「あなたの遺族年金は、5年で終わりです」
もしそう言われたら、どう感じるでしょうか。脅しでも大げさな話でもありません。2027年から段階的に始まる年金制度の大改正で、実際にそうなる方が出てきます。
こんにちは、バフェットかおるです。元JALの国際線客室乗務員として約30年働き、48歳から投資を始めた、ごく普通の個人投資家です。いまはデパ地下でパートを続けながら、高配当株の配当金で「自分年金」を育てています。
この記事では、2026年10月から2035年にかけて変わる年金・社会保険の13の変更点を、時系列で整理しました。今の年金制度は「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という昭和の設計図がベースです。それが共働き・少子高齢化・物価高の令和に合わせて、根本から作り直されようとしています。
2027年の年金制度改正が示す、たった1つの結論
13個の変更点を並べると、方向性はきれいに揃っています。
- NISAは拡充する=「投資で自分の老後は自分で守ってください」
- 保険料の対象者と上限は広げる=「もっと納めてください」
- 遺族年金は有期化する=「年金に頼りきらず、働いてください」
つなげると、「昭和の“守られる仕組み”は終わります。令和は自分で備えてください」という一文になります。残酷ですが、嘆いても制度は変わりません。だからこそ、中身を正確に知ることから始めましょう。
【一覧表】2027年からの年金制度改正スケジュール
| 時期 | 変わること | 影響が大きい人 |
|---|---|---|
| 2026年10月頃 | 「106万円の壁」(賃金要件)の撤廃 | パート・アルバイトで働く方 |
| 2027年1月 | こどもNISAの創設 | お子さん・お孫さんがいる方 |
| 2027年 | つみたて投資枠で債券ファンドが購入可能に | 積立投資をしている方 |
| 2027年9月〜2029年9月 | 厚生年金保険料の上限を3段階で引き上げ | 年収およそ800万円以上の方 |
| 2027年10月〜2035年 | 社会保険の企業規模要件を段階的に撤廃 | 小さな会社で働くパートの方 |
| 2028年4月 | 加給年金の見直し(配偶者分は減額) | 今60歳前後のご夫婦 |
| 2028年4月 | 遺族厚生年金の5年有期化ほか4つの見直し | 現役世代とその配偶者 |
| 議論中 | 第3号被保険者制度の見直し | 扶養に入っている配偶者 |
まず明るい話:2027年1月からのNISA拡充
変更点① こどもNISAの創設(2027年1月〜)
2025年12月の税制改正大綱で正式に決まった、新しい非課税投資制度です。内容をざっくりまとめると次のとおりです。
- 対象:0歳〜17歳のお子さん・お孫さん
- 年間投資枠:60万円(月5万円ペース)
- 非課税の上限:600万円
- 非課税期間:無期限
- 12歳以降は一定の条件を満たせば引き出しOK
「昔ジュニアNISAがあったのでは?」と思われた方、そのとおりです。ジュニアNISAは2023年末で終了しました。原則18歳まで引き出せず、「中学・高校の教育費に使いたいのに使えない」という本末転倒な制度だったからです。その反省を活かして設計し直されたのが、こどもNISAということになります。
注目されているのは、お孫さんへの贈与との相性です。年間60万円なら、贈与税の基礎控除110万円の範囲に収まりやすい。「老後資金は自分の配当で守り、余裕があればお孫さんの未来に種をまく」という選択肢が増えます。※贈与は受け取る側で合算されるので、お年玉やお祝い金との合計にはご注意ください。
変更点② つみたて投資枠で債券ファンドが買えるように(2027年〜)
これまでのつみたて投資枠は、株式中心の投資信託がメインでした。今後は国内株式・外国株式・国内債券・外国債券という4つの資産に分散しやすくなります。
私は85銘柄・16業種超に分散して高配当株を保有しています。「1つのカゴに卵を盛るな」を常に意識しているからです。値動きの違う資産を組み合わせられる選択肢が増えるのは、長期で資産を育てたい方にとって前向きな変更だと思います。
なぜ国は、NISAだけこんなに拡充してくれるのか
普段は増税の話ばかりなのに、NISAだけは手厚い。理由は「年金だけでは老後の面倒を見きれないから、自分で準備してほしい」——これに尽きます。こどもNISAの狙いも「次世代の資産形成の支援」と大綱にはっきり書かれています。国の一貫したメッセージは「貯蓄から投資へ」、そして「自助努力」です。
