質問いただきました。
元機関投資家の堀江さんが「新NISAのS&P500は今後10年リターンがかなり低くなる可能性がある」という分析動画を出されていて、指標やデータに基づいた内容だったので気になっています。 もちろん未来は誰にも分からず100%ではないと思うのですが、かおるさんはこの見方についてどう考えられますか? よろしければ、ご意見お聞きしたいです。ということでしたので、回答していきたいと思います。
結論を先に
「堀江さんの分析は、データの裏付けがちゃんとある真っ当な見方です。
それでも私はS&P500を信じています。ウォーレン・バフェットと同じです。
なぜか。暴落は『損』ではなく『買い増しのチャンス』だからです。
時間をかけて資産を最大化するためには、暴落も回復も両方経験する必要がある。これが私の答えです。
ただし——これは『若い方』の場合です。 50代60代以降は話が変わります。今日はそこまで全部お話しします」
① まず、堀江さんが言っていることは「機関投資家の主流の見方」です
これ大事なポイントです。堀江さん一人が極端なことを言ってるのではなく、世界最大級の運用会社が同じことを言っています。
- ゴールドマン・サックスは「S&P500の今後10年の収益率は年率3%。過去10年は13%だったので、4分の1になる」というレポートを出しています
- バンガード(インデックスファンドの本家本元)も、今後10年の米国株は年率3.5〜5.5%と予想しています
- ゴールドマンはさらに「10年米国債利回り4%と仮定すると、S&P500のリターンが米国債を下回る確率は約72%」とまで言っています
→ つまりインデックス投資を売ってる本人達(バンガード)が「正直、今後10年は厳しいよ」と言っているんです。これが現状です。
② なぜそう言われているか——3つの理由
理由1:シラーPER(CAPEレシオ)が歴史的高水準
2026年5月時点のシラーCAPEは40.11。長期中央値は16.05です。 2000年のITバブル以来の水準。
→ シラーPERが高い時期に買うと、その後10年のリターンは低くなる、というのは過去140年で繰り返し確認されているパターンです。
シラーPERとは——一言で
「今の株価は、その会社(市場)が稼ぐ利益の何年分の値段で売られているか」を、過去10年の利益の平均で測った指標です。
普通のPERの「景気のブレを取り除いた版」と考えてください。
まず普通のPERの復習
PER(株価収益率)= 株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)
例:株価1,500円、1株利益100円 → PER 15倍
意味:「この会社の利益15年分の値段で株が売られている」
問題点:分母の利益が1年分だけなので、ブレが大きい。
- リーマンショックの時、利益が一時的にゼロ近くまで落ちた → PERが200倍とか異常な数字に
- 逆に好景気のピークで利益が膨らむ → PERが低く見えて「割安だ!」と勘違い
→ つまり普通のPERは景気の波に振り回される。
そこでシラーPERの登場
ノーベル経済学賞を取ったロバート・シラー教授が考えたのがこれです。
シラーPER = 株価 ÷ 過去10年間の1株利益の平均(インフレ調整済み)
ポイントは2つ:
①「過去10年の平均」を使う
→ 好景気も不景気も含めた利益で計算するから、景気循環でブレない
②「インフレ調整」する
→ 10年前の100円と今の100円は価値が違うから、物価の影響を消す
別名「CAPEレシオ」(Cyclically Adjusted PE Ratio = 景気循環調整済みPER)。CAPE(ケープ)と呼ばれることも多いです。
過去140年のS&P500のシラーPERを見ると:
| 水準 | 判断 | 過去の例 |
|---|---|---|
| 15以下 | 割安 | リーマンショック後など |
| 16前後 | 長期中央値(普通) | — |
| 25以上 | 割高 | 警戒水域 |
| 30以上 | かなり割高 | — |
| 40以上 | 歴史的バブル水準 | 2000年ITバブル、現在 |
