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長期の株価チャートは、縦軸が対数目盛りになっていることが多いです。対数目盛りでは、同じ割合の下落が、残高がいくらであっても同じ高さに見えます。だから減る金額の差が消えてしまい、横軸も詰まるので回復までの年数も短く見えます。この記事では、図を使わずに言葉で、どこを読み間違えやすいかを書きました。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。過去のチャートは将来の成績を示すものではありません。本記事は2026年10月時点のものです。
対数目盛りとは何か
ふつうの目盛り(線形目盛り)は、同じ距離が同じ金額を表します。0、100、200、300…と等間隔に並ぶ目盛りです。
対数目盛りは、同じ距離が同じ倍率を表します。1、10、100、1,000、10,000…と、10倍ごとに等間隔で並びます。1から10までの高さと、1,000から10,000までの高さが同じになる、ということです。
言い換えると、対数目盛りの上では「2倍になった」という動きは、どの高さで起きても同じ長さの線になります。100円が200円になるのと、1万円が2万円になるのが、同じ高さの上昇に見えます。
長期チャートで対数目盛りが使われる理由
これは欠点ではなく、長い期間を1枚に収めるための工夫です。
100年分の株価をふつうの目盛りで描くと、最初の数十年はほとんど横一直線になります。昔の金額が今と比べて小さすぎて、グラフの底に張りついてしまうからです。1929年の大恐慌で約89%下がったことも、線形の目盛りでは見えません。
対数目盛りにすると、昔の暴落も最近の暴落も、同じ割合なら同じ高さの下げとして見えます。割合の変化を比べたいときには、こちらのほうが正確です。
落とし穴1:減る金額の差が見えない
対数目盛りの長所が、そのまま落とし穴になります。同じ割合なら同じ高さなので、金額の違いが消えます。
残高100万円で3割下がると、減るのは30万円です。残高1億円で3割下がると、減るのは3,000万円です。対数目盛りのチャートでは、この2つがまったく同じ高さの下げとして描かれます。
積立を続けていると、残高は年々増えます。つまり同じ3割の下落でも、10年目と20年目では、減る金額がまるで違います。チャートの形は同じなので、そこは自分で金額に戻して考えないと見えません。
私は暴落に備えるとき、「何%下がるか」ではなく「いま3割下がったら何円減るか」を紙に書くようにしています。そのほうが、自分の生活に効く話になるからです。
落とし穴2:回復までの年数が短く見える
これは縦軸ではなく横軸の問題ですが、長期チャートでは必ずついてきます。
ニューヨーク・ダウが1929年の高値を取り戻したのは1954年11月23日です。約25年かかっています。ところが100年分のチャートの上では、この25年は全体の4分の1ほどの幅でしかなく、グラフの形だけ見ると「谷があってすぐ戻った」ように見えます。
25年は、50代の私にとっては80歳までの時間です。チャートの上では短い谷でも、暮らしの時間としてはそうではありません。
落とし穴3:直線に見えるので、毎年同じに増えると思ってしまう
対数目盛りの上では、一定の成長率で増える動きがまっすぐな直線になります。長期の株価チャートがきれいな右肩上がりの直線に見えるのは、そのためです。
でも実際の年ごとの成績は、その直線の上下に大きく散らばっています。直線は後から引いた平均の線で、どの年もその線の上を通ったわけではありません。直線に見えるからといって、毎年同じように増えるという意味にはならない、ということです。
対数目盛りかどうかの見分け方
チャートを見たとき、縦軸の数字を見れば判断できます。
- 縦軸の数字が 1、10、100、1,000 のように桁で並んでいる。
- 目盛りの間隔が、上に行くほど詰まっている。1と2の間が広く、8と9の間が狭い。
- 軸のどこかに「log」「対数」と書かれている。証券会社やチャートサイトでは、設定で切り替えられる場合が多いです。
逆に、縦軸が 0、10,000、20,000、30,000 のように同じ刻みで並んでいれば、ふつうの目盛りです。
対数目盛りでは、半分になるのと2倍になるのが同じ高さ
もうひとつ、知っておくと便利な性質があります。対数目盛りでは、半分になる動き(50%下落)と2倍になる動き(100%上昇)が、同じ長さの線になります。向きが逆なだけです。
ふつうの目盛りだと、半分になる下げより2倍になる上げのほうがずっと長く描かれます。どちらが正しいということではなく、見たいものが違うだけです。割合を比べたいときは対数、金額を感じたいときはふつうの目盛り、という使い分けだと私は思っています。
50代の私がチャートを見るときにしていること
私はウォーレン・バフェットのやり方を真似して、会社の決算を自分で見るようにしています。チャートはそのあとに見る順番にしていますが、見るときは次の3つだけ決めています。
- 縦軸がどちらの目盛りかを先に確かめる。
- 下落の%を、いまの自分の残高の金額に直してみる。
- 谷の横幅が何年分かを、年号で読む。グラフの幅で判断しない。
どれも1分で終わることですが、これをやるかどうかで、同じチャートの受け取り方がかなり変わりました。
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