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元JAL客室乗務員バフェットかおるが、50代からでも始められる高配当株投資をわかりやすく解説しています。

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銀行株は遅くない。三菱UFJ・三井住友FG・三井住友トラスト──ドル建てで見れば、まだ「割安」

この記事は約31分で読めます。

銀行株は遅くない。三菱UFJ・三井住友FG・三井住友トラスト──ドル建てで見れば、まだ「割安」
「もう銀行株は上がりすぎ。今から買うのは遅い」

三菱UFJは2021年からの5年で株価が約5.8倍。三井住友FGも三井住友トラストも、月足チャートで見れば見事な右肩上がりで、「もう天井圏では?」と感じるのは自然なことです。

でも、私はあえて言います。銀行株は、まだ遅くない。

正確に言うと、「高配当株として配当利回りだけで見ると、ちょっと物足りない水準まで上がっています。でも、これから1年・2年で増配が続くこと、そしてドル建てで見ると景色がガラリと変わること、さらに信託グループの知られざる稼ぐ仕組みを理解すると、いまの段階でもまだ買える理由がある」というのが、私のいまの結論です。

かつてウォーレン・バフェットが日本の5大商社に投資したのは2020年。当時、商社株は「PBR1倍割れの古臭い業種」と言われていました。それから5年で、5大商社の株価は数倍になりました。いまの3メガバンク(の信託も含めた銀行株)は、当時の商社にどこか似ています。

この記事では、私がいま注目している3銘柄──三菱UFJ(8306)・三井住友FG(8316)・三井住友トラストグループ(8309)──について、最近の決算、大きなニュース、株価・PER・PBR・配当利回り、そして「ドル建てで見るとどう違うのか」を、15年単位でひもといていきます。

長くなりますが、最後まで読んでいただくと、「あ、まだ全然遅くない」と腹落ちしていただけるはずです。今日も、ゆっくりお付き合いください。

結論を先に書きます。私が「銀行株は遅くない」と考える理由は、大きく4つあります。

(1) 増配スピードが株価上昇に追いついてきた
株価が上がると、配当利回りは下がります。これは算数です。だから「もう利回りが低い、買えない」と言う方が多い。でも、銀行株の場合、いま増配のスピードがすさまじいことになっています。

三菱UFJの1株配当を見てください。2020年3月期は25円。2026年3月期は86円(予想時点、画像参照)。6年で約3.4倍です。三井住友FGも、2020年に180円(分割考慮前)から、株式分割後の実質ベースで2026年期は157円、翌期予想は実質ベースで14.6%増配。三井住友トラストも、2025年38.75円から2026年46.25円、翌期予想47.5円と、増配が続いています。

つまり、「いま3%の配当利回り」で買っても、2~3年後の取得簿価ベースの利回りは4%、5%に化けていく可能性が高い、ということです。

(2) PBR(株価純資産倍率)で見るとまだ割安
PBRが1倍を割っていた時代、私はメガバンク株を「割安だが事業環境が悪い」と判断して様子見していました。いまは1.1〜1.55倍。これだけ純利益が伸びている会社のPBRとしては、まだ高くありません。バフェット氏が日本5大商社に投資した2020年当時、商社のPBRも0.5〜0.8倍程度。そこから5大商社のPBRは1.5〜2倍水準まで再評価されました。銀行株は、いま「再評価が始まったばかり」の段階にあると、私は見ています。

(3) ドル建てで見ると、株価はそれほど上がっていない
これが今日の記事のいちばん大切なポイントです。私たちは円で生活しているので、円建てチャートで「もう高い」と感じます。でも、世界の投資家は基本的にドルで物事を考えます。ドルで換算したメガバンクの株価は、円で見るほどには上がっていないのです。詳しくは第5章で。

(4) 構造的な追い風がまだ続く
日銀の金利政策の正常化、海外プロジェクトファイナンスの世界的需要、確定拠出年金(DC)市場の長期的な拡大──いずれも一過性のブームではなく、5年・10年単位で続く構造的な追い風です。

ここから1つずつ、銘柄ごとに見ていきましょう。

2. 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)──世界一の融資銀行になった日
2-1. いまの株価とバリュエーション
2026年5月26日の株価は、3,054円。前日比マイナス12円、出来高は午前中だけで1,320万株。日中の取引は活発に動いています。

主要指標を整理すると:

予想PER: 12.77倍
実績PBR: 1.55倍
予想1株配当: 96円
予想配当利回り: 3.14%
予想EPS: 239.2円
実績BPS: 1,973円
時価総額: 約34.7兆円
配当利回り3.14%。私の高配当株基準(3.75%以上)からはやや低い水準です。ここだけ見ると、「ちょっと足りない」というのは事実です。ただ、後で述べますが、これからの増配で簿価ベースの利回りは確実に上がります。

2-2. メガ初の純利益2兆円台──歴史的な決算
2026年5月15日、三菱UFJは大きなニュースを発表しました。日経新聞の見出しはこうでした。「三菱UFJの純利益メガ初2兆円台、中東混迷で引当金250億円 26年3月期」。

日本のメガバンクで、純利益が2兆円を超えたのは、これが初めてです。3メガの中で三菱UFJが頭一つ抜けた瞬間でした。中東情勢の混迷で250億円の引当金を積みながら、それでも2兆円台に乗せた。本業の地力の強さを、これほど雄弁に語る数字はありません。

