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先に結論を書きます。「68歳からでも投資を考える意味はあるのか」を、私は自分で試算してみました。年7%で運用しながら毎年の残高の4%を使っていく置き方では、90歳の時点でも残高が減らない計算になりました。
ただし、これは私が置いた前提での計算例であり、将来の運用成果を示すものではありません。前提が変われば結果は変わります。
この記事で私が使った前提は次のとおりです。
- 想定利回りは年7%(世界株や米国株の指数に連動する投資信託を思い浮かべました)
- 期間は68歳から90歳までの22年。取り崩しの開始は70歳から
- 元手は1,000万円。追加の入金はなし
- 新NISAの枠内で運用する前提にしたので、売却益や分配金への課税は計算に入れていません
- 信託報酬などのコストは、利回り7%の中に含まれているものとして別建てにしていません
- インフレによる生活費の上昇も計算に入れていません
※本記事は私個人の考えと調べたことの紹介であり、特定の銘柄・商品の購入を推奨するものではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。数字は2026年10月時点で私が調べたもので、変わります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
この記事の内容は、YouTubeの動画でもお話ししています。
68歳の方からいただいた質問
「私はもう68歳です。今さら投資なんて遅いですよね。現金で持っていた方が安全じゃないですか」
こういうご質問をいただきました。お気持ちはよくわかります。私自身、企業に投資を始めたのは40代の後半で、「もっと早く始めていれば」と何度も思いました。
ですので、説得するつもりはありません。私が自分で手を動かして計算してみたことを、前提ごと並べてお見せします。どう受け止めるかはそれぞれだと思っています。
試算1:毎年100万円を年9%で積み立てたらどうなるか
最初は、話の大きさをつかむための計算です。お子さんやお孫さんの口座で、毎年100万円を新NISAで積み立てていったら、という形にしました。
前提は、毎年100万円を年の初めに入れる、利回りは年9%、税金と手数料は計算に入れない、というものです。
| 経過年数 | 入れた元本 | 評価額(年9%で計算) |
|---|---|---|
| 10年 | 1,000万円 | 約1,656万円 |
| 30年 | 3,000万円 | 約1億4,849万円 |
| 50年 | 5,000万円 | 約8億8,620万円 |
| 60年 | 6,000万円 | 約21億1,762万円 |
※年9%は過去の米国株の平均に近い水準ですが、私にはかなり強気な置き方だと感じています。利回りを下げれば結果は大きく変わります。
この表を見て私が思ったのは、元本6,000万円が60年で21億円になる計算だとしたら、その差額のほとんどは働いて稼いだお金ではなく、時間が稼いだお金だということです。
では68歳の方に時間がないのか。90歳まで生きるとしたら、まだ22年あります。22年は、若い方ほどではないけれど短い時間ではないと私は受け止めました。
試算2:シーゲルの200年のデータで株式と現金を比べる
「200年のデータ」としてよく引かれるのは、ペンシルベニア大学ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授の集計です。私が確認した出典は『株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド』(ジェレミー・J・シーゲル)で、1802年から2021年までの、インフレを差し引いた実質のトータルリターンです。
1802年に1ドルを入れていたら、2021年末にいくらになっていたか。私が確認できた数字は次のとおりです。
| 資産 | 1ドルがいくらになったか(実質) |
|---|---|
| 株式 | 約233万ドル |
| 長期債券 | 約2,163ドル |
| 短期債券 | 約245ドル |
| 金(ゴールド) | 約4.06ドル |
| 現金(米ドル) | 約0.043ドル |
年率にすると、株式は実質で年6.9%ほど、現金は年マイナス1.4%ほどという集計でした。これは米国のドルについての220年という長さの記録で、日本の円や、これから先の22年を保証する数字ではありません。私はこの表を「こういう記録が残っている」という事実として受け止めています。
現金の購買力が下がる、とはどういうことか
年マイナス1.4%と言われてもぴんと来なかったので、身近な形に置き換えてみました。
