結論からお伝えします。配当利回りは、同じ銘柄を持っていても人によって違います。ニュースやアプリに出ている利回りは「今日その株を買う人の利回り」であって、あなたの利回りではありません。
自分が買った値段をもとに計算した利回りを、YOC(Yield on Cost/ワイ・オー・シー)=自分だけの利回りといいます。私の三菱UFJフィナンシャル・グループは、画面上の利回りは約2.6%ですが、私にとってのYOCは10%を超えています。
金額で言うとこうです。同じ56万円を三菱UFJに投資して、今日買う人は年に約1万5,000円。4年前に買った私は年に61,056円を受け取っています。同じ銘柄・同じ金額なのに、受け取る配当が約4倍違う。この差をつくったのは銘柄選びのうまさではなく、増配と時間です。
この記事では、株価が何倍になったか、配当が何倍に増えたか、そして私が実際にいくら受け取っているかを、すべて数字でお見せします。50代60代から高配当株を始める方にこそ知ってほしい考え方です。
YOC(自分だけの利回り)とは?時価利回りとの違い
投資を始めたばかりのころ、私は「利回り」とはニュースやアプリに出ているあの数字のことだと思っていました。「この銘柄は利回り2%だから配当は少ない、3%ならギリギリ高配当株かな」——そんな見方です。
でもその数字は、「今日の株価で買ったら」の利回り。これから投資する人の利回りです。
配当は、会社が「1株につき◯円払います」と決めるもので、もらえる金額は株主全員同じです。違うのは、買った値段のほうなのです。
| 呼び方 | 計算の基準 | どこで見る数字か |
|---|---|---|
| 時価利回り | 今の株価 | ニュース・証券アプリに出ている利回り |
| YOC(自分だけの利回り) | 自分が買った値段(取得単価) | 自分で計算する利回り |
YOCの計算式はただの掛け算
YOC = 今の時価利回り × 株価が何倍になったか。難しい計算は要りません。株価が4倍になった銘柄を持っていれば、今の利回りが2.6%でも、自分にとっては約10%の利回りということになります。
銀行株の株価は4年で何倍になったのか
三菱UFJの10年チャートを振り返ります。
10年前、株価は500円くらいでした。それが今日、3,647円。チャートの上では約7倍です。
私の平均の買値は約880円。そこから見ても約4.1倍になりました。
三井住友FGも同じです4年前は1,500円前後、今日は6,876円。私の買値約1,750円から約3.9倍。
「じゃあ値上がり益の話でしょ?」──いえ、ここからが本題です。配当のほうも、同じくらい増えていたんです。
増配の記録:配当そのものが何倍にも増えていた
投資を始めたばかりの私は増配の威力を知りませんでしたが、今となっては株価よりも大事な私の指標となり、増配する企業に投資することを目的としています。それがわかる数字をご紹介します。
三菱UFJの1株配当の歴史です。
| 年度 | 1株配当 | 増配率 |
|---|---|---|
| 2016年3月期 | 18円 | ― |
| 2022年3月期 | 28円 | +12% |
| 2024年3月期 | 41円 | +28% |
| 2025年3月期 | 64円 | +56% |
| 2026年3月期 | 86円 | +34% |
| 2027年3月期(予) | 96円 | +11.6% |
18円が、10年で86円。約4.8倍です。来期予想の96円まで入れると、5倍超。
しかも見てください、この直近の伸び。1年で**+56%、翌年+34%**。定期預金の金利が何%の時代に、もらえる配当が1年で1.5倍になったんです。
三井住友FGも、配当はこの10年で約3倍(25円→78.5円)、直近も+35.6%、+28.7%と大型の増配が続いています。
ではなぜ増配がそんなにすごいのか
分子(配当)だけが増えて、分母(買値)は固定。だから自分だけの利回りが、持っているだけで勝手に育つので、増配は株価そのものも押し上げます。配当が5倍になった株を、昔の値段で売る人はいませんから。三菱UFJの株価が7倍になった大きな理由のひとつが、この増配なんです。
つまり増配は、「配当が増える」と「株価が上がる」の両方の源泉。これが「長く持った人ほど増配の力が効く」の正体です。
式で確かめてみましょう
さっきの式、覚えていますか?