2026年5月1日時点のシラーCAPEは40.11。長期中央値は16.05、歴史的最高値は44.2、最安値は4.78。 GuruFocus
→ 今は歴史平均の約2.5倍の値段でS&P500が買われているということです。
なぜこの指標が注目されるのか
過去、暴落の前にこの数字が高くなっていたからです。
- 1929年(世界大恐慌の直前):シラーPER 約30 → その後株価が9割下落
- 2000年(ITバブル崩壊の直前):シラーPER 44.2(過去最高) → ナスダックは8割下落
- 2007年(リーマン直前):シラーPER 約27 → S&P500は半値に
そしてQUICK・ファクトセットによると、現在のCAPEは40倍を上回り、2000年のITバブル以来の高水準。 Nikkei
これが堀江さんや機関投資家が「今後10年のリターンは厳しい」と言っている最大の根拠です。
ただし注意点——シラーPERにも弱点はある
①「割高」と「すぐ下がる」は別の話
1996年にグリーンスパンFRB議長が「根拠なき熱狂」と言った時、シラーPERはすでに高かった。でも実際にバブルが弾けたのは4年後の2000年。
→ つまり割高な状態は何年も続くことがある。「シラーPERが高い=明日暴落」ではない。
②現代の経済では数字の意味が変わった可能性
- 低金利が長く続いた → PERの高止まりが正当化されやすい
- ハイテク企業の利益構造が変わった(昔の鉄鋼業と今のソフトウェア企業を同じ尺度で測れるか問題)
③短期投資には使えない
長期(10年単位)の予測には強いが、来月どうなるかは全く分からない。
理由2:マグニフィセント7への極端な集中
過去3年のS&P500のリターンの55%をマグニフィセント7(NVIDIA・アップル・マイクロソフト・Google・アマゾン・メタ・テスラ)だけで稼いでいます。
「S&P500を買えば分散投資」と思っていたら、実は7社にものすごく依存している。
理由3:AIへの巨額設備投資が利益化するか不透明
AI設備投資の急増に対して、実際の収益貢献が遅れる「タイムラグ」のリスクが指摘されている。
③ 反対意見も存在します
- 過去のデータを見ると、史上最高値時にS&P500を買った場合の1〜5年リターンは、平均よりむしろ高かった
- 2026年単年では、企業利益拡大を背景にS&P500は10〜12%上昇、年末7,500前後という予想も多い
- 利益(EPS)が伸び続ければPERが高くても株価は持ちこたえる
→ 「割高だから即下がる」とは限らない。市場は割高なまま何年も走ることがあります(1995〜2000年の経験)。
結論
「コメントありがとうございます。先に私の結論からお話しします。
私はそれでもS&P500を信じています。ウォーレン・バフェットと同じです。
なぜか。暴落は『損』ではなく『買い増しのチャンス』だからです。
時間をかけて資産を最大化するためには、暴落も回復も両方経験する必要がある。これが私の答えです。ただし——これは『若い方』の場合です。 50代60代以降は話が変わります。今日はそこまで全部お話しします」
なぜ「暴落OK」と言い切れるのか——3つの数字で証明
数字① リーマンショックの真実
「リーマンショックって、皆さん『絶対に経験したくない暴落』だと思ってますよね。
でも数字を見てください」
S&P500は2007年10月から2009年3月まで、約1年5カ月で56.8%下落しました。そして高値を更新して回復したのは、約4年1カ月後の2013年3月28日です。
「56.8%下落、回復まで約5年半。 これだけ聞くと『恐ろしい』と思う
でも、ここが投資のすごいところで
数字② 「やめた人」と「続けた人」の決定的な差
SBI証券の超有名なシミュレーションを使います。
リーマン破綻が起きた2008年9月末に100万円持っていた人で、
- 積立をやめて100万円のまま放置した人と、
- そこから毎月3万円の積立を続けた人を比べると、
- の人は元の100万円に戻るまで42カ月(3年半)かかった。一方、
- 積立を続けた人は18カ月(1年半)で元に戻った。
