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結論を先に書きます。読者の方からいただいたご質問にまとめてお答えします。信用買い残が多い会社は上がりにくく、下げ始めると急に下がりやすい。私は信用取引もレバレッジも使いません。下がった局面では買い増しますが、現物で、分けて、倒産しない会社に限っています。変額保険やはぐくみ企業年金については、私なら証券口座での投資を先に埋めます。配当の方針としてはDOEを採用している会社を安心して見ています。
※本記事で名前を挙げている会社や商品は、私の保有状況や自分が調べたことの紹介であり、推奨ではありません。
当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておりません。本文中の数字は2026年3月時点のもので、制度や手数料は変わります。税金や社会保険料の具体的な判断は、税理士や税務署、年金事務所にご相談ください。
信用買い残が多いと、株価はどうなるのか
そもそも信用買いとは
証券会社からお金を借りて、自分の手元にある金額より多くの株を買うことです。1万円の靴を買いたいけれど手元に1万円しかないとき、1万円を担保に預けて2万円を借り、合計3万円で3足買う。だいたいこういう形になります。手持ちの約3倍まで買えます。
信用買い残が多いとは、どういう状態か
信用買い残は、「借りたお金で買ったまま、まだ売っていない人がどれくらいいるか」を表す数字です。借りて買った人は、いつか必ず売って返さなければなりません。制度信用なら通常6か月以内です。つまり信用買い残が多いというのは、将来の売り注文が溜まっている状態です。
- 上がりにくくなります。株価が少し上がると、借りて買った人が「今のうちに売って返そう」と一斉に売りに出すので、そこでブレーキがかかります
- 下がり始めると速いです。株価が下がると、借りている人は損が膨らんで返せなくなるので、投げ売りが出ます。これが連鎖するとまとまって下がります
数字で見るとどうなるか
手元の100万円で1株1,000円の会社を買う場合を並べてみます。
| 株価の動き | 現物(1,000株) | 信用買い(3,000株) |
|---|---|---|
| 10%上がった(+100円) | +10万円 | +30万円 |
| 10%下がった(-100円) | -10万円 | -30万円 |
利益が3倍になるということは、損も3倍になるということです。ここを同じ重さで見ておかないと、片方だけを見て判断してしまいます。
信用買い残が多い会社は、それ自体が売りの材料として見られ、狙われやすくなるとも言われます。私は信用買い残が多い会社を見つけたら、買う時期を少し待つようにしています。
私がレバレッジを使わない理由
信用取引には良い面もあります。手元に現金がなくても買える、同じ資金で1日に何度も売買できる、つなぎ売りで優待を取る方法がある、高い株にも手が届く。ここは事実だと思います。
一方で、こちらも事実です。
- 予想が外れたとき、損が一気に膨らむ
- 借りているので毎日金利がかかる
- 制度信用なら半年以内に売らなければならない
- 損が膨らむと追加の担保を求められる(追証)。払えなければ強制的に決済される
最悪の結末が「ゼロ」ではなく「借金」になる
ここが私にとっては一番大きい違いです。現物なら、どれだけ下がっても投資した金額がゼロになるだけで、マイナスにはなりません。信用取引は、売れないまま下がり続けると借金が残ります。
過去にも、ある会社に捜査が入って株価が連日ストップ安になり、売りたくても売れないまま追証を求められて、元本を失ったうえに借金だけが残った例がありました。売れないという状況が起きることを、私は忘れないようにしています。
2024年8月に起きたこと
2024年8月、日経平均が過去最大の下げ幅を記録した日がありました。数日のうちに大きく下げたため、信用買いをしていた方の多くが担保不足になり、強制的に決済されています。あのとき現物で持っていた人は、下がったまま持ち続けるという選択ができました。持ち続けられるかどうかが分かれ目だったと思います。
「レバレッジで成功した人」の話について
