※本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。
武田薬品工業が2019年にアイルランドのシャイアーを買ったとき、私のまわりでは「借金が多すぎる」という声ばかりでした。あれから7年、私が数字を開いて確かめた結論は「財務の峠は越えたが、投資として回収しきったとまでは言えない」というところです。自己資本比率は5割近くまで戻り、借入もピークから減りました。ただ、配当を支えているのは会計上の利益ではなく手元の現金で、ここは今も注意して見ています。
※本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄を推奨するものではありません。以下は私の保有状況の紹介であり、購入をおすすめするものではありません。記載の数字は2026年1月時点のものです。
私が武田薬品を持っている理由
私は特定口座とNISA口座の両方で、武田薬品を持っています。買ったのは株価が落ち込んでいた時期で、そのあと少しずつ買い増してきました。
買った理由は単純です。財務を立て直す意志があり、配当を下げない姿勢を続けている会社だと私が判断したからです。株価が下がった局面を「買い場」と言い切ることはしません。下がったまま戻らない会社もあります。私はあくまで、自分が見た数字で判断しました。
私の投資は、ウォーレン・バフェットのやり方を真似しています。良い企業を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で見る、わからないものは買わない。この三つです。
シャイアー買収とは何だったのか
2019年1月、武田薬品はシャイアーの買収を完了しました。金額は発表当時の為替で6兆円台後半とされています。日本の会社がした買い物としては、過去に例のない規模でした。
買収のために借りたお金で、有利子負債は5兆円を超えました。市場が悲鳴をあげたのは、このためです。株価は2018年に6,000円台から3,000円台まで落ちました。
私がこの買収を「ただの背伸び」ではないと考えたのは、シャイアーが持っていた事業の中身を知ってからでした。
シャイアーの中身|希少疾患と血液製剤
シャイアーが強かったのは、希少疾患、つまり患者さんの数が少ない難病の治療薬です。この領域の薬は単価が高く、一度使い始めると長く続けることが多いと言われています。売上が急に消えにくい商売です。
もうひとつが血液製剤です。これは人の血液から作る薬で、原料を集めるネットワークと専用の製造設備が必要になります。資金があるからといって、新しい会社がすぐに始められる商売ではありません。
私はここに、堀のある商売の形を見ました。新薬の開発は当たるかどうかわかりませんが、血液製剤の需要は読みやすい。読みにくいものと読みやすいものを両方持つ形になった、と理解しています。
2026年1月時点の財務を、自分で開いてみる
ここからは数字です。会社の決算資料と四季報の予想をもとに、私が見ている項目を並べます。四捨五入しているところがあるので、正確な数字はご自身で最新の決算短信をご確認ください。
- 株価:5,000円台(2026年1月下旬の水準)
- 売上:4兆5,000億円規模、営業利益:4,000億円規模。営業利益率はおよそ9%
- 自己資本比率:5割近く
- 有利子負債:4兆円台半ば。ピーク時は5兆円台でした
- 1株配当:200円、配当利回りはおよそ4%
営業利益率9%は、海外の製薬大手と比べると低く見えます。これには理由があります。買収で手に入れた薬の権利を、特許が切れるまでの期間に合わせて毎年費用として落としているからです。この費用は帳簿の上の計算で、その年に現金が出ていくわけではありません。
だから武田薬品を見るときは、純利益だけでなく、現金がどれだけ残ったかを見る必要があると私は考えています。会社が示している「Core(実質)」の数字や、営業キャッシュフローを並べて見るようにしています。
EPSより配当が多い、という点をどう見るか
ここは正直に書いておきたいところです。四季報予想の1株利益は96.9円で、1株配当は200円です。帳簿上の利益より配当のほうが多い形になります。
先に書いた償却費のぶん、手元の現金は帳簿の利益より多く残ります。だから配当は払えている、という説明になります。私もその説明は理解しています。
ただ、「利益より配当が多い」という形がずっと続くわけではありません。償却が終わっていけば利益の見かけは良くなりますが、その前に新しい薬が育たなければ、現金のほうが細ります。私はここを、毎回の決算でいちばん気にして見ています。安心できる数字だと言い切るつもりはありません。
借金返済の進み方と、株価が動かなかった年
株価の歩みを並べると、会社が何を優先してきたかが見えてきます。
- 2018年:買収の発表で6,000円台から3,000円台へ急落
- 2019年から2023年ごろ:3,000円台から4,000円台で行き来。借入の返済を優先していた期間です
- 2025年から2026年:5,000円台まで回復
