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先に結論を書きます。この2本は連動させる指数が同じなので、違いはコストと運用の形のところに出ます。そしてコストは、見る数字を取り違えると結論が逆になります。信託報酬だけを並べるとSBI・V・S&P500のほうが低く、投資先のETFの経費まで含めた実質的な負担で並べるとeMAXIS Slim米国株式のほうが低くなります。同じ土俵の数字どうしで比べないと意味がない、というのがこの記事でいちばん書きたかったことです。
※私は投資助言・代理業の登録を受けていません。この記事は私が目論見書と販売会社の表示を見て調べた記録であり、推奨ではありません。数字は2026年10月時点で確認できたものです。
連動させる指数は同じ
まず、2本とも同じものに連動させようとしています。S&P500指数(配当込み、円換算ベース)です。評価に使うベンチマークも、どちらも税引後配当込みのS&P500でした。
ここが同じだということは、長い目で見れば中身の値動きはほぼ同じになる、ということです。アメリカの大きな会社500社をまとめて持つ、という意味では、どちらを選んでも持っているものは変わりません。
だから残る違いは、コストと、運用のやり方と、規模です。順番に見ていきます。
信託報酬と「実質的な負担」は別の数字
ここを分けずに並べてしまう間違いを、私は過去に何度もやりました。だから先に言葉の整理をします。
信託報酬は、そのファンド自身が受け取る運用管理費用です。委託会社・販売会社・受託会社の3つで分けます。目論見書に書いてあります。
実質的な負担は、そのファンドが別のファンドやETFを買って運用している場合に、投資先の経費まで足したものです。ファンド・オブ・ファンズと呼ばれる形のときに出てきます。
そして大事なのは、この2つの数字が一致するファンドと、一致しないファンドがあるということです。直接株式を買って運用しているファンドは、投資先の経費がないので2つが同じ数字になります。ETFを通して買っているファンドは、信託報酬より実質的な負担のほうが大きくなります。
片方のファンドの信託報酬と、もう片方のファンドの実質的な負担を並べると、安いほうが逆に見えることがあります。私がやっていた間違いはこれでした。
2026年10月時点の数字を同じ土俵で並べる
2026年10月20日時点で確認できた数字です。信託報酬の行と、実質的な負担の行を分けて書きます。
| SBI・V・S&P500 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | |
| 信託報酬(年率・税込) | 0.0638% | 0.0814%以内 |
| 実質的な負担(年率) | 0.0938% | 0.0814% |
| 運用の方法 | バンガードのETF「VOO」を通して持つ | マザーファンドで直接持つ |
| 純資産総額 | 約3兆756億円 | 約13兆1,664億円 |
| 設定日 | 2019年9月26日 | 2018年7月3日 |
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント | 三菱UFJアセットマネジメント |
信託報酬の行だけを見ると、0.0638%と0.0814%でSBI・V・S&P500のほうが低いです。実質的な負担の行だけを見ると、0.0938%と0.0814%でeMAXIS Slimのほうが低いです。行をまたいで比べると、どちらでも好きな結論が作れてしまいます。
SBI・V・S&P500の2つの数字が違うのは、このファンドがVOOというバンガードのETFを買う形で運用しているからです。ファンド自身の信託報酬0.0638%に、VOO側の経費が乗って0.0938%になります。eMAXIS Slimは直接持っているので、2つが同じ0.0814%です。
eMAXIS Slimの信託報酬に「以内」が付いているのは、純資産総額が増えるにつれて率が下がる仕組みになっているからです。上限が0.0814%という書き方です。
差はどれくらいか
実質的な負担どうしで比べると、0.0938%と0.0814%で差は0.0124ポイントです。
100万円を1年持ったときの差額は124円です。1,000万円でも1,240円。私はこの金額を見て、ここで悩む時間のほうが惜しいと思いました。どちらを選んでも、積立をやめてしまうことや、下がったときに売ってしまうことのほうが、ずっと大きく結果を変えます。
ただ、数字が小さいことと、数字を取り違えてよいことは別です。124円の差を「2万8千円の差」と書いてしまえば、読んだ人の判断が変わります。だから金額の大小にかかわらず、数字は揃えて書くことにしています。
純資産総額の違いと、乖離の見方
純資産総額は、eMAXIS Slimが約13兆1,664億円、SBI・V・S&P500が約3兆756億円でした。4倍以上の差があります。
規模が大きいほうが、監査費用などの決まった費用を薄く広く負担できます。また、規模が極端に小さいファンドは繰上償還といって途中で運用をやめてしまうことがありますが、どちらも兆円の単位なのでその心配をする規模ではありません。
連動させる指数が同じでも、実際の値動きは指数とぴたり同じにはなりません。このずれを乖離といいます。コストのほかに、配当にかかる税金の扱いや、売買のタイミングのずれが積み上がって出てきます。
乖離は、各ファンドの運用報告書に「ベンチマークとの差」として載っています。私はここを数字で書くのをやめました。どの期間で取るかで見え方が変わるので、手元で同じ期間を切り出して比べないと意味がないからです。ご自身で選ぶときは、2本の運用報告書を同じ期間で並べて見ていただくのが確かだと思います。
そのほかの違い
コストと規模のほかに、確認できた違いを挙げておきます。どれも運用の結果を大きく変えるものではないと私は受け取りました。
- 決算日が違います。SBI・V・S&P500は毎年9月14日(休業日の場合は翌営業日)、eMAXIS Slimは4月25日です
- 設定日が1年3か月ほど違います。eMAXIS Slimのほうが先です
- 運用会社が違います。SBIアセットマネジメントと三菱UFJアセットマネジメントです
- どちらも新しいNISAのつみたて投資枠で買えます
前に書いていた計算を取り下げました
この記事を書き直す前は、10年持ったときの手数料の差を約27,978円と書いていました。これを取り下げます。
理由は2つあります。1つは、比べていた数字が揃っていなかったことです。SBI側は実質的な負担の0.0938%、eMAXIS Slim側は当時の信託報酬0.09372%を使っていました。層の違う数字を並べていたので、差額そのものが成り立っていませんでした。
もう1つは、計算のもとにしていた10年後の残高(約1,544万円)に根拠がなかったことです。将来いくらになるかは誰にもわからないので、それを前提にした節約額も出せません。
いまの数字で言えるのは、実質的な負担の差が年0.0124ポイント、100万円あたり年124円というところまでです。それ以上は、持つ金額と持つ年数を自分で入れて計算するしかありません。
私がどちらを選んだか
私はウォーレン・バフェットのやり方を真似しています。わからないものは買わない、という一点だけでも守ろうとしています。
この2本については、中身が同じで仕組みが素直なほう、という理由でeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を選びました。ETFを通さず直接持っている形のほうが、私には説明しやすかったからです。信託報酬と実質的な負担が同じ数字になるので、コストを確かめるときに迷わないという理由もあります。
これは私の選び方で、どちらが正しいという話ではありません。SBI・V・S&P500のほうが信託報酬は低いので、その層で見る方はそちらを選ぶことになると思います。どちらも目論見書と運用報告書が公開されているので、ご自身で2本並べて確かめていただくのが一番確かです。
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信託報酬と実質的な負担は、目論見書の同じページに別の行で書いてあります。証券口座があればファンドのページから目論見書と運用報告書をそのまま開けますし、積立は月100円から試せます。
私が実際に使っているのは次のとおりです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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