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こんにちは、バフェットかおるです。
先に結論を書きます。私が買い増しているジャックス(8584)とサンゲツ(8130)は、どちらも減配のリスクは低いグループに入ると私は判断しました。ただしこの2社は性格がまったく違います。ジャックスは「割安に放置されているが利益が弱い」会社、サンゲツは「利益は強いが増配の余白が小さい」会社です。
そしてもうひとつ、ネット上で見かける配当性向の数字には落とし穴がありました。同じ会社なのに「50%超」「62%」「70%」「100%超」と、まったく違う数字が並んでいるのです。そのどれも嘘ではなく、どの期のどの利益で割ったかが違うだけでした。
この記事では、決算資料という一次情報をもとに、私がこの2社をどう読んだのかを書いていきます。
※本記事は私個人が余剰資金で行った投資判断の背景の紹介であり、特定の銘柄・商品の購入を推奨するものではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。株価・配当利回り・PBRは2026年5月18日時点の数値で、今後変わります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
ウォーレン・バフェットのやり方を真似して、私がこの2社を選びました
はじめにお断りしておきます。この2社はウォーレン・バフェット本人が選んだ会社ではありません。私がウォーレン・バフェットのやり方を真似して、自分で決算を読んで選んだ2社です。
私が真似させてもらっているのは、次の3つです。
- 良い企業を、割安なときに買って長く持つ
- 決算を自分で見る。人の数字を鵜呑みにしない
- わからないものは買わない
ジャックスはPBR0.54倍まで売られていて「割安なときに買う」にあてはまり、サンゲツは壁紙・床材という誰もが使う事業で国内シェア首位という「わかりやすい会社」でした。どちらも私が口座で持っている会社で、以下はその保有状況と私の受け止めの紹介です。買うことをおすすめするものではありません。
高配当株を見るときの3つの数字:配当利回り・PBR・配当性向
本題に入る前に、この記事でカギになる3つの数字を、私が理解している言葉で整理しておきます。
①配当利回り:投資したお金に対して年に何%もらえるか
株価2,000円の会社が年100円の配当を出すなら、配当利回りは5%です。100万円分買えば年5万円の配当が期待できる、ということになります。一般に3.5〜4%を超えると高配当と呼ばれます。
②PBR:会社の財産に対して株価が高いか安いか
PBR(株価純資産倍率)は、株価が会社の解散価値(純資産)の何倍で買われているかを表す数字です。1倍が解散価値とちょうど同じ水準。1倍を下回ると会社が持っている財産より安い値段で買える割安なゾーン、1倍を上回ると市場がその会社の将来性を評価している状態だと私は読んでいます。
今回の2社はこのPBRがちょうど正反対で、並べると違いがよく見えます。
③配当性向:利益のうち何%を配当に回したか
配当性向は、会社が稼いだ利益のうち何%を株主への配当に回したかを表す数字です。計算式は「配当金 ÷ 利益」。100億円の利益を出した会社が30億円を配当に回したら、配当性向は30%です。
ここで大事なのが、配当性向は分母にあたる利益が小さくなると、配当額が同じでも数字が跳ね上がるということ。減益の年は分母が縮むので、配当性向が一時的に高く見えてしまいます。私はこの性質を知らなかったころ、ネットで見た数字にそのまま驚いていました。
ジャックス(8584):MUFG傘下の信販・クレジット大手
いまの数字
ジャックスは三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)系列の信販・クレジット大手です。2026年5月18日時点の主な数字です。
| 項目 | ジャックス(8584) |
|---|---|
| 株価 | 3,500円 |
| 予想配当利回り | 5.71%(予想1株配当200円) |