2-3. 日経が大きく報じた「世界インフラ融資100兆円、首位は三菱UFJ」
もうひとつ、2026年5月23日の日経新聞朝刊一面級の記事を紹介します。「世界インフラ融資100兆円 5年で2倍、AIや経済安保 前期首位は三菱UFJ」。

世界中で進むサプライチェーンの再編、AIデータセンター建設、エネルギー転換、半導体工場の新設──これらの「巨額の事業」に必要な資金を供給するのが、プロジェクトファイナンス(事業融資)と呼ばれる融資手法です。1案件で数百億~数兆円規模の大型融資が動きます。

そして、世界中の銀行がこのプロジェクトファイナンスを取り合っている中で、2026年3月期に世界一の融資額になったのが、私たちの三菱UFJ銀行でした。

これがどれだけすごいことか アメリカのJPモルガンやシティ、ヨーロッパのHSBCやBNPパリバといった世界の超巨大銀行を抜いて、日本の銀行が世界一になったのです。しかも、5年で市場が2倍になった成長分野で、その先頭に立っている。

「日本の銀行は世界から遅れている」──そんなイメージはもう過去のものです。少なくともプロジェクトファイナンスの分野では、三菱UFJが世界をリードしています。AIデータセンターや経済安全保障絡みの需要は、これから10年単位で続きます。三菱UFJはそのど真ん中に陣取っています。

2-4. AI投資と生成AI活用──Sakana AIとの提携
三菱UFJは、生成AIの活用にも積極的です。2025年5月には、米Google出身者が設立したSakana AIと提携。生成AIで融資の稟議書を自動作成する取り組みを発表しました。3年で500億円としていたAI予算枠を、さらに100億円積み増しています。

銀行は紙の山でした。それがAIで自動化される時代がやってきた。コスト構造そのものが変わります。業務効率化で浮いた人件費は、利益に直結します。

2-5. PBR・PERの長期推移──まだ歴史的に高すぎない
三菱UFJのPBR推移を見てみましょう。

2011年: 0.61倍
2016年: 0.47倍(マイナス金利導入で銀行株が暴落)
2020年: 0.32倍(コロナショック)
2024年: 0.93倍
2025年: 1.13倍
現在(2026年5月): 1.55倍
確かに、過去15年で最も高いPBR水準にあるのは事実です。でも、純利益が2兆円台に乗せ、ROEが11.46%に達した会社のPBR1.55倍は、世界基準で見れば全然高くありません。アメリカのJPモルガンのPBRは2倍前後で推移しています。

PERも12.77倍。直近10年の平均PER(8〜10倍)から見れば高い水準ですが、これだけ収益力が上がった以上、PER水準が切り上がるのは当然のことです。

2-6. 配当の推移──毎年確実に増配
三菱UFJの1株配当推移(画像から)を整理します。

2020年3月期: 25円
2022年3月期: 32円
2024年3月期: 41円
2025年3月期: 64円
2026年3月期: 86円
2027年3月期予想: 96円
6年で約3.8倍の増配です。配当性向は40%前後で安定。総還元性向(配当+自社株買い)も60%前後をキープしています。自社株買いも2026年3月期は5,001億円。1.35兆円の株主還元を実施した会社が、来期は配当を11.6%増やそうと言っているのです。

2-7. 三菱UFJの私の評価
三菱UFJは、いま私のポートフォリオの中核銘柄です。配当利回り3.14%は、私の基準(3.75%以上)からは少し物足りない。ですが、世界一のプロジェクトファイナンス銀行、メガ初の純利益2兆円、毎年の自社株買い、増配ペース──総合的に判断すれば、「もう少し下がれば追加で買いたい銘柄」と位置付けています。

3. 三井住友フィナンシャルグループ(8316)──静かに過去最高益を更新し続ける力強さ
3-1. いまの株価とバリュエーション
2026年5月26日の三井住友FGの株価は、6,054円。前日比マイナス2円、出来高は午前中だけで486万株、売買代金は293億円。三菱UFJを上回る売買代金で取引されています。

主要指標を整理すると:

予想PER: 13.45倍
実績PBR: 1.46倍
予想1株配当: 180円
予想配当利回り: 2.97%
予想EPS: 450.2円
実績BPS: 4,135.71円
時価総額: 約22.2兆円
配当利回り2.97%。三菱UFJよりさらに低いです。「これじゃ高配当株とは呼べないでしょ」と言われそうですね。私もそう思っていた時期があります。でも、ちょっと待ってください。

3-2. 純利益1兆5,829億円──過去最高益を3期連続更新
2026年5月13日、三井住友FGの決算発表が行われました。連結純利益は前期比34.4%増の1兆5,829億円。3期連続で過去最高益を更新です。来期(2027年3月期)も7.4%増の1兆7,000億円を見込み、4期連続最高益、6期連続増益の計画です。

本業のもうけを示す傘下行の業務純益は26%増の1兆4,918億円。貸出金が増える中、貸出金利も上昇して金利収入が増えました。日銀の利上げが、ジワジワと銀行の収益に効いてきています。

ROE(自己資本利益率)は10.4%。三菱UFJの11.46%にやや劣りますが、メガバンクで10%超のROEを稼ぐようになったのは、ここ数年の話です。

3-3. 1株を2株に分割、優待制度も新設──個人投資家を強く意識
三井住友FGが今回の決算で打ち出した株主政策が、なかなか興味深い。

(1) 株式分割(1株→2株): 2026年9月30日基準で、1株を2株に分割。これにより、最低投資単位がほぼ半分になり、個人投資家が買いやすくなります。NISA枠での購入も、より柔軟になるでしょう。