5年近く株価がほとんど動かない期間がありました。配当を受け取りながら待てるかどうかで、持ち続けられるかが分かれたと思います。私はこの期間、配当があったので持ち続けられました。
次の柱になりうる薬と、まだ決まっていないこと
買収で手に入れた販路に、これから乗せていく薬があります。ここは「まだ売れていない」という点を混ぜずに書いておきます。
- TAK-279(ザソシチニブ):乾癬(かんせん)やクローン病などに向けた飲み薬です。第3相試験の結果は良好と公表されていますが、2026年1月時点ではまだ販売が始まっていません。承認申請を経て、発売を目指している段階です。
- Qdenga(キュデンガ):デング熱のワクチンで、すでに各国で承認されて販売が広がっています。会社はピーク時の売上に大きな可能性があると説明していますが、現在の売上と将来の見込みは別の数字です。
- オレキシン作動薬(TAK-861):ナルコレプシーなど睡眠にかかわる領域の薬で、承認申請に向かう段階にあります。
以前この記事には、これらの薬について「年間◯千億円」という具体的な売上の数字を並べていました。ただ、どれが会社の公表値で、どれが誰かの試算なのかを私が区別できなかったので、今回の書き直しで数字を外しました。会社が自分で出している見込み以外は、断定しないでおきます。
そしてもうひとつ、現在の主力薬であるEntyvio(エンタイビオ)が将来に独占期間を終えることが、この会社のいちばん大きな宿題です。次の柱が間に合うかどうか。ここは私にもわかりません。
買収は失敗だったのか|私の答え
私の受け止めはこうです。
財務については、恐れられていた破綻は起きませんでした。借入はピークから1兆円規模で減り、自己資本比率も5割近くまで戻っています。ここは越えた、と言っていいと思います。
投資としての回収は、これからです。主力薬の独占期間が終わる前に次の柱を用意できたのは、シャイアーの規模があったから研究開発にお金を回せた面が大きい、と私は見ています。ただ、その次の柱がどれだけ売れるかは、まだ結果が出ていません。
なので「成功だった」と言い切ることも、「失敗だった」と切り捨てることも、私はしません。わかっているのは、ここまでの7年で財務の形が変わったという事実だけです。
米国の薬価を引き下げる政策の圧力も、製薬会社には共通の重たい話です。ここは数字で読めるようになってから、あらためて書きたいと思っています。
最後にもう一度書いておきます。ここに書いたのは私の保有状況の紹介であり、買うことをおすすめするものではありません。判断はご自身でお願いします。
あわせて読みたい関連記事
- 有報222ページに「半導体」はゼロ|それでも私が上組とアイチコーポレーションを買った理由
- 日経平均が最高値でも高値掴みしないために|私が見ている10の財務基準
- 配当はインフレに勝てるか?|JTと三井住友FGの10年の配当推移を私の口座で確かめました
6兆円台の買収を、1株の持ち分から追いかけるために【PR】
※このセクションには広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。当ブログ経由でお申し込みいただいても、あなたの費用が増えることはありません。
武田薬品のように、結果が出るまでに何年もかかる会社は、少しの株数で持ちながら決算を追うのが私には合っていました。1株から買える口座なら、いきなり大きな金額を動かさずに済みます。
私が実際に使っているのは次の2つです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
・SBI証券|単元未満株「S株」に対応。日本株も投資信託も1つの口座でまとめられます。
▶ SBI証券の公式サイトを見る
・楽天証券のNISA|NISA口座のページです。取扱商品や手数料、ポイントの条件を、ほかの会社と見比べたいときに。
▶ 楽天証券のNISAページを見る
※手数料・キャンペーンの内容や条件は変更されることがあります。必ず各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、特定の証券会社・金融商品の利用を推奨するものではありません。口座開設および投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
私はYouTubeもやっています。毎日夜9時からライブ配信をしていますので、よろしければ遊びに来てください。チャンネル登録はこちらから → https://www.youtube.com/@buffettkaoru
無料でお配りしているもの
高配当株で資産づくりを始めるなら、この4つが近道です。
- 【完全無料公開】高配当株・銘柄選びチェックリスト ― 会社選びの基準を1枚に整理しました。
- 【無料配布】高配当株ポートフォリオ管理シート ― 保有株と配当金を「見える化」して、続けられるようにするシートです。
- 【無料】高配当株 配当管理シート(CSV対応) ― SBI証券のCSVを読み込んで、配当金をまとめられるシートです。
- 私の保有している会社の一覧 ― 私が実際に持っている会社と、取得単価・評価損益を公開しています。


コメント