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【完全版】バフェットのバークシャー・ハサウェイ徹底解剖|投資先110社超・寄付9兆円・秘書より低い税率の真実

この記事は約17分で読めます。
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  1. バークシャー・ハサウェイ 投資の全体像
    1. ① 完全子会社(100%保有の事業会社)= 約60社以上
    2. ② 上場株式ポートフォリオ(13F開示分)= 42銘柄
    3. ③ 現金・米国短期国債 = 約55兆円
  2. 完全子会社(主要なもの約60社超)
  3. 上場株ポートフォリオ 42銘柄(2025年Q4・13F)
    1. トップ10
    2. 11位〜20位
    3. 21位〜30位
    4. 31位〜42位
  4. 非米国株(13Fに含まれない別枠)
  5. バフェットの銘柄選び「4つの基準」
    1. ① ビジネス基準
    2. ② 経営者基準
    3. ③ 財務基準
    4. ④ 市場基準
  6. 合計何社に投資していたのか?
  7. バフェット個人の保有資産
    1. メイン:バークシャー・ハサウェイ株
    2. その他ごくわずか
    3. 毎年の寄付で保有比率は減り続けている
    4. 究極の集中投資
  8. バフェットの「妻への遺言」— S&P500 90%:短期国債 10%
    1. 原文(2013年 バークシャー株主への手紙より)
    2. 根拠① プロでない人は銘柄選びをすべきでない
    3. 根拠② ヘッジファンドとの10年賭けで証明済み
    4. 根拠③ 10%の短期国債は「暴落時のリバランス用弾薬」
    5. なぜバークシャー株ではなくS&P500なのか
    6. 日本人への注意点
  9. バフェットの寄付・税金・資産の全体像
    1. 資産額の推移
    2. 寄付先と金額
    3. ① ビル&メリンダ・ゲイツ財団(最大の寄付先)
    4. ② スーザン・トンプソン・バフェット財団
    5. ③ シャーウッド財団
    6. ④ ハワード・G・バフェット財団
    7. ⑤ ノヴォ財団
    8. 累計寄付額:9兆円超
    9. 遺言の変更(2024年)
  10. 税金の話 — 「秘書より低い税率」
    1. なぜ大富豪の税率が秘書より低いのか?
    2. バフェット・ルール
  11. 寄付と税金のカラクリ
  12. 「9兆円寄付しても資産が3倍になる男」
  13. バフェットの日本投資 — 5大商社・投資理由・バフェット効果の全体像
    1. 5大商社への投資額(各社別)
    2. バフェットが5大商社を選んだ理由
    3. 「バフェット効果」——世界からいくら流れ込んだか
    4. 国・地域別:誰が日本株を買ったのか
    5. 円建て社債の調達実績
  14. 東京海上への投資 — 2,874億円
    1. 5大商社との違い — 単なる株式投資ではなく「事業提携」
    2. なぜ東京海上を選んだのか
    3. バークシャーの日本投資 全体の金額まとめ

バークシャー・ハサウェイ 投資の全体像

バークシャー・ハサウェイの資産は、大きく 3つのカテゴリ に分かれています。


① 完全子会社(100%保有の事業会社)= 約60社以上

丸ごと買収して傘下に収めた会社たち。これがバークシャーの「本体」です。

② 上場株式ポートフォリオ(13F開示分)= 42銘柄

2025年12月31日時点の最新SEC提出で、42銘柄・総額約41兆円 です。

③ 現金・米国短期国債 = 約55兆円

2025年12月31日時点で、約55兆円の現金・現金同等物・米国短期国債を保有しています。


完全子会社(主要なもの約60社超)

保険 GEICO(自動車保険最大手)、Gen Re(再保険)、National Indemnity、Alleghany

鉄道 BNSF Railway(北米最大級の貨物鉄道)— 約5.1兆円で買収

エネルギー Berkshire Hathaway Energy(電力・ガス)

