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こんにちは、バフェットかおるです。
先に結論を書きます。2026年5月12日に発表されたKDDI(9433)のディスカウントTOBについて、私は応募せず、そのまま保有を続けることにしました。市場価格より約7.7%安い価格での買い付けなので、応募すると市場で売るより低い価格になる、というのが理由のひとつです。
そしてもうひとつ。この自社株買いと株式の消却は、持ち続ける側にとっては1株あたりの価値が上がる話だと受け止めたからです。以下はその理由を自分なりに整理したものです。私の保有状況と考えの紹介であり、どなたかに買う・売る・応募するをおすすめするものではありません。
今回発表されたのは、最大3,000億円の自社株買い、そのうち2,500億円をトヨタ自動車・京セラからのTOB(株式公開買付け)で取得するというものでした。
※本記事は私個人の考えと調べたことの紹介であり、特定の銘柄・商品の購入を推奨するものではありません。私の保有状況の紹介であって、推奨ではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けていません。数字は2026年5月16日時点のもので、その後変わります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
- 今回のKDDIのTOBで何が起きているのか
- トヨタと京セラは、なぜKDDIの株を手放すのか
- 前回2025年のTOBのあと、株価はどう動いたか
- 2024年8月、トヨタのTOBと大暴落から学べること
- ディスカウントTOBは珍しいことではない
- 長く持つ私にとってプラスだと受け止めた5つの理由
- そのまま保有する場合のメリットとデメリット
- 上場廃止の心配について
- 配当と株主優待はどうなるか
- 私の基準に当てはめると
- ウォーレン・バフェットのやり方に照らして考えたこと
- もう一つ参考にしている考え方
- 今後について私が置いている前提
- 私がどうしたか
- JALの破綻から学んだ、分散の大切さ
- まとめ
- あわせて読みたい関連記事
- TOBのような発表が出たときに慌てないために【PR】
今回のKDDIのTOBで何が起きているのか
駄菓子屋さんで例えてみる
私が自分で飲み込むために考えた例えを書きます。大好きな駄菓子屋さん「KDDI商店」があるとします。
このお店の権利券(株式)を、トヨタおじさんと京セラおじさんがたくさん持っていました。ある日、二人が「もう別のことにお金を使いたいから、権利券を売りたい」と言い出します。
普通なら、おじさんたちが市場でドサッと売ると「こんなに売る人がいるなら人気がないのかも」とみんなが不安になって、権利券の値段が下がってしまいます。
そこでお店の店長さんが考えました。「よし、私が自分のお金でおじさんたちの権利券を直接買い取ろう。そのほうが市場が混乱しないから」。これが今回の自己株式TOB(自社株買い)の正体でした。
今回のTOBの具体的な数字
- TOB価格:1株2,325円
- 市場価格との差:11日終値2,519.5円より約7.72%安い(ディスカウント)
- 過去1ヶ月平均との差:2,583円より10%安い
- 買付予定数:約1億752万株(発行済株式の約2.82%)
- 自社株買いの規模:最大3,000億円(うち2,500億円がトヨタ・京セラ分)
なぜ市場価格より安い値段で買うのか
KDDIは、社外への資金流出を可能な限り抑えるため、市場価格に一定のディスカウントを行った価格で買い付けることが望ましいと判断した、と自ら明言しています。
駄菓子屋さんの話に戻すと、こういうことだと思います。店長さんが、お店のお金(つまり株主みんなの財産)をできるだけ使わずに権利券を買い戻したい。お店に残るお金が多いほうが、ずっと応援してくれている他のお客さん、つまり長く持っている株主にとって得だから。
この仕組みは、長く持つ側に寄っている制度だと私は受け止めました。
トヨタと京セラは、なぜKDDIの株を手放すのか
不正会計とは関係がない
