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結論を先に書きます。証券会社の画面に出ている配当利回りは、今日の株価に対する数字です。買って長く持つつもりなら、見るべきなのは「自分が買った値段に対して、今いくら配当をもらっているか」のほうだと私は考えています。これを取得利回り、あるいはYOCと呼びます。配当を増やし続ける会社を持っていると、自分が何もしなくても、この数字だけが上がっていきます。
この記事では、その仕組みを計算で確かめます。例として伊藤忠商事(8001)の配当の増え方を使いますが、これは私が調べた会社の紹介で、特定の会社を推奨するものではありません。
※私は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。本記事は私自身の考えの記録であり、特定の会社の株式の売買をおすすめするものではありません。記事中の数字は2026年10月時点で確認したもので、配当や株価の最新の数字は必ず会社の決算短信・有価証券報告書と証券会社の画面でご確認ください。
なお、元の記事には1株配当の年次一覧と、2033年までに配当の累計が元本を超えるという将来の試算表が入っていました。将来の配当は約束されたものではなく、個別の会社の見通しを示す形になるため、どちらも外しました。
「今日の利回り」と「自分だけの利回り」は別のもの
配当利回りは「1株の年間配当 ÷ 株価」で計算します。問題は、どの株価を使うかです。
- 証券会社やニュースが出している利回りは、分母が「今日の株価」です。これは、今から買う人にとっての数字です
- 取得利回り(YOC)は、分母が「自分が買った値段」です。これは、すでに持っている私にとっての数字です
買った値段は、あとから動きません。だから、会社が配当を増やしてくれるたびに、私の取得利回りだけが上がっていきます。私が株価の画面を見る回数を減らせたのは、この数字を記録するようになってからでした。
計算してみると、増え方がはっきりする
仮に、1株587円で買ったとします。買った年の配当が1株17.6円だったとすれば、取得利回りは3.0%です。
そのあと、配当が次のように増えていったとします。
- 22円に増えたとき、取得利回りは3.7%
- 28円に増えたとき、取得利回りは4.8%
- 32円に増えたとき、取得利回りは5.5%
- 40円に増えたとき、取得利回りは6.8%
- 42円に増えたとき、取得利回りは7.2%
株を買い増していません。何かを売り買いしてもいません。配当が増えた分だけ、自分の利回りが上がっています。
これを1,700株で持っていたとすれば、受け取る配当は年2万9,920円から年7万1,400円になります。同じ元本から入ってくる金額が、2倍以上になったということです。
伊藤忠商事の配当は、どう増えてきたか
上の計算に使った配当の増え方は、伊藤忠商事の配当の推移をもとにしています。私が調べた範囲では、この会社は2010年代以降、ほぼ毎年、1株あたりの配当を増やしてきました。
ただ、途中で株式分割が入っているため、1株あたりの金額を単純に並べると話がややこしくなります。分割の調整のしかたで数字が変わりますし、私は元の記事に載っていた年次の一覧をそのまま裏づけることができませんでした。正確な金額は、会社が出している決算短信と有価証券報告書の「1株当たり配当金」の欄で確かめてください。私も毎回そこを開いています。
私が大事だと思っているのは、何円だったかよりも「増やし続けてきたか」と「その配当をどこから出しているか」です。
アパートの家賃で考えると分かりやすかった
この仕組みを人に説明するとき、私はアパートの話をします。
100万円でアパートを建てて、最初の年の家賃収入が3万円だったとします。利回りは3%です。そのあと家賃を少しずつ上げられて、家賃収入が年7万円になったとします。
建てたときにかかった100万円は変わりません。だから、私にとっての利回りは7%になります。土地や建物の値段が上がったか下がったかは、家賃を受け取るかぎりでは関係がありません。
会社に投資するのも、私の感覚では同じです。私が見ているのは、その会社が稼ぐ力と、そこから配当を出し続けられるかどうかです。
では、今から買う人の利回りが低いのは不利なのか
ここがいちばん多い質問です。今の株価で計算した利回りが2%を切っていると、どうしても出遅れた気がします。
計算の上では、増配が続くかぎり、今から買う人の取得利回りも同じように上がっていきます。今の利回りが1.9%でも、10年かけて配当が2倍になれば、その人の取得利回りは3.8%になります。
ただ、これは「増配が続いたら」という仮定を置いた算数です。増配が止まる会社も、減配する会社もあります。私は、この仮定を人任せにしないために、次の3つを自分で開いて見ることにしています。
- 過去に何年、増配を続けてきたか(減配した年があるなら、その年に何があったか)
- 配当を利益のうち何割から出しているか(配当性向)。利益を超えて出していないか
- その利益が、本業の稼ぎから出ているか、資産を売った一時的な利益から出ているか
3つめは見落としやすいところでした。資産の売却益で膨らんだ利益から出した配当を「これが続く」と読んでしまうと、取得利回りの計算が崩れます。
株価が高いと感じたときに、私がしていること
計算の上では今から買っても取得利回りは育つ、と書きましたが、私は株価が高いと感じたときに一度に買うのをやめました。
やっているのは、1株(単元未満株)ずつ、月に決めた金額だけ買うことです。高いと感じている自分の感覚も当たるとは限らないので、買う時期を分けて、判断の比重を下げています。
良い会社を割安なときに買って長く持つ、というのがウォーレン・バフェットのやり方だと私は理解しています。ただ、割安かどうかを自分が正しく当てられるとは思っていないので、そこを時間で薄めている、という形です。
私がこの記事で言いたかったこと
株価は毎日動きますが、私が受け取る配当は、会社が決めた金額です。だから私は、株価の上下ではなく、配当が増えているかどうかを記録するようにしました。取得利回りという数字は、その記録のいちばん分かりやすい形だと思っています。
あらためて書いておきます。この記事は、私が調べた会社を例にした仕組みの説明であり、特定の会社を推奨するものではありません。買うかどうかは、ご自身で決算短信と有価証券報告書を開いて判断してください。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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