(2) 1,800億円の自社株買い: 上限1,800億円の大規模な自社株買いを発表。EPSが向上し、株価にも長期的にプラスです。

(3) 株主優待の新設: 長期保有株主向けに、Vポイントの付与や定期預金金利の上乗せといった優待制度を導入。これは、銀行株では珍しい取り組みです。

「個人投資家にもっと持ってほしい」というメッセージが、ハッキリ伝わってきます。50代60代で資産形成を続けている私たちにとって、これほど嬉しい話はありません。

3-4. 配当の推移──静かな増配の継続
三井住友FGの1株配当推移(画像から、株式分割考慮前)を見てみます。

2020年3月期: 180円
2022年3月期: 210円
2024年3月期: 270円
2025年3月期: 330円(中間期に分割実施)
2026年3月期: 350円(実質ベース)
2027年3月期予想: 実質14.6%増配
※2024年10月1日に1株→3株の分割を実施しており、上記は調整前の金額のイメージです。実質ベースで見ても、6年で約2倍の増配です。

三菱UFJと違って派手なニュースは少ないですが、静かに、確実に、強いのが三井住友FGです。私は「派手じゃないけど、家計を支える働き者の銀行」というイメージで見ています。

3-5. 三井住友FGの私の評価
三井住友FGの配当利回り2.97%は、私の高配当株基準(3.75%以上)からは結構離れています。ただし、株式分割で買いやすくなる、株主優待が新設される、6期連続増益で増配が続く──これらをトータルで考えると、「成長と還元のバランスが取れた優良株」と評価しています。

NISA成長投資枠で、毎年少しずつ買い増していくのに適した銘柄。一気に大きく買うのではなく、株式分割後の値動きを見ながら、押し目で拾っていきたいと考えています。

4. 三井住友トラストグループ(8309)──あまり知られていない「日本の年金を牛耳る会社」
ここからの話、少し力を入れて書きます。三井住友トラストグループは、3メガと一緒に語られることが多いのに、その実態はメガバンクとは全く別の会社です。そして、ほとんどの個人投資家がその「真の強さ」を知りません。

4-1. いまの株価とバリュエーション
2026年5月26日の三井住友トラストGの株価は、5,673円。前日比プラス12円。

主要指標を整理すると:

予想PER: 10.23倍(3社で最安)
実績PBR: 1.11倍(3社で最安)
予想1株配当: 190円
予想配当利回り: 3.35%(3社で最高)
予想EPS: 554.8円
実績BPS: 5,104.06円
3社の中でPERもPBRも最安、配当利回りも最高。スコアだけ見れば、いちばん割安なのは三井住友トラストGです。

4-2. 国内唯一の信託グループ──「銀行」ではない、「信託」のビジネスモデル
三井住友トラストグループの正体は、メガバンクではありません。国内唯一の信託銀行を中核とする金融グループです。これがどういう意味を持つのか、私もここ数年で本格的に理解しました。

普通の銀行は、お金を集めて(預金)、お金を貸して(融資)、その利ざやで儲ける商売です。だから金利が下がると業績が悪化します。マイナス金利時代に銀行株が大暴落したのは、このビジネスモデルの宿命でした。

一方、信託銀行は違います。信託銀行のビジネスの中核は、お客様から「資産を預かって運用・管理する手数料」を稼ぐビジネスです。預かった資産の額に応じて、毎年「資産管理料」「運用報酬」「企業年金管理料」が落ちてきます。これは金利が上がろうが下がろうが、関係なく入ってくるお金です。

金利環境に左右されにくい、安定したストック型ビジネス──これが信託銀行のすごさです。

4-3. 圧倒的な4つのNo.1──ほとんど誰も知らない数字
三井住友トラストグループの公式IR資料(2025年3月末時点)から、4つの圧倒的な数字を紹介します。これを知っているだけで、あなたの銀行株に対する見方は変わります。

分野 順位 残高・規模
資産運用分野 No.1 運用残高 140兆円
資産管理分野 No.2 管理残高 263兆円
企業年金分野 No.1 企業年金受託残高 14兆円
証券代行分野 No.1 管理株主数 4,241万人
もう一度、この数字を見てください。

運用残高140兆円。資産管理残高263兆円。企業年金14兆円。証券代行で管理する株主4,241万人。

日本の人口の3分の1以上が、知らないうちに三井住友トラストGに「株主名簿の管理」をしてもらっている計算です。日本中の上場企業の株主総会の発送業務、配当金の振り込み業務、その多くを三井住友トラストグループが担っています。これがどれだけ独占的なポジションか、想像してみてください。

4-4. 確定拠出年金(DC)──日本の老後資金を支える縁の下の存在
「企業年金受託残高14兆円・No.1」──この数字、本当はもっと大きく報じられるべきです。

確定拠出年金(企業型DC、個人型iDeCo)は、いま日本人の老後資産形成の最大の柱になりつつあります。NISAと並ぶ二大優遇制度の片方です。そしてこの確定拠出年金事業を、運営管理から資産管理、商品提供までフルラインで提供できる金融機関は、日本でも数えるほどしかありません。

