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「新NISAの成長投資枠で買ったものを、つみたて投資枠に移し替えられますか」という質問をいただきました。結論から書くと、移し替えることはできません。枠のあいだで商品を移す手続きは用意されていないので、どうしても形を変えたいなら、売って、あらためて買い直すことになります。そのときに大事なのが売った枠がいつ戻るかで、ここは私自身が以前この記事で書き間違えていました。2026年10月時点の制度にそって、確かめ直して書きます。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事の数字は2026年10月時点のものです。制度の内容は金融庁のNISA特設ウェブサイト(制度概要とよくある質問)と、金融機関が公表しているNISAのよくあるご質問で確認しました。制度の取扱いには細かい条件があるため、具体的な判断は税理士や税務署、口座のある金融機関にご相談ください。
結論|枠のあいだで商品を移すことはできません
成長投資枠で買った商品をつみたて投資枠へ、またその逆へ移すことはできません。金融機関が公表しているNISAのよくあるご質問にも、それぞれの投資枠で購入した投資信託は移管できない、と書かれています。
NISAでは、買ったときにどちらの枠を使ったかが決まります。あとから枠のラベルだけを貼り替える、という手続きは制度に用意されていません。
ついでに、同じ「移せない」に当たるものを並べておきます。
- 特定口座や一般口座で持っている商品を、NISA口座に移すことはできません。NISAは新規の買付が対象です
- 2023年までの旧NISAで持っていた商品を、2024年からのNISAへ移管(ロールオーバー)することはできません
- ほかの金融機関のNISA口座で持っている商品を、別の金融機関のNISA口座へ移すことはできません
成立済みの制度|2つの枠の金額と限度額
まず、はっきり決まっている数字です。ここは金融庁のNISA特設ウェブサイトに書かれている内容です。
| つみたて投資枠の年間投資枠 | 120万円 |
| 成長投資枠の年間投資枠 | 240万円 |
| 併用した場合の年間合計 | 360万円 |
| 非課税保有限度額(生涯の上限) | 1,800万円 |
| うち成長投資枠で使える上限 | 1,200万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
1,800万円の枠は、つみたて投資枠だけで使いきることもできます。一方、成長投資枠だけで1,800万円を埋めることはできません。成長投資枠は1,200万円が上限だからです。
対象商品は枠によって違います。つみたて投資枠は長期の積立・分散投資に適したものとして選ばれた投資信託が対象で、成長投資枠は上場株式や投資信託、ETFなどが対象です。ただし整理・監理銘柄や、信託期間20年未満で毎月分配型の投資信託などは成長投資枠からも除かれています。
売った枠はいつ戻るのか|ここを書き間違えていました
この記事でいちばん直したところです。書き直す前の本文には「成長投資枠で使った非課税枠は売却しても戻らない」と書いてありました。これは半分だけ正しくて、半分間違っています。
正しくは、2つの枠を分けて考える必要があります。
- その年の年間投資枠(120万円・240万円)は戻りません。年内に売っても、その年に使った分の年間枠が空くわけではありません
- 非課税保有限度額(1,800万円)は、翌年以降に戻ります。この1,800万円は買付けの残高(簿価残高)で管理されているので、売却すると、その商品の簿価の分だけ枠が空き、翌年以降に再利用できます
金融庁のよくある質問にも、売却した場合には当該商品の簿価分の非課税枠を翌年以降に再利用できる、と書かれています。
ここで「簿価」というのは、買ったときの金額のことです。たとえば100万円で買ったものが150万円に増えていて、それを売ったとします。戻ってくる枠は、売った金額の150万円ではなく、買ったときの100万円分です。増えた50万円の分だけ枠が増えるわけではありません。
戻るのは翌年以降です。年末に売っても、その枠が使えるようになるのは年が明けてからです。ここを勘違いすると、売った年に買い直そうとして枠が足りない、ということが起きます。
それでも形を変えたいなら|売って、買い直す
枠のあいだで移せないので、成長投資枠で持っている投資信託をつみたて投資枠で積み立てる形に変えたい場合、手順はこうなります。
- 成長投資枠で持っている商品を売る
- つみたて投資枠の対象商品のなかから選んで、積立の設定をする
- 買い直すぶんは、その年のつみたて投資枠(年120万円)を新しく使います