今100万円で買える車があるとします。物価が年2%ずつ上がると、10年後には同じ車が約122万円になります。100万円を現金のまま持っていると、10年後には22万円分だけ買えるものが減っている、ということになります。
私はこれを、自分の中で「溶けていく氷」と呼んでいます。数字は100万円のままなのに、置いておくだけで中身が少しずつ減っていく感じです。
日本でも2022年以降、食料品や電気代、ガソリン代の値上がりが続きました。「現金だから安全」という言い方は、私の中では「価格が動かないかわりに、買えるものが静かに減る」に置き換わりました。
客室乗務員だったときに思い出すこと
航空会社は、飛行機を駐機場に置いておく時間をできるだけ短くします。置いておくだけで駐機料や整備費がかかり、その間は一円も稼がないからです。
お金も似ているのかもしれない、と私は思いました。ただ、飛行機と違ってお金は投資すれば減ることもありますので、同じだと言い切るつもりはありません。
試算3:68歳・1,000万円を7%で運用しながら取り崩す
ここからが本題です。前提は記事の冒頭に書いたとおりで、もう一つ、暴落と回復を織り込みました。
- 運用期間中に、マイナス40%の暴落を2回
- そのあとにプラス20%が3年続く回復を2回
- 暴落と回復をどの年に置くかは、私が決めて並べました。置き場所を変えれば結果も変わります
この前提で、使い方を2通りにして比べました。Aは毎年末の残高の4%を翌年の生活費にあてる定率、Bは毎月10万円ずつという定額です。
| 年齢 | A:残高の4%ずつ使う | B:月10万円ずつ使う |
|---|---|---|
| 75歳 | 約1,240万円 | 約820万円 |
| 85歳 | 約1,450万円 | 約120万円 |
| 90歳 | 約1,570万円 | 0円 |
※私が置いた前提での計算例です。利回り、暴落を置く時期、取り崩し率のどれか一つを変えても結果は変わります。将来の運用成果を示すものではありません。
定率と定額で差がついた理由を、私はこう理解しました
同じ1,000万円、同じ利回り、同じ暴落の置き方で、使い方だけを変えた計算です。それでも90歳の時点でかなり違う数字になりました。
Aの定率では、利回り7%から取り崩し4%を引いた差が残り続けます。暴落した年は残高が減るので、引き出す金額も自動的に下がります。安いときに売る口数が少なくて済む、という形です。
Bの定額では、年間120万円を引き出すので、1,000万円に対して初年度から12%を取り崩すことになります。しかも暴落した年も同じ120万円を引き出すため、安いときに多くの口数を売ることになります。
ここから私が受け止めたのは、「いくら使うか」を金額で決めるか割合で決めるかで、同じ相場でも結果が変わりうる、ということでした。どちらが正しいという話ではありません。私はこの計算を見て、割合で決めるやり方のほうが自分には合っていると思いました。
3つの試算を並べて、私が受け止めたこと
- 時間の効き方は大きい。68歳でも90歳までなら22年あると考えました
- シーゲルの集計では、220年の実質で株式と現金の差は非常に大きかった。ただしこれは米国の過去の記録です
- 現金は価格が動かないかわりに、物価が上がる局面では買えるものが減ります
- 取り崩しを定率にすると、私の置いた前提では暴落を2回織り込んでも残高が残りました
断定はできません。前提を変えれば結果は変わりますし、過去の記録が将来を保証することもありません。私は「68歳だから遅い」と決めつける前に、自分で一度計算してみてよかったと思っています。
怖いと感じるなら小さい金額から、というのが私の順番でした
理屈はわかっても怖い、という感覚は私にもありました。私の場合は、少ない金額から始めて値動きに慣れるところから入りました。
5,000円なら、半分になっても2,500円です。その2,500円の動きで、値動きがどういうものかを自分の感覚で覚えられます。慣れてきてから金額を増やす、という順番でも遅くないと私は思っています。
まとめ
私が自分のためにやった順番を書いておきます。
- 生活費の1〜2年分は現金・預金で別枠にして、動かさないお金にしました
- 残った余剰資金を新NISAの枠で、世界株か米国株の指数に連動する投資信託に回しました
- 取り崩しは、金額ではなく「年末の残高の4%」という割合で決めることにしました
繰り返しになりますが、この記事の数字はすべて、私が置いた前提での計算例であり、将来の運用成果を示すものではありません。前提が変われば結果は変わります。なお、出典を確認できない発言は引用していません。
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