三井住友信託銀行は、その中でも「全機能を1社で完結できる」フルライン提供を売りにしている数少ないプレーヤーです。日本企業の企業型DC加入者の多くが、知らないうちに、三井住友信託銀行の口座で運用しています。

確定拠出年金市場は、これから10年・20年で確実に拡大します。少子高齢化で公的年金の代替手段としての企業年金・個人年金の重要性が高まり、政府も拠出限度額の引き上げを進めています。三井住友トラストGは、この拡大の最大の受益者の一社になります。

4-5. ハイブリッドモデルがもたらす「金利に左右されない収益構造」
三井住友トラストグループの公式IR資料には、こう書かれています。「銀行と信託のハイブリッドモデル」「金利環境に左右されにくい安定した収益構造」「国内3メガバンクと比べ、高い手数料比率」。

2024年度の実績で見ると、三井住友トラストの手数料比率は3メガ(MUFG・SMFG・みずほFG)や欧米主要4社(シティ、JPモルガン、BNPパリバ、HSBC)と比べても、高水準にあります。さらに、不良債権比率は3メガと比べても低い水準。「儲けの質が高く、貸し倒れリスクは低い」──これが信託銀行のビジネスモデルの強さです。

4-6. 2026年3月期決算──過去最高益3,175億円
2026年5月14日に発表された三井住友トラストGの2026年3月期決算は、純利益3,175億円(前年比23%増)で過去最高益を更新。当初予想の2,950億円を220億円も上回りました。政策保有株式の売却益が大きく寄与しています。

年間配当は前期比30円増配の185円。さらに翌期(2027年3月期)の予想配当は190円。3社の中でも最高水準の配当を、しっかり増配しながら維持しています。

4-7. 配当の推移──地味だが堅実な増配
三井住友トラストGの1株配当推移(画像から)を整理します。

2020年3月期: 18.75円(分割考慮前)
2022年3月期: 21.25円
2024年3月期: 27.5円
2025年3月期: 38.75円
2026年3月期: 46.25円
2027年3月期予想: 47.5円
※2024年1月に株式分割を実施したため、上記は分割後の数字。実際の現在の予想1株配当は190円(分割前ベース)です。

4-8. 三井住友トラストGの私の評価
三井住友トラストGは、3社の中でいちばん割安で、いちばん配当利回りが高く、いちばん事業構造がディフェンシブな銘柄です。にもかかわらず、メディアでは三菱UFJや三井住友FGの陰に隠れて、あまり目立たない。

私の評価は明確で、「いまから買うなら、3社の中で最初に手をつけるとしたら三井住友トラストG」です。配当利回り3.35%は私の基準にもう一歩というところまで来ています。ここからもう少し株価が落ち着いて、利回りが3.5〜3.8%水準まで上がってきたら、私は喜んで買い増します。

5. 円で見れば右肩上がり、ドルで見ると景色が違う──15年間の検証
さて、ここからが今日の記事の核心です。

銀行株のチャートを見ると、私たちは円建てで見ています。月足の10年チャートを見れば、三菱UFJも三井住友FGも三井住友トラストも、見事な右肩上がり。「もう天井圏でしょ」と感じます。

でも、世界の投資家は基本的にドルで考えます。アメリカの大手機関投資家、中東のソブリン・ウェルス・ファンド、ヨーロッパの年金基金──彼らが日本株を見るときの基準は、円ではなくドル建てです。そして、ドルで見た日本の銀行株は、円で見るほどには上がっていません。

5-1. ドル円レートの15年間の推移
まず、ドル円レートが過去15年でどう動いたかを整理します(年間平均レート、IMFデータより)。

年 1ドル= 備考
2011年 79.81円 歴史的な円高ピーク
2013年 97.60円 アベノミクス開始
2016年 108.79円 マイナス金利導入
2021年 109.75円 コロナ後
2022年 131.50円 円安進行開始
2024年 151.37円 歴史的円安
2025年 149.66円 横ばい
2026年(現在) 約159円 さらなる円安
2011年の79.81円から、2026年は約159円。円の価値は、ドルに対してほぼ半分になりました。

この事実を頭に入れてから、銀行株のチャートを見ると、世界が変わって見えます。

5-2. 三菱UFJ(8306)を1年・3年・5年・10年・15年単位でドル換算してみる
三菱UFJの月足チャートから、各時点の株価を読み取り、ドルに換算してみます(各年5月時点の概算)。

時点 株価(円) ドル円 株価(ドル換算) 現在比(円) 現在比(ドル)
15年前(2011年5月) 約400円 81円 4.94ドル +664% +289%
10年前(2016年5月) 約500円 110円 4.55ドル +511% +322%
5年前(2021年5月) 約560円 109円 5.14ドル +446% +274%
3年前(2023年5月) 約930円 138円 6.74ドル +228% +185%
1年前(2025年5月) 約2,000円 155円 12.90ドル +53% +48%
現在(2026年5月) 3,054円 159円 19.21ドル ── ──
※株価は月足チャートから読み取った概算値で、厳密な月末終値ではありません。

