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1ドル160円のときにオルカンやS&P500を買った方。今、少し胸がざわざわしていませんか。「円高になったら私のお金は減るんじゃないか」「160円で買ったのは失敗だったんじゃないか」「いっそ積立をやめたほうがいいんじゃないか」。
実は私も同じことを思ったことがあります。だからその不安を「気持ち」ではなく「数字」で確かめてみました。
先に結論です。生活費を確保したうえで、長く使わないお金で積立をしているなら、円高だけを理由に積立をやめる必要はない。少なくとも、私が調べた125年分のデータと自分で置いた試算では、そういう答えになりました。
※私は投資助言業の登録をしていません。本記事は私が自分で調べて自分で決めた話であり、特定の商品を推奨するものではありません。年9%などの数字は仮定で、為替も株価も下がることがあります。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。
結論を先に3つ
- 私たちが投資しているのは「その日のドル円」ではなく「これからも利益を生み出そうとする世界中の会社」。円高で下がるのは円に直したときの評価額で、会社の業績が悪くなったのとは別の話
- 積立を続けている人にとって、円高はむしろ安く買える時期。株価が同じなら、160円が120円になれば同じ1万円で約33%多くのドルが買える
- 160円で一括で買った人も、160円で買ったことだけを後悔する必要はない。ドル建てで年9%増えるという仮定なら、120円まで円高が進んでも20年後には円で見て約4.2倍。ただし「年9%が続けば」という条件つきで、年3%・5%・7%の場合もあとで示します
円高で「何が下がって」「何が変わっていないのか」
100ドル分の資産を持っているとします。1ドル160円なら1万6,000円。140円なら1万4,000円。120円なら1万2,000円。たしかに円で見た数字は下がっています。
正直に書いておくと、これは「見た目だけ」ではありません。今すぐ売って円に戻せば、受け取る金額は本当に減ります。円高は、円で暮らす私たちにとって、ちゃんと損です。
でも、ここで私が自分に問いかけたのは「下がったのは、何?」ということでした。下がったのは、ドルの資産を円に換算したときの評価額です。一方でそれとは別に動いているものがあります。その会社の売上、利益、技術、工場、ブランド。アメリカの会社がドルで稼いでいる力は、ドル円が動いたからといって同じだけ消えたわけではありません。
もちろん、海外で商売をしている会社なら為替は売上や利益に多少は影響します。ただそれは「円高で為替換算が下がった」のとは別の出来事です。私はこの2つを分けて見るようにしています。
株価は噂や人気で大きく揺れます。為替も金利や政治で大きく揺れます。でも会社の実力はそこまで急には変わりません。本業で稼ぐ力のある会社なら、為替が動いても稼ぎ続けられる。私はそう受け止めています。
口座の数字は「株価 × 為替」でできている
S&P500のファンドの基準価額は、ざっくり言うと「株価 × ドル円」で動きます。運用会社の目論見書にも、為替ヘッジをしないので為替変動の影響を受ける、と書いてあります。オルカンなら「株価 × 複数の通貨」で、ドルだけでなくユーロなどの影響も受けます。
つまり口座の数字が下がったとき、「会社の株価が下がったのか」「円高で為替の分が下がったのか」は別々の出来事です。円高だけで下がっているなら、会社の業績は何も変わっていない。これが、私が慌てなくなったいちばんの理由です。
積立をしている人へ|円高は「安く買える時期」
1万円で買えるドルを見てみます。
| 為替 | 1万円で買えるドル |
|---|---|
| 160円 | 62.5ドル |
| 140円 | 約71.4ドル |
| 120円 | 約83.3ドル |
160円が120円になると、同じ1万円で約33%多くのドルが買えます。ただし正確に言うと、実際に買っているのはドルではなく投資信託なので、基準価額は株価と為替の両方で動きます。「株価が同じなら」33%多く買える、という意味です。
円高は、すでに持っている資産にとっては逆風です。でも、これから買う資産にとっては追い風です。積立をしている人は、この「これから買う」側にいます。円高の日も円安の日も全部取り込んで平均の購入価格をならしていく。それが積立という仕組みのそもそもの狙いだと私は理解しています。
