今アメリカの株が下がっている理由は、大きく分けて2つあります。
【理由その1】6月の米雇用統計が「予想よりかなり弱かった」
日本時間21時30分に発表された6月の非農業部門雇用者数(NFP)は、結果5.7万人増でした。市場予想は11.3万人増でしたから、その半分ほどしかなかったことになります。前月も12.9万人増から下方修正されており、明らかに雇用の勢いが鈍っています。労働市場が弱いということは、アメリカ経済に陰りが出てきたのではないか、という景気不安につながります。
そしてこの弱い数字を受けて、市場の反応がはっきり出ました。発表直後、みんかぶの為替速報によれば、非農業部門雇用者数が5.7万人増と予想を大きく下回ったことを受けてドル売りが強まり、ドル円は一時160円台に急落しました。市場はFRB(米中央銀行)の利上げ期待を後退させ、短期金融市場では10月の利上げ織り込みが完全に外れる動きも出ています。つまり、金利が上がらない=ドルの魅力が下がる、ということでドルが売られ、為替が円高方向に振れたわけです。
ドル円は161.098円、マイナス0.90%。チャートは21時台にストンと崖のように落ちています。これがまさに「弱い雇用統計→ドル売り・円買い」の瞬間です。
【理由その2】フィラデルフィア半導体株指数(SOX)がマイナス6%超の大幅安
そして、スクショで一番目立つのが半導体です。実はこの下げは今夜突然始まったものではありません。7月1日(米国時間)のナスダック100の振り返りでは、AI関連への過剰投資が意識され、前日まで買われていた半導体株が大きく売られたと報じられています。マイクロン・テクノロジー(MU)など半導体関連が軟調で、SOX指数が大幅下落しました。
具体的な企業の動きを見てみましょう。7月2日時点で下がっているのはKLA(KLAC)、サンディスク(SNDK)、マイクロン・テクノロジー(MU)、アプライド・マテリアルズ(AMAT)、マーベル・テクノロジー(MRVL)といった半導体・半導体製造装置の銘柄です。つまり、AIブームの中心にいた「花形銘柄」がまとめて売られています。
なぜ半導体だけこんなに下げるのか。ここがポイントです。エヌビディアやマイクロンといったAI・半導体銘柄は、今年3月の安値からウォール街の回復を支え、市場を史上最高値まで押し上げてきた主役でした。つまり上がりすぎていた分、「本当にこの値段の価値があるのか?」というバリュエーション(割高感)への不安が出やすいのです。バークレイズのストラテジストも、AI・半導体分野のモメンタムは不安定に感じられると指摘し、過剰なポジションや政策リスクを警告していました。少し前の6月23日には、マイクロン株が1日で13%超も急落した日もありました。それだけ値動きの荒いセクターなのです。
【セクターの色分け】売られたものと、買われたもの
今夜は「全部が下がった」わけではありません。お金の逃げ先がはっきりありました。
売られたのは、半導体・AI関連。一方で買われた・底堅かったのは、ソフトウェアやディフェンシブ株です。7月1日の相場でも、ソフトウェアやAI関連の一部に買いが入り、アップロビン(APP)、メタ・プラットフォームズ(META)、パランティア(PLTR)、マイクロソフト(MSFT)、アドビ(ADBE)などは上昇しました。実際、ナスダック100は指数こそマイナスでしたが、構成銘柄の約6割はプラス圏で引けています。指数を押し下げたのは、値がさの半導体という一部の主役だったのです。
そして、6月に半導体が急落した局面では、コカ・コーラやP&Gといった生活必需品(ディフェンシブ)株が逆に買われていました。景気が不安なとき、投資家は「何があっても人が使うもの」を作る企業に避難する。これが「セクターローテーション」、つまりお金がセクターからセクターへ移動する動きです。
【まとめ】今夜の下げは2つの合わせ技
整理すると、①6月の雇用が弱く景気不安→ドル売り・円高、②AI・半導体の割高感からの利益確定売り。この2つが重なった夜、ということになります。この2つが同時に来ると下げ幅が大きく見えますが、中身をよく見れば「一部の主役が売られ、お金は他のセクターに逃げている」だけ、とも読めます。