円建てで見ると、15年前と比べて+664%、つまり約7.6倍です。「もう上がりきった」と感じるのは無理もない数字です。

でも、ドル建てで見ると、15年前から+289%、つまり約3.9倍。これでも十分上がっていますが、円建てで見るほどの「天井感」はありません。

世界の投資家から見て、三菱UFJ株は「過去15年で4倍になった成長銘柄」であって、「8倍になった超過熱株」ではないのです。

5-3. 三井住友FG(8316)のドル建て推移
時点 株価(円) 株価(ドル換算) 現在比(円) 現在比(ドル)
15年前(2011年5月) 約750円 9.26ドル +707% +311%
10年前(2016年5月) 約1,100円 10.00ドル +450% +281%
5年前(2021年5月) 約1,400円 12.84ドル +332% +196%
3年前(2023年5月) 約2,200円 15.94ドル +175% +139%
1年前(2025年5月) 約4,000円 25.81ドル +51% +47%
現在(2026年5月) 6,054円 38.07ドル ── ──
※株価は2024年10月の1→3株分割を考慮した近似値です。

三井住友FGも同様。円建てで見れば8倍、ドル建てでは4倍。世界の機関投資家が見たときの「割高感」は、私たちが感じているほど強くないのです。

5-4. 三井住友トラストG(8309)のドル建て推移
時点 株価(円) 株価(ドル換算) 現在比(円) 現在比(ドル)
15年前(2011年5月) 約330円 4.07ドル +1,619% +839%
10年前(2016年5月) 約400円 3.64ドル +1,318% +949%
5年前(2021年5月) 約400円 3.67ドル +1,318% +941%
3年前(2023年5月) 約500円 3.62ドル +1,035% +953%
1年前(2025年5月) 約3,500円 22.58ドル +62% +58%
現在(2026年5月) 5,673円 35.68ドル ── ──
※2024年1月の株式分割を考慮した近似値です。

三井住友トラストGは、3社の中でも特殊な動きをしています。長らく株価が停滞していた時期があったため、過去10年・15年の上昇率は3社の中で最も大きい。ただし、これも分割考慮ベースであり、株価が本格的に動き出したのは2023年以降です。

5-5. 何が言いたいのか──「日本円の購買力が落ちている」という事実
この比較が意味するのは、こういうことです。

円で見て「2倍になった」と感じる資産は、ドルで見ると1倍ちょっとしか上がっていないことがある。なぜなら、その上昇分の半分は「円の価値が下がったこと」によるものだから。

これは、銀行株だけの話ではありません。日経平均、不動産、ゴールド、すべて同じです。私たちが「上がった!」と思っているものの多くは、「円の価値が下がったから、円換算した時の数字が上がって見えているだけ」という側面があります。

逆に言うと、世界の投資家から見て、いまの日本の銀行株はまだまだ「お買い得ゾーン」にいるということです。中東のオイルマネー、欧米の年金基金、彼らがドル建てで日本株を買い続けている理由が、ここにあります。

バフェット氏が日本の5大商社に投資し続けているのも、まったく同じ理由です。ドル建てで見れば、日本の優良株はまだ十分に安い。だから買い増す。これがバフェット氏の冷徹な計算です。

6. バフェットの日本投資──6年間の時系列で見ると「答え」が見えてくる
ここからの話、いつも以上に集中して読んでください。今日いちばん大切な章です。

ウォーレン・バフェット氏は、過去6年間で「日本株を3段階に分けて」買ってきました。2019〜2020年の5大商社買い、2022〜2025年の商社買い増し、そして2026年3月の東京海上HD出資──この3回の投資には、それぞれ全く違うPBR・PERのタイミングがあります。

そして、この時系列を並べると、なぜいまバフェットがドル建てで日本株を買い続けているのか、その本当の理由が見えてきます。

6-1. PBRと配当利回りって何?
本題に入る前に、3つの言葉だけ復習させてください。これさえ覚えれば、あとはスラスラ読めます。

PBR(株価純資産倍率): その会社の「中身の値段」に対して、株価が何倍になっているか。1倍を下回ると「会社の中身より株価が安い、お得」とされます。
PER(株価収益率): その会社が1年で稼ぐお金に対して、株価が何倍になっているか。低いほど「稼ぐ力に対して株価が安い」。
配当利回り: 今の株価で買った時、1年でもらえる配当が何%になるか。「持ってるだけでもらえる利息」みたいなもの。
はい、では本題です。

6-2. 【第1段階・2020年8月】バフェット、日本の5大商社をPBR0.66倍で買う
時計の針を、2020年8月に戻します。コロナで世界がボロボロだった時です。

この月、バフェット氏は、率いるバークシャー・ハサウェイが日本の5大商社株(三菱・三井物産・伊藤忠・住友・丸紅)を各5%超まで買っていたと発表しました。世界中の投資家が「えっ、なんで日本の古い商社株?」と驚きました。

当時の三菱商事の指標を、IRBANKのデータから書き出してみます。

時点 株価 PBR PER 配当利回り 当時のドル円
2020年8月(バフェット発表時) 838円 0.66倍 赤字直前 約5.5% 約106円
注目してほしいのは、PBR0.66倍。これは「三菱商事の中身の値段が1万円分あるのに、株価では6,600円で売られている」状態。普通に考えれば、めちゃくちゃ安い。誰もが古い商社株を見向きもしなかった時期に、バフェット氏だけが「これは安すぎる」と気づいて、静かに買い集めていました。

そしてバフェット氏には、もうひとつ大きな勝算がありました。このとき、日本に投資する元手の「円」を、ドルではなく、円建ての社債発行で調達したのです。つまり、円安になっても、ドル換算したときに損しない仕組みを最初から作っていた。これがバフェット氏の冷徹なところです。

