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私は元JAL(日本航空)の客室乗務員で、30年この仕事を続けました。結論から書きます。「CAはすぐ辞める」と言われますが、公表されている数字からは、そうとも言えませんでした。ただし、はっきり分かったことがもうひとつあります。客室乗務員だけを取り出した離職率は、私が確認した範囲では公表されていません。ですからこの記事では、確かめられた数字と、確かめられなかった数字を分けて書きます。そのうえで、それでも辞めたくなる理由を、私自身の経験として書きます。なお記事の中でJALという個別の会社に触れますが、これは私の経験と保有状況の紹介であり、推奨ではありません。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。採用条件や人数などの数字は、出どころと確認した時点をそのつど記しています。変更されることがありますので、最新の内容は各社の公式資料でご確認ください。本記事は2026年10月時点のものです。
はじめに:この記事で書くことと、書かないこと
先に、書かないことを決めておきます。在職中に知った個別の事情や、特定の誰かが思い浮かぶような話は書きません。同僚がどういう理由で辞めたかも、個人が分かる形では書きません。
書くのは2つだけです。ひとつは、会社や国が公表している数字。もうひとつは、私自身が自分の体にどう感じたかという話です。この2つは、見出しの段階で分けておきます。
働いている人を評価するようなことも書きません。私はもう中にいない人間なので、今の現場のことを判定する立場にはいないからです。
公表データ:客室乗務員の人数は3年で1,400人以上増えています
確かめられた数字から書きます。JALがサステナビリティのページで公開しているESGデータに、客室乗務員の人数が年度ごとに載っています。
| 年度 | 客室乗務員数 |
|---|---|
| 2022年度 | 7,205人 |
| 2023年度 | 7,797人 |
| 2024年度 | 8,132人 |
| 2025年度 | 8,635人 |
出どころはJALグループのESGデータ(JAL企業サイトのサステナビリティのページで公開されているPDF)です。私が2026年10月に確認した時点の数字です。
3年で1,430人増えています。コロナ禍で採用を止めていた分を戻している時期にあたります。人数がこれだけ増えると、職場にいる人の平均年齢は下がります。入ったばかりの人の割合が高くなるからです。
ここが「すぐ辞める」と言われる一因ではないかと私は考えています。若い人が多い職場では、辞める人の姿が目に入りやすくなります。辞める割合が高いのではなく、母数のうち若い人が多いので、出入りが見えやすい、ということです。これは私の見方で、数字で証明できる話ではありません。
公表データ:客室乗務員だけの離職率は公表されていません
ここは正直に書きます。この記事には以前、年度ごとの離職率を数字で並べた表を載せていました。今回それを外しました。理由を説明します。
JALのESGデータには「総離職率」という項目があります。ただ、この欄には「日本航空株式会社のみ」という注記が付いていて、どの行がどの年度のどの値にあたるのかを、私はPDFの上で確かめきれませんでした。以前この記事に書いていた数字が、その表のどこから来たものなのかを示せません。ですので外しました。
あわせて、以前は「日本航空株式会社と特例子会社の合算値」と書いていましたが、私が見た注記は「日本航空株式会社のみ」でした。ここも直します。
そして大事な点です。公表されているのは会社全体の総離職率で、客室乗務員だけを取り出した離職率ではありません。整備や運航乗務、空港や本社で働く人も含んだ数字です。ですから、この数字を見て「CAの離職率は何%だ」と言うことはできません。
つまり「CAはすぐ辞めるのか」という問いに、公表データで直接答えることはできない、というのが私の結論です。
公表データ:世の中全体では、大学を出た人の3割強が3年以内に辞めています
比べる相手として、公的な統計を置いておきます。厚生労働省が2025年10月24日に公表した「新規学卒就職者の離職状況」では、2022年(令和4年)3月に卒業した人の、就職後3年以内の離職率は次のとおりです。
| 大学卒 | 33.8% |
| 高校卒 | 37.9% |
出どころは厚生労働省の報道発表資料です。大学を出て就職した人のうち、3人に1人が3年のうちに辞めている、ということになります。
この数字と、JALの会社全体の総離職率を直接並べるのは、対象が違うので適切ではありません。片方は新卒3年以内という区切りで、もう片方は全社員の1年あたりの数字です。それでも、人が仕事を辞めることは世の中全体でふつうに起きている、ということは分かります。「CAだけが特別にすぐ辞める」という前提は、少なくとも私には確かめられませんでした。
ここから私自身の経験:辞めたくなる理由を3つ書きます
以下は公表データではありません。私が30年のあいだに自分の体で感じたことです。そこは分けて読んでください。
1. 休養が足りないと感じる
私が新人だった頃は、長距離のフライトでも休憩がしっかり取れました。私の時代は長距離なら2泊3日の行程が多かったのですが、のちには1泊3日の組み方も増えました。短い行程が続くと、時差と睡眠が追いつかなくなります。
国内線でも、往復したその翌日からまた泊まりの行程に入ると、通勤だけで精一杯になる日があります。家庭を持っている人にとっては、なおさらだと思います。