自分だけの利回り = 今の利回り × 株価が何倍になったか
三菱UFJ:2.67% × 4.1倍 = 10.86% ← 私のYOCとぴったり一致 三井住友FG:2.64% × 3.9倍 = 10.31% ← これも一致
計算が合うと、気持ちいいですよね。私の10%は魔法でも自慢でもなく、ただの掛け算なんです。
実際の受取額はこうなりました
利回りの話ばかりだとピンとこないと思うので、私が実際に受け取っている金額を出します。
| 銀行 | 投資した元本 | 毎年もらう配当 | 今日同じ金額で買う人がもらう配当 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ | 約56万円 | 61,056円 | 約15,000円 |
| 三井住友FG | 約85万円 | 88,020円 | 約22,500円 |
| 銀行2社 合計 | 約142万円 | 149,076円 | 約37,500円 |
142万円の投資から、毎年約15万円。月にならすと約1万2,000円が、銀行2社から入り続けています。
そして右の列を見てください。今日、同じ142万円で同じ2社を買うと、もらえるのは年約3万7,500円。同じお金、同じ銘柄で、受取額が4倍違う。 この差を作ったのは、銘柄選びのうまさではなく、増配と時間です。
もうひとつ。このペースだと、投資した142万円は、配当だけで約9年半で戻ってくる計算です。しかも増配が続けば、もっと早くなる。株を1株も売らずに、です。
商社の増配スピードは銀行より速い(五大商社の年平均増配率)
「銀行は昔の話でしょ。今からじゃ遅いでしょ」と思った方。だから次は商社です。ここに、面白いデータがあります。
私が今年の3月に計算した、五大商社の年平均増配率です。
| 商社 | 年平均増配率 | 直近4年で配当は |
|---|---|---|
| 三井物産 | 21.7% | 約2.2倍(52.5円→115円) |
| 伊藤忠商事 | 21.1% | 約1.9倍(22円→42円) |
| 丸紅 | 19.7% | 約1.9倍 |
| 三菱商事 | 17.1% | 約2.2倍(50円→110円) |
| 住友商事 | 13.2% | 約1.3倍 |
年20%ペースの増配って、どのくらい凄いか。約3年半で配当が2倍になる速さです。実際、三菱商事も三井物産も、たった4年で配当を2倍以上にしました。
では、私の商社のYOCと、実際の受取額はどうなっているか。
| 銘柄 | 今の利回り | 株価倍率(私の買値比) | 私のYOC | 毎年もらう配当 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱商事 | 2.62% | 約2.0倍 | 5.30% | 80,125円 |
| 三井物産 | 2.87% | 約1.7倍 | 4.81% | 62,860円 |
| 伊藤忠商事 | 2.20% | 約1.4倍 | 3.08% | 52,668円 |
| 住友商事 | 2.50% | ― | 3.45% | 44,920円 |
| 丸紅 | 2.20% | 約1.05倍 | 2.32% | 18,285円 |
| 五大商社 合計 | 258,858円 |
ぜんぶ、さっきの掛け算どおりです。そして五大商社を合わせると、年間約26万円。月2万円ペースで配当が入ってきます。
伊藤忠は私の保有の中では比較的あたらしい部類ですが、それでも株価1.4倍分、もう利回りに差がつき始めている。金額で言うと、私の171万円分から年52,668円。今日同じ171万円で買う人は年約3万7,600円。もう年1万5,000円の差がついています。買ってから数年でこれです。
銀行が10%なのは、4年という時間の結果。商社の3〜5%は、まだ途中経過。しかも増配のスピードは銀行に負けていない。
3月の配信でシミュレーションした通り、増配率21%が続けば、利回り2%で買った株は**約3年で3.5%、10年で14%**まで育つ計算になります。もちろん「続けば」の話です。でも、銀行は実際にそれをやってのけた。商社が同じ道を歩けない理由は、私には見つかりません。
これが「種銭は労働、成長は企業、老後は配当」の「成長は企業」の部分です。企業が成長して増配する。私たちは売らずに待つだけ。
スタート地点の姿:YOC=時価利回りの銘柄(丸紅)
最後に、いちばん大事な例です。丸紅。
| 今の利回り | 株価倍率 | 私のYOC | 毎年もらう配当 | |
|---|---|---|---|---|
| 丸紅 | 2.20% | 約1.05倍 | 2.32% | 18,285円 |
私の86銘柄で、YOCが一番低いのが丸紅です。時価利回りとの差は、たった0.12%。約79万円投資して、年18,285円。銀行と比べると、正直、地味な数字です。
でも、さっきの表を思い出してください。丸紅の増配率は年19.7%。五大商社で3番目の速さです。
つまり丸紅は「増配してくれない会社」ではなくて、私が買ったばかりで、まだ時間が効いていないだけなんです。
もし年19.7%の増配がこの先も続いたら──あくまで計算上ですが──今の18,285円は、10年後に年11万円になります。買い増しをひとつもしなくても、です。もちろん約束ではありません。でも、三菱UFJの61,056円も、10年前はきっとこういう「地味な数字」だったはずです。
