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結論から書きます。2026年2月末に、ロンドンの住宅ローン専門のノンバンク「マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)」が破綻しました。一つの資産を複数の借入の担保に使い回す「二重担保」の疑いが報じられ、お金を貸していた欧米の大手金融機関の株が売られ、その連想で日本のメガバンクまで下がりました。私は、この下げで保有している会社を売ることはせず、買付余力の範囲で少しずつ買い増すだけにしました。
私は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。この記事は私自身の考えと保有状況の紹介であり、特定の会社や金融商品を推奨するものではありません。本文の内容は2026年3月初旬時点の報道にもとづくもので、その後の調査で数字や事実関係は変わります。最終的な判断はご自身でお願いします。
先に数字の扱いについて書いておきます。負債総額や担保不足の規模については、報道によって金額に幅があります。私が見た範囲でも10億ポンド台という報じ方と、それより大きい数字の両方がありました。確定した金額として扱えないので、この記事では具体的な金額を根拠にしていません。各社の株価の下落率についても、出どころを一つに確かめられなかったため、パーセントの数字は載せていません。
ロンドンのノンバンクMFSの破綻で何が起きたのか
MFSは、ふつうの銀行が貸しにくい複雑な不動産案件や、短期のつなぎ融資(ブリッジローン)を専門にしていたノンバンクです。銀行ではないので、銀行ほど厳しい規制を受けていませんでした。
報じられている問題は二つです。一つは、担保の価値が借入額に足りていなかったこと。もう一つは、一つの資産を複数の借入の担保として使い回す「二重担保(ダブル・プレッジング)」の疑いです。英国の法律事務所が注意喚起を出すほどの話になっていて、管財人による調査が進んでいます。
二重担保がなぜ怖いのか。お金を貸した側は、自分が担保を押さえているつもりでいます。ところが同じ担保を別の貸し手も押さえているつもりだった。回収できる金額が、思っていたより小さくなります。そして「この会社だけだろうか」という疑いが、他のノンバンクにも向きます。
なぜMFSと関係のない大手銀行の株まで下がったのか
MFS自体は巨大な会社ではありません。それでも株が売られたのは、お金を貸していた側に世界的な金融機関が並んでいたからです。報道で名前が挙がっていたのは、英バークレイズ、米ジェフリーズ、米ウェルズ・ファーゴ、スペインのサンタンデール、そして証券化商品を扱う部門を通じて関わっていたアポロ・グローバル・マネジメントなどです。
もう一つの理由は、ローンが証券化されて世界中に売られていることです。たくさんのローンをまとめて一つの商品にして売る仕組みなので、どの商品に、どれだけ傷んだローンが混じっているのかが、すぐにはわかりません。この「どこにいくら隠れているかわからない」という不透明さが、金融株をまとめて売る動きにつながりました。
2025年9月のトリカラー破綻と、手口が同じだった
去年の出来事を思い出しました。2025年9月、米国で低所得層向けに中古車とローンを扱っていたトリカラー・ホールディングスが破綻しました。このときも、一台の車のローンを複数の銀行に担保として差し出す二重担保が問題になり、JPモルガン・チェースやフィフス・サード・バンコープなどが損失の見込みを公表して、銀行株が売られました。
2025年9月はアメリカの「車」のローン、2026年2月はロンドンの「家」のローン。金利が上がったあとで、返済に詰まった会社が担保を使い回す。同じ形が別の市場で出てきたことが、今回の不安の中身だと私は受け取りました。
リーマンショックと似ている点、違う点
似ているのは、始まった場所と、わからなさです。
- 規制の緩いノンバンクが震源になっている点。2008年のときも、銀行ではない住宅ローン会社から崩れました。
- 高い金利が続いたあとに、担保の価値が借入額を下回っていった点。
- どこに、どれだけ損失が隠れているのかが見えない点。この不透明さが市場を止めます。
違うのは規模です。2008年のリーマン・ブラザーズは世界中が名前を知っている巨大な投資銀行で、積み上がっていた借り入れの量も桁が違いました。今回は、特定の分野に強い専門の金融会社です。ただし、金額が小さいから安全という話ではなく、「同じ手口の会社が他にもあるのではないか」という疑いが残っているあいだは、株価は揺れやすいままだと思っています。
当局が何をしようとしているのか
中央銀行や監督当局が動いているのは、大きく二つの方向です。
- 資金が回らなくなるのを防ぐこと。不安が広がると、まじめに商売をしている会社まで借りられなくなります。イングランド銀行のような中央銀行が市場に資金を供給して、そこを止めない役割を担います。
- 同じ不正ができないようにすること。誰が何を担保にどこから借りているのかを記録して突き合わせる仕組みや、ノンバンクへの検査を強めることが議論されています。
ここは「議論されている・検討されている」段階の話で、制度として決まったものではありません。日本でも、金融庁や日本銀行が銀行のストレステストや海外当局との情報共有を進めていると報じられていますが、具体的な中身が公表されているわけではないので、私はそこを前提に投資判断はしていません。
日本への影響と、この週に私がしたこと
日本の金融機関がMFSに多額の直接融資をしていたという話は、私が見た範囲では確認できませんでした。それでも2026年3月2日の東京市場では、メガバンク3行がそろって大きく下げました。理由は二つあると思っています。一つは「欧米の金融不安は世界景気の減速につながる」という連想。もう一つは、不安が続けば日本銀行の追加利上げが遠のき、銀行の利ざや改善のシナリオが崩れるという見方です。
私がしたことは、三つです。保有している会社は売りませんでした。生活防衛資金には手をつけませんでした。そして、買付余力の中から少しだけ買い増しました。一度に動かすと、二匹目のゴキブリが出てきたときに身動きが取れなくなるからです。
ウォーレン・バフェットの「他人が恐怖を抱いているときに強欲になれ」という言葉は、こういう週に頭をよぎります。ただ同じ人が「自分が理解できないものには投資しない」とも言っています。海外のノンバンク向け融資にどれだけ関わっているかは、銀行の決算資料を自分で開いて確かめるしかありません。私は、そこが読めない会社は買いませんでした。
もとの原稿には、メガバンクのPBRや配当利回りを挙げて「買いに近い水準」と書いた部分や、何をいつ買うべきかという助言の形の段落がありました。私は投資助言の登録を受けておらず、他の人の判断に踏み込む書き方になっていたので削除しました。同じ理由で、各社の投資判断にあたるコメントも外しています。
この記事で触れた会社は、報道で名前が挙がったものと、私が保有している、または見ているものの紹介です。推奨ではありません。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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