つまりNISAの拡充は、節税できるありがたい制度であると同時に、「自分の老後は自分で備えてください」という通告でもあるわけです。次に紹介する11個の変更点を見ると、その意味がはっきりします。
ここから負担増:保険料と社会保険の適用拡大
変更点③ 厚生年金保険料の上限引き上げ(2027年9月〜)
会社員の厚生年金保険料は「標準報酬月額」という等級表で決まり、現在の上限は月額65万円です。月収が65万円でも300万円でも、払う保険料は同じでした。これが2027年9月から3段階で引き上げられます。
- 2027年9月:上限68万円へ
- 2028年9月:上限71万円へ
- 2029年9月:上限75万円へ
対象は目安として年収およそ800万円以上の方。最終的には本人負担で月数千円〜1万円弱の負担増になります。国の説明は「払った分、将来の年金も増えますよ」。それは事実ですが、増える年金額は「1年納めて月数百円」の世界です。今の手取り減と将来の増額を天秤にかけると……と考えてしまいますよね。
変更点④「106万円の壁」の撤廃(2026年10月頃)
60歳を過ぎて年金をもらいながらパートで働こうと考えている方——まさに私のような方は必見です。
これまでパートの方が社会保険に入るかどうかは、「年収106万円以上」「従業員51人以上の会社」「週20時間以上」の3条件で決まっていました。このうち先に動くのが「年収106万円以上」という賃金要件の撤廃です。
背景にあるのは最低賃金の上昇です。時給が上がった今、週20時間働けば誰でも106万円に届いてしまう。壁として機能しなくなったので、2026年10月頃に撤廃される見込みです。「106万円を超えると手取りが年15万円くらい減るから」と労働時間をセーブしてきた方にとっては、その調整の基準そのものがなくなります。
変更点⑤ 企業規模要件の段階的撤廃(2027年10月〜2035年)
- 2027年10月:従業員36人以上の企業が対象に
- 2029年10月:21人以上
- 2032年10月:11人以上
- 2035年10月:すべての企業・事業所が対象に
最終的には、週20時間以上働くパート・アルバイトはほぼ全員が社会保険に加入する時代になります。④と⑤を合わせて、新たに約200万人が厚生年金の加入対象になると見込まれています。
厚生年金に入れば将来の年金額は増え、障害年金や遺族年金も手厚くなります。一方で、目の前の手取りが月1万円前後減るのも事実です。「働き控えの解消」という目的の裏で、保険料を払う人の裾野を着実に広げている——そう見ることもできます。
手取りが減っていく流れ全体については、社会保険料と増税で年60万円消える話でも詳しくまとめています。
2028年4月から、家族の年金が大きく変わります
変更点⑥ 加給年金の見直し(配偶者分は減額、子ども分は増額)
加給年金とは、厚生年金に20年以上加入していた方が65歳になったとき、年下の配偶者や18歳までのお子さんがいると上乗せされる、いわば「年金版の家族手当」です。配偶者分は特別加算込みで年間約41万6000円(2025年度価格)。10歳年下の配偶者がいれば、10年間で約416万円という大きな金額です。
これが2028年4月から次のように変わります。
- 配偶者への加算:年約41万6000円 → 約37万4000円へ、約1割の減額(2025年度価格)
- 子どもへの加算:1人あたり年約28万円に増額・統一(現行の第1・2子の約1.2倍)
背景には「夫婦の年齢差で支給の有無が決まるのは不公平」という批判と、晩婚化で65歳を過ぎてもお子さんを育てている家庭が増えたという変化があります。※すでに受給中の方は減額されません。影響が大きいのは、今60歳前後の世帯です。
変更点⑦【最重要】遺族厚生年金が「5年の有期給付」に
現在は、子どものいない30歳以上の妻は、夫を亡くすと遺族厚生年金を一生涯受け取れます。私の母も、毎月18万円の遺族年金で暮らしています。一方で夫の側は、妻を亡くしても55歳未満なら受給権すらありませんでした。「夫が外で働き、妻は家庭を守る」昭和の設計だからこそ成り立っていた制度です。
2028年4月からは男女差が解消され、男女問わず、子どものいない30歳以上60歳未満の配偶者は原則5年の有期給付に統一されていきます。
- 男性:これまでもらえなかった方が、5年間受け取れるように(改善)
- 女性:一生涯だったものが5年に(大幅な縮小)