今回トヨタと京セラがKDDI株を売る理由は、KDDIの架空循環取引(不正会計)とは関係がありません。確かに同じ5月12日の決算発表で、架空循環取引の2026年3月期の連結決算への影響額は171億円だったと公表されています。ただ、これは同じ日に発表された別のニュースが並んでいるだけでした。
理由はもっと単純で、トヨタと京セラの売却検討は不正の発覚よりずっと前から、何年もかけて進んでいた話だからです。トヨタが売却を申し入れたのは2025年11月17日、京セラは11月27日。トヨタは2023年から段階的にKDDI株の売却を進めており、2020年の時点で13%を保有していたものが、2度の売却を経て2024年9月末時点では10%まで低下していました。慌てて逃げ出したという性質のものではありません。
むしろ、171億円という不正の影響は、売上6兆円・利益7,000億円規模のKDDIにとっては小さく、それでも過去最高益と24期連続増配を達成しています。トヨタも京セラも「ダメな会社だから売る」のではなく、「いい会社だけれど、もう持ち続ける必然性がなくなったから売る」のだと私は理解しました。
背景にあるのは東証のガバナンス改革
最大の背景は、ここ数年の東京証券取引所のコーポレートガバナンス改革です。
政策保有株(持ち合い株)とは、取引関係を維持するために、事業上の付き合いがある会社の株を持ち合うことです。日本企業の古い慣習ですが、東証はこれを資本効率が悪い、経営の緊張感を失わせるとして、強く縮減を求めています。
トヨタの場合、これがそのまま当てはまります。金額ベースで全体の4割を占める政策保有株の本丸に手をつけることで、企業統治や資産効率の改善への本気度を外部に示す意味合いがあります。今回のKDDIの開示でも、トヨタは2023年・2024年・2025年の公開買付けの実施以降も、さらなる政策保有株式の削減について検討を続けていると明記されていました。
トヨタと京セラ、それぞれの事情
同じ売り手でも、動機は少し違いました。KDDIの公式開示でもはっきり分けて書かれています。
トヨタの理由は政策保有株の縮減そのものです。ガバナンスと資本効率の改善が目的で、事業面の関係は切りません。コネクテッドカー(つながる車)と呼ばれる自動車の通信基盤の開発などで提携しており、事業面での関係は維持するとしています。トヨタは「最適な資本関係について検討を続け、一部を売却することが適切だと判断した。KDDIが重要なパートナーであることは変わりない」としていました。株は減らすけれど、ビジネスの相手であることは変わらない、というメッセージです。
京セラの理由は資金調達手段の確保でした。こちらはガバナンスというより、お金の使い道の問題です。資金調達手段の確保とそのための資本政策を推進するなかで、一部売却を申し入れたとされています。京セラは創業者・稲盛和夫氏がKDDIの前身(第二電電)を設立した深い縁で長年の筆頭株主でしたが、その眠っている資産を現金化し、自社の設備投資や自社株買いに振り向ける方針です。
京セラはKDDI株という、約1兆数千億円規模の含み益の塊を持っていました。でも、これは持っているだけでは1円も生み出しません。配当はもらえますが、その資金で工場を建てたり、研究開発をしたりはできない。いわば金庫の奥で眠っているお宝です。京セラ自身、売却で得た資金について投資にも使うが自社株買いに多くを充てると明言しています。1年前のTOBのときも、政策保有株を放出した資金を設備投資や株主還元の強化に振り向ける動きが評価され、京セラの株価は7%以上上がりました。
私がこの売りをどう受け止めたか
大株主が株を売ると聞くと、つい「何か悪いことが起きているのか」と不安になります。でも今回は逆でした。
売り手が売る理由が東証改革への対応と資金の有効活用であり、しかも事業提携は維持される。これはKDDIに失望して逃げる売りではなく、制度としての持ち合い解消の売りです。
そして売られた株は市場にばらまかれず、KDDI自身がディスカウント価格で買い取って消却します。結果として、長く持っている株主にはEPS向上というプラスに変わります。東証が持ち合い解消を促す、大株主が売る、会社が安く引き取って消却する、残った株主の価値が上がる。いま日本の市場全体で起きている流れの、わかりやすい例だと思いました。
