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金が下がった日の日本株は、「なぜ金が下がったのか」で向きが変わります。安全資産である金から資金が出ていく動きなら、円安と米国の金利上昇が重なって、銀行や保険のような会社に追い風が吹きやすくなります。反対に、米国の金利が上がりすぎて景気を冷やすという警戒から金が売られたのなら、高い成長期待で買われてきた会社から順に売られやすくなります。同じ「金が下がった」というニュースでも、意味は正反対になるということです。私は、どちらに転んでも持ち続けられる会社だけを買う、と決めました。
※本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄を推奨するものではありません。記載の数字や相場の状況は2026年2月時点のものです。
国内の金価格は「国際価格 × ドル円」で決まる
私が最初に覚えたのは、日本で売られている金の値段の組み立て方でした。
国際金価格(ドル建て)× ドル円の為替レート = 国内の金価格(円建て)
掛け算なので、動く理由は二つあります。一つは国際価格そのもの。もう一つはドル円です。米国の市場で金が売られた日でも、同じ日に円安が大きく進めば、円で見た値段はあまり下がらないことがあります。
円安の進み方が小幅だと、国内の金価格も素直に下がる
逆に、円安の進み方が小幅だったときは、国際価格の下落分を為替で打ち消しきれません。そうなると、国内の金価格もそのまま下を向きます。
「米国で金が下がったのに、日本の金はあまり下がらない」という日があるのは、金の値段が間違っているからではなく、為替がその分を吸い取っているからです。ここを分けて見るようにしてから、私は金のニュースに振り回されにくくなりました。
金が売られる理由が「リスクオン」のときに起きやすいこと
リスクオンというのは、投資家がこわがるのをやめて、値動きの大きいものにお金を移す状態のことです。金のような安全資産が売られて、その資金が株に向かう、という説明をよく見ます。
このとき、米国の金利が上がっていることが背景にあると、ドルが買われて円安になりやすい面があります。円安は、海外で稼ぐ会社の円に直したときの利益を押し上げます。金利の上昇そのものは、お金を貸して利ざやを取る銀行や、長期の債券を持つ保険の会社にとって、追い風として説明されることが多いです。
ただ、これは「そうなりやすい」という傾向の話で、毎回この順番で動くわけではありません。私は、こうなると決めつけて先回りすることはしていません。
同じ金下落でも「金利の上げすぎ」への警戒だったとき
金が下がる理由は、強気だからとは限りません。米国の金利が上がりすぎて、経済を締め上げてしまうのではないか、という警戒から金が売られることもあります。
このときは、株のほうも楽ではありません。とくに、将来の成長を見込んで高い値段がついている会社は、金利が上がるとその前提が削られます。結果として、ハイテクや成長期待の大きい会社から売られやすくなります。
つまり、「金が下がった」という同じ見出しの下で、追い風の日と逆風の日が混ざっています。見出しだけでは判断できない、というのが私の結論です。
「安く買いたい」のか「持ち株が上がってほしい」のかで、意味が反対になる
ここが私にはいちばん大事なところでした。同じニュースの受け取り方が、自分の立場で変わります。
- すでに持っている会社の評価額が上がってほしい立場なら、リスクオン型の金下落は、どちらかといえば歓迎したい内容になります。
- これから買い増したい立場なら、全体が強含むぶん、安く買える場面は減ります。
私は買い増したい側にいることが多いので、全体が強い日は、むしろ何もしない日になります。相場全体に逆らって安くなっている会社を探すという手はありますが、安い理由がその会社の問題なら、安さは理由になりません。
私が週明けの朝に見ている二つの数字
私が朝に確かめているのは、難しいものではありません。
- ドル円のレート。金の円建て価格にも、海外で稼ぐ会社の利益にも、同じ方向で効いてきます。
- 銀行や輸出で稼ぐ会社の気配値。金利と為替の見方が、いちばん素直に出やすいところだと感じています。
この二つを見て、前の晩の米国市場の話が日本にどう伝わっているのかを確かめます。確かめるだけで、売買の注文はほとんど出しません。
金が下がった日に、私がしなかったこと
私は金の現物も金の投資信託も、相場の方向を当てるために使ってはいません。金は配当を出しませんし、値段が上がるか下がるかしか結果がないので、私には判断の材料が足りないのです。ウォーレン・バフェットのやり方を真似すると決めてから、私が見るのは、その会社が稼いでいるか、借金に無理がないか、配当を続けられそうか、という話に絞られました。
だからこの日も、金の下落を理由に持ち株を売ることはしませんでしたし、金が安くなったからと買い足すこともしませんでした。わからないものは買わない、というところに戻っただけです。
金のニュースを、自分の持ち株の言葉に置き換える
金の値段が動いた日は、為替と金利が一緒に動いている日です。だから私は、金そのものではなく「この会社は円安で得をするのか、損をするのか」「金利が上がったとき、この会社の借入は重くならないか」と置き換えて考えるようにしています。
この置き換えをすると、相場のニュースが、自分が持っている会社の決算の話に変わります。私にとっては、そのほうがずっと長く続けられるやり方でした。
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