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ベッセント米財務長官の政策と日本株・円相場|2026年10月までに何が起きたか

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結論から書きます。2025年3月にこの記事を書いたとき、私はベッセント米財務長官の政策が日本の会社にとって追い風になると見ていました。その後の1年半で、見方が当たった部分と、はっきり外れた部分が出ました。関税はいちど最高裁で違法と判断され、根拠を変えながら形を変えて残りました。円相場は私が想定していたよりも大きく動き、2026年7月末には日米で協調した円買い介入が行われたと報じられています。この記事では、2025年3月に私が書いたことをそのまま残しつつ、その後に公表された事実を並べて、どこが外れたのかを書きます。政策の良し悪しを決める記事ではありません。

筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事は2026年10月時点のものです。政策の効果についてここに書くのは私の見方であり、外れることがあります。

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はじめに:2026年10月時点で在任中です

もとの記事は2025年3月に書きました。1年半前の記事なので、まず本人が今もその職にあるかを確かめました。2026年9月の運用会社のレポートでも「ベッセント米財務長官」として扱われており、同年8月から9月にかけての発言が報じられています。2026年10月時点で在任中です。

タイトルに付けていた「徹底解説」という言葉は外しました。1年半前に書いたものを徹底解説と呼ぶのは、読んでくださる方に対して不誠実だと思ったからです。

ベッセント財務長官について、公表されていること

スコット・ベッセント氏は、米国の財務長官です。財務長官になる前はヘッジファンドの運用者で、ジョージ・ソロスのファンドで運用に携わり、1992年の英ポンド売りに関わったと報じられています。2024年11月にトランプ大統領から財務長官に指名されたことが報じられ、その後就任しました。

私がこの人の発言を気にしているのは、為替と金利に直接触れる立場にいるからです。日本に住んで日本と米国の会社に投資している私にとって、為替と金利は会社の業績よりも先に自分の口座の数字を動かします。

「3-3-3」の3つめを、私は間違えて書いていました

まず訂正から書きます。もとの記事で、私はベッセント氏の「3-3-3」という方針を、次のように説明していました。

「GDP比3%の財政赤字への削減」「3%の経済成長率達成」「持続的なインフレ率3%以内の維持」

3つめが間違いでした。公表されている「3-3-3」の3つめは、インフレ率ではなく、原油の増産です。正しくは次の3つです。

項目 内容
財政赤字 GDP比3%まで縮小する
経済成長 実質GDP成長率3%を目指す
エネルギー 原油生産を1日あたり300万バレル増やす

3つめを原油増産に置いているのは、エネルギー価格を下げることでインフレを抑えたいという考え方からだと説明されています。インフレ率そのものに3%という目標を置いているわけではありません。1年半前の私は、エネルギーの話を物価の話と混ぜて読んでしまっていました。お詫びして訂正します。

2025年3月に私が書いていたこと(当時の見方として残します)

当時の記事には、次のようなことを書いていました。市場の調整は健全だという本人の発言から、短期の値動きに振り回されない環境ができそうだと考えていました。財政赤字が縮めば米国債の信用力が上がり、長期金利が落ち着いて株式市場に追い風になると考えていました。減税と規制緩和で米国の会社の利益が増え、配当や自社株買いが増えるのではないかと考えていました。安いエネルギーが日本の製造業のコストを下げるのではないかと考えていました。

当時は「追い風です」「上昇につながる点です」と、言い切る形で書いていました。今読むと、これは私の見通しにすぎないものを事実のように書いていたと思います。当時の私はこう考えていた、という記録として残します。

もとの記事には「注目すべきセクター」として業種を並べ、「その波にしっかり乗るためには」という書き方もしていました。この部分は今回すべて削りました。どの業種に投資するかを人に示す記事を書く立場に、私はいません。

その後どうなったか(1)関税は最高裁で違法と判断されました

いちばん大きく動いたのは関税です。公表されている事実を日付順に並べます。

時期 何があったか
2026年2月20日 米国最高裁が、IEEPA(国際緊急経済権限法)は大統領に関税を課す権限を与えていないと判断
2026年2月24日 IEEPAにもとづく関税の徴収が終了。同日、1974年通商法第122条にもとづく一律10%の暫定輸入関税が発効(法定上限は15%、期限は150日)
2026年5月7日 国際貿易裁判所が第122条の関税を違法と判断。ただし救済は原告3者のみ
2026年7月24日 第122条の関税が期限切れで失効。同日、通商法第301条にもとづく新しい措置が発効し、対象60経済圏の製品に10%または12.5%が上乗せ

第301条の措置では、日本やEU、韓国、スイス、台湾などの主要な貿易相手国について、既存の関税を含めた上限が設けられ、既存の関税がその上限に達している場合には上乗せがゼロになる仕組みが報じられています。鉄鋼・アルミ・自動車などの通商拡大法第232条にもとづく品目別の関税は、この一連の変更の対象外で続いています。