背景にあるのは資本効率という考え方です。会社が持っている資産は、できるだけ利益を生む使い方をすべきだというのが投資家と東証の要求で、事業上の付き合いだけで持っている政策保有株は効率の悪い資産と見なされるようになりました。眠っている持ち合い株を売る、得た現金を本業の投資・自社株買い・配当に回す、資本効率が上がる、市場が評価する。この順番です。
前回2025年のTOBのあと、株価はどう動いたか
KDDIは1年前にも同じことをしています。そのときの結果を振り返ってみます。
前回は取得済み株式数1億7175万株(87.63%)、平均取得単価2,329円と、計画どおりスムーズに完了しました。そしてKDDIは2026年3月期も24期連続増配を達成し、過去最高益を更新しています。2026年3月期の連結売上高は前期比4.1%増の6兆719億円、連結営業利益は前期比1.1%増の1兆991億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比7.9%増の7,071億円でした。
つまり1回目のTOBのあとも、業績は伸び、配当は増え、株主にとって悪いことは起きていません。
株価は一度下がってから持ち直した
前提として、2025年4月1日にKDDIは1株を2株にする株式分割を実施しています。分割後の株価で揃えて見ていきます。
- TOB発表時(2025年5月14日):終値2,580円
- TOB価格:2,307円(10.58%ディスカウント)
- TOB期間中の安値圏:2,227円あたりまで一時下落
- TOB完了後の高値(2025年8月22日):2,692円
- 2025年8月末:2,550円前後(52週レンジは2,227円〜2,692円)
ここは正直に書かなければいけないところです。「TOB発表後、株価がぐんぐん上がった」というきれいな話ではありませんでした。実際には発表からしばらく2,300〜2,400円台に下がっています。短期的にはTOB価格に向かって株価が下がりやすい、という現象が実際に起きたということです。
ただ、下がったあと、TOBが無事に完了すると、需給の悪化要因(トヨタ・京セラの大量売り)が消えたことで株価は持ち直しました。そして8月には2,692円という、発表前の2,580円を上回る水準をつけています。
「発表、一時的に下がる、完了後に持ち直す」という前回の流れは、今回を考えるうえで私の参考になりました。今回もTOB価格2,325円に向けて、しばらく株価は重く推移するかもしれません。実際、足元は2,500円前後でもみ合っています。
私は長く持つつもりなので、期間中に一時的に下がる局面は、安く買い増しできる時間だと受け止めています。前回も2,227円まで下がった場面で買えた人は、その後の上昇分を取れたことになります。もちろん、下がったまま戻らない可能性もあるので、ここは私の見方にすぎません。
そして何より、この1年でKDDIは過去最高益を更新し、24期連続増配を達成しました。株価が上下しても、会社の中身、つまり配当を生み出す力は育っています。私が見たいのはTOB前後の数ヶ月の株価ではなく、5年後、10年後にいくらの配当を受け取れているかです。
2024年8月、トヨタのTOBと大暴落から学べること
もうひとつの事例です。2024年8月、トヨタ自動車(7203)が自己株TOBを実施し、1株2,781円での一部株式取得を目指すと発表しました。東京海上やMS&ADなどからの自己株取得を主な目的としたディスカウントTOBで、2024年7月24日終値3,109円を基準にすると、ディスカウント率は10.55%です。
このTOBについて、専門家は個別にやるよりも自己株TOBという形で一気に、還元も進めながらという形で非常に効率的だと評価していました。トヨタもこの後、株価は短期的にはTOB価格より上で推移し、政策保有株の整理から自社株消却、EPS向上、株主還元強化という流れが市場で好感されています。
ただし、この時期は特殊でした
2024年8月は、KDDIに限らず日本株全体が歴史的な大暴落に見舞われた、極めて特殊な時期でした。
