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こんにちは、バフェットかおるです。2026年6月10日の東京市場は、朝から売りが先行しました。
先に結論を書きます。この日の下げは「アメリカがイランへの攻撃を始めた」という地政学リスクと、「来週の日銀会合で利上げがありそうだ」という金利の話が重なったものでした。指数は下がりましたが全面安ではなく、値がさの半導体・AI関連が指数を押し下げた形です。
そして私自身は、この日も何も売っていません。過去の中東有事を並べてみると、株価の下げは短ければ2週間、長くても1〜2カ月で戻ってきたケースが大半だったからです。以下、数字と事実を整理したうえで、私がどう受け止めたかを書きます。
※本記事は私個人の考えと調べたことの紹介であり、特定の銘柄・商品の購入を推奨するものではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。数字は2026年6月時点のもので変わります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
2026年6月10日の日経平均:前引けまでの数字
日経平均(前引け)は6万4,681円39銭(前日比▲735円24銭、▲1.12%)。午前9時43分には▲975円02銭の6万4,441円61銭まで下げ幅を広げました。
- TOPIX:3,867.42(▲28.69、▲0.74%)
- グロース250:720.16(▲2.76%)と新興株が特に弱い
- ドル円:160円36銭前後、日本10年国債利回り:2.694%(+0.027)と金利は上昇
- WTI原油先物:88.92ドル(+0.82%)
私が一番気になったのはここです。プライム市場では値上がり842社、値下がり670社。つまり指数は下がったのに、上がった会社のほうが多かったということです。指数の数字だけを見て「全面安だ」と思わないほうがいい日でした。
下げの理由①:アメリカがイランへの攻撃を開始した
トランプ米大統領は9日、米軍のヘリコプター1機が8日夜にホルムズ海峡でイラン軍に撃墜されたとSNSで明らかにしました。撃墜されたのは陸軍の攻撃型ヘリ「アパッチ」で、ホルムズ海峡上空を巡回中にオマーン沿岸付近で墜落、操縦士2名は無事でした。ニュースサイト「アクシオス」は米当局者の話として、ヘリはイランのドローンと衝突して墜落したと報じています。
米中央軍はトランプ大統領の指示に基づき、米東部時間9日午後5時、日本時間10日午前6時からイランに対する「自衛目的の攻撃」を開始しました。米中央軍はこれを「均衡のとれた対応」だとしています。
東京市場が開く3時間前に攻撃が始まったので、朝一番でリスク回避の売りが出た、という順番です。前日の米国市場ではフィラデルフィア半導体指数が▲1.93%と売られていました。
売られた業種と買われた業種(33業種中18業種が下落)
売られた業種
- 非鉄金属:住友電工(5802)、フジクラ(5803)──AIデータセンター向け電線需要の期待で買われてきた分、米ハイテク安で利益確定売り
- 情報通信:コナミG(9766)、ソフトバンクG(9984)
- 海運:商船三井(9104)、川崎汽船(9107)──ホルムズ海峡が危なくなると船の保険料が跳ね上がる
- 半導体関連:SUMCO(3436)、アンリツ(6754)など──前日の米フィラデルフィア半導体指数▲1.93%の直撃
- 卸売:三井物産(8031)、三菱商事(8058)
買われた業種(14業種が上昇)
- 銀行:三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)──利上げは銀行の儲けを増やす方向に働く
- 不動産:三井不動産(8801)、三菱地所(8802)
- サービス:OLC(4661)、リクルートHD(6098)──内需の会社は中東と関係が薄い「逃げ場」になりやすい
原油高で不利になる会社、有利になる会社
不利になりやすい会社(原油高・物流リスク)
- 空運:JAL(9201)、ANA(9202)──燃料費が経費の2〜3割。原油10ドル上昇で年間数百億円のコスト増
- 電力・ガス:燃料の9割超を輸入に頼る
- 海運:商船三井、川崎汽船──ホルムズ海峡は日本の原油輸入の約9割が通る「海の生命線」。封鎖されれば迂回コスト・保険料が急増
- 化学(ナフサ原料)、紙パルプ、運輸、自動車
有利になりやすい会社(原油高・有事の備え)
- 資源開発:INPEX(1605)、石油資源開発(1662)──持っている油田の価値が上がる