「同じ暴落を経験しても、続けた人は1年半で戻り、やめた人は3年半かかった。差は2年です。
なぜか。暴落中は同じお金でたくさん口数が買えるからです。安く買った口数が、回復したときに大きな利益になる。
これが、『暴落は買い増しチャンス』と言う理由の数字的な根拠です
- 数字③ コロナショックは「3カ月」で終わった
- コロナショックでは、2020年2月19日から3月23日までの約1カ月でS&P500は33.9%下落しましたが、約5カ月後の8月18日には完全に下げを埋めました。
- 「たった3カ月で底打ち、5カ月で完全回復。
あの時パニック売りした人は、本当にもったいない。つまり今、指標の動きに動揺して手放すのはもったいない。直近では2026年2月から4月の中東ショック。私のポートフォリオは日経平均が▲14%下げる中、▲9%程度に抑えられました。そして私は、イラン攻撃の最悪の局面で買い増ししました。生活防衛費で、ただもしあの時の下落が1時的なものではなく5年以上続くきっかけだったら、私は追加投資する力がないし生活も家族に依存することになります。 あの時動けたのは、夫の生活防衛費があったからです」
- 「だからこそ、インデックス投資をやるなら3つの準備が絶対に必要なんです」
準備1:生活防衛費
「3カ月のコロナでも、5年のリーマンでも、待てる現金。最低でも生活費の半年〜2年分。これがないと暴落で売る羽目になる」
準備2:労働で稼ぎ続ける力
「暴落時に追加投資できるお金は、労働で作るしかない。私が『働き続けることが最強の投資』とよく言うのはこのためです」
準備3:時間
「「若いか、高齢期か」で戦略は違う
「S&P500のインデックス1本でいいのは、『時間がある人』だけなんです。
なぜなら、リーマン級が来ても回復まで5年。
あなたが20代・30代・40代なら、5年待てます。
50代でも、ぎりぎり待てるかもしれません。
でも、60代・70代になったら、5年10年待てますか?」
「70歳の方が暴落に巻き込まれて、5年待ってる間に75歳。
6年7年待っても回復しないリスクもある。
その間、生活費は?介護費は?
これが、高齢期の方に高配当株をおすすめする理由です
高配当株が高齢期に強い理由——具体例で
「私のポートフォリオから具体例を出します」
例1:KDDI(9433)
「KDDIは通信インフラ。携帯電話、皆さん解約しますか?景気が悪くても解約しないですよね。だから業績が安定していて、株価も暴落で下がりにくい。 そして配当は出続ける」
例2:NTT(9432)
「NTTも同じ。通信は止められないインフラ。コロナの時もリーマンの時も、配当は出続けました」
例3:日東富士製粉(2003)
「製粉会社。パン、うどん、ラーメン——景気が悪くなっても食べますよね。人間が食べる限り、業績は揺るがない」
「これらが『ディフェンシブ株』と呼ばれる理由です。通信、電力・ガス、医薬品、生活必需品など、景気の浮き沈みに左右されにくい銘柄たち。
グロース株——例えばNVIDIAやテスラのような成長株は、暴落で半値、3分の1まで下がることもある。
でもKDDIやNTTは、せいぜい2〜3割の下落で済むことが多い。
しかも下がっている間も、配当は変わらず振り込まれるんです」
「だから、私の答えはこうです。
若い方(〜50代):S&P500インデックス1本+生活防衛費+労働で追加投資。これが最強。
高齢期(60代〜):高配当株中心+少額のインデックス+労働で追加投資。配当で生活を守りながら、株価の値上がりも狙う。
堀江さんが言う『今後10年S&P500のリターンは下がる』という見方は、データ的には正しい可能性が高い。
でもそれは『短期的にリターンが鈍る』という話であって、『S&P500がダメになる』という話ではないん。
暴落は来ます。必ず来ます。
でも、生活防衛費があって、労働収入があって、時間があれば、暴落はチャンスになる。今、自分の年齢と時間を見つめ直して、戦略を選んでください」投資には目的が大事です。
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