トヨタがTOBを発表したのは2024年7月下旬。その直後の8月5日、日経平均は4,451円28銭(12.39%)安と、ブラックマンデー翌日の1987年10月20日以来の下落となりました。1日の下落率としては87年ぶりの大きさです。
このときKDDIも例外ではなく、市場全体と一緒に大きく売られました。当時は株式分割前で、株価は5,000円前後の水準でした。
ところが、6日には3,217円04銭(10.22%)高と一転して過去最大の上げ幅を記録し、その後も上昇が続き、30日には3万8,647円75銭と7月31日以来の高値まで水準を戻しています。たった1日の暴落の翌日に市場は急反発し、月末にはほぼ元の水準まで戻ったのです。
ここから私が受け取った2つのこと
ひとつ目。TOBと株価を単純に結びつけないこと。「トヨタのTOBがあった月だから、KDDI株はこう動いた」という結びつけは、判断を誤らせます。2024年8月のKDDI株が荒れたのは、トヨタのTOBのせいではなく、円高・米国景気不安・日銀利上げという市場全体の暴落が原因でした。過去の事例を見るときは、TOBそのものの影響と、たまたま同じ時期に起きた市場全体の動きを、きちんと切り分けたいと思います。
ふたつ目。暴落しても、良い会社は戻ってくる。2024年8月5日、日本株全体がこの世の終わりのような暴落をしました。もしこの日に恐怖で投げ売りしていたら、翌日からの急反発を取り逃がしていたことになります。何もせず持ち続けた人、あるいは買い増した人は、その後の回復を受け取れました。そしてKDDIはその後も24期連続増配を続け、2026年3月期には過去最高益を更新しています。
暴落でも売らない。これは私がJALの破綻から学んだことでもあります。
ディスカウントTOBは珍しいことではない
統計も見ておきました。上場企業による自己株式TOBは、2024年1-8月期で20件と、前年同期の14件から4割増えています。自己株式TOBは2001年の商法改正による金庫株解禁をきっかけに2003年から活発化し、2024年8月末までの累計件数は399件。創業家など大株主からの応募を予定したディスカウントTOBが圧倒的に多い、とされています。
つまりディスカウントTOBは、20年以上にわたって400件近く実施されてきた、ごく一般的な株主還元の手法でした。これによって応募しなかった一般株主が損をするケースは、ほとんど見当たりません。
長く持つ私にとってプラスだと受け止めた5つの理由
ここからは、今回のTOBを私がどう受け止めたかです。結論として、長く持ち続ける側にとっては良い話だと考えました。
1. 株が減ることでEPSが上がる
KDDIは今回のTOBと同時に、発行済株式の4.31%にあたる1億8,039万株を消却することも決めました。株を消却するというのは、権利券そのものを破り捨てることです。
世の中にあるKDDIの権利券の数が減ると、1枚あたりの価値が上がります。これがEPS(1株あたり利益)の向上です。利益は同じでも、権利券の数が減れば1枚あたりの取り分が増える。ピザの大きさは同じなのに、食べる人が減って自分の取り分が増えるようなイメージで私は捉えています。
2. 需給の悪化を防ぐ効果がある
もしトヨタと京セラが市場でドカッと株を売っていたら、「KDDIに何かあるのか」「大株主が逃げているのか」と疑心暗鬼になって、株価は大きく下がっていたと思います。KDDIが自分で買い取ることで、市場の混乱を防いでいます。
3. 配当方針に影響がない
KDDIは、事業運営を行うに当たって十分な資金が確保でき、一度にまとまった金額の自己株式を取得した場合も財務状況や配当方針に大きな影響を与えないものと明言しています。
しかも新中期経営戦略の1年目となる2027年3月期は、連結売上高6兆4,100億円(前期比5.6%増)、調整後営業利益1兆2,100億円(前期比5.0%増)を見込み、1株当たり配当金84.0円(配当性向42.8%)を予定しています。25期連続の増配予定まで発表されました。
4. 自己資金でやっている
本公開買付けに要する資金については、全額を自己資金により充当する予定とされています。転換社債(CB)を発行して資金調達するわけではないので、将来の株式希薄化の心配がありません。