- 防衛関連:三菱重工(7011)、IHI(7013)、川崎重工(7012)
- 金関連:住友金属鉱山(5713)は2月のイラン情勢緊迫時、金価格上昇を背景に思惑買いが入り上場来高値を更新しました
ただし、4月の局面では原油高の追い風が見込まれたINPEXが週次4.59%安、三菱商事が4.98%安となりました。戦争が長引くと「恩恵を受ける会社」への楽観も頭打ちになる、ということだと私は受け止めています。有事のメリットは長続きしないのが歴史の教訓のようです。
過去の中東有事で、どれくらい下げてどれくらいで戻ったか
- 第一次オイルショック(1973年):原油価格が約4倍に。日本は「狂乱物価」で1974年の消費者物価は+23%。株価は約2年低迷。最も長引いたケース
- 湾岸危機〜湾岸戦争(1990〜91年):侵攻直後の1990年8月に日経平均は約11%下落(バブル崩壊と重複)。1991年1月の開戦後はむしろ反発。「開戦は買い」という相場格言が生まれた
- 9.11テロ(2001年):翌営業日に日経平均▲682円(▲6.6%)で1万円割れ。約1カ月で元の水準を回復
- イラク戦争(2003年3月):開戦前に売られ、開戦後に反発。影響は実質数週間
- ソレイマニ司令官殺害(2020年1月):日経平均は1月6日に▲451円。原油一時+4%超。約2週間で回復
- イラン・イスラエル初の直接攻撃(2024年4月):日経平均は4月19日に▲1,011円。数週間で回復
- 十二日間戦争(2025年6月):イスラエルがイランの核関連施設を攻撃した6月13日、日経平均は▲338円84銭の3万7,834円。下げ幅は一時600円超、円は142円台後半まで円高に振れました。その後イランがカタールの米空軍基地を「事前通告つき」で攻撃し死傷者ゼロ、直後にトランプ氏が停戦を発表、原油は急落。影響期間は文字どおり約12日間
- 2026年2〜3月の中東ショック:2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃し、最高指導者を含む要人が標的に。イランは米艦艇・湾岸諸国への報復攻撃を開始。日経平均はピーク59,332円から約14%下落しましたが、4月第2週には週間+7.15%(3,800円高)と急反発し、4月の上昇幅は5,860円(+11.5%)。底打ちまで約1〜1.5カ月
まとめると、中東有事の株価への影響は「短ければ2週間、普通で1〜2カ月」。例外は原油の供給そのものが長期間止まったオイルショックだけでした。今回も「ホルムズ海峡が本当に封鎖されるかどうか」が分かれ目になると私は見ています。
下げの理由②:来週の日銀会合と1%への利上げ観測
日銀は15〜16日に金融政策決定会合を開きます。日経QUICKニュースが「日銀ウオッチャー」28人に実施したアンケートでは、約9割(26人)が6月会合での利上げを予想しています。現在の政策金利0.75%を0.25%引き上げて1.00%にする利上げは「秒読み段階」との見方が強く、年内に1.25%まで到達する可能性も残されています。
背景には、中東情勢の混迷と原油高によるインフレ圧力の高まりがあります。利上げが遅れると日銀の対応が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るリスクが意識されている、という説明がされています。
金利が上がると、将来の利益を当てにした成長株には逆風です。この日グロース250が▲2.76%と特に弱かった理由のひとつはここだと思います。一方で銀行の会社(三菱UFJ・三井住友FGなど)は利上げ観測を支えに堅調でした。
金利は「お金のレンタル料」:仕組みと数字
金利とは「お金のレンタル料」です。日銀が政策金利を上げると、銀行がお金を貸すときのレンタル料も上がります。
- レンタル料が上がる → 会社も人もお金を借りにくくなる → 買い物や投資が減る → モノの値段の上がりすぎ(インフレ)にブレーキがかかる
- これが日銀の狙いです。今は物価が上がりすぎているので、ブレーキを踏もうとしている段階だと理解しています
数字で見る現状
- 現在の政策金利:0.75% → 来週1.00%への引き上げ予想が約9割
- 10年国債利回り:2.694%。5月には一時2.8%まで上昇し、市場参加者のインフレ期待の高まりが背景にあります。OIS市場は6月利上げを75%程度織り込んでいます
- 身近な影響の例:住宅ローン3,000万円(変動)の場合、金利が0.25%上がると年間の利息は約7.5万円増。固定金利はすでに大幅上昇しており、フラット35は6月に年0.50%の引き上げとなりました
