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こんにちは、バフェットかおるです。
先に結論を書きます。キオクシア(285A)は、有価証券報告書の数字で見るかぎり「大きな病気から回復してきた会社で、いまの稼ぐ力は本物。ただし借金はまだ重く、その利益がいつまで続くかは読めない」という姿でした。
そして私が投資先を選ぶときに見ている4つの基準には、ひとつも当てはまりませんでした。私はこの会社を保有していませんし、この記事は買うことをすすめるものでも、売ることをすすめるものでもありません。自分の物差しで数字を確かめた記録として書いています。
「割安だ」という見方と「割安に見えているだけだ」という見方、どちらも筋は通っています。その両方を並べたうえで、私がどう受け止めたかを書きました。
※本記事は私個人の考えと調べたことの紹介であり、特定の銘柄・商品の購入を推奨するものではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。数字は2026年3月期の有価証券報告書および執筆時点のもので、今後変わります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
先に結論|この会社をどう受け止めたか
- 財務の安全性は2年で大きく改善した。自己資本比率は15.7%(2024年3月期)から37.9%(2026年3月期)へ
- ただし有利子負債は1.25兆円と重く、流動比率も約147%で、余裕たっぷりとは言えない
- 2026年3月期の営業利益率37.2%、ROE39.6%は文句なし。ただし2020年・2023年・2024年は赤字だった市況型の会社
- 予想PER7.41倍を「割安」と見るか「利益がピークだから低く見えるだけ」と見るかで、プロの見立ても割れている
- 配当利回り0%・PBR20.3倍。高配当株を軸にしている私の物差しでは、土俵の外にある会社だった
会社の健康診断|財務の安全性は2年で大きく変わった
有価証券報告書の数字で見ると、この2年で体質がはっきり変わっています。
- 自己資本比率:2024年3月期の15.7%から、2026年3月期は37.9%。2年で倍以上に回復
- 利益剰余金:ずっとマイナス(2024年は▲4631億円)だったのが、初めてプラス3670億円に転換。過去の赤字の傷がようやく癒えた状態
- 有利子負債:まだ1.25兆円と重く、有利子負債比率は89.6%。借金体質は残っています
- 流動比率:有報から計算すると流動資産1兆6178億円÷流動負債1兆980億円で約147%。前年の約82%から大幅に改善ですが、まだ余裕たっぷりとは言えません
健康診断の結果を一言でまとめると「大きな病気から回復中。ただし借金はまだ多い」です。危険な水域は抜けたけれど、まだ身軽ではない。私はそう受け止めました。
稼ぐ力|営業利益率37.2%は本物、でも「安定して稼ぐ力」とは別物
2026年3月期は売上2兆3376億円(前期比プラス37%)、営業利益8704億円、純利益5545億円。営業利益率37.2%、ROE39.6%という数字が並びます。営業キャッシュフローも6165億円あり、フリーキャッシュフローはプラス4000億円でした。
AI向けデータセンターのNAND需要を追い風に、文句なしの絶好調と言っていい内容です。
ただ、少し過去にさかのぼると景色が変わります。2020年・2023年・2024年は赤字で、2024年3月期は営業赤字2527億円でした。
メモリの市況が良ければ大きく稼ぎ、悪ければ大きく沈む。典型的なシクリカル(市況)企業だと私は受け止めています。稼ぐ力は本物ですが、それは「安定して稼ぎ続ける力」とはまた別の話だと考えました。
「割安」と見る根拠|予想PER7.41倍をどう読むか
割安だという見方の根拠は、ほぼ一点に集まっています。予想PERの低さです。予想PERは7.41倍。
日経平均の平均が16〜17倍前後、AI関連には数十倍の会社がごろごろある中で、これだけ利益が伸びている会社が7倍台なら「利益に対して株価が安い」という理屈になります。
実際、予想PERは7.5倍前後で、過去には30倍を超えた局面もあったこと、一部のAI関連が80倍超であることを踏まえれば、むしろ割安水準にあるという見方が成り立つと報じられていました。
強気に見る側の材料としては、次のようなものが挙げられています。
- 2026年分のNAND生産能力はすでに完売と伝えられている
- データセンター・エンタープライズ向けSSDが、売上の約6割を占めるまでに拡大している
- 楽天証券の今中アナリストによる2027年3月期の予想PERは6.2倍で、今の株価は実力以上に売られすぎという見方
市場が「割安」と評価しきれない理由|利益のピーク説
一方で、慎重に見る側の言い分もはっきりしています。ここが強気派と市場の綱引きになっている部分です。
- 「PER1ケタ台は、かつての海運株や資源株のような市況株に近い」と指摘され、10倍超えは難しいという声が多い。利益がピークだからPERが低く見えているだけかもしれないという警戒です
- いまの巨額の利益が市況のピークに伴う一時的なものなら、現在のPERはむしろ割高と評価される可能性すらある
- 直近の急落そのものは、米SOX指数の下落、メモリーを共同開発するパートナー絡みの材料、中国の競合の上場といった外部要因が引き金で、6月22日の上場来高値11万2700円からほぼ半値になっています
つまり「割安かどうか」は、PER7.4倍という数字そのものではなく、この利益が続くかどうかの一点にかかっている、と私は受け止めました。
AI需要は構造的だから続く、だから割安。メモリは市況だから続かない、だから割安に見える罠。どちらも筋が通っていて、プロの間でも見立てが割れているのが実態です。私には、どちらが正しいかを言い当てることはできません。
私の4つの基準に照らすと、どうだったか
私はウォーレン・バフェットのやり方を真似して、良い会社を割安なときに買って長く持つことを続けています。その入口として、自分で決めた4つの数字を必ず確かめます。
| 私の基準 | キオクシア | 判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り 3.75%以上 | 0%(上場以来無配。初の還元は自社株買いのみ) | 満たさない |
| PBR 2倍以下 | 20.3倍 | 満たさない |
| 自己資本比率 50%以上 | 37.9% | 満たさない |
| 流動比率 200%以上 | 約147% | 満たさない |
4項目とも、私の基準は満たしませんでした。だから私はこの会社を保有していません。
それでも「割安だと言う人が間違っている」とは思わない
ここで大事だと思うのは、割安だと見ている人が間違っている、という話ではないことです。見ている物差しが違うだけだと私は考えています。
私は配当を受け取りながら長く持つことを軸にしています。無配で、PBRが20倍を超えている会社は、はじめから私の土俵の外です。土俵の外の勝負はしない、と決めているので、この会社には手を出しません。
これから伸びる利益を先読みして買う人にとっては、まったく別の見え方になるはずです。私は「わからないものは買わない」という一点だけを守っています。
まとめ
- 財務は2年で大きく改善したが、有利子負債1.25兆円はまだ重い
- 2026年3月期の稼ぐ力は本物。ただし過去に3回赤字を出している市況型の会社
- 予想PER7.41倍の評価は「この利益が続くか」次第で、プロでも見立てが割れている
- 無配・PBR20.3倍で、私の4基準はすべて不合格。私はこの会社を保有しておらず、推奨もしません
数字は2026年3月期の有価証券報告書と、執筆時点で報じられていた予想値をもとにしたものです。今後変わります。
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この記事の数字は、有価証券報告書と、証券口座で見られる四季報や決算資料を突き合わせて確かめました。誰かの「割安です」をそのまま受け取らずに済むのは、自分で数字を開ける場所を持っているからだと思っています。
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