同じ日に自己株式180,396,507株、消却前発行済株式総数に対する割合4.31%の消却も決議されています(消却予定日は2026年5月29日)。CB発行に伴う潜在的な希薄化やヘッジ売りの懸念が生じないため、市場が素直に需給改善・EPS向上・株主還元と受け止めやすい形だと言えます。
5. 持ち合い解消という流れに沿っている
いま日本企業全体で株式持ち合いの解消が進んでいます。東京証券取引所が強く推奨している方向で、透明性が高く、株主にとって有利な経営につながる流れです。KDDIはその流れに沿って動いている、と私は見ています。
そのまま保有する場合のメリットとデメリット
メリット
- 市場価格より安く売らずに済む:今回は公開買付価格が株価を下回るディスカウントTOBです。応募すると、市場で売るより低い価格で手放すことになります。
- 消却によるEPS向上を受け取れる:応募した人は2,325円で売って終わりですが、持ち続ければ1株あたりの価値が上がる分をずっと受け取れます。
- 増配を受け取り続けられる:KDDIは2002年度から増配を続けており、2025年度の1株当たり年間配当金は前年度比10.3%増の80円で24期連続増配の予定です。
- 株主優待も継続:条件はありますが、続いています。
デメリット
- 短期的な株価変動:発表直後はTOB価格に向かって株価が一時的に下がる可能性があります。ただしこれは短期の需給の話で、長期的にはむしろ需給改善の要因になると私は考えています。
- 税制上の扱いの違い:自己株式TOBに応募すると、配当所得とみなされる部分があり(みなし配当)、税制上の特殊な計算になります。有利不利は人によって分かれるので、一概にデメリットとは言えません。私は売らない前提なのでここは深く考えませんでしたが、具体的な税金の扱いは税理士や税務署にご確認ください。
上場廃止の心配について
「上場廃止になるの」という心配もよく聞きました。私は、その可能性は極めて低いと受け止めています。理由は3つです。
- 一部買付だから:今回は一部株式取得です。保有している人は、市場で売る、指定の証券会社で申し込む、そのまま保有する、のどれかを選ぶことになります。買付予定は発行済株式の約2.82%だけで、全株を買い取るM&A型のTOBとは目的も性格もまったく違います。
- 他の株主の株を求めていない:2026年2月12日にトヨタ自動車より、2月24日に京セラより、KDDIの提案について前向きに検討する意向が示されました。KDDIはこの2社から相対で買い取ることが目的で、一般株主の応募は想定されていません。
- 通信インフラを担う会社だから:携帯電話事業は政府も国民生活も依存している重要なインフラです。仮にKDDIが上場廃止になるとしたら、それは日本経済全体が大変なことになっているレベルの話だと思います。
配当と株主優待はどうなるか
配当:25期連続増配の予定
KDDIは2027年3月期に1株84円の配当を予定しており、これは連続増配の継続になります。24期連続増配、新中期経営戦略の発表、3,000億円の自社株買いという材料が揃ったうえで、株価は2,500円台。配当利回りは約3.3%(84円÷2,540.5円)でした。
この水準は、過去3年で見ても私にとっては買い増しを考えたい利回りです。
株主優待:続いているが条件が変わった
KDDIの株主優待は2025年から内容が大きく変わりました。
- 保有株数の条件:2026年度から200株以上(2025年の株式分割を反映)
- 保有期間の条件:1年以上
- 優待内容:Pontaポイント、ローソン・成城石井の商品セット、寄付などから選択
- 金額:2,000円相当(1年以上5年未満)/3,000円相当(5年以上)
- Pontaポイントを選び、お得なポイント交換所を利用してau PAY マーケット限定のPontaポイントに交換すると最大1.5倍に増量可能
以前のカタログギフトと比べると残念に感じる部分もありますが、KDDIのサービスを使っている人にとっては、ポイント1.5倍の増量は悪くないと思います。
注意:株主番号が変わると保有期間がリセットされます
これは見落としやすいところです。2026年の株主優待では、2025年3月末以前から継続して同一の株主番号で株主名簿に記載されている場合に1年以上保有、2021年3月末以前から継続して同一の株主番号なら5年以上保有の判定になります。