利上げで有利になりやすい会社
- 銀行:三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)、三井住友トラスト(8309)、りそなHD(8308)──貸出金利と預金金利の差(利ざや)が広がる。金利0.25%上昇で大手銀行の利益は年数百億〜1,000億円規模で押し上げと試算されています
- 保険:MS&AD(8725)、第一生命HD(8750)、東京海上(8766)──集めた保険料を国債で運用する利回りが改善
利上げで不利になりやすい会社
- 不動産・REIT:借金でビルを建てるビジネスなので利息負担が直撃
- 高PERの成長株:将来の利益を当てにした会社は金利上昇で割り引かれる(この日のグロース250▲2.76%が典型)
- 借入の多い会社:ソフトバンクG、楽天Gなど
- 住宅メーカー:ローン金利上昇で家が売れにくくなる懸念
過去の利上げと株価
- 2024年7月31日の利上げ(0.25%へ):直後の8月5日、円キャリー取引の巻き戻しで日経平均は▲4,451円(▲12.4%)の過去最大の下落(令和のブラックマンデー)。ただし約3週間で半値戻し、年末までにほぼ全値戻し
- 2025年1月の利上げ(0.5%へ):市場が十分織り込んでいたため混乱なし。「サプライズかどうか」がすべてという教訓
- 2006年のゼロ金利解除:当初は株高が続きました。利上げ自体より、その後の米サブプライム問題が株価を崩しました
- 1989〜90年のバブル期利上げ(2.5%→6%):急速すぎる利上げがバブル崩壊の引き金に。「ゆっくりなら大丈夫、急ぐと危ない」
今回は9割が織り込み済みなので、2024年8月型のショックは起こりにくいと私は考えています。むしろ見送られた場合に「日銀はインフレを止める気がない」と受け取られ、円安・金利上昇で荒れるリスクのほうが意識されているようです。
その他に効いた3つの要因
- 前日の米ハイテク安の直撃:NASDAQ100▲1.12%、NYSE FANG+▲1.32%。日経平均は半導体の会社の比重が大きい「ハイテク指数」のようになっているため、米国の風邪をそのまま引きます
- 6月8日の急落(▲2,563円)の余震:大きく下げた直後は投資家心理が弱く、悪材料に過敏に反応しやすい
- 個人投資家心理の悪化:米国がイランを攻撃したとの報道で中東情勢の不透明感が強まり、新興市場で売りが優勢になりました
これからインフレが進むと私が考える3つの理由
①石油が高くなる
日本は石油のほとんどを外国から買っていて、その約9割がホルムズ海峡という「海の細い道」を通ってきます。そこで戦争が起きると、石油を運ぶのが危なくなって値段が上がります。石油が上がると、ガソリンだけでなく電気代、ビニール袋、運送料、つまりほぼ全部のモノの値段が上がります。1973年のオイルショックでは、物価が1年で23%も上がりました。
②円が安い(1ドル=160円)
外国のモノを買うとき、円の力が弱いとたくさんの円を払わなければいけません。10年前は1ドル=110円くらいだったので、同じ100ドルの輸入品が1万1,000円→1万6,000円に。輸入品が約1.5倍に値上がりした計算です。
③お給料が上がっている
お給料が上がる→お店は人件費が増える→商品の値段を上げる→また給料を上げる、というぐるぐる回るサイクル(賃金と物価の好循環)が始まっています。これは悪いことばかりではなく、日銀が「健全なインフレ」と呼んで利上げの根拠にしているものです。
日銀は金利を上げて、インフレが暴走しないようにブレーキを踏もうとしている。これがこの日のニュース全部をつなぐ一本の線だと私は受け止めました。
まとめ:私がこの日にやらなかったこと
- 中東有事の下落は歴史的に2週間〜2カ月で回復してきました。慌てて売った人が一番損をしてきた、というのが私の読み方です
- 利上げは銀行・保険などの高配当の会社にはむしろ追い風になりやすい
- 原油高でインフレが進む時代は、現金で持っているとお金の価値が目減りします。配当という「インフレに負けない仕組み」の価値が上がると考えています
私は良い会社を割安なときに買って長く持つ、というウォーレン・バフェットのやり方を真似しています。買ったら売らないと決めて、配当金を信じて持ち続ける。50代から始めても、60代、70代で「あの時始めてよかった」と思える日が来ると、私は思っています。
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