| 実績PBR | 0.54倍 |
| 予想PER | 10.04倍 |
| 実績BPS | 6,531.84円 |
2026年3月期の年間配当予想は1株200円(中間100円・期末100円)で、前期実績の190円から10円の増配を予定しています。配当利回り5.71%は、東証プライム上場の会社の中でもかなり高い水準です。
PBR0.54倍は、1株あたり6,531円の純資産を持つ会社が3,500円で買えるということ。解散価値の約半分の値段です。それだけ市場から割安に放置されている状態だと私は受け止めました。
私が評価しているところ
事業の規模そのものは伸び続けています。第3四半期累計の売上高(取扱高)は連続で過去最高を更新しており、縮んでいる会社ではありません。
そして何より、MUFGという後ろ盾があります。信販会社の生命線は、いかに安くお金を調達できるかです。日本最大の金融グループが後ろにいるという事実は、10年20年という目で見たときの安心材料になると私は考えています。政府の支えがあっても一度は破綻したJALを近くで見た私には、ここが大きな違いに見えます。
気になる点①:足元は減益
正直に書いておくと、足元の利益は明確に減益です。2026年3月期は営業利益が前期比約22%減、純利益が約17%減の見込み。第3四半期累計の経常利益も前年同期比で約17%の減益でした。
信販はそもそも景気と金利に敏感な事業です。景気後退や消費者債務の悪化、金利の上昇で収益が圧迫されやすく、デジタル決済やFinTechの台頭で競合環境も厳しくなってきています。
気になる点②:配当性向「50%超」は実績ではない
ここが、私がいちばん書き残しておきたかったところです。
ネット上の分析では、ジャックスの配当性向を「50%超」と書いているものを見かけます。でも実績の配当性向は、近年は30〜40%台で推移しているのが実態です。複数の株式情報サイトでも、前期実績の配当性向は35%前後と表示されています。
なぜ「50%超」が出てくるのか。これがまさに、分母が縮むと配当性向が跳ね上がるという現象でした。ジャックスは今期が減益見通しなので、計算に使う利益が小さくなり、同じ配当額でも見かけの配当性向が高く出やすい局面にあります。
正確に言うなら、実績配当性向は30〜40%台中心で、減益局面では一時的に上振れる。私はそう理解しました。
気になる点③:配当方針はむしろ強化されている
もうひとつ、古い情報が出回っている点を書いておきます。ジャックスの配当方針を「連結配当性向30%目安」と書いている記事を見かけますが、これは過去の方針です。
いまの方針は「DOE3.0%、または配当性向40%、かつ最低1株200円」です。とくに「最低1株200円」という下限が設定されたことが、私には大きく見えました。減益でも配当は1株200円を下回らせないという、会社からの約束だと受け止めています。
気になる点④:自己資本比率は信販業では当てにならない
私はふだん「自己資本比率50%以上」を自分の基準のひとつにしています。ただ、ジャックスのような信販・金融業には、この基準をそのまま当てはめられませんでした。
金融業はバランスシートに膨大な債権を抱えるため、自己資本比率は5%前後とごく低く出ます。これは金融業として異常なのではなく、業態としてそれが当たり前です。製造業のものさしを金融業に当てると、私は判断を誤ります。
ジャックスを見るときに、自己資本比率の代わりに私が見ているのは次の3つです。
- 与信コスト(貸倒引当金)——お金を貸して焦げ付くリスクがどれだけ増えているか
- ROE——株主のお金をどれだけ効率よく使えているか
- 調達環境——MUFG傘下という、安く資金を借りられる力
業種によって見るべき財務の数字が違う。これは私が遠回りして気づいたことでした。
サンゲツ(8130):壁紙・床材で国内シェア首位
いまの数字
サンゲツは壁紙・床材で国内シェア首位のインテリア商社です。2026年5月18日時点の主な数字です。
| 項目 | サンゲツ(8130) |
|---|---|
| 株価 | 2,977円 |
| 予想配当利回り | 5.21%(予想1株配当155円) |
