今週も米国株、日本株、全世界株、本当に大きな動きのある1週間でした。最後の最後、金曜日にとんでもないことが起きました。
今週半ばまでは史上最高値ラッシュ。先週まではS&P9連続の上昇。ところが今週その連続上昇がついにストップ。それどころか金曜日は稀に見る急落でした。NASDAQは1日で-4.18%。2025年4月の関税ショック以来、約1年2ヶ月ぶりの大きな下落幅。半導体の主要指数・フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は1日でなんと-10%。1週間で半導体株関連、なんと150兆円以上の時価総額が消えました。
株だけじゃない。ビットコインも6万ドル割れ。さらに金まで売られています。市場の心理を表すFear&Greedインデックスは久しぶりに恐怖の領域に転落。しかし不思議なことに、金曜日発表された雇用統計はものすごく強い結果でした。経済は強いのに株は下がる。一体何が起きているのか。これは終わりの始まりなのか。結論は「NO」です。
【本日の5つのお品書き】
- 今週1週間、資産は増えた?減った?(新NISAで人気の投資信託10本)
- 今週の米国株の動き(週前半は絶好調・金曜日は地獄)
- 今週の日本株の動き(金曜下落・暗黒月曜の可能性)
- 今週の全世界株の動き
- 終わりの始まりか?グレアムに学ぶ「ミスターマーケット」
【①今週の投資信託パフォーマンス】
新NISAで人気の投資信託10本の今週の騰落率ランキング。今週から日本株式(日経平均バージョン)とSOX半導体指数を追加。
- 1位:日SOX(半導体が絶好調)
- 2位:新興国
- 3位:NASDAQ
ドル円は週末に160.3円まで下落(159.6円→160.3円)。
長期データで見ると、2024年初から今週末までの10銘柄の騰落率は+74%以上。5000万円投資していれば+3700万円以上増えている計算。2020年初からはさらに大きく上昇。これが長期投資の力。
【②今週の米国株の動き】
金曜日の数字:
- S&P500:-2.64%
- NASDAQ:-4.18%(2024年4月以来の大幅安)
- ダウ:-1.35%
- SOX(フィラデルフィア半導体指数):-10%
1週間で半導体株から消えた時価総額:約1兆ドル(日本円150兆円以上)。
半導体だけでなく、株・暗号資産・金・銀すべて売られる全面安の金曜日。
- ビットコイン:6万ドル割れ(2024年10月以来の安値)
- ゴールド:-3.38%
- シルバー:-6.9%
Fear&Greedインデックスが恐怖の領域に転落。VIX指数も20台へ上昇。
今週の流れ:
- 月・火:テック系・エネルギー系が買われ上昇。S&P500が初めて7600ポイント突破。
- 水:引け後にブロードコムが決算発表。半導体株が売られ始める。ただしダウは逆に最高値更新(資金のローテーション)。
- 金:半導体の売りが止まらなくなり、雇用統計が追い打ち。NASDAQ -4%以上。S&P9連続上昇が完全ストップ。一方、小型株ラッセル2000は+1.45%(ローテーション)。
【暴落の引き金①:ブロードコムショック】
ブロードコムはGoogleやMeta向けに専用AI半導体を設計する巨大企業。水曜の決算は数字は抜群に良かった:
- 売上高221億ドル(前年比+48%)
- AI半導体:+143%
なのに株価は翌日-14%暴落。理由は「見通しが市場の期待にわずかに届かなかった」こと。市場は次の四半期172億ドルを期待していたが、実際の予想は160億ドル。「噂で買って事実で売る」(2週間前のNVIDIAと非常に似ている)。
連鎖反応:
- マーベル:-16.7%
- マイクロン:-13.2%
- クアルコム:-10.9%
- AMD:-10.8%
⚠️ SOXL(半導体3倍レバレッジETF)は1日で-30%。レバレッジの本当の怖さ。
【暴落の引き金②:強すぎた雇用統計と金利の急上昇】
金曜日の米国雇用統計:
- 市場予想:+8万人
- 実際:+17.2万人(予想の倍以上)
強い雇用 → インフレが収まらない → FRBが利上げするかも → 利上げ確率が前日の5割から7割へ急上昇。年内2回の利上げとの見方も。