私が外したのは、関税を「決まった水準」として見ていたことです。法的な根拠が変わると税率も対象も変わります。日本の輸出企業の業績を見るときに、関税の数字をひとつ覚えておけば足りると思っていたのは間違いでした。今は、会社が決算説明資料で関税の影響をどう説明しているかを読むようにしています。

その後どうなったか(2)金利は下がりきりませんでした

金利について、公表されている発言を並べます。2026年4月中旬、ベッセント氏は米国の金利引き下げについて「様子を見るべきだ」という趣旨を述べたと報じられました。その直後には、利下げを支持するものの、原油価格の上昇を踏まえればFRBが待つのも理解できるという趣旨を述べたとも報じられています。同じ時期に、2026年に景気後退は起きないという見方も示しています。

私は2025年3月の記事で「長期金利の安定が株式市場に追い風」と書きました。結果として金利は想定したように下がりませんでした。原油価格が上がった局面があり、それが利下げの判断を後ろに倒したと報じられています。エネルギーを増産して物価を下げるという「3-3-3」の3つめが、そのまま効いたわけではなかったということだと私は受け止めています。ただ、ここも私の受け止めであり、別の見方もあります。

その後どうなったか(3)円相場がいちばん大きく動きました

日本に住んでいる私にとって、いちばん影響が大きかったのは円相場でした。2026年9月に公表された運用会社のレポートによると、ドル円は2026年7月29日に163円台をつけ、8月3日には155円台まで戻し、8月28日に160円台、9月9日に152円台という動きをしています。短い期間に10円近く動いています。

この間、ベッセント氏は日本の金融政策について繰り返し発言しています。同じレポートによると、2026年8月30日に日銀の対応に期待を示し、8月31日には日本政府と日銀が円高につながる措置を取ると確信していると述べ、9月1日には植田日銀総裁や片山財務相と会談して日銀の利上げが必要だとの認識を伝えたと報じられています。9月8日の発言は物議を醸したとも書かれています。また、2026年7月31日に日米が協調して円買い介入を実施したとされています。

私が2025年3月に書いたのは「円高圧力が低下し、日本株への資金流入が進む」でした。実際に起きたのは、まず大きな円安が進み、そのあとで政策的な働きかけが入って円が戻る、という往復でした。方向を外していたというより、振れ幅を小さく見積もっていたと思います。

この往復の間、私は何も売買していません。為替の方向を当てる自信がないからです。かわりに、持っている会社が円安と円高のどちらで困るのかを一社ずつ確かめました。輸出の比重が高い会社と、輸入した原材料を国内で売る会社では、同じ円安が逆に働きます。これは決算説明資料に書いてありました。

政策そのものの評価は、この記事では書きません

ここは前の版からいちばん変えたところです。もとの記事は、政策を評価する言葉で埋まっていました。「市場重視の姿勢は追い風」「冷静なリーダーシップが投資家の安心材料」といった書き方です。

今回は、そういう評価を書かないことにしました。理由は二つあります。一つは、政治的な立場に乗ると、都合の良い事実だけを選んでしまうからです。もう一つは、1年半たってみて、私の評価がそのまま外れたからです。

政策については、こういう見方があるという形で両方置いておきます。関税や減税が米国経済の立て直しに役立つという見方があります。一方で、関税は輸入物価を押し上げて消費者の負担になるという見方もあります。日本の金融政策に対する米国側からの発言についても、円安の是正につながるという受け止めと、他国の金融政策への介入だという受け止めの両方が報じられています。どちらが正しいかを決める材料は、私の手元にはありません。

私が変えたこと、変えなかったこと

変えたことは、政策の見通しを自分の投資判断の入口に置かなくなったことです。以前は政策のニュースを読んでから会社を探していました。今は会社の決算を読んでから、その会社が政策の変化でどう困るかを考えるようにしています。順番を逆にしただけですが、売買の回数がずいぶん減りました。

変えなかったことは、良い会社を割安なときに買って長く持つという考え方です。ウォーレン・バフェットのやり方を真似しているつもりなので、財務長官が誰であっても、この部分は変えないことにしています。わからないものは買わない、という一点も変えていません。関税の法的根拠が年に何度も変わるような分野は、私にはわからない分野です。

まとめ:1年半で外したこと

振り返ると、外したのは三つです。関税を固定した数字として見ていたこと。金利が落ち着く前提で書いていたこと。為替の振れ幅を小さく見積もっていたこと。いずれも、私が見通しを自分の判断の中心に置いていたから起きた外し方でした。

ここに書いたことも、2026年10月時点の公表資料をもとにした私の見方です。これから先のことは、また外れます。日付とどこで公表されたかを書き添えるようにしたのは、あとで自分で確かめ直せるようにするためです。

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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。

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