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結論から書きます。2026年3月に起きた原油高は、「世界の値段が過去最高になったから苦しい」という話ではありませんでした。ドルで見た原油の値段は、2012年ごろのほうが高かったのです。それでも日本の家計が過去にないほど重く感じたのは、円が安いせいで、日本人が払う円建ての値段だけが歴史的な高さになっていたからです。
だから私は、まず生活費がどれくらい増えるのかを先に見積もり、そのうえで「原材料が上がっても値上げできて、それでも客が離れない会社」を決算で確かめる、という順番で動きました。この記事はそのときに整理したことをまとめたものです。
なお、記事の後半で会社の名前が出てきますが、これは私が決算を開いて見ている会社と、私の保有状況の紹介です。買うことをおすすめするものではありません。
この記事は公開情報をもとにした私自身の整理です。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。記事中の数字は2026年3月時点のもので、その後は変わっています。また、本文で紹介している試算は、ある経済アナリストの解説で挙がっていた数字をもとにしています。私のほうで元になった資料そのものまでは確かめられませんでした。断定ではなく「そういう見方があった」として読んでいただければと思います。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
円安のせいで、日本人が払う原油の値段だけが過去最高になった
同じ原油でも、「ドルで買ったときの値段」と「日本円で買ったときの値段」は別の動きをします。ここを分けて見ないと、今が高いのかどうかがわかりません。
2012年ごろは、世界的な原油の値段(ドル建て)は今よりも高い時期がありました。ただ、当時は1ドル80円台という強い円高でした。ドルで高くても、円に直すとそれほど高くならなかったのです。
2026年3月は逆でした。ドル建ての値段は過去最高ではないのに、1ドル150〜160円という円安が重なったため、円に直した値段は歴史上もっとも高い水準になりました。2022年のロシアによるウクライナ侵攻のときも原油は上がりましたが、円建てで見ると、そのときよりさらに高くなっていました。
つまり、このときの原油高は「原油の事情」と「為替の事情」が二重に乗ったものでした。中東情勢が落ち着いても、円安が続くかぎり円建ての値段は下がりきらない、という構造です。
家計の負担は年間3.6万円増える、という試算があった
原油が上がると、家計はどれくらい重くなるのか。解説で挙がっていたのは、1世帯あたり年間3.6万円ほどの追加負担という試算でした。消費税を2%上げられたのと似たような重さだ、という言い方もされていました。
この3.6万円は、ガソリン代だけの話ではありません。電気代、ガス代、運賃、そして食品や日用品の値段にも、少しずつ混ざって出てきます。給料が増えていないのに支払いだけ増えるので、感覚としては税金が増えたのに近い。だから「見えない増税」と呼ばれることがあります。
私はこの数字を、当たるかどうかを当てにいく予想としては見ていません。家計を見直すときの「このくらいは余分にかかるものとして置いておこう」という目安として使いました。
原油高は10か月かけて、電気代や食品の値段に出てくる
原油が上がった翌月に、すべての値段が上がるわけではありません。電気代や商品の値段にすっかり跳ね返るまでには、10か月ほどのずれがあるとされています。
これは、家計にとっては少し厄介な性質です。ニュースで原油高が騒がれているときには、まだ本体が来ていない。騒ぎが静まったころに、電気代の請求やスーパーの値札として届きます。だから私は、原油が上がったというニュースを見た時点で、「来年の春から夏の支払いが重くなるかもしれない」と思って家計のほうを先に動かしました。
国内で使われるはずだったお金が、エネルギー代として産油国へ出ていく、という見方もできます。円建ての原油価格と日本の消費者物価には、やはり連動する関係があると説明されていました。
日本の成長率がゼロに近づくと言われた理由
家計の支払いが増えれば、買い物は減ります。買い物が減れば、日本全体の景気も鈍ります。内閣府のモデルを使った推計として紹介されていたのは、原油高がこのまま続いた場合、日本の実質成長率がゼロ近辺まで落ちるおそれがあるという話でした。
日本はエネルギーの自給率が低い国です。原油が上がると、国として払うお金が増え、そのぶん国内に回るお金が減ります。1970年代の石油危機のときも、物価が上がって景気が止まる、という形になりました。歴史の教訓として挙げられていたのはその点です。
ここも、数字そのものを信じきるのではなく、「エネルギーが上がると日本は景気の面でも不利になりやすい」という方向だけを頭に入れておきました。
コスト増に弱い業種と、その理由
原油高で苦しくなりやすいのは、「コストは上がるのに、値段を上げにくい」業種です。解説で挙がっていた業種と理由を整理すると、次のようになります。
| 医薬品 | 原油由来の原材料や包装資材を多く使う一方、薬価は国が決めるため、自分の判断で値上げができない。影響が最も大きいとされていました。 |
| 電気・ガス | 燃料費調整制度で一部は転嫁できるが、満額は乗せられず、コストが残る。 |
| 陸運・空運 | 軽油やジェット燃料の値上がりを直接受ける。 |
| 小売・食料品 | 物流費の上昇と、消費者の買い控えが同時に来る。 |
| 建設 | 資材コストが上がり、受注時の見積もりとの差が出やすい。 |
| 水産農林 | ハウス栽培の燃料、船の重油、肥料など、エネルギーを大量に使う。 |
「価格転嫁ができるかどうか」という一本の線で、強い業種と弱い業種が分かれます。私はこの線を、決算を読むときの最初のふるいにしました。