10年債金利:4.53%、2年債は約1年3ヶ月ぶりの高水準。
「金利は重力のようなもの」:金利が上がると高く飛んだ銘柄ほど引き戻される。PERの高いハイテク株ほど弱くなる。
※ワールドカップ(アメリカ開催)でレジャー・接客用雇用が7万人増。一時的なお祭り需要の側面も。ゴールドマンは利上げ想定せず。
【暴落の引き金③:スペースX上場による「サイフォン効果」】
来週6月12日、SpaceXがNASDAQに上場。調達予定額12兆円。時価総額は約283兆円。市場最大級のIPO。
サイフォン効果:巨大IPOが市場のお金を吸い上げる現象。SpaceXを買いたい投資家が利益の乗った株(NVIDIA・テスラ・半導体株)を売る→市場の他の場所からお金が吸い上げられる。
過去の事例:アリババ上場(2014年9月)
- 調達額250億ドル
- 上場後S&Pは約1ヶ月で7%下落
- その後約2週間でほぼ回復
→ 短期的には荒れるが回復する。
怖がりすぎなくていい理由:
- 2026年の自社株買い:1兆3000億ドル(IPO供給を上回る規模)
- お金は消えていない、移動しただけ
- OpenAI・アンソロピックも年内上場予定。市場の活性化につながる。
【③今週の日本株の動き】
日経平均の金曜日の下げ:-1.3%(NASDAQの-4.18%に比べると小さいが、月曜にドカンと来る可能性)。
AI半導体が1人負けする一方、金融・内需関連にお金が移動。米国と似た構造。収録時点で日経先物が大きく振られており、月曜日はブラックマンデーになるかとの声も。
【④今週の全世界株(オルカン)の動き】
景気の体温計PMIで欧米に明暗:
- 米国製造業PMI:55.3(4年ぶりの高水準)
- ユーロ圏総合PMI:47.5(2023年10月以来の低さ)
原因は同じ「イラン情勢による原油高」だが影響が正反対:
- ヨーロッパ:エネルギー輸入依存→原油高→物価高→景気圧迫。エコノミックサプライズ指数:-67.4
- アメリカ:原油の準輸出国→原油高で儲かる。エコノミックサプライズ指数:+44.9%
各国の状況:
- 韓国:サムスン・SKハイニックスなど半導体比重が大きく今回の影響を大きく受ける
- インド:ITと国内消費が柱。半導体ゾーンの比重は低い
- 中国:米中関係や独自の景気対策で別のリズム
オルカンはこれを丸ごと平均化して持てるのが強み。原油そのものは今週下落(米国・イランの和平交渉期待でWTI:88ドル台)。
【⑤終わりの始まりか?グレアムに学ぶ「ミスターマーケット」】
過去データ:9連続上昇後1年後はどうなったか 1950年以降、過去10回中8回がプラスで終了。中央値:+12%。
大統領サイクル2年目:1年で最も下げが大きい月(=仕込みのチャンス)。過去データでは株価が10〜20%下落した後、S&Pはその後12ヶ月で平均+25%上昇。
ベンジャミン・グレアムの「ミスターマーケット」
グレアムはバリュー投資の父。バフェットが「私の知性の83%はグレアム」と言うほどの師匠。
「市場は気分屋のおじさんだと思いなさい」
- 機嫌がいい日:「君の株は最高だ!」と高値で買いに来る
- 機嫌が悪い日:「もうダメだ、こんな安値でいいから売ってくれ」と悲観する
- 振り回されるな。むしろ利用しなさい。安売りは買いのチャンス。
今週はまさにおじさんがパニック中。「半導体なんてもうダメだ」と投げ売り中。でもブロードコムのAI半導体は+143%と絶好調。会社の実力は1週間前と何も変わっていない。変わったのはおじさんの気分だけ。
「株式市場は唯一セールで客が逃げる場所」:普通の店なら3割引きセールに客が殺到する。株だけはなぜか3割引きになると怖くて逃げ出す。
今日の結論:下落はラッキー、上昇はハッピー
ただし注意:
- セール開始=今がそこではない。明日もっと安くなるかも
- 貯金を全部つぎ込むような極端な行動は絶対にNG
- やるべきことは「底を当てること」ではなく「逃げ出さず淡々と積み立てを続けること」
- 相場を当てに行かず毎月コツコツ続ける。どっちに転んでも後悔しない方法。
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