「制度改悪だ」と言われているのは、この部分です。ただし経過措置があります。
- すでに受給中の方は、これまでどおり一生涯受給できます
- 新ルールの対象は、2028年度はまず40歳未満の女性から
- そこから約20年かけて、段階的に対象年齢が引き上げられます
つまり今50代60代の女性への直接の影響は限定的です。でも、その下の世代には直撃します。「うちは夫の遺族年金があるから大丈夫」という人生設計は、次の世代ではもう通用しない、ということです。
変更点⑧ 5年間の受給額は約1.3倍に
現在の遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。2028年4月からは、5年間の有期給付の間に「有期給付加算」が上乗せされ、約1.3倍になります。イメージとしては、亡くなった方の厚生年金とほぼ同等の額を5年間しっかり受け取れる計算です。「期間は短くなるけれど、その間に生活を立て直してください」というのが国のメッセージです。
変更点⑨「死亡時分割」の新設——65歳からの上乗せ
5年給付とセットで導入される新しい仕組みです。配偶者が亡くなったとき、婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦で半分ずつに分け直し、残された側の65歳以降の厚生年金に上乗せします。離婚時の年金分割と同じ考え方を、死別にも適用するイメージです。これにより、5年の有期給付が終わった後も、65歳からの自分の年金が一生涯、底上げされます。
変更点⑩「年収850万円の壁」が撤廃
これまで遺族厚生年金には「残された配偶者の年収が850万円未満」という収入要件がありました。しっかり稼いでいる方は、配偶者がどれだけ保険料を納めていても給付がゼロだったのです。2028年4月からは、60歳未満の配偶者についてこの収入要件が撤廃されます。働く人が報われる方向の改正と言えます。
変更点⑪ 遺族基礎年金が「子どもファースト」に
これまでは、親が再婚したり親の年収が高かったりすると、子ども自身には何の落ち度もないのに遺族基礎年金が止まってしまうことがありました。2028年4月からは、こうした「子ども本人の選択ではない事情」の場合、子どもが直接受け取れるようになります。子どもへの加算額も1人あたり年間約28万円に増額・統一されます。
配偶者への給付は絞り、子どもへの給付は手厚く。今回の改正全体に流れる、はっきりした方向性です。
変更点⑫ 中高齢寡婦加算の段階的廃止
中高齢寡婦加算は、夫を亡くした40歳〜65歳未満の妻に、遺族厚生年金へ上乗せされる年間約63万円の加算です。「夫を亡くした妻は再就職が難しいから国が面倒を見る」という昭和の価値観で作られた、妻にはあって夫にはない典型的な男女差でした。
これが2028年4月から25年かけて段階的に縮小・廃止され、2053年度には新規の加算額がゼロになる予定です。※すでに受給中の方は今の金額のまま継続されます。
変更点⑬【議論中】第3号被保険者制度の見直し
まだ議論中ですが、いちばん大きな話です。第3号被保険者——会社員や公務員に扶養されている配偶者は、自分では保険料を1円も払わずに国民年金を受け取れます。「昭和最強の優遇」とも呼ばれた制度です。
連立政権の合意書には「2026年度中に具体的な制度設計を行う」と明記されました。まさに今、決められようとしています。
ただし国は「今日から廃止します」とは言いません。先ほどの社会保険の適用拡大——週20時間以上働けば第2号へ——を進めることで、気づかないうちに第3号の対象者を減らしていく。これが実際に進んでいるシナリオだと私は見ています。賃金要件の撤廃だけで、約90万人の第3号の方が「保険料を払う側」に切り替わると見込まれています。
50代60代が、今からできる3つの準備
制度が変わっても慌てないために、私がやっていることは3つです。
- 自分の年金額を数字で把握する。ねんきん定期便とねんきんネットで、見込み額と加入記録を確認します。加給年金の対象になるか、配偶者の遺族年金がいくらになるかも、ここが出発点です。
- 「もらえる前提」の家計設計を見直す。加給年金や中高齢寡婦加算をあてにした老後計画は、これから先の世代ほど崩れます。減った場合の家計もシミュレーションしておきます。
- 誰にも打ち切られない「自分年金」を作る。私の場合はそれが高配当株の配当金です。種銭は労働、成長は企業、老後は配当。年金は老後の柱ですが、柱が1本では不安なので、もう1本を自分で立てる、という考え方です。