元の原稿には、レバレッジで大きな資産を築いた有名な個人投資家の名前と金額、それから「市場に参加した100人のうち5年後に残るのは1人」「レバレッジを使う個人投資家の年間収益率は平均マイナス4.5%」といった表が入っていました。
今回、この部分は外しました。どの調査のどの数字なのかを私が確かめられなかったからです。成功した方の資産額も、報じられている金額であって私が確かめたものではありません。数字の出どころは確かめられませんでした、と書くほうが正直だと思いました。
残る事実は、うまくいった話のほうが大きく語られやすいということです。退場した人は何も書きません。私は自分がその1人になれる自信がないので、使わない側に立っています。
私は客室乗務員として30年働いて、今は穏やかに過ごしたいと思っています。画面に張り付いて追証に怯える日々は、私が欲しかった自由とは逆のものです。借金をしないという一点だけで、暴落の日も眠れます。
ナンピン買いは、現物でも苦しくなることがあります
下がったから買い増す。これをナンピンと言います。信用取引でこれをやると、下がりながら借入を増やすことになるので、加速しながら崖に向かうような形になります。ここは分かりやすいと思います。
では自分のお金(現物)なら安心かというと、種類の違う苦しさがあります。
| 信用取引 | 現物 | |
|---|---|---|
| 最悪の結末 | 借金が残る | 投資額がゼロになる。マイナスにはならない |
| 終わりの来方 | 証券会社から強制的に決済される | 自分で売るか、会社が倒産するまで終われない |
| 期限 | 半年などの期限がある | 期限なし。一生持ち続けられる |
現物の「期限がない」は強みですが、裏返すと終わらせられないということでもあります。下がった会社を持ち続けている間、そのお金は他の会社に回せません。毎日スマホを開いて赤い数字を見るのも、思っていたより疲れます。私は、お金を増やすために始めた投資が、お金と時間を取っていないかを時々確かめるようにしています。
私が自分に許しているナンピンと、やらないナンピン
| 私が許している形 | やらない形 |
|---|---|
| 買う前に「ここまで下がったらこれだけ足す」と決めている | 損したのが悔しくて、早く取り戻したい気持ちで足す |
| 会社の業績に変化がなく、市場全体に引きずられて下がっているだけ | 業績が明らかに悪くなっているのに、もう下がらないだろうと考えて足す |
| 資産のごく一部(私は5%以内を目安にしています)でやる | 足すうちに比率が膨らんで、その会社だらけになる |
この表の右側をやりそうになったときは、一度アプリを閉じるようにしています。
下がったときに買う。ただし「落ちてくるナイフ」は別
私は下落した時期に買い増すようにしています。理由は2つです。
- 1株あたりの買い値が下がる。高いときだけ買っているより平均が下がります
- 配当が変わらなければ、安く買った分だけ受け取る割合が上がります
ただ「落ちてくるナイフを掴むな」という言い方もあります。この見分けがいちばん難しいところで、私も確実な方法は持っていません。持っているのは、外しても致命傷にならないようにする3つのルールだけです。
- 分けて買う。今月はここまで、と金額を決めて何回かに分けます。底がどこか分からないので、当てにいかないようにしています
- 現物だけで買う。下落局面で信用を使うと、さらに下がったときに追証で強制的に終わらされます。自分のお金なら戻るまで待てます
- 積み立てているものは何も変えない。インデックスの積み立ては、下がった月こそ淡々と続けます。考えて手を止めると、だいたい良くないほうに動きます
私が買い増さない下落
- 長期で右肩下がりが続いている会社。安く見えても、ずっと安いままかもしれません
- 財務が悪くなって下がっている会社。ゼロになる可能性があるものには足しません
つまり私が下がったときに買うのは、倒産しないと思える会社か、市場全体に投資する商品を、現物で、少しずつ、という条件がついたときだけです。
株主優待を狙わない理由
私は優待を目的にした投資をしていません。現金でいただく配当を優先しています。