原油高でも値上げできる会社に共通する3つのこと
私の投資はウォーレン・バフェットのやり方を真似しています。良い企業を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で見る、わからないものは買わない、という3つです。原油高のような場面でも、見るところは変わりませんでした。
- 原油が上がること自体が売上になる|資源を自分で持っている会社や、資源を扱う会社です。仕入れ値の上昇が、そのまま売る側の値段になります。
- 値上げしても客が離れない|「これがないと困る」と言われる製品やサービスを持っている会社です。原材料が上がった分を値段に乗せても、注文が減りません。バフェットが好んで話す「堀」があるかどうか、という見方に近いと思っています。
- 省エネや効率化を助ける技術を売っている|エネルギー代が上がると、世界中の会社が「どうにかして削りたい」と考えます。その削るための道具を売っている会社には、景気が悪い局面でも注文が入りやすくなります。
私が決算を開いて見ている会社(保有状況の紹介です)
ここから会社の名前を挙げますが、推奨ではありません。私が原油高の影響を考えるときに決算を開いている会社と、私の保有状況の紹介です。
資源そのものを持っている会社:INPEX(1605)/石油資源開発(1662)
日本で石油や天然ガスの開発をしている会社です。2026年3月にイラン情勢が緊迫し、ドル建ての原油価格が会社の想定(60ドル台前半)を大きく超えて80〜90ドル台で動いていたため、利益が想定より膨らむ余地がある、と言われていました。
こうした会社は、利益が出た年に配当を増やす傾向があります。原油高で増えた生活費の一部を、配当金で受け取るという考え方ができます。ただし資源の値段は下がるときも速いので、利益の水準がそのまま続くとは私は考えていません。
資源と商いの両方を持っている会社:三菱商事(8058)/三井物産(8031)
いわゆる総合商社です。石油、天然ガス、石炭といった上流の権益を世界に持っているため、原油が上がると利益が増えやすい形になっています。さらに、海外で稼いだ利益が円安で円建てに直すと大きくなるので、原油高と円安の両方が重なる局面では追い風が二重になります。
資源だけでなく、食料やインフラなど幅広く手がけているため、どこかが悪くても別のところで補える。この「崩れにくさ」が、私が長く持とうと思える理由です。
省エネと効率化を売っている会社:キーエンス(6861)
工場の自動化や効率化に使うセンサーで、世界でも上位にいる会社です。エネルギー代が上がれば、工場は人手や電気を削る方向に動きます。その投資先になりやすい会社だと私は見ています。利益率の高さと、値段を自分で決められる強さがある点を、決算のたびに確かめています。
プラントをつくる会社:日揮ホールディングス(1963)
エネルギー関連の大きな設備をつくる会社です。資源の値段が高い時期は、産油国やエネルギー会社の設備投資が動きやすくなります。そのぶん受注が出やすい立ち位置です。ただし大型工事は採算が読みにくく、1件で損益が振れることがあるので、私は受注残だけでなく工事の採算まで見るようにしています。
私が家計と投資でやると決めた4つのこと
ここは、私が自分の家計と口座に対して決めたことです。同じようにしたほうがいい、という話ではありません。
- 「見えない増税」を前提に、家計の固定費を先に見直した|年3.6万円ほど余分にかかるものとして、通信費や保険など、毎月自動で出ていくお金から順に見ました。
- 投資先は日本だけに寄せない|日本はエネルギーを買う側の国です。買う側だけに資産を置くと、原油高のときに家計も資産も同じ方向に傷みます。私は世界に広く置く部分を残しています。
- 持っている会社の「値上げできる力」を確かめた|原油高だから全部売る、という動きはしませんでした。コストが上がっても値段に乗せられる会社なのかどうかを、決算で一社ずつ見直しました。
- 急な逆回転にも備えを残す|今は円安ですが、反対に振れる場面も想定して、現金の置き場所を残しました。
いちばん注意していたのは「急な円高」への逆回転
当時の流れは「原油高 → ドルが必要 → 円安」でした。ただ、その先に逆転のシナリオがあります。
原油高が続いてアメリカの景気が深刻に落ち込んだ場合、アメリカは物価対策よりも景気対策を優先し、政策金利を急いで下げる可能性があります。一方、日本の政策金利はもともと低く、下げる余地がほとんどありません。結果として日米の金利差が縮み、それまでの円安が一気に円高へ巻き戻る、という形です。
この金利の水準は2026年3月時点として解説で挙がっていた数字で、今は変わっています。大事なのは水準そのものではなく、「円安が続く前提だけで資産を組むと、逆に振れたときに効く」という点だと私は受け取りました。
日経平均についても、原油高で企業の負担が増えると、上がる時期が後ろにずれるという見方が出ていました。私はこれを時期の予想としては使わず、下がった日に慌てないための心の準備として置いています。
まとめ:値段ではなく「値上げできるか」を見る
2026年3月の原油高で私が学んだのは、原油の値段そのものを追いかけても答えが出ないということでした。円安が重なれば、ドル建てで最高値でなくても家計は過去最高に重くなります。そして会社の強さを分けるのは、原油の値段ではなく、上がったコストを値段に乗せられるかどうかでした。
家計のほうは先に備える。投資のほうは値上げできる会社を長く持つ。私はこの2つに絞って、あとは触らないことにしました。上に挙げた会社は、私が決算を見ている会社と保有状況の紹介であり、推奨ではありません。
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