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蔵王産業(9986)は、業務用の清掃機器と洗浄機器を扱う小さな会社です。2026年3月期は売上高87億5,700万円、営業利益10億1,600万円。自己資本比率85.9%で、総資産の4割以上が現金という変わった形をしています。私がこの会社の決算をどう読み、何を気にしているかを書きました。
これは私の保有状況の紹介であり、推奨ではありません。筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事は2026年10月時点のものです。数字は会社が公表した決算短信と有価証券報告書から引いています。最新の情報は必ずご自身で会社の開示資料をご確認ください。
どんな会社なのか
有価証券報告書の言葉を借りると、欧米や中国のメーカーに自社の仕様でつくらせた業務用・産業用の清掃機器や洗浄機器を輸入して、国内で売っている会社です。会社では「環境クリーニング機器」と呼んでいます。
扱っているのは、動力清掃機、業務用の真空掃除機、ロボット清掃機、自動床洗浄機、カーペット洗浄機、高圧洗浄機など。売り方は、お客さまの現場に機械を持ち込んで実際に動かして見せる実演販売が中心だと書かれています。売り先は製造業、ビルメンテナンス業者、販売代理店です。
2026年3月31日時点の従業員は238人で、そのうち189人が営業部門です。社員の8割が営業という形で、実演で売るという話とつながります。創業は1955年、会社の設立は1956年。上場は東証スタンダード市場です。
2026年3月期の売上の内訳は、洗浄機器が38億3,900万円(約44%)、清掃機器が17億7,900万円(約20%)、部品やメンテナンスサービス、消耗品などのその他が31億3,800万円(約36%)でした。
2026年3月期の決算を自分で読んでみた
2026年4月に出た決算短信(単体・日本基準)の数字です。
- 売上高 87億5,700万円(前期比3.6%増)
- 営業利益 10億1,600万円(同11.5%増)
- 経常利益 10億4,200万円(同12.2%増)
- 当期純利益 7億1,800万円(同16.6%増)
- 1株当たり当期純利益 132.24円
- 自己資本比率 85.9%(前期87.3%)
- 総資産 152億3,400万円、純資産 130億9,300万円
- 1株当たり純資産 2,407.74円
- 自己資本当期純利益率(ROE)5.5%(前期4.8%)
- 現金及び現金同等物の期末残高 68億8,400万円
- 営業活動によるキャッシュ・フロー 11億2,700万円(前期5億1,300万円)
前期(2025年3月期)は売上が10.3%減、営業利益が24.7%減と落ちていた年でした。そこから戻してきた決算です。本業で入ってくる現金が5億1,300万円から11億2,700万円に増えているのも、素直に良い方向だと受け取りました。
目を引くのは財務です。総資産152億円のうち現金が68億円。借入にほとんど頼らず、自己資本比率85.9%。つぶれにくいという点では、これ以上望みにくい形です。
一方でROEは5.5%にとどまります。現金を厚く持っているぶん、同じ利益でも効率の数字は低く出ます。安全と効率の両方を一度に満たすのは難しい、という典型だと思いながら見ています。
配当105円は「増配」ではなく記念配当が乗った年
2026年3月期の年間配当は1株105円でした。中間50円に、期末55円を足した形です。
ここが読み落としやすいところで、期末の55円には創業70周年の記念配当5円が含まれています。つまり、普通の配当は前期と同じ100円で、記念の5円が上に乗った年でした。
だから2027年3月期の予想が年100円になっているのは、減配というより記念配当がなくなって元に戻る形です。会社は有価証券報告書で、創業75周年まで1株100円の安定配当を行う方針だと書いています。5年先まで100円という目安が示されているのは、配当を目当てに持つ側としては助かります。
配当性向は2026年3月期が79.4%、前期は88.1%でした。2027年3月期は、予想のEPS138.33円に対して配当100円なので、72%ほどになる計算です。利益のかなりの部分を配当に回している会社だと分かります。
利回りと、株価の水準
2026年10月中旬の株価は2,500円前後でした。この水準だと、年100円の配当予想に対して利回りは約4%です。
ほかの指標も合わせると、PERは予想のEPS138.33円に対して18倍ほど、PBRは1株当たり純資産2,407.74円に対して1.0倍あたりになります。純資産とほぼ同じ値段がついている、という形です。
株価は毎日動くので、この数字はあくまで私が見た日のものです。買うときは、必ずその日の株価で計算し直しています。
円安がこの会社には向かい風になる
高配当の日本株は、円安で業績が伸びる会社が多いので、この会社は少し毛色が違います。
有価証券報告書によると、取扱商品の約71.8%が欧米や中国のメーカーからの輸入品で、仕入代金はすべて外貨建てです。通貨別の内訳は米ドルが62.1%、ユーロが27.8%。つまり、円安が進むと仕入れの値段が上がります。
主な仕入先として、中国のイーリー社が海外仕入の17.8%、米国のミニッツマン社が15.5%、イタリアのIPクリーニング社グループが9.4%と書かれています。特定の相手に頼る部分があるということでもあります。
私はこれを欠点とは思っていません。持っているほかの会社が円安で伸びるなら、円高のときに助かる会社を少し混ぜておきたい。そういう役割として見ています。
私が気にしているリスク
ひとつ目は、利益のほとんどを配当に回していること。配当性向が7割から8割という水準なので、利益が落ちた年には配当を維持する余裕が小さくなります。会社は100円の方針を示していますが、方針は約束ではありません。
ふたつ目は、会社の規模です。売上87億円の会社なので、大きな受注がひとつ入るかどうかで数字が動きます。前期の売上が10.3%減っていたのも、そういう振れだと思っています。
三つ目は、現金が多いまま使われないこと。安全ではありますが、持っているだけでは増えません。ROE5.5%という数字は、そこから来ています。
四つ目は、売買が少ないことです。スタンダード市場の小型の会社なので、売りたいときに思った値段で売れるとは限りません。私はこういう会社には、まとまった金額を入れないようにしています。
私の持ち方
私はウォーレン・バフェットのやり方を真似しています。良い企業を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で読む、わからないものは買わない。この会社については、機械を現場で動かして見せて売る、という商売の形が自分にも理解できました。派手ではありませんが、ビルや工場の床は毎日汚れます。
そのうえで、売買の少ない小さな会社なので、入れている金額は小さくしています。1株ずつ買える口座で、下がった日に少し足す、という持ち方です。配当は年2回、中間と期末に入ってきます。
繰り返しになりますが、これは私の保有状況の紹介であり、推奨ではありません。同じ決算を見ても、持っているほかの資産や年齢によって結論は変わります。買うかどうかは、会社の開示資料をご自身で読んでから決めていただくのがいいと思っています。
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売買の少ない小さな会社は、100株まとめて買うと金額も値段も読みにくくなります。1株から買える口座だと、決算を見ながら少しずつ足していけます。
私が実際に使っているのは次の2つです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
・SBI証券|単元未満株「S株」に対応。日本株も投資信託も1つの口座でまとめられます。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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