| 実績PBR | 1.52倍 |
| 予想PER | 13.46倍 |
| 実績BPS | 1,962.98円 |
2026年3月期の年間配当予想は155円で、前期比5円の増配。配当利回り5.21%はジャックスの5.71%よりやや低いものの、こちらも十分に高い水準です。
PBRは1.52倍で、ジャックスの0.54倍とは対照的に1倍を上回っています。割高だから悪いという意味ではなく、市場が「この会社は持っている財産以上の価値を生み出せる」と評価しているからだと私は読んでいます。増収増益を続け、海外事業も伸ばしている会社に対する期待が株価に表れている。同じ高配当でも、PBR1つで市場の見方がこれだけ違うのは面白いところです。
私が評価しているところ
2026年3月期の通期決算は、売上高2,064億円(前期比3.0%増)、営業利益194億円(同7.0%増)、純利益146億円(同16.7%増)。売上高・各利益・純利益のすべてが過去最高を更新しました。ジャックスが減益なのに対して、こちらは増収増益です。
財務も強固で、自己資本比率は63%台。私の基準である50%以上を余裕で超えています。借金が少なく自己資本が分厚い、典型的な頑丈な会社です。
増配の実績も際立っています。10年以上にわたって連続増配を続けており、直近の決算資料では12期連続増配の見込みと明記されています。さらに資本政策で「1株当たり年間配当金は130円を下限に、安定的な増配を目指す」と掲げています。下限を決めているというのは、よほどのことがない限り減配しないという会社からの約束だと受け止めました。
気になる点①:配当性向は計算方法によって数字が変わる
サンゲツについても、配当性向の数字には注意が必要でした。ネット上の分析では「配当性向62%」と書いてあったり「70%」と書いてあったりと、数字がバラバラです。
これは、サンゲツの配当性向に複数の正解が存在するからでした。
- 直近期の純利益だけで割ると、配当性向は約60%前後
- 過去5年平均など長い期間で見ると、利益が一時的に落ち込んだ期を含むため、100%を超える年もある
実際、サンゲツは過去の中期経営計画で総還元性向をほぼ100%と掲げていた時期があり、その名残で配当性向を100%超と表示するサイトもあります。
つまり「70%」も「62%」も完全な間違いではなく、どの期のどの計算方法で出した数字かが違うだけでした。私は自分のノートには「直近期の純利益ベースで約60%前後」と計算根拠まで書き添えるようにしています。
気になる点②:増配の余白が小さくなってきている
計算方法で振れるとはいえ、サンゲツの配当性向が高めであることは事実です。利益のかなりの割合をすでに配当に回しているということで、これ以上配当性向を上げて増配する余白は小さいことを意味します。
今後の増配は、配当性向を上げるのではなく、利益そのものを増やすことでしか実現しにくい段階に入っている。ここがジャックスとの大きな違いだと私は見ています。
気になる点③:来期は増収減益の予想
来期2027年3月期は、売上高2,130億円と過去最高を更新する一方、営業利益190億円・純利益135億円と利益は減る予想です。原材料の調達コストや物流費・人件費の上昇、そして成長戦略のための先行投資を計画に織り込んだためです。
ただ私は、これを業績悪化というより「攻めるための減益」だと読みました。サンゲツは2030年3月期に純利益170億円を目指す新しい中期経営計画を発表しており、来期の減益はその投資の入口に位置づけられます。
そして見逃せないのが、会社が「来期も配当155円を維持する」と明言していることです。減益予想のなかでも配当を守るという意思表示は、持ち続ける根拠を一段強くしてくれました。
2社の比較:性格がまったく違う2社
株価・配当利回り・PBRは2026年5月18日時点の数値です。
| 観点 | ジャックス(8584) | サンゲツ(8130) |
|---|---|---|
| 株価 | 3,500円 | 2,977円 |
| 予想配当利回り | 5.71% | 5.21% |
