の500万円は、まったく増えなかったとしても12年半もちます。65歳から始めれば77歳半まで。その時点でも、配当を生む500万円と月1万7千円の配当は手元に残っています。
正直に書くと、配当と取り崩しのどちらが得かという話もあります。NISAの中ならどちらも非課税で差はありません。課税口座で持って配当を確定申告する場合には、税金や社会保険料の面でインデックスの投資信託を取り崩す方が有利になりやすい。これは私も認めています。
それでも私が配当を軸にしているのは、「売らずに暮らせる」という安心感のためです。相場が暴落している日に、生活のために売る注文を出す自分を、私は想像できませんでした。どちらが正しいという話ではなく、自分がどちらなら夜眠れるか、という話だと思っています。
年金の受け取り方と組み合わせる|私が計画を考え直した話
年金は受け取りを1か月遅らせるごとに0.7%増えます。70歳まで5年待つと42%増し。月15万円の方なら月21万3千円。増える分は月6万3千円で、これは一生続きます。
月6万3千円を配当で作ろうとしたら、元本は約1,900万円必要です。つまり、65歳から70歳までの5年間を配当と貯金の取り崩しでつなぐことができれば、その先は国が「月5万円以上」を上乗せしてくれる、という見方もできます。配当金は一生の柱にもなるし、繰り下げのための「つなぎ」にもなる。私はこの2つの使い道を並べて考えるようになりました。
ただ、繰り下げには注意点もありました。加給年金が受け取れなくなる場合があること、年金が増えると税金と社会保険料も増えること、受け取る前に亡くなれば増額の意味がなくなることです。ご家族の状況で答えが変わるので、年金事務所で試算してもらうのが確実だと思います。
配当は減ることがある
ここまで数字を並べてきましたが、配当は約束されたものではありません。リーマンショックのときも、コロナのときも、配当を減らした会社、なくした会社がありました。
だから私は、累進配当を掲げている企業や増配を続けてきた企業を中心に投資しています。それでも累進配当は会社の方針であって絶対ではありません。ですから1社に全体の3%までと決めて、79社に分けています。景気に左右されやすい会社とそうでない会社を半々くらいに。ウォーレン・バフェットのような目は私にはありませんので、間違えても暮らしが壊れないように、分散で守っています。
まとめ
- 月5万円の配当には、約1,500万円から1,600万円
- NISAの枠を埋めるには、足かけ5年
- 1,000万円なら、配当と取り崩しの組み合わせ
- 年金の繰り下げの「つなぎ」という使い道もある
私自身、まだ途中です。48歳で始めたとき、遅すぎると思いました。でもあのとき始めていなかったら、今日この計算をすることもなかったと思います。
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