こういう日はまさに「投資家は動じず、投機家が慌てる日」ですよね。値動きの激しい半導体を1日単位で追いかけるのは投機家の発想。私たちは配当を目的に長期で持つ投資家です。
ここで野村證券が公式に検証したデータによると、1995年以降、SOXが1日で5%以上下落した場面は177回ありましたが、その多くは1ヶ月ほどの一進一退を挟んで、その後は株高基調に戻る傾向が確認されています。同じく、米雇用統計をきっかけに米国株安・金利上昇となった場面(37回)でも、1ヶ月程度で S&P500やTOPIXが株高基調を取り戻す傾向が見られました。歴史は「慌てて売った人が損をしやすい」ことを繰り返し示しているんです。
かおるさん、承知しました。いただいた原稿を土台に、具体的な銘柄・セクターの動きを書き足し、最後を「市場に居続けよう」「余剰資金がない人は耐える、ある人は割安で追加投資」というメッセージで締める形に仕上げ直します。まず、かおるさんのポートフォリオに近い日本の高配当・優良銘柄が、こういう米株安・円高局面でどう動きやすいかを裏取りします。データが揃いました。かおるさん、いただいた原稿を土台に、具体的な銘柄・セクターの動きを書き足し、最後を「市場に居続けよう」「余剰資金がない人は耐える、ある人は割安で追加投資」というメッセージで締める、深掘り版の完成台本に仕上げました。そのまま読める形にしています。
日経先物の動き
日経225(現物・7/2終値)は68,733.15円で、前日比マイナス1,741.81円、下落率マイナス2.47%。すでに昨日の時点で日本株は大きく下げています。そして注目すべきは、その下の日経225CFDと日経先物miniです。CFDは67,605.10で「指数比マイナス1,128」、先物miniは67,765.00で「指数比マイナス968」。この「指数比」というのが重要で、現物の終値68,733円に対して、夜間の時間外でさらに約1,000円下に売られている、という意味です。つまり「昨日2.47%下げた日経平均が、今夜さらに1,000円近く下に叩かれている」という状態です。
ドル円を見てください。161.098円でマイナス0.90%、チャートは21時台にストンと崖のように落ちています。これがまさに、弱い米雇用統計を受けたドル売り・円買い(円高)です。一方でTOPIXはプラス0.09%、グロース250はプラス1.83%と逆に上がっている。ここが今日のポイントで、下げているのは日経平均(=値がさハイテク・半導体)であって、市場全体が総崩れというわけではないんです。
なぜアメリカ株安が翌日の日本株に効くのか。理由は3つです。
一つ目は為替。
円高が進むと、トヨタ(7203)やソニーグループ(6758)のような輸出企業は、海外で稼いだドルを円に換えたときの利益が目減りします。だから円高は日本の大型輸出株、とくに日経平均への逆風になります。今まさにドル円が崖を落ちている最中です。
二つ目は半導体。
日経平均は東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ソフトバンクグループ(9984)、そして今年の主役だったフジクラ(5803)といった半導体・AI関連の「値がさ株」の影響を非常に強く受けます。アメリカのフィラデルフィア半導体指数(SOX)がマイナス6.37%も下げると、翌日の東京市場でこれらの銘柄が真っ先に売られ、日経平均を押し下げます。実際、過去の局面でも前日に米SOX指数が下げた流れを引き継ぎ、東京エレクトロンなど半導体関連株に売りが優勢になったことが繰り返されています。
三つ目は連動性そのもの。
日本株は「ニューヨークが風邪をひくと東京がくしゃみをする」と言われるほどアメリカ市場に連動します。夜のうちにNYが大きく下げると、翌朝の東京はそれを追いかけて始まる傾向が強いです。
【具体的にどの銘柄・セクターがどう動きそうか】
相場は「全部が下がる」のではなく、お金がセクターからセクターへ移動する。今回はその方向がはっきりしています。
売られやすいのは、①半導体・AI関連(東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ、フジクラなど)。これは米SOX安を直接引き継ぎます。②輸出・景気敏感株(トヨタ、ホンダ、ソニー、コマツなど)。円高が利益を削るからです。値がさ・値動きが荒い銘柄ほど下げがきつく見えます。