注意したいのは、この「買い直し」が新しい枠を使うということです。売った分の1,800万円の枠が戻るのは翌年以降なので、同じ年のうちに同じ金額を入れ直せるとは限りません。
それから、NISA口座内での売却は損益通算ができません。損が出ていても、ほかの口座の利益と相殺することはできませんし、繰越控除も使えません。売るかどうかを考えるときは、この点も含めて見る必要があります。
正直なところ、枠の形をそろえるためだけに売るのは、私にはもったいなく感じます。持っている商品に納得しているなら、枠のラベルが成長投資枠であることに実害はありません。非課税であることも、保有期間が無期限であることも同じです。
年間投資枠は繰り越せません
その年に使わなかった年間投資枠を、翌年に繰り越すことはできません。たとえば、ある年につみたて投資枠を60万円しか使わなかったとしても、残り60万円が翌年に足されることはありません。翌年はまた120万円からの計算になります。
1,800万円という生涯の枠は消えませんが、毎年の枠は使わなければその年の分が流れます。ここは急いで埋めるべきという話ではなく、仕組みとしてそうなっている、という事実として書いています。
金融機関はひとつ|変更は年単位
つみたて投資枠と成長投資枠を、別々の金融機関で使うことはできません。NISAはひとつの金融機関でまとめて使う仕組みです。
金融機関の変更は年単位でできます。ただし、その年にすでにその口座で買付けの受け入れがある場合、その年分の変更はできません。手続きは、今の金融機関に変更届出書を出し、新しい金融機関に口座開設届出書と勘定廃止通知書を出す、という流れです。
そして先に書いたとおり、金融機関を変えても、持っている商品を新しい口座へ移すことはできません。変更前の口座で持っている分はそのまま置いておく形になります。
検討段階のことは書きません
この記事に書いたのは、すべて2026年10月時点で成立している制度です。
NISAの制度は毎年の税制改正の議論の対象になるので、今後変わる可能性はあります。ただ、検討段階のものについては、今回の確認では確かな一次情報を押さえられませんでした。確かめられないものを「こうなるらしい」と書くと、それが制度として決まったかのように読まれてしまいます。なので、ここには書きません。
制度の変更は金融庁のNISA特設ウェブサイトで案内されます。気になるときはそこを見るのがいちばん早いと思っています。
元の記事から直したところ
- タイトルにあった誤字を修正
- 「成長投資枠で使った非課税枠は売却しても戻らない」:年間投資枠は戻らないが、非課税保有限度額は簿価分が翌年以降に戻る、と修正
- 「つみたて投資枠は初心者向け」「リスクが低め」「成長投資枠は大きなリターンを狙える」:どの枠を使うかと運用成果は別の話なので削除
- 「15年以上の長期的な資産形成に適している」:根拠を確かめられないため削除
- 枠のあいだで移管できない、課税口座から移せない、旧NISAからロールオーバーできない、年間枠は繰り越せない、という制度の事実を追加
私はこう使っています
私は、つみたて投資枠でインデックスファンドを積み立てて、成長投資枠で高配当の会社を買う、という分け方にしています。
ウォーレン・バフェットのやり方を真似して、良い会社を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で見る、わからないものは買わない、という3つを自分のルールにしています。成長投資枠を個別の会社に使っているのは、買いたいときに買える形にしておきたかったからです。積立の設定だと、安くなった日に多く買うということができません。
ただ、これは私が配当金を受け取る形を選んだからそうなったという話で、枠の正しい使い方があるわけではありません。つみたて投資枠だけで1,800万円を埋める形も制度として認められています。
枠の仕組みを調べ直して思ったのは、売り買いで枠を動かすより、最初に置き場所を決めてそのまま持っているほうが、制度との相性がいいということでした。枠が戻るのは翌年以降なので、頻繁に動かすと枠が追いつきません。私が買ったら売らないと決めているのは性格の問題でもありますが、この仕組みにも合っていたのだと今は思っています。
細かい条件は人によって変わります。具体的な判断は、税理士や税務署、口座のある金融機関にご相談ください。
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枠を使い始める前に、どこに口座を置くかを決めておくと、あとで動かす必要が減りました。NISAはひとつの金融機関でまとめて使う仕組みなので、私は最初にここを考えました。
私が実際に使っているのは次の2つです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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