これ、実は希望の話です。銀行の10.86%も、買った日はこの姿でした。時価利回りとYOCがほぼ同じ、倍率1.0倍。誰でも、どの株でも、ここから始まる。丸紅は、あの銀行株の「10年前の姿」を今やっているだけかもしれません。
ただし正直に言います。増配は約束ではありません。業績が崩れれば減配もあります。だから私は1銘柄に賭けず、86銘柄に分けています。
50代60代にいちばん伝えたいこと
初心者の方が一番やりがちな勘違いをひとつ。
証券アプリで自分の保有株を見て、「利回り2.6%か…低いな、売ろうかな」。
ちょっと待ってください。その2.6%は「今日買う人の利回り」です。
あなたの利回りは、あなたの買値でしか計算できません。その会社が増配を続けているなら、あなたの利回りは画面より高いはずだし、来年はもっと高くなっているかもしれない。
私の三菱UFJは、画面上は2.67%。でも私にとっては10.86%の株で、56万円から毎年61,056円を運んでくれる株です。売る理由が、ないんです。
ちなみに86銘柄ぜんぶ合わせると、私の年間配当は約570万円。投資してきた元本に対する利回り、つまり私のYOCは4.80%です。画面の利回りで見ると3.37%のポートフォリオですが、私にとっては4.80%。この差の分だけ、時間が働いてくれました。
時間は、初心者の方が唯一、ベテランと同じだけ持っている武器です。むしろ始めたばかりの方のほうが、たくさん持っています。
計算はAIがやってくれる時代になりました。私の86銘柄も、スプレッドシートを読ませて日本語で頼んだだけ。でも、待つのだけは、AIには代われません。それはあなたの仕事です。
まとめ:YOCで見ると、高配当株の景色が変わる
- 配当利回りは「人によって違う」。自分だけの利回り=YOC
- YOC = 今の利回り × 株価が何倍になったか(ただの掛け算)
- 銀行株は4年で株価約4倍・配当約5倍。同じ142万円でも受取額は約4倍違う
- 商社の増配スピードは年17〜22%と銀行株級。五大商社から年約26万円、まだ途中経過
- 丸紅のようにYOC=時価利回りの状態が、全員のスタート地点
- 増配は約束ではない。だから1銘柄に賭けず分散する
YOCについてよくある質問
YOCは証券会社のアプリで見られますか?
多くのアプリは「時価利回り」を表示しています。YOCは、年間配当(1株あたり)÷ 自分の平均取得単価 × 100 で自分で計算します。保有銘柄が多い方は、表計算ソフトに取得単価と1株配当を並べておくと一度で出せます。
YOCが高い=良い銘柄ということですか?
いいえ。YOCが高いのは「増配してくれた会社を、安いときから長く持てた」結果にすぎません。これから買う人にとっての条件は時価利回りのほうです。YOCは、保有し続ける理由を確かめるための数字だと考えています。
利回りが下がって見えるので売ったほうがいい?
画面に出ている利回りが下がるのは、株価が上がったからというケースが多くあります。あなたの利回りは、あなたの買値でしか計算できません。売る・売らないの判断は、時価利回りではなく企業の増配姿勢と業績で考えるのが基本です。
50代60代から始めても間に合いますか?
YOCは時間をかけるほど育つ数字なので、若い方が有利なのは事実です。ただ、増配率の高い企業を選べば、3〜4年で配当が2倍になる例もあります。60代でも10年、15年という時間はあります。焦って一括で買わず、積み上げていく考え方が大切です。
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高配当株を始めるなら証券口座から
YOCを育てるには、まず1株からでも買える環境を用意することが先です。手数料や単元未満株の取り扱いは証券会社によって差があります。
まだ証券口座をお持ちでない方は、「どこで口座を作るか」が将来の資産額を大きく左右します。 数ある証券会社の中でも、圧倒的な支持を集めているのがSBI証券と楽天証券です。 動画の概要欄に、公式のリンクを載せていますのでそこから申し込みができます。 SBI証券 は、日本の個別株や米国株をやるなら手数料も安くて最強です。 楽天証券は、画面が見やすくて初心者に優しいですし、楽天ポイントで投資ができるのも嬉しいです。 私はYouTubeで毎日夜9時からライブ配信をしています。 この動画が役にたったよという人はチャンネル登録といいねボタンをよろしくお願いします。※本記事は筆者の投資記録および個人的な考えをまとめたものであり、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。筆者は投資助言業の登録を受けていません。配当は企業の業績や方針により減配・無配となる可能性があり、株価下落により元本を割り込む可能性があります。掲載した株価・配当の数値は執筆時点のもので、最新の情報は各社IRおよび証券会社の公式サイトでご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。なお本記事にはアフィリエイト(PR)リンクが含まれる場合があります。

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