一方で、買われやすい・下げにくいのは、円高と景気減速のときに強い内需・ディフェンシブ・高配当株です。複数の証券会社が、円高転換の局面では内需・高配当株が相対的に安定し、通信・生活必需品セクターへ資金がシフトしやすいと分析しています。具体的には、通信のNTT(9432)、KDDI(9433)、生活必需品・食品、医薬品、電力・ガスといった、景気に業績が左右されにくい銘柄群です。輸入コストが下がる円高メリット銘柄(小売や輸入品を扱う商社の一角)も、この局面では相対的に有利になります。
この「守りの側」があれば日経平均という「見出しの数字」が大きく下げても、資産全体が同じだけ下げるとは限りません。
【歴史で確認しておきましょう】
一番有名なのが2024年8月5日です。前週末にアメリカで弱い雇用統計が出て景気懸念が強まり、米国株が大幅下落。週明けの月曜、日経平均は前週末比4,451円安、率にして12.4%という歴史的な暴落になりました。これは1987年のブラックマンデー翌日(3,836円安)を超える、当時の過去最大の下落幅です。このときもドル円は一時141円台まで急伸する円高が同時に起きていました。まさに今夜と同じ「米株安+円高」の合わせ技です。
そのブラックマンデー本体(1987年)では、アメリカでNYダウが1日マイナス22.6%の暴落、翌日の東京がマイナス14.9%を記録しました。「NYが落ちると翌日の東京が追う」という連動の原型です。
「歴史の続き」あの2024年8月5日の暴落は、翌6日には一転して寄り付きから2%高、上げ幅3,000円超の歴史的急騰になりました。たった1日で景色が変わったんです。パニックで売った人が、一番損をしました。
私は金融アドバイザーではなく一人の投資家として話しますので、「断定」ではなく「こう考えられる」という形でお伝えします。今夜の材料を素直に読むと、明日の日経平均は下落して始まる可能性が高い、というのが自然な見方です。理由は、①先物・CFDがすでに現物より約1,000円下を示している、②ドル円が161円へ円高で輸出株に逆風、③米SOXがマイナス6.37%で東京の半導体株が売られやすい、の3つ。ただし、TOPIXとグロース250が上がっているように、日経平均は下げても日本株全体が総崩れとは限らない、という反対材料も同時に写っています。
ここからが、今日一番お伝えしたいことです。
市場というのは、暴落と回復を何度も何度も繰り返しながら、長い目で見れば右肩上がりに成長してきました。ブラックマンデーも、リーマンショックも、コロナショックも、2024年8月の暴落も、そのたびに「もう終わりだ」と言われましたが、市場はそのつど立ち直り、最高値を更新してきました。だから私たちがやるべきことは、暴落の1日を恐れて逃げ出すことではなく、恐れずに市場に居続けることです。
その上で、今の自分の状況によって、取るべき行動は2つに分かれます。
一つ目。もし今、余剰資金がない方。無理に何かをする必要はありません。ただ静かに耐えて、市場に居続けてください。慌てて売ってしまうことだけが、唯一の「取り返しのつかない失敗」です。持ち続けていれば、配当は下落相場の日でも変わらず入ってきます。株価が下がっても、あなたが持っている株数は1株も減りません。嵐が過ぎるのを、配当を受け取りながら待てばいいのです。
二つ目。もし余剰資金がある方にとっては、こういう下げは、むしろチャンスになり得ます。ただし、何でも買えばいいわけではありません。狙うのは、財務が安定していて、増配を続けていて、本業でしっかり稼げる企業を、割安になったところで少しずつ追加投資する、これに尽きます。値動きの荒い半導体を焦って底値で当てにいくのではなく、通信・生活必需品・優良な内需高配当株のような「本業で稼ぐ力」がぶれない企業を、安く買えるときに買い増しておく。これが、長期・分散・売らないというウォーレン・バフェット投資哲学に一番かなった動き方です。

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