| 実績PBR | 0.54倍(割安に放置) | 1.52倍(市場の期待が反映) |
| 予想PER | 10.04倍 | 13.46倍 |
| 直近の業績 | 減益(売上は最高更新) | 増収増益(過去最高益) |
| 財務の強さ | MUFG傘下で調達力が強い(自己資本比率は当てにしない) | 自己資本比率63%台で非常に強固 |
| 連続増配 | 安定配当(増配傾向) | 12期連続増配の見込み |
| 実績の配当性向 | 30〜40%台中心(減益で一時的に上振れ) | 計算方法で振れる(純利益ベース約60%前後) |
| 配当方針 | DOE3.0%または配当性向40%+最低1株200円 | 1株130円を下限に安定増配 |
| 増配の余白 | 配当性向に余裕あり+下限200円の下支え | 余白は小さめ。増配は利益成長が前提 |
この表を私の言葉でまとめると、こうなります。
- ジャックス——配当を出す余力(財務・方針)はあるが、利益が弱い
- サンゲツ——利益は強いが、配当性向が高く増配の余力は限定的
面白いのは、配当性向の絶対水準だけで見ると、実はジャックスのほうに余裕があるという点です。ジャックスは配当性向30〜40%台に加えて「最低200円」という下支えがあります。一方サンゲツは配当性向が高めで、増配は利益成長次第。高配当株は配当性向が高い会社だと単純に考えていると、私はこの違いを見落としていました。
2社それぞれの「本当のリスク」はどこにあるか
ジャックスの本当のリスク
ニュースの見出しは「減益」と書きます。でも減益は結果であって、原因ではありません。私がジャックスで注視しているのは次の3つです。
- クレジットコスト(貸倒引当金)の増加——景気が悪化すると、お金を返せない人が増えます
- 個人消費への依存——消費が冷え込むと、クレジットの利用そのものが減ります
- 利ざやスプレッド——調達金利と貸出金利の差。ここが縮むと利益が削られます
つまりジャックスは、ビジネスモデルそのものが景気サイクルに連動する構造を持っています。減益という一年の結果より、この循環性を理解しておくことが長期では大切だと私は思っています。
この会社が過去の危機をどう抜けてきたかは、リーマンショック前後の有価証券報告書をさかのぼって追った記事に書きました。
サンゲツの本当のリスク
サンゲツは優等生ですが、リスクがゼロではありません。私が押さえているのは次の3点です。
- 住宅市況への依存——新設住宅着工戸数の減少は構造的な逆風です
- 原材料価格の変動——壁紙の主原料である塩ビなどの価格上昇は利益を圧迫します
- 海外事業の収益安定性——黒字化の手前まで来ましたが、まだ赤字です
直近の決算でこの3点がどう出ていたかは、2026年3月期の決算補足説明資料を一枚ずつ読み直した記事にまとめています。
まとめ:数字は「どう計算したか」まで見る
この記事でいちばん書き残したかったのは、配当性向という数字は計算方法しだいで大きく変わるということでした。
- ジャックスの配当性向「50%超」は、減益で分母が縮んで一時的に上振れた数字。実績は30〜40%台中心
- サンゲツの配当性向「62%」「70%」「100%超」は、どれも嘘ではなく、どの期のどの計算方法かが違うだけ
ネットの記事で見た数字を、そのまま鵜呑みにしない。「その数字は、いつの、どんな利益で割ったものか」と一歩立ち止まる。私はこれを自分の手間として引き受けることにしました。
長期で持つという視点では、ジャックスもサンゲツも減配のリスクは低いグループだと私は判断しています。ただし性格は正反対で、ジャックスは割安さとMUFGの後ろ盾と配当性向の余裕、サンゲツは増収増益と強固な財務と連続増配。どちらが優れているという話ではありません。
私自身は、JALの破綻を近くで見た経験から集中のリスクの怖さを知っています。だからこそ、性格の違う会社を分散して持つことに意味があると考えています。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。
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