※本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。
KDDIの子会社で見つかった架空取引について、報じられていることを自分で並べ直して考えました。結論から書くと、私は慌てて動かないことにしました。通信という本業そのものが壊れたわけではないと読んだからです。ただ、子会社の管理が9年近く効いていなかったという事実は重く、そこは割り引いて見ることにしました。
はじめにお伝えしておくと、これは私が調べて考えたことの記録で、売買をおすすめするものではありません。私がどの会社をどれだけ持っているかは、記事ごとに書くと古くなってしまうので、別に公開している保有銘柄一覧に任せます。
※私は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。この記事は特定の会社の売買をすすめるものではありません。本文の数字と事実関係は2026年2月上旬に報じられた時点のもので、その後の調査で変わる可能性があります。最新の内容は会社の公式発表でご確認ください。
何が起きたのか、確認できたことだけ
2026年2月6日、KDDIは子会社のビッグローブと、その傘下のジー・プランで、架空の取引によって売上高が過大に計上されていた疑いがあると発表しました。報じられている金額は、累計で最大2460億円の過大計上、外部へ流出したお金が最大330億円です。
これにあわせて、決算の発表は延期になりました。数字が確定していない状態では、監査を通せないということです。
私が確認できたのはここまでです。これ以上の金額や関係者の話は、調査の結果が出るまでは誰にもわかりません。
循環取引という手口を、私の言葉で
使われたのは循環取引と呼ばれるやり方です。私は「架空のボール回し」と覚えています。
ある広告代理店が、ネット広告を出したいという注文を出す。注文を受けた会社は、その仕事を別の代理店に投げる。その代理店は、また最初の会社の仲間に戻す。請求書と契約書だけがぐるぐる回って、帳簿の上では売上が立つ。けれど広告は一本も世に出ていない、という形です。
これが2017年ごろから続いていたと報じられています。ネット広告は、実際に何がどれだけ出たのかを外から数えるのが難しい商品です。中身の見えにくいものを扱う事業ほど、こういう取引が隠れやすいのだと思いました。
動機については二つの見方があります。ひとつは売上目標に届かせるため。ひとつは会社のお金を外に逃がすため。今回は330億円が外へ出たと報じられているので、後者の色が濃いのだろうと私は読みましたが、ここは調査の結果を待つしかありません。
株価は下がった。そのとき私が確かめたこと
発表後の最初の取引日、株価は大きく下げました。配当をもらうために持っている会社の株価が下がれば、資産の評価額は当然減ります。
そのときに私が見たのは株価ではなく、三つだけでした。本業の売上と利益は傷んでいるか。配当を払う現金は残っているか。経営陣が指示した不正なのか、現場で起きたことなのか。
私がこの三つに絞っているのは、ウォーレン・バフェットのやり方を真似しているからです。彼は株価の動きではなく、会社の中身がどうなったかだけを見ます。株価が動いた理由を後から説明する作業は、私の資産を1円も増やしてくれませんでした。
過去に同じことが起きた会社を並べてみた
こういうときに私がやるのは、過去の例を並べることです。今回に近いものを三つ選びました。
ひとつめは、2019年に発覚したネットワンシステムズの循環取引です。中身が見えにくいIT商材を使い、複数の会社の子会社を巻き込んで売上を回していました。手口がよく似ています。
ふたつめは、2015年に発覚したLIXILのジョウユウの問題です。買収した先の中国の会社で不正が起きていて、親会社が気づくのが遅れました。子会社の管理が届いていなかったという構造が似ています。
みっつめは、2016年に表に出た電通のデジタル広告の不正請求です。ネット広告という、数えにくい商品で起きた点が共通しています。
この三社のうち、倒産した会社は一社もありません。売上の取り消しや課徴金、経営陣の退任はありましたが、本業の稼ぐ力そのものが消えたわけではなかったからだと私は理解しています。
もし上場廃止になったら、株はどうなるのか
最悪の場合を一度考えておきたかったので、上場廃止について調べました。上場廃止には性質の違う二つがあります。
ひとつは、会社が立ち行かなくなって廃止される場合です。2010年に経営破綻した日本航空では、株式の価値はなくなり、株主に戻るものはありませんでした。
もうひとつは、買い取られて上場をやめる場合です。東芝は2023年に投資ファンドなどに買われ、1株4,620円で現金化されました。この場合は現金が戻ってきます。
並べてみて思ったのは、上場廃止という言葉だけで怖がる必要はないけれど、どちらに転ぶかは会社の体力で決まる、ということでした。だから私は、不祥事のニュースを読んだときに、まず現金と借入の話を見ます。
本業の堀は傷ついたのか
ウォーレン・バフェットは、良い会社を「堀のあるお城」にたとえます。真似をして、KDDIの堀を数えてみました。
携帯の回線は、乗り換えるのに手間がかかります。番号やメールアドレス、家族割や光回線とのセット、ポイント。使っている人にとっては、少し安いからといって動かす理由になりにくい。この乗り換えの面倒さが、この会社の堀の中心だと思っています。
今回の件で傷ついたのは、この堀ではなく、会社の信用でした。子会社で何年も気づかれない取引が続いていたという事実は、開示されている数字をどこまで信じていいのかという話につながります。私にとってはここが一番の痛みでした。
私が気をつけているのは、こういうときに「一匹見つかったら他にもいる」という目で見ることです。ひとつ出てきた不正は、たいてい単独では終わりません。だから私は、残りの決算が無事に出てくるかどうかを、しばらく見ることにしました。
この記事から外したもの
書き直すときに、いくつか落としました。理由も書いておきます。
ひとつは、監査を担当していた法人の名前と、同じ系列が監査している他の会社の一覧です。別の会社の名前を並べて「ここも危ないのではないか」と書くのは、私には確かめられない話で、名前を出された会社にも失礼だと思いました。
ふたつめは、外部の広告代理店が共犯だった可能性、支払いが止まって中小の代理店が連鎖倒産するという見通しです。調査が終わっていない時点で、誰が何をしたかを私が書くことはできません。
みっつめは、「売るべきか」「買います」という形の結論です。私は投資助言の登録を受けていないので、売り買いの判断を書く立場にありません。自分がどう決めたかだけを残しました。
よっつめは、株価の下落率や当時の株価水準、配当利回りの数字です。数日で変わるものを記事に固定すると、後から読んだ方を誤らせます。
私がどう決めたか
私が持っている会社に悪いニュースが出たとき、売ることを考えるのは三つの場合だと決めています。配当が大きく減るか無配になったとき。買ったときに考えた理由が崩れたとき。そして、経営陣そのものが不正に関わっていたとわかったとき。
今回については、三つめに当たるかどうかがまだわかりません。報じられている限りでは、経営陣が株価を上げるために指示したという話ではなく、子会社の現場で起きた取引です。そして通信の本業は動いています。だから私は、慌てて動かないことにしました。
そのうえで、ひとつ自分に言っていることがあります。わからないものは買わない、というのがウォーレン・バフェットのやり方で、私もそれを借りています。調査の結果が出るまで、この会社は「今は中身がよく見えない会社」です。見えないあいだに買い増す理由は、私にはありません。
もう一度書いておきます。これは私が調べて考えたことの記録で、推奨ではありません。同じニュースを読んで売ると決める方がいても、それはその方の判断としてまったく自然だと思います。
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今回のようなニュースが出たときに私が最初に開くのは、ニュースサイトではなく自分の口座です。その会社が自分の資産の何パーセントなのかがわかると、落ち着いて考えられます。口座を一つにまとめておくと、その確認が数十秒で終わります。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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