6-3. 【第2段階・2022〜2025年】バフェット、商社を買い増し続ける
「あれは2020年に安かったから買えたんだ、もう商社株は買えない」──そう思った方は、ここで間違いに気づきます。

バフェット氏は、2020年に発表したあとも、株価が上がるたびに買い増しを続けてきました。時系列で整理します。

時点 三菱商事 株価 PBR PER その時のバフェットの動き
2020年8月 838円 0.66倍 赤字直前 5%超保有を発表(最初の買い)
2022年11月 1,535円 0.83倍 約5.7倍 6%超まで買い増し
2023年4月 1,673円 0.79倍 約7.4倍 バフェット氏が来日、5大商社を訪問
2024年2月 3,205円 1.41倍 約13倍 株主への手紙で「保有率9%程度まで増やした」と公表
2025年9月 3,354円 1.40倍 約15.5倍 商社の保有率10%超に
2026年5月 5,252円 2.04倍 約17.5倍 5大商社全体で数兆円規模を保有
※株価・指標はIRBANK等から作成。月末ベースの概算。

見えますか? バフェット氏は、PBR0.66倍の時から買い始めて、PBR0.83倍、1.41倍、そして現在のPBR2倍超になるまで、ずっと買い続けているのです。

これがどれだけ大事な事実か、もう一度言います。「もうPBRが上がってしまったから、もう買えない」というのは、バフェット氏が一切やっていない考え方です。彼は、「この会社の将来の稼ぐ力に対して、今の株価がドル建てで割に合うかどうか」を見ているだけです。

2020年8月時点で1ドル=106円。2026年5月時点で1ドル=159円。円の価値は約3割下がったのです。バフェット氏から見れば、PBRが2倍に上がっても、円が3割安くなっていれば、ドル換算ではまだ買える計算が成り立ちます。

6-4. 【第3段階・2026年3月】そして、東京海上HDへの出資──これが「決定的な証拠」
そして決定打が、2026年3月23日。バフェット氏のバークシャー傘下のナショナル・インデムニティーが、東京海上ホールディングス(8766)に約2,874億円の出資を発表しました。発行済み株式の約2.5%、9.9%を上限とする友好的な長期投資です。

株価は3月23日の終値5,857円から、24日に6,857円(+17.07%)、25日には7,857円のストップ高まで一気に駆け上がりました。

ここで、東京海上HDのバフェット投資時の指標を、商社買い時と並べて見てください。

銘柄 バフェット投資時期 株価 PBR PER 配当利回り
三菱商事 2020年8月 838円 0.66倍 赤字直前 約5.5%
東京海上HD 2026年3月 5,857円(投資前日) 約2.2倍 約15〜20倍 約3.0〜3.6%
もう一度、この表を見てください。同じバフェット氏が、片やPBR0.66倍で商社を買い、片やPBR約2.2倍で東京海上を買ったのです。

商社を買った時と、東京海上を買った時のPBRは3.3倍も違います。バフェット氏は、明らかに「もう同じ基準では割安な日本株を探していない」のです。

6-5. なぜバフェットは「PBR2倍超」でも東京海上を買えたのか──ドル換算の魔法
「いやでも、バフェット氏は世界一の投資家でしょ。何か特別な計算があるはず」と思いますよね。

そうなんです。彼が見ているのは、円建てのPBRや配当利回りではなく、ドル建てで見たときの実質的な投資効率です。

2020年と2026年、同じ100万円で東京海上の株を買うと──

時点 東京海上の株価 ドル円 100万円で買える株数 その100万円はドルで?
2020年8月 約4,500円 106円 222株 9,434ドル
2026年3月(バフェット投資時) 5,857円 150円 170株 6,667ドル
円で見ると、東京海上の株価は2020年から2026年で4,500円→5,857円(+30%)に上がっています。「もう高くなった」と感じますよね。

でもドルで見ると違います。同じ東京海上株1株が、ドル建てでは2020年の42ドルから2026年は39ドル。むしろ安くなっているのです。

※株価は近似値です。2020年の東京海上は株式分割前の数字を分割後相当に調整。

これがバフェット氏が「PBR2倍でも買える」と判断した理由です。日本円は、ドルに対して大きく価値を落としました。だから、円建てPBRが上がっても、ドル建てでは買える価格にとどまっている。

世界の投資家は、ドルでものを考えています。私たち日本人だけが、円建てチャートを見て「もう高い」と思い込んでいる。これが、いまの日本株市場で起きている最大の「思い込みのワナ」です。

6-6. バフェットの3段階投資から見える「正解」
6年間の時系列をまとめると、こうなります。

段階 時期 銘柄 PBR水準 意味
第1段階 2019〜2020年 5大商社(最初の購入) 0.6〜0.8倍 「中身より安い」を狙う
第2段階 2022〜2025年 5大商社(買い増し) 0.8〜1.6倍 上がっても買い続ける
第3段階 2026年3月 東京海上HD(新規投資) 約2.2倍 ドル建て割安なら買う
バフェット氏は、明らかに「日本株への投資基準を、PBR1倍前後から、PBR2倍前後まで引き上げた」のです。