優待品はお米やお買い物券のように使い道が決まっていますが、配当は何に使っても構いません。そのまま同じ会社に入れて増やすこともできますし、おいしいものを食べることもできます。この自由さが私には大事でした。
優待そのものを否定する気はありません。優待が好きで集めている方の話を聞くのは楽しいです。ただ私は、受け取ったものを自分で配り直せる形のほうが向いていました。
変額保険(マーケットリンク)について、私が見る点
ご家族が勧められて始めたという「マーケットリンク」についてのご質問です。これは東京海上日動あんしん生命が販売している変額保険(有期型)で、支払った保険料の一部を特別勘定で運用し、その成果で満期保険金や解約返戻金が変わる仕組みです。
私がこの手の商品を見るときに確かめているのは3つです。
1. 費用が二階建てになっていないか
中身は投資信託ですから、まず運用の費用がかかります。これに加えて、死亡保障の費用や保険会社の運営費が毎月の積立金から差し引かれます。つまり投資に回るお金が最初から削られた状態です。パンフレットに「運用の費用は安い」と書かれていても、それは一階部分の話であることが多いです。
具体的な費率は商品や年齢、保障額で変わるので、ここで数字を書くのはやめておきます。ご契約の書類に必ず書いてありますので、そこを確かめるのが確実です。
2. 途中で出せるか(10年の壁)
この種類の商品には解約控除があって、契約から10年以内に解約すると差し引かれる額が大きくなります。急にお金が必要になったときに出しにくい、相場を見て入れ替えることもできない。私はここを一番の制約だと考えています。
3. 保障が本当に必要かどうか
保障が必要なら、掛け捨ての生命保険や共済に安く入って、浮いた分を投資に回すほうが、保障額も大きく、増える部分も大きくなると私は考えています。保障と投資を同じ商品でまとめると、どちらの費用がいくらなのかが見えなくなるのが気になります。
私なら、投資は証券口座で、保障は掛け捨てで、と分けます。同じように世界中の企業に投資するなら、NISAの枠を使って低コストのインデックスファンドを買えば、保険にかかる費用はかかりませんし、増えた分への税金もかかりません。ですから私はこの商品には投資していません。
ただ、すでに契約されている場合は話が別です。解約控除がある期間に途中でやめると、それまでの費用を払ったうえで控除まで取られることになります。残りの年数と控除の額を書類で確かめて、どちらが損が小さいかを比べてから決めるほうがいいと思います。
補足:「手数料が高いファンドは全部だめ」ではない、というご指摘
読者の方から、こういうご指摘をいただきました。信託報酬は確かに高い。けれど20か月運用して基準価額は8,000円台前半で入れており、利益率は2割を保っている。関税のショックで下げた局面でも買い増した。毎月分配型を一括りにして語るのはミスリードではないか、というご指摘です。
これはそのとおりだと思いました。私は低コストのインデックスを基本にしていますが、「費用が高い=だめ」という一行で片づけると、いつ買ったかという一番大きな要素を見落とします。どれだけ費用が高くても、それを上回る安いところで買えていれば結果は残ります。安いときに買うというのは、私が真似しているウォーレン・バフェットのやり方そのものです。
純資産が大きいファンドには、途中で運用をやめられてしまう(繰上償還)になりにくいという良さもあります。資金が集まり続けているファンドは、それだけの理由があるという見方も成り立ちます。
私自身の方針は変えません。費用は自分で下げられる唯一の要素なので、低いものを選びます。ただ、費用だけを見て「カスのようなファンド」と一括りにする書き方は、私もしないようにします。ご指摘をありがとうございました。
はぐくみ企業年金を続けるか、やめるか
この制度は、掛金が全額所得控除の対象になり、元本が確保される形になっているところが特徴です。給与から引く形なので、所得税と住民税だけでなく社会保険料も下がります。
すでに決まっていること
- 掛金は給与から引かれるため、所得税・住民税・社会保険料の計算の元になる金額が下がります
- 予定利率はおおむね1%程度で、元本が確保される形です