株価が下がったときも同じです。1口100円のときは1万円で100口、1口80円なら125口。持っている分の評価額が下がるのは正直つらいです。でも積立を続けていれば口数は増えています。もちろん円高がもっと進むことも、株価がさらに下がることもあります。「円高なら必ず有利」とは言えません。それでも私は、円高や値下がりのときに積立をやめるのは「安く買える時期だけを自分から手放すこと」だと考えています。
一括で160円で買った人へ|20年後の計算
これは私自身がいちばん気になって計算したところです。1,000万円を160円で投資して、直後に為替だけが動いたとします。140円なら875万円(−12.5%)、120円なら750万円(−25%)、100円なら625万円(−37.5%)。ここだけ見ると不安になります。私も最初、この表だけ見て固まりました。
でもこの表には大事なものが一つ抜けています。時間です。会社が育つ時間がまったく入っていません。そこで、こういう計算式を置きました。
1,000万円 × 1.09の年数乗 × 将来の為替 ÷ 160円
年9%というのは、S&P500のドル建て・配当再投資込みのリターンについて、過去の長期平均を参考に置いた私自身の仮定です。これから年9%で増えると予測しているわけではありません。
| 20年後の為替 | 20年後の評価額(年9%の場合) |
|---|---|
| 160円のまま | 約5,604万円 |
| 140円 | 約4,904万円 |
| 120円 | 約4,203万円 |
120円というのは160円から25%の円高です。それでも元本1,000万円が20年で約4.2倍という試算になりました。分解するとシンプルで、為替は160円→120円で0.75倍、ドル建ての資産は年9%で20年なら約5.60倍。掛け合わせると約4.20倍です。為替のマイナス25%より、20年の成長プラス460%のほうが桁が違うくらい大きい。これが、私が「160円で買ったことだけを後悔しなくていい」と考えた理由です。
「いつ取り戻せるの」も計算しました。年9%の成長が続いた場合の目安で、160円→140円の円高なら約1年7か月、160円→120円なら約3年4か月、160円→100円という大きな円高でも約5年5か月。もちろん滑らかに毎年9%ずつ増える世界の話で、現実はそうなりません。
年9%じゃなかったら? 3%・5%・7%でも計算しました
年9%だけを見せて終わるのは誠実ではないと思うので、もっと控えめな数字でも計算しました。同じく1,000万円を160円で投資して、120円まで円高が進んだ場合の20年後です。
| ドル建て成長率(年) | 20年後の評価額(120円の場合) |
|---|---|
| 3% | 約1,354万円 |
| 5% | 約1,990万円 |
| 7% | 約2,902万円 |
| 9% | 約4,203万円 |
年3%というかなり控えめな前提でも、25%の円高を越えて円で見てプラスという計算になりました。もちろん途中で暴落があれば結果は変わりますし、成長がゼロなら円高の分がそのまま残ります。私はこの4つの数字を並べて「自分はどの前提までなら耐えられるか」を考えるようにしています。
正直に添えておきたい3つの注意
- 年9%は仮定です。会社の成長が止まれば、円高の分がそのまま残ります。上の表は予測ではありません
- 買った直後の暴落は表に入っていません。バンガードの研究では、まとまったお金は一括で入れたほうが良かったケースが3回に2回くらいありましたが、結果が悪い側では分けて買ったほうが良かった。だから私は「一括が正しい」とは言いません。買った直後の大きな下落に耐えられないなら、分けて買うのも十分に理にかなった選び方だと思います
- 直近3年の成績はかなり良すぎました。2026年5月末までの3年間で、オルカンもS&P500も年率27〜28%くらいで増えています。これは過去の実績で、これからの期待値ではありません。老後のお金を考えるときは、年5%前後の控えめな数字でも計算して、それでも成り立つかを確かめています
それでも続ける根拠|125年、危機を越えて育った
世界株式は、1900年から2024年までの125年間で、物価上昇を差し引いた後でも年平均約5.2%で育ってきました。配当再投資込み、出典はUBSの「Global Investment Returns Yearbook 2025」です。