これは何を意味するか。「日本株は全体的に、PBR2倍前後までは買って割に合う」とバフェット氏が判断しているということです。

6-7. ここで3メガバンクの現在地を見てみる
では、私たちの3メガバンクのいまのPBRはどうでしょうか。

銘柄 現在のPBR 東京海上HDとの差 三菱商事(現在)との差
三菱UFJ(8306) 1.55倍 0.65倍も安い 0.49倍も安い
三井住友FG(8316) 1.46倍 0.74倍も安い 0.58倍も安い
三井住友トラストG(8309) 1.11倍 1.09倍も安い 0.93倍も安い
参考: 東京海上HD 約2.2倍 ── ──
参考: 三菱商事 約2.04倍 ── ──
もう、答えは出ています。

バフェット氏がPBR2.2倍で買った東京海上HDと比べて、3メガバンクは全て、まだ大きく割安です。とくに三井住友トラストGのPBR1.11倍は、東京海上HDの「ちょうど半分」の水準です。

そして、5大商社が2020年のPBR0.66倍から2026年のPBR2.04倍まで再評価されてきたのと同じことが、これから銀行株でも起きる可能性が高い。バフェット氏のお墨付きがついた東京海上HDの水準まで再評価されるなら、銀行株にはまだ大きな上昇余地があります。

6-8. 配当利回りの比較も忘れずに
もうひとつ、配当利回りの比較も見ておきましょう。これも答えがハッキリ出ます。

銘柄 配当利回り(予想)
三菱UFJ 3.14%
三井住友FG 2.97%
三井住友トラストG 3.35%
東京海上HD(バフェット投資先) 約3.0〜3.6%
三菱商事(現在) 約2.4%
バフェット氏が買った東京海上HDより、三井住友トラストGの方が配当利回りが高い。三菱UFJも東京海上HDと同水準。「バフェットが買えた水準なら、私たちも買って良い水準」──これが、今日の記事のいちばん大事な結論です。

6-9. いちばん大事なところを、もう一度短くまとめます。

2020年: バフェットさんは、「中身より安い(PBR0.66倍)」商社を買った。
2022〜2025年: 商社の株価が2倍になっても、3倍になっても、バフェットさんは買い続けた。
2026年3月: 東京海上HDという保険会社を、「中身の2.2倍(PBR2.2倍)」の値段で買った。
なぜ? 日本の円がドルに対して安くなったので、円で見れば高くなっても、ドルで見ればまだお買い得だから。
いまの銀行株は? 三菱UFJのPBRは1.55倍、三井住友FGは1.46倍、三井住友トラストは1.11倍。バフェットさんが買った東京海上(PBR2.2倍)よりも、全然安い。
結論: バフェットさんが東京海上を買えた今、銀行株を買わない理由を探すほうが難しい。
──これが、ウォーレン・バフェットが6年間で示してくれた「答え」です。

7. 「割安になるのを待つ」という落とし穴
「もう少し下がってから買おう」

「PBR1倍を割ったら買おう」

「配当利回り4%を超えたら買おう」

──私自身、何度もこういう判断をしてきました。そして、何度も後悔しました。

7-1. 株価が下がるのを待ち続けて、買えなかった銘柄たち
私がJALを退職した48歳の頃、こんな話を覚えています。あの頃、私は三菱UFJ株を500円台で買おうかどうか迷っていました。「いや、もう少し下がってから」「いまは銀行業界が悪いから、もっと下がるはず」と。

結果、私は三菱UFJを当時買い損ねました。気づいたら株価は1,000円、2,000円、そして3,000円台に。「あのとき500円台で買っておけば、もう6倍になっていた」と何度も思いました。

でも、これは三菱UFJに限った話ではありません。バフェットの商社投資もそうです。発表時、「もうここまで上がったらバフェットも買い終わってる、いまから買うのは遅い」と多くの個人投資家が言いました。でも、そこから商社株はさらに2倍以上になりました。

7-2. なぜ「下がるのを待つ」と、いつまでも買えないのか
理由は単純で、株価が下がる時というのは、たいてい「市場全体が悲観に包まれている時」だからです。コロナショック、リーマンショック、東日本大震災後、マイナス金利導入直後。そういう「みんなが投げ売りしている時」に、冷静に買えるかどうか。

そして、たとえ下がっても、その時には「もっと下がるかも」という恐怖が勝って、結局買えない。これが多くの個人投資家のパターンです。私自身、何度もこのパターンにはまりました。

7-3. ドル建てで考えると、「待っても割安にならない」可能性が高い
第5章で見たように、ドル建てで考えると、日本の銀行株はまだまだ世界基準で割安です。世界の投資家が「日本の銀行は安い」と思って買い続ける限り、円建ての株価が大きく下がるシナリオは想定しにくい。

つまり、「PBR1倍を割るまで待つ」「配当利回り4%まで待つ」と決めていると、おそらく一生買えません。なぜなら、世界の投資家がそこまで売り込ませてくれないからです。

これが、私が「いまから少しずつ買い始める」ことを推奨する理由です。

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8. 私の投資方針──いつ・いくらで・どう買うか
8-1. 一気買いはしない──分散して少しずつ
私の基本方針は変わりません。1銘柄1回1万円から、無理せず少しずつ。例えば三井住友トラストGなら、いまの株価で1単元(100株)買うのに約57万円。これは50代60代の方には、一気には大きい金額です。

私のおすすめは、NISA成長投資枠を使って、毎月1万円ずつ、銀行株3社の単元未満株(1株から)を買っていく方法。SBI証券や楽天証券では、1株から手数料無料で買える銘柄が多くあります(2026年5月時点)。