- 受け取りは退職時で、退職所得控除という大きな非課税の枠を使えます
- 契約から一定期間内に解約すると差し引かれる額があります
人によって変わる部分(ご自身で確かめることになる部分)
負担がいくら軽くなるかは、年収、扶養、自治体、会社の制度で変わります。年収500万円の方が毎月2万円(年24万円)を出した場合、所得税・住民税・社会保険料を合わせて年5〜6万円ほど軽くなる例を見かけますが、これは一例です。拠出額に対する割合としては2割前後という見方になります。よく「年利20%以上の投資に相当する」という言い方を見かけますが、これは毎年利息が付くという意味ではないので、投資の利回りと並べて比べないほうがいいと私は考えています。
それから、社会保険料が下がるということは、将来受け取る老齢厚生年金の計算の元になる金額も下がるということです。今の手取りは増えますが、公的年金は少し減ります。住宅ローンの審査を控えている方は、額面が下がることで不利になる可能性もあります。
ここは制度と税金の話なので、具体的な判断は税理士や税務署、社会保険については年金事務所にご相談ください。私が書けるのは、どこを確かめるかという枠組みだけです。
私ならこの順番にします
私なら、まずNISAの枠を埋めます。そのうえで、増やす力より守る力が欲しい部分、つまり現金の代わりに置いておきたい部分があるなら、この制度を使うという順番です。予定利率1%は、長い期間で見ると株式のインデックスとは差が出ます。ただ、減らしたくないお金を置く場所としては意味があります。
やめるかどうかの線引きは、「今の負担軽減の額」と「将来の年金の減り分、それにNISAで運用した場合に期待できる分」を並べて、後者が勝ったときだと考えています。数年以内に退職する予定があるなら、退職所得控除を使える点が効くので、続ける理由は強くなります。
DOE(株主資本配当率)を私が見ている理由
DOEは、会社が積み上げてきた株主資本に対して何%を配当に回すか、という基準です。配当性向とは見ている場所が違います。
| どこから配当を出すか | 弱点・強み | |
|---|---|---|
| 配当性向 | その年の利益から | 赤字の年は利益がないので、配当もゼロになりやすい |
| DOE | 積み上げてきた株主資本から | 多少の赤字が出ても、資本がある限り配当を続けやすい |
高配当株で配当を受け取っていく形では、増えることと減らないことの2つが大事です。DOEを基準にしている会社は、この2点で見やすいと感じています。
- 減配になりにくい。景気が悪くなって利益が半分になっても、会社の資本が急に半分になることはありません
- 来年の配当が読みやすい。「利益の30%を出します」だと来年の利益が分からないので計算できませんが、「資本の3%を出します」なら見通しが立ちます
DOEを配当方針に取り入れている会社の例
| 会社 | 私が見ている点 |
|---|---|
| 三菱商事 | 減配しないという累進配当を掲げていて、DOEも意識した方針を出している |
| 花王 | 国内でもっとも長い連続増配の記録を持っている。資本の厚みが背景にある |
| 武田薬品工業 | 利益の振れが大きくても、資本を基準に高い配当を維持している |
DOEが高いからいい会社、とは限りません
こびと株さんの見方を借りると、確かめるのは次の2点です。
- 資本が削られていないか。利益が出ていないのに資本を切り崩して配当を維持している会社は、いずれ続かなくなります
- DOEの数字が低すぎないか。おおむね2.5%〜4%程度が目安と言われます。低すぎる場合は、株主に戻すことに消極的なのかもしれません
高配当株の投資は、鶏を売らずに卵だけをもらい続ける形だと思っています。DOEを基準にしている会社は、体調が少し悪いくらいでは卵を産むのをやめない鶏に見える、というのが私の受け取り方です。それでも鶏の健康診断は、自分で毎年見るようにしています。
※ここまで挙げた会社や商品は、私の保有状況や調べたことの紹介であり、買うこと・売ることをすすめるものではありません。判断はご自身の責任でお願いします。
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