証券会社を変えたり、結婚で氏名が変わったりすると、株主番号がリセットされてしまうことがあるので、私は自分の株主番号を確認しました。
私の基準に当てはめると
私が会社を見るときの4つの基準に当てはめると、こうなります。
| 基準 | 条件 | KDDI(2026年5月時点) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 配当利回り | 3.75%以上 | 約3.3%(84円÷2,540円) | 届かない |
| PBR | 2倍以下 | 約1.8倍 | クリア |
| 自己資本比率 | 50%以上 | 30%台 | 届かない |
| 流動比率 | 200%以上 | 要確認 | 保留 |
正直に書くと、KDDIは私の基準すべてを満たしているわけではありません。自己資本比率は30%台で基準の50%に届かず、配当利回りも3.3%で3.75%にやや足りません。
それでも私が持っている理由
私の基準は、財務が安定して増配を続ける、生活に必要な事業を持つ会社に投資するというものです。KDDIについては、次の点で基準の趣旨に合っていると判断しました。
- 24期連続増配(25期目の予定)という株主還元の継続性
- 通信インフラという生活必需の事業で、景気に左右されにくい収益
- NTT・KDDI・ソフトバンクの3社による寡占市場で、競争で急に負ける可能性が低い
- 営業キャッシュ・フロー1兆2,490億円という現金を生み出す力
通信業は装置産業のため自己資本比率が低くなる傾向がありますが、これは事業構造上の特性であって財務上の危険ではない、と私は判断しています。この判断が正しいかどうかは、これからの決算で確かめ続けるつもりです。
私の持ち株のなかでの位置づけ
KDDI(9433)は、私のポートフォリオの情報通信セクターの中核として、NTT(9432)、沖縄セルラー(9436)と並べて持っています。3社合計で通信セクターの厚みを作る形で、KDDI単独で基準を満たしていなくても、全体としてバランスを取るという考え方です。これも私の保有状況の紹介で、推奨ではありません。
ウォーレン・バフェットのやり方に照らして考えたこと
私の名前の由来でもあるウォーレン・バフェットのやり方に照らすと、今回のTOBはどう見えるのか。これは私の想像にすぎませんが、整理しておきます。
好きな保有期間は「永遠」だという言葉
「Our favorite holding period is forever.」という言葉があります。短期の売買を好まず、永遠に持つと公言している人です。今回のTOBに応募すること、つまり売ることは、この考え方とは反対の方向になります。
自社株買いを高く評価する
ウォーレン・バフェットは、自社株買いを実施する会社を高く評価することで知られています。配当は受け取った瞬間に税金がかかりますが、自社株買いは株主の持ち分の価値を直接高めます。今回の3,000億円の自社株買いと4.31%の消却は、そういう意味で評価されやすい形だと思います。
経済的な堀(モート)という見方
良い会社には、他社が簡単に入ってこられない堀があるという考え方です。KDDIについて私が堀だと思っているのは次のようなものです。
- 通信免許という参入障壁
- 全国の基地局網
- 7,200万人超のモバイル契約者基盤
- au金融とPonta経済圏
彼が日本の5大商社(三菱・三井・住友・伊藤忠・丸紅)に投資していることは知られていますが、好んでいるのは安定した配当、競争で急に負けにくい事業、株主還元に積極的な経営陣だと言われます。その条件は、KDDIにも当てはまるように私には見えました。
もし同じ型で考えるなら、TOBには応募せず、株価が下がったら買い増し、消却によるEPS向上を黙って受け取り、配当を再投資する。私はそう想像しました。ただ、これはあくまで私の想像で、本人の見解ではありません。
もう一つ参考にしている考え方
私がもう一つ参考にしているのが、リベラルアーツ大学の両学長の考え方です。
- 優良な会社は売らない:株価が下がっても慌てて売らない。配当が減らない限り、株価の変動は気にしないという姿勢です。