体を使う場面も多い仕事です。重い手荷物はお客様ご自身で収納していただくのが基本ですが、実際の場面でそう申し上げにくいこともあります。私のように背の低い人間には、離着陸前の荷物棚の確認だけでもこたえました。しんどいからといって休みにくいのも、この仕事の難しいところです。この理由で辞めたくなる気持ちは、私にはよくわかります。
2. 入って数年のうちは、思ったほど高い給与ではない
客室乗務員は高給というイメージがあります。ここは公表されている募集条件で見てみます。私が確認できたのは、2027年度入社(27卒)の客室乗務職の募集要項として、2025年3月時点の内容が掲載されていたものです。
| 基本給 | 211,000円/月 |
| 乗務手当 | 約50,000円(乗務時間70時間/月の場合) |
| 賞与 | 年3回(2024年度実績) |
この記事には以前、基本給233,000円、乗務手当約56,000円と書いていました。今回確認できたのは上の数字でしたので、確認できたほうに直しました。ただし、これは2025年3月時点として第三者の求人サイトに掲載されていた内容です。その後引き上げられている可能性もあります。最新の条件は、必ずJALの公式の採用ページでご確認ください。
この条件で考えると、月の額面は26万円あまりです。社会保険料と税金が引かれますので、手取りは20万円台の前半になるのではないかと思います。賞与を合わせた年収も、月数によりますが、300万円台から400万円台のあたりでしょうか。ここは私のざっくりした概算で、会社が公表している数字ではありません。
注意したいのは、乗務手当が乗務時間で変わるところです。体調を崩して乗れない月は、その分が減ります。休むと収入が下がる仕組みなので、休みにくさとお金の話はつながっています。「頑張っても生活が楽にならない」と感じたときに、人は辞めていくのだと思います。
3. その先が見えにくい
客室乗務員として30年続けた私は、どちらかというと珍しいほうだと思います。私の同期も、それぞれの事情で辞めていきました。2010年の会社更生の前後には希望退職もありました。これは公表されている出来事です。個別に誰がどうだったかは書きません。
公表されている明るい話もあります。2024年4月1日、JALの社長に鳥取三津子さんが就任しました。1985年4月に東亜国内航空(のちのJAS、現在のJAL)へ客室乗務員として入社された方で、客室乗務員出身では初めての社長です。出どころは航空業界の専門メディアの就任時の報道です。この道があるのだと示された出来事でした。
そのうえで、客室乗務員から管理職へ進む道が広いかというと、私がいた頃はまだそうは言えませんでした。これは私の実感です。40代で、この先どうなるのだろうと考える人がいるのは、無理のないことだと思います。
一方で、辞めにくくもあります。積み上げてきた経験や信用が大きいからです。辞めてみてはじめて、あの時間は別の使い方もできたかもしれない、と思うこともあります。
いま辞めたいと思っている方へ、私の経験から
諭すつもりはありません。私がこうしたという話だけ書きます。
30年のあいだに見送った人たちを思い出すと、辞めてよかった人と、少し急いだかなと思う人の両方がいました。違いは、辞めたい理由が「今のこの状況」なのか「この仕事そのもの」なのかを、自分の中で切り分けられていたかどうかだったように見えました。
基地や路線や組む相手が変わるだけで、見える景色が変わることはあります。逆に、不規則な生活そのものが体に合わないのなら、どこへ移っても同じです。ここは自分にしか分かりません。
お金の話をひとつだけ。辞めるかどうかを考えるときに効いてきたのは、次の勤め先が決まっているかどうかより、数か月分の生活費が手元にあるかどうかでした。それがあると、条件のよくないところに飛びつかずにすみます。私が投資の話をしているのも、もとをたどればここです。
よくある質問
JALの客室乗務員の離職率はどのくらいですか
客室乗務員だけを取り出した離職率は、私が確認した範囲では公表されていません。JALのESGデータには会社全体の総離職率がありますが、客室乗務員に限った数字ではありません。
客室乗務員の人数は減っているのですか
増えています。JALのESGデータでは、2022年度の7,205人から2025年度は8,635人になっています。
新人の給料はいくらですか
2027年度入社の募集要項として2025年3月時点に掲載されていた内容では、基本給211,000円に乗務手当が約50,000円(乗務時間70時間/月の場合)でした。最新は公式の採用ページでご確認ください。
まとめ
- 客室乗務員だけの離職率は公表されていない。だから「すぐ辞める」かどうかは公表データでは答えられない
- 客室乗務員の人数は3年で1,430人増えていて、若い人の割合が上がっている
- 世の中全体では、2022年3月に大学を出た人の33.8%が3年以内に辞めている(厚生労働省)
- それでも、休養・給与・その先の見えにくさという3つは、私の実感としてある
- 辞めるかどうかは、理由が「今の状況」なのか「仕事そのもの」なのかで分かれる
「CAはすぐ辞める」と一言で言われがちですが、調べてみると、そう言い切れる数字がそもそもありませんでした。もし今きついなら、まず休養の取り方と、手元の生活費を整える。私はそう考えています。なお本記事でJALに触れているのは私の経験と保有状況の紹介であり、推奨ではありません。
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