※本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。
読者の方から、こういうご相談をいただきました。JリートのETFはもう買われていて利回りが低すぎると思い、個別のJリートを買ったら含み損がたっぷりになってしまった、と。
結論を先に書きます。私は、利回りの高さを「割安のしるし」として読むのをやめました。高いのは、市場が何かを警戒して価格を下げているからかもしれないからです。そのかわりに見ているのは、自分の買値に対する利回り(YOC)と、その分配金がどこから出ているのかの2つです。この記事では、Jリートの仕組みと、私が含み損のときに何を確かめているかを書きます。
※私は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。本記事は私自身の考えの記録であり、特定の銘柄やETFの売買をおすすめするものではありません。記事中の数字は2026年10月時点で確認したもので、信託報酬や分配金の最新の内容は必ず運用会社の資料と各社の公式サイトでご確認ください。
なお、元の記事には複数のETFの現在の利回りを並べた一覧表と、「今は割安だから買い増すのが合理的」という書き方が入っていました。個別の商品をおすすめする形になるため、どちらも外しました。
この記事の内容は、YouTubeの動画でもお話ししています。
Jリートは、不動産を小口に分けた仕組み
マンション一棟を自分で買うには数千万円から数億円かかります。Jリートは、たくさんの人からお金を集めて、運用会社が物件を買い、その家賃収入や売却益を分配金として渡す仕組みです。東京のオフィスビルや商業施設、物流倉庫、ホテル、住宅などに、数万円から参加できます。
私がこの仕組みで一番大きいと思っているのは、税金のルールです。Jリートは、利益の90%を超える額を分配すれば、その分配を経費として扱えるため、法人税がほぼかからない形になります(導管性要件と呼ばれます)。普通の会社は利益に法人税がかかってから配当を出しますが、Jリートはそこを通りません。だから、株式より利回りが高く出やすいのです。
裏を返すと、内部に利益を溜めておかない仕組みでもあります。家賃収入が減れば、そのまま分配金が減ります。会社のように「今年は内部留保を取り崩して配当を維持する」という手が使いにくいということです。
個別とETF、利回りの差が意味すること
ご相談の方は、ETFの利回りが低いので個別を選びました。その判断の理由はよく分かります。ただ、私は同じ場面で立ち止まるようになりました。
- ETFは東証REIT指数に連動するものが多く、指数には60前後の銘柄が入っています。1つが悪くても他で薄まるので、価格が大きく崩れにくく、利回りも控えめに出ます
- 個別のJリートは、用途(オフィスだけ、ホテルだけ)や運用会社が偏っています。利回りが高いのは、その偏りを市場が心配しているからという場合があります
つまり、利回りの差は「おトク度の差」ではなく「心配されている度合いの差」かもしれない、ということです。私は、利回りが高い会社を見つけたら、まず「なぜ安いのか」を探すようにしています。理由が分からないときは買いません。わからないものは買わないという、ウォーレン・バフェットの言い方を真似しているところです。
YOC(取得価格に対する利回り)という見方
含み損が出ているとき、私がいちばん気持ちの支えにしているのがこの見方です。
YOCは「1口あたりの年間分配金 ÷ 自分が買った値段」で計算します。ポイントは、分母が「今の価格」ではなく「自分の買値」だということです。買値は、あとから動きません。
たとえば2,000円で買って、年間の分配金が1口80円だったとします。このときYOCは4.0%です。価格が1,600円に下がっても、分配金が80円のままなら、私にとっての利回りは4.0%のままです。下がったことで変わるのは、これから買う人の利回りだけです。
将来、分配金が90円に増えれば、私のYOCは4.5%になります。買値が変わらないので、分配金が増えた分だけ、自分の利回りが上がっていく形です。
YOCは下がることもある
ただ、この見方を支えにするには、分配金が減らないことが前提です。Jリートは利益をほぼそのまま出す仕組みなので、次のようなときに分配金が減り、YOCも下がります。
- 金利が上がって、借入金の利払いが増えたとき。Jリートは借入を使って物件を買っているので、ここは直接効きます
- テナントが抜けて空室が増え、家賃収入そのものが減ったとき
- 物件を売って出た利益で分配金が一時的に膨らんでいた場合、その翌期に戻るとき
私は、決算説明資料を開いて、分配金のうち家賃収入から出ている部分と、物件の売却益から出ている部分を分けて見るようにしています。売却益で膨らんだ分配金を「この利回りが続く」と読んでしまうと、計算が狂います。
ETFの分配金は、タコ足になりにくい
「毎回分配金が出るのは、元本を切り崩しているのではないか」というご質問もいただきました。上場しているETFについては、仕組みが違います。
上場していない投資信託には「特別分配金(元本払戻金)」という仕組みがあり、運用がうまくいかなくても、投資した元本の一部を払い戻す形で分配金を出すことができます。手元にお金は入りますが、自分の元本が減っているだけです。
一方、ETFは、受け取った配当や分配金などの収益の範囲内でしか分配できない形になっています。元本を取り崩して分配する仕組みがないので、分配金は中身から出ていると考えられます。ここは私も最初に調べて、納得してから持つことにした部分です。
価格が上がるとき、下がるとき
Jリートの価格が動く理由は、株式とは少し違います。私が見ている範囲では、こういう整理になります。
上がりやすいのは、金利が低いときです。国債の利回りが低いと、Jリートの利回りが相対的に魅力的に見え、お金が流れてきます。オフィスの空室率が下がって家賃が上がる局面や、訪日客が増えてホテルの収益が上がる局面も追い風になります。
下がりやすいのは、金利が上がるときです。国債の利回りが上がると、わざわざリスクを取る理由が薄れ、資金が抜けます。同時に、Jリート自身の借入金利も上がるので、分配金の原資が削られます。日本銀行の金融政策が動くという見方が強まった局面でJリートが売られたのは、この理由だと私は理解しています。
元の記事には「今後の見通し」として相場の予想が書かれていましたが、私には先のことは分からないので外しました。
インフレと賃料の関係を、私は時間差で見ている
金利が上がるのは、物価が上がっているからです。そして物価が上がれば、オフィスやマンションの契約更新のときに家賃も上げやすくなります。つまり、金利上昇はまず逆風として効いて、賃料の上昇は後からついてくる、という順番になりやすいと私は考えています。
ただ、「だから今が買い時だ」とは書きません。その時間差が何年になるのか、賃料が本当に上がるのかは、私には分からないからです。賃貸契約は数年単位のものが多いので、少なくともすぐには反映されません。
含み損が出ているときに、私が自分に確かめること
価格が下がった画面を見ると、売りたくなります。そのときに私が順番に見るのは、価格ではなく中身です。
- 分配金は減っていないか。減っているなら、何が原因と説明されているか
- その原因は、家賃収入そのものの話か、借入金利の話か、一時的な売却益の反動か
- 買ったときに自分が立てた理由は、まだ生きているか。変わっているなら何が変わったか
減っていないのに価格だけ下がっているなら、私は何もしません。分配金が減っていて、その原因が続きそうなら、買った理由が崩れたということなので、持ち続ける理由を書き直すか、やめます。買値を思い出して安心するのではなく、中身を見て判断する、という順番にしています。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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