大和証券のチーフテクニカルアナリスト木内さんと、つばめ投資顧問の栫井(かこい)さんが「日本株はこの夏どうなるか」を解説した対談です。
結論:日本株は7月頭まで上昇傾向が続く見通し
木内さんは、日経平均は7月初めまで強くなりやすいと予想しています。理由は3つです。
① 海外マネーの流入 IMF(国際通貨基金)が4月に世界の経済成長見通しを引き下げる中、日本だけは据え置きで「主要先進国の中で最善」と評価されました。ヨーロッパの投資家は国ごとの配分を重視するため、IMF評価が良いと約9週間買ってくる傾向があり、6月いっぱいは日本株を買い続けると期待できます。加えてバフェット氏の三菱商事など商社への「永遠の投資」発言もあり、資金が入り始めています。
② 配当の再投資 3月決算企業が多い日本では、6月上旬と下旬に合計13兆円規模の配当が支払われます。投資信託や年金などのファンドは「他人のお金」なので現金で持てず、再び株を買う必要があります。これが6月の株価を押し上げます。
③ 自社株買いと株主総会 6月末に多い株主総会に向けて、企業は株価を高くしたい動機があります。
ただし高値圏での警戒も必要
日経平均は5月25日に終値ベース最高値(65,158円)を更新しましたが、ここから上は微妙とのこと。証券会社の予想が「68,000円」に集中してきており、みんなが同じ水準を言う時は要注意というのが木内さんの戒めです。理由は、みんなが利益確定したい水準では実際そこまで届かないか、逆にうっかり抜けると強気が加速して突き抜けるかのどちらかで、予想ピークでぴったり止まるのは考えにくいからです。
米国株は調整局面の可能性(セルインメイ)
米国は逆に5〜6月が弱くなりやすい時期です。理由は、毎年2〜5月に約40兆円あった税還付マネー(確定申告の還付)の流入が終わること、そして今年が中間選挙の年で選挙前は様子見になりやすいことです。ただしガソリン価格次第で、価格が下がれば調整が浅く済む可能性もあり、最終的には「イラン情勢次第」とのことです。
イラン情勢が落ち着いた場合に反発が期待できるセクター
栫井さんも木内さんも米・イランは歩み寄ると見ています。米防衛株がアンダーパフォームしていることが、戦争が長引かないサインだそうです。戦争で打撃を受けた分、終結時に反発が期待できるのは、不動産・建設(資材不足でTOTO等が打撃)、空運(中東上空が飛べずジェット燃料も不足)、水産農林などです。逆に金融や自動車は円高懸念でリバウンドしにくいとのこと。
金利の見通し
米長期金利は4.2%を超えると株のピークになる「マジックナンバー」ですが、家賃(米コアCPIの約44%)の先行指標である住宅価格が鈍化しているため、インフレは落ち着く方向で金利高は一時的との見方です。日本側も日銀が長期金利を抑制する行動を取ると予想しています。
日銀の6月利上げの可能性
「しなくていいが、してしまうかもしれない」が木内さんの見立てです。日本のコアCPIは1.4%まで下がっており、サービス物価も2%以下で安定、経済の好循環でインフレになっているわけではないので慌てる必要はない、という理屈です。ただし8月に物価の基準年改定があると数値が下がりやすく利上げしにくくなるため、その前の6月にやってしまう可能性がある、と説明しています。背景には、政府(高市氏)と日銀の物価スタンスの違いもあるとのことです。
AI・半導体相場は年内安泰か
NVIDIAの決算は売上見通しが前年比ほぼ倍と非常に強い内容でした。通常は新製品が出ると歩留まりの悪化で粗利益率が落ち株価が調整しますが、今回は新型CPU「ベラ」(コア80個)の登場でAIエージェント時代にCPU需要が高まっており、あと1四半期ほどは上昇が続く可能性があるとのこと。栫井さんは、長期的に強いと認めつつ、株価が高すぎる点と「マイクロソフトが社員にClaude/AIコードの課金しすぎを注意した」というニュースを挙げ、設備投資が見合わなくなるリスクにも触れています。
ざっくり一言でまとめると、**「6〜7月頭までは日本株が強い好機。ただし高値圏なので欲張りすぎ注意。米国株はセルインメイで調整含み、イラン情勢の落ち着きでリバウンド銘柄を狙うチャンスもある」**という内容です。
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