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為替と景気の歴史|160円から140円の円高はなぜ起きたか、2024年の記録と私の決めごと

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2024年の夏、1ドル160円台だった為替が、わずか数か月で140円台まで戻りました。私の口座も評価額が大きく揺れました。あとから振り返って私が学んだのは、為替が動く理由は後から説明できても、次にどちらへ動くかは私には読めない、ということです。この記事では、2024年に何が起きたのか、そして1998年や2022年にも似たことがあったのかを並べて、私が結局やらなかったことを書きます。

※本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄を推奨するものではありません。記載の数字は2026年1月時点のものです。

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2024年に起きたこと|160円台から140円台へ

2024年7月の初めごろ、円は1ドル161円台まで売られていました。歴史的な円安と言われた水準です。

そこから数か月で、円は140円台まで戻りました。年間の値動きの幅としては、ここ数十年で見ても大きいほうです。評価額だけを見ていた私は、正直なところ落ち着きませんでした。

円高が進んだ二つの理由

あとから整理すると、理由は大きく二つでした。

ひとつ目は、日米の金利差が縮むという見方です。2024年7月末、日本銀行が政策金利を0.25%に引き上げました。一方のアメリカでは景気が緩む兆しが出てきて、9月にFRBが0.5%の利下げを決めました。日本は上がる、アメリカは下がる。この向きの違いが、円を買う動きにつながりました。

ふたつ目は、円を借りて運用していたお金の巻き戻しです。金利の低い円を借りて、金利の高い通貨に換えて置いておく取引があります。円安が続いているあいだは都合がよかったのですが、円が上がり始めると、借りた円を返すために円を買い戻すことになります。これが同じ方向に重なって、動きを速めました。

なお、160円を超えた2024年の4月末から5月、そして7月には、政府と日本銀行による円買いの介入も行われています。

円高は日本経済にとって良いことだったのか

ここは、良い面と悪い面の両方がありました。

良い面は、輸入するものの値段が落ち着くことです。原油や小麦のように外から買っているものは、円が高くなれば仕入れが軽くなります。家計から見れば、ガソリン代や電気代、食料品のさらなる値上げに歯止めがかかる、という期待になります。

悪い面は、海外で稼いでいる会社の利益が目減りすることです。自動車のような輸出中心の会社にとって、円高は向かい風になります。同じニュースが、会社によって追い風にも向かい風にもなる。ここを一緒くたにしないことが大事だと、私はこのとき覚えました。

レートチェックとは何か|2022年9月の例

為替のニュースで「レートチェック」という言葉を見かけます。私も最初は意味がわかりませんでした。

これは、日本銀行が民間の銀行に「いまドルと円はいくらで取引できますか」と聞き取りをする作業です。実際に売り買いをするわけではありません。ただ、この聞き取りが報道されると、市場は「本当に介入する気があるのだな」と受け取ります。

2022年9月14日、1ドル144円あたりで、日本銀行がレートチェックを実施したという報道が流れました。これだけで、数時間のうちに1円以上も円が上がりました。そしてその約1週間後の9月22日、政府と日本銀行は24年ぶりの円買い介入に踏み切りました。

私はこれを、車の急ブレーキを踏む前に、一度アクセルから足を離すような動きだと理解しています。本番の前の予備動作です。

1998年の介入|為替を動かしても景気は戻らなかった

もう少し前の例も並べておきます。

1998年6月、1ドル140円を超える円安が進むなかで、アメリカと協調した円買いの介入が行われました。直後は円が戻りました。

けれども、景気そのものは回復しませんでした。前の年の1997年11月には山一證券が自主廃業に追い込まれていて、金融システムへの不安が残っていました。そのあとロシアの財政危機も重なり、秋には今度は円が急に上がる動きが起きます。

私がこの例から受け取ったのは、為替を動かすことと景気を戻すことは別だということです。介入は時間を稼ぐ手段で、体力を戻す薬ではない。1998年のあとに続いた長いデフレを思うと、そう思います。

2024年8月の急落から、相場はどう戻ったのか

2024年8月5日、日経平均は1日としては過去にない幅で下げました。私も画面を見ていられませんでした。

そこから戻っていった理由を、私は三つだと見ています。

  1. 日本銀行が火消しをしたこと。急落の直後、日本銀行の副総裁が、市場が不安定なときに利上げを進める考えはないという趣旨の説明をしました。「このまま金利が上がり続けるのではないか」という恐れが、ここで一度収まりました。
  2. アメリカの景気がそこまで悪くならなかったこと。円高のきっかけは米国景気への不安でしたが、その後に出てきた雇用などの数字が、恐れていたほど悪くありませんでした。
  3. 決算で会社の数字が確かめられたこと。円高は輸出の会社にマイナスですが、それを織り込んでも利益が出ている会社が多かった。売られすぎた株が買い戻されました。

並べてみると、戻るときの順番はいつも似ています。国が「これ以上悪くさせない」と言い、そのあと数字が「そこまで悪くない」と裏づける。この二段で落ち着いていきます。

私の口座で起きたこと

私が持っているのは、日本の高配当株と、積み立てで買っている投資信託です。この局面で、この二つは別の動き方をしました。

円建てで見る米国株の投資信託は、円高のぶん評価額が目減りしました。ただ、積み立ては止めていなかったので、安い時期に多めの口数を買っていた計算になります。

日本の高配当株は、会社によって動きが分かれました。金利が上がるという見方で銀行が買われ、円高を気にして輸出の会社が売られる。同じ日に、持ち株のなかで上がるものと下がるものが並びました。

受け取る配当の金額は、この間ほとんど変わりませんでした。株価が毎日動いても、配当は年に二回しか動きません。私が落ち着きを取り戻せたのは、この一点でした。

為替に振り回されないために、私が決めている三つ

私の投資は、ウォーレン・バフェットのやり方を真似しています。良い企業を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で見る、わからないものは買わない。この三つが土台です。そのうえで、為替については次のように決めています。

  1. 為替の予想で売り買いを決めない。160円が140円になった理由は後から説明できますが、次に上がるか下がるかは私にはわかりません。わからないものは判断の材料にしません。
  2. 生活のお金は相場に入れない。働いて入ってくるお金と受け取った配当で、数年分の生活費は別に置いています。これがあるから、下がった日に売らずに済みました。
  3. 値段ではなく、会社の数字を見続ける。気にしないのは株価の上下だけです。自己資本比率や営業キャッシュフロー、配当の推移は、決算が出るたびに自分で開いて確かめます。ここが崩れていたら、それは株価とは別の問題です。

為替が160円でも140円でも、私のやり方を変える必要はありませんでした。ただ、これは私が自分で決めたやり方の話です。誰にとっても良い方法だと申し上げるつもりはありません。

なお、書き直す前のこの記事には、2024年当時の「円高は買い増しのチャンス」という書き方や、どの資産が有利かを断定する表が入っていました。あとから結果を知っている立場で書いた文に見えたので、今回は外しました。

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