- 自分で考えて、自分で決める:他人の意見を鵜呑みにせず、根拠を持って判断すること。今回のTOBも、「TOB?売らないと損?」という表面的な情報に流されず、仕組みを理解してから自分の方針に従って決めたいところです。
- 配当を生み出す資産を着実に増やす:高配当株投資の本質は、働いて得る収入以外の収入源を作ること。KDDIは毎年安定して配当を出し、しかも増やしてきました。
今後について私が置いている前提
先のことはわかりませんが、自分の中で置いている前提を書いておきます。これは予想ではなく、こうなったらこうしようという私の目安です。
- 1年以内:TOB完了直後(2026年6月頃)は一時的な需給で株価がもみ合う可能性。自社株消却後はEPS向上が織り込まれていく。配当の権利落ち(9月末・3月末)前後は例年どおり買いが入りやすい。
- 3年くらい:新中期経営戦略(2029年3月期まで)で売上6兆4,100億円、営業利益1兆2,100億円超を目指すとされている。非通信(au金融、ローソン、DX)の成長がどう進むか。
- 10年先:5Gから6Gへの通信基盤、AIやIoTによるデータ通信需要、Coincheck買収によるWeb3戦略。配当がどこまで育つかを、私は楽しみに見ています。
私がどうしたか
私は今回のTOBに応募せず、保有を続けることにしました。理由をまとめます。
- ディスカウントTOBなので、応募すると市場で売るより低い価格になる
- 一部買付であり、上場廃止の心配は極めて小さいと受け止めている
- 配当は25期連続増配の予定で、優待も条件つきで続いている
- 消却によって1株あたりの価値が上がる
- 通信インフラという生活に必要な事業を持っている
私のポートフォリオでは、情報通信セクターの中核としてNTT・沖縄セルラーと並べて保有を続けます。配当利回りが3.3%台にある今は、新NISAの成長投資枠で買い増しを考えたい水準だと私は見ています。繰り返しますが、これは私の保有状況と考えの紹介であって、推奨ではありません。
JALの破綻から学んだ、分散の大切さ
私がなぜ74社と米国ETFという細かい分散をしているのか。それは、JALの破綻を社員として経験したからです。
KDDIは素晴らしい会社だと思っています。でも、私はKDDI1社だけに全財産を置くことはしません。1社に集中していると、その1社に何かあったときに取り返しがつかなくなる、というのを目の前で見たからです。
- NTT、沖縄セルラー、KDDIで通信セクターのなかを分ける
- 商社、銀行、製造業、小売、サービスで業種を分ける
- 日本の会社とS&P500、全世界株で地域を分ける
こうして分けておけば、JALの破綻のようなことが起きても、全体は守られると私は考えています。
まとめ
- 今回のTOBは最大3,000億円の自社株買いのうち2,500億円をトヨタ・京セラから取得するもの。価格は1株2,325円で、11日終値から約7.72%のディスカウント
- 売り手の動機は東証改革への対応と資金の有効活用で、不正会計とは関係がない
- 前回2025年のTOBでは、発表後に一時下落し、完了後に持ち直した
- 発行済株式の4.31%を消却するため、持ち続ける側は1株あたりの価値が上がる
- 配当は25期連続増配の予定。優待は200株以上・1年以上保有が条件で、株主番号の継続に注意
- 私は応募せず保有を続け、株主番号を確認した。これは私の保有状況の紹介で、推奨ではない
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TOBのような発表が出たときに慌てないために【PR】
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今回のような発表が出ると、まず自分の保有株数と株主番号を確認することになります。私はそれを自分の口座の画面で確かめて、下がった局面では1株ずつ買い足しました。こういう動き方ができるのは、次の2つがどちらも単元未満株に対応しているからでした。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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