高配当株のはじめ方は専門用語をほとんど使わない解説記事にまとめています。
よくある質問
Q. すでに年金を受け取っている人も減らされますか?
加給年金も中高齢寡婦加算も、すでに受給中の方は現在の金額のまま継続されます。影響が大きいのは、これから受給が始まる世代です。
Q. 今50代の女性の遺族厚生年金も5年になりますか?
2028年度に新ルールの対象となるのはまず40歳未満の女性で、そこから約20年かけて段階的に対象年齢が上がります。今50代60代の方への直接の影響は限定的ですが、お子さん世代には直撃します。
Q. 106万円の壁がなくなると、手取りはどうなりますか?
社会保険に加入することで、目の前の手取りは月1万円前後減る一方、将来の厚生年金や障害年金・遺族年金は手厚くなります。働く時間と手取り、将来の年金の3つで判断することになります。
Q. 第3号被保険者はいつ廃止されますか?
廃止の時期は決まっていません。ただ、社会保険の適用拡大によって対象者が実質的に減っていく流れは、すでに始まっています。
NISA口座を作るなら:SBI証券と楽天証券
「じゃあ、具体的に何から始めればいいの?」という方へ。NISAを始めるには、まず証券会社に口座を作る必要があります。ライブ配信でよくご質問をいただく、ネット証券の代表格が次の2社です。
- SBI証券:口座開設数トップクラス。取扱商品の幅が広く、手数料も業界最安水準です。
- 楽天証券:画面が見やすく、初心者の方にやさしい設計。楽天ポイントでの投資やクレカ積立との相性も良いです。
この2社に大きな優劣はありません。幅広い商品からじっくり選びたい方はSBI証券、普段から楽天のサービスをお使いの方は楽天証券でいいと思います。
そして、口座を作る方に必ずお願いしたい注意点が1つあります。近年、証券口座の乗っ取りやフィッシング詐欺の被害が急増しています。
- 二段階認証を必ず設定する
- ログインは必ず公式アプリ、または自分で保存したブックマークから(メールやSMSのリンクは踏まない)
この2つだけは徹底しましょう。自分のお金は、最後は自分で守るしかありません。
まだ証券口座をお持ちでない方は、「どこで口座を作るか」が将来の資産額を大きく左右します。 数ある証券会社の中でも、圧倒的な支持を集めているのがSBI証券と楽天証券です。 動画の概要欄に、公式のリンクを載せていますのでそこから申し込みができます。 SBI証券 は、日本の個別株や米国株をやるなら手数料も安くて最強です。 楽天証券は、画面が見やすくて初心者に優しいですし、楽天ポイントで投資ができるのも嬉しいです。 私はYouTubeで毎日夜9時からライブ配信をしています。 この動画が役にたったよという人はチャンネル登録といいねボタンをよろしくお願いします。このブログとYouTubeでは、毎晩21時のライブ配信で、50代60代からの資産形成について私の実体験ベースでお話ししています。制度が変わっても慌てないよう、一緒に準備していきましょう。
※本記事は制度に関する一般的な情報の紹介であり、特定の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。運営者は投資助言・代理業などの登録事業者ではなく、個別の投資相談・助言には応じられません。年金・税・社会保険の数値は制作時点で確認できる情報に基づく概算であり、今後の制度設計や個人の状況により実際とは異なる場合があります。正確な内容は日本年金機構・国税庁などの公式情報や、社会保険労務士・税理士等の専門家にご確認ください。株式投資は元本を割り込む可能性があります。本記事にはアフィリエイトプログラム(PR)によるリンクが含まれます。


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