ただし「毎年5.2%ずつ増えた」という意味ではありません。この125年には、第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦、石油危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショック、急激なインフレと金利上昇が入っています。暴落して回復して、また暴落して。それでも会社が利益を増やして育った結果を平均すると5.2%だった、ということです。
「昔の話でしょ」と思う方のために、21世紀だけも見ました。2000年から2024年、世界株式は物価差引後で年平均3.5%。「もう株は終わりだ」と言われた時期を全部含んだ結果です。
もう一つ正直に言うと、このUBSの「世界株式」はオルカンそのものではありません。オルカンは2018年にできた投資信託で、信託報酬も税金も為替もかかります。あくまで、オルカンが連動を目指す世界の株式市場の過去の実績です。私が積立を続けている根拠はこの125年の歴史であって、今日のドル円ではありません。
底は当てられない|やめると逃す3つの時期
「円高が落ち着いてから再開しよう」。私もそう考えたことがあります。でも株価の底も円相場の底も、後になってからしかわかりません。プロにもわかりません。
不安で積立を止めると、まとめて逃してしまう可能性がある時期が3つあります。円高で安く買える時期、暴落で口数を増やせる時期、株価が急反発する初期。しかもこの3つは同時に来ることが多いんです。いちばん怖いときが、いちばん安く買えるとき。だから私は「怖いから止める」ではなく「怖いときこそ淡々と続ける」と決めています。
金融庁の試算もこれを裏づけています。オルカンやS&P500ではなく国内外の株式と債券に毎月同じ金額を積み立てた例ですが、1989年以降の各年に積立を始めた場合、100万円が5年後は74万〜176万円と幅が大きいのに対し、20年後は186万〜331万円と幅が小さくなり、この期間のデータでは元本割れの例がなくなりました。もちろん過去のデータの話で、これからも20年持てば必ず元本割れしないという保証ではありません。ただ、時間が結果のブレを小さくしてくれる。だから私は「いつ買ったか」より「どれだけ長く持てるか」を大事にしています。
じゃあ、やめていいのはどんなとき?
やめていいとき、減らしていいときもあると思っています。家計が変わったとき。使う予定が変わったとき。来年使うお金まで投資に回してしまっていたとき。借りたお金で投資しているとき。株の比率が高すぎて夜眠れないほど不安なとき。こういうときは減額や休止、場合によっては売却も理にかなっています。私が言いたいのは「円高や値下がりだけを理由には変えない」ということです。
私自身がやっているのは順番を決めることです。来年使うお金と生活費は預金で確保する。そのうえで、10年以上使わないお金だけで積立をする。10年持てば損をしないという保証ではありませんが、慌てて売らずに済む備えにはなります。
私の姿勢|ウォーレン・バフェットの真似
私の投資は、ウォーレン・バフェットのやり方を真似しているだけです。良い会社を長く持つ。決算や目論見書は自分で見る。わからないものは買わない。
そして彼の相棒だったチャーリー・マンガーの言葉。「ホームランを何本打つかより、ゲームから退場しないことのほうが重要」。100万円が50%減ると50万円。元に戻すには100%の利益が必要です。だから致命的な負け方だけはしない。生き残っていれば、複利と時間が味方になってくれる。円高で積立をやめるのは、私にとってはこの「時間」という味方を自分から手放すことです。
まとめ
円高で円換算の評価額は下がります。でもそれは為替換算の話で、会社の業績が同じだけ悪くなったわけではありません。世界株式は、世界恐慌も戦争も石油危機もリーマンもコロナも越えて125年間育ってきました。積立を続けている人にとって円高は、株価が同じならオルカンやS&P500を安く買える時期です。160円で一括で買った人も、ドル建てで年9%なら120円の円高でも20年で約4.2倍、年3%でも約1,354万円という試算でした。
私たちが投資しているのは、その日のドル円ではなく、これからも利益を生み出そうとする世界中の会社です。「私も160円で買いました」という方は、一人じゃないと思っていただけたらうれしいです。
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