8-2. 3銘柄の優先順位
もしいま、3社から1社だけ選ぶとしたら、私は三井住友トラストグループ(8309)から始めます。理由:

PER10.23倍・PBR1.11倍・配当利回り3.35%──3社で最も割安
確定拠出年金市場の長期成長を享受できる
金利環境に左右されにくい手数料ビジネスの比率が高い
あまり注目されていないので、再評価の余地が大きい
続いて三菱UFJ(8306)。世界一の融資銀行というポジションは、これからのAI・経済安保時代に圧倒的な追い風になります。配当利回り3.14%は基準にもう一歩ですが、増配ペースから判断すれば2〜3年後の取得簿価利回りは4%超になる可能性が高い。

3番目に三井住友FG(8316)。配当利回り2.97%は3社の中で最も低いですが、株式分割と株主優待新設で、個人投資家には買いやすくなります。NISAでコツコツ買い続けるのに適しています。

8-3. いつまで持つか──私は配当をもらい続ける限り、売らない
これは私の哲学ですが、高配当株は基本的に「死ぬまで持つ」つもりで買います。値上がり益を狙うのではなく、毎年の配当という「お金のなる木」を育てる感覚です。

三菱UFJを15年前に500円で買って、いまも持っていたら、現在の配当96円(予想)で取得簿価利回りは19.2%。これが「複利の魔法」と「増配の威力」です。今日買えば、15年後にも同じことが起きる可能性があります。

9. リスクと注意点──正直に書いておきます
いいことばかり書いてきたので、リスクも正直に書いておきます。

9-1. 金利低下リスク
日銀がもし利下げに転じれば、銀行の貸出金利が下がり、収益が圧迫される可能性があります。ただし、いまの日本のインフレ環境を考えると、近い将来に大幅な利下げに転じる可能性は低いと、私は見ています。

9-2. 不良債権リスク
中東情勢の混迷で、三菱UFJは250億円の引当金を積みました。三井住友FGも与信関係費用が13%増加。世界情勢の悪化で、海外貸出の不良債権化リスクは常にあります。

9-3. 株式市場全体のリスク
日経平均が大きく下落するような局面では、銀行株も例外なく下がります。コロナショック時の三菱UFJの-30%のような下落は、いつ起きてもおかしくないと心の準備をしておく必要があります。

9-4. 為替リスク(逆方向)
急激な円高が起きた場合、銀行の海外資産の円建て評価額が減少し、業績の下押し要因になる可能性があります。

9-5. 投資判断はご自身で
私が記事で紹介した銘柄は、私自身が保有・推奨している銘柄ですが、最終的な投資判断はご自身でお願いします。投資は自己責任です。ただ、私はこれからも増配する可能性が高い銘柄として、3社とも自分の年金代わりに持ち続けるつもりです。

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10. まとめ──銀行株は、遅くない
長くなりましたが、最後に大事なことだけ繰り返します。

「銀行株はもう上がりすぎて遅い」と感じるのは、円建てチャートで見ているから。ドル建てで見れば、日本の銀行株は世界基準でまだ割安。世界の投資家は買い続けている。だから、円建ての株価が大きく下がるシナリオは想定しにくい。

配当利回りは確かに私の基準(3.75%以上)からはやや物足りない。でも、増配スピードがすさまじい。2〜3年後には、いま買った株の取得簿価利回りは4〜5%に化ける可能性が高い。

そして、3メガそれぞれに「他社では真似できない強み」がある。三菱UFJは世界一の融資銀行。三井住友FGは静かな増益マシン。三井住友トラストは、日本の年金市場を支えるNo.1信託グループ。

バフェットが2020年に商社株を買った時、多くの個人投資家は「あんな旧産業を買って失敗するだろう」と笑いました。5年後、笑っていた人たちは、5大商社株の上昇を指をくわえて見ていました。

銀行株は、いまその「商社の2020年」に立っている、と私は見ています。世界の機関投資家とバフェットは、すでに動いています。私たち個人投資家も、いま動き出すべきタイミングです。一気に買う必要はありません。1株から、1万円から、無理のないペースで、ゆっくり積み上げていけばいい。

「今日があなたにとって、バフェットかおるのメンバーシップに入る日です」──いつものこの言葉で締めますが、メンバーシップに入らなくても、今日この記事を読んでくださったあなたが、これから3〜5年後、銀行株の配当通知を受け取って「あの時動いてよかった」と思っていただけたら、私はそれだけで嬉しいです。

バフェットかおるYouTubeチャンネル
バフェットかおる
5年で1億投資のド素人だった年収400万円のJALの底辺にいた客室乗務員が5年で億り人になった「誰にでもできる堅実な投資法」を紹介しながら、デパ地下でパートをしている54才の女が人生をやり直し中のチャンネルです。毎晩よる21時15分頃からラ...

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

夜9時のライブ配信でも、この話の続きをすることがあるかもしれません。YouTubeチャンネル「バフェットかおる(@buffettkaoru)」にもぜひ遊びに来てください。

※本記事は2026年5月26日時点の情報に基づいています。株価や指標は刻一刻と変動します。投資判断は必ずご自身の責任でお願いします。

※記事中で紹介した数字の出典: 三菱UFJ・三井住友FG・三井住友トラストGの各社IR資料、日本経済新聞、IRBANK、世界経済のネタ帳(IMFデータ)、各証券会社の公開情報

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