製造 Precision Castparts(航空部品・約5.5兆円)、Lubrizol(化学)、Fruit of the Loom、Duracell

小売・食品 See’s Candies(1972年〜最古参)、Dairy Queen、Pilot Flying J

不動産・建設 Clayton Homes、Shaw Industries、Acme Brick、Johns Manville

サービス NetJets(プライベートジェット)、FlightSafety、Business Wire

メディア WPLG-TV、World Book Encyclopedia

その他 Forest River(RV)、Brooks Sports、Oriental Trading


上場株ポートフォリオ 42銘柄(2025年Q4・13F)

トップ5だけでポートフォリオの約70% を占める超集中型のポートフォリオです。

トップ10

順位 銘柄 ティッカー セクター 保有比率 推定評価額
1 Apple AAPL テクノロジー 1.55% 約9兆2,850億円
2 American Express AXP 金融 22.08% 約8兆4,000億円
3 Bank of America BAC 銀行 7.17% 約4兆2,600億円
4 Coca-Cola KO 飲料 9.30% 約4兆1,850億円
5 Chevron CVX 石油 6.57% 約2兆9,700億円
6 Moody’s MCO 金融 13.83% 約1兆8,900億円
7 Occidental Petroleum OXY 石油 26.91% 約1兆6,200億円
8 Chubb CB 保険 8.76% 約1兆5,900億円
9 Kraft Heinz KHC 食品 27.51% 約1兆1,700億円
10 Alphabet (Google) GOOGL テクノロジー 0.31% 約8,250億円

11位〜20位

順位 銘柄 ティッカー セクター 保有比率 推定評価額
11 DaVita DVA ヘルスケア 45.06% 約6,600億円
12 Kroger KR 小売 7.90% 約4,650億円
13 Visa V 金融 0.49% 約4,350億円
14 Sirius XM SIRI メディア 37.28% 約3,600億円
15 Mastercard MA 金融 0.45% 約3,300億円
16 Verisign VRSN テクノロジー 9.62% 約3,150億円
17 Constellation Brands STZ アルコール 7.50% 約2,550億円
18 Capital One Financial COF 銀行 1.14% 約2,550億円
19 UnitedHealth Group UNH 医療保険 0.56% 約2,400億円
20 Domino’s Pizza DPZ レストラン 9.92% 約1,950億円

21位〜30位

順位 銘柄 ティッカー セクター 保有比率 推定評価額
21 Ally Financial ALLY 金融 9.40% 約1,950億円
22 Aon AON 金融 1.90% 約1,800億円
23 Nucor NUE 鉄鋼 2.80% 約1,500億円
24 Liberty Live Series C LLYVK メディア 16.60% 約1,305億円
25 Lennar Corp A LEN 住宅建設 3.27% 約1,080億円
26 Pool Corporation POOL 消費財 8.24% 約1,050億円
27 Amazon AMZN テクノロジー 0.02% 約780億円
28 Louisiana-Pacific LPX 住宅建設 8.11% 約675億円
29 Liberty Live Series A LLYVA メディア 19.50% 約600億円
30 New York Times NYT メディア 3.14% 約525億円

31位〜42位

順位 銘柄 ティッカー セクター 保有比率 推定評価額
31 HEICO Class A HEI.A 航空宇宙 1.54% 約480億円
32 Liberty Formula One FWONK メディア 1.35% 約435億円
33 Charter Communications CHTR 通信 0.84% 約330億円
34 Lamar Advertising LAMR 広告 1.38% 約225億円
35 Allegion ALLE セキュリティ 0.91% 約180億円
36 NVR Inc NVR 住宅建設 0.40% 約120億円
37 Jefferies Financial JEF 金融 0.21% 約30億円
38 Diageo DEO アルコール 0.04% 約15億円
39 Liberty Latin America A LILA メディア 6.15% 約15億円
40 Lennar Corp B LEN.B 住宅建設 0.58% 約15億円
41 Liberty Latin America C LILAK メディア 0.81% 約13億円
42 Atlanta Braves Holdings BATRK メディア 0.22% 約6億円

非米国株(13Fに含まれない別枠)

銘柄 セクター 保有比率
伊藤忠商事 (8001) 日本 総合商社 8.53%
三菱商事 (8058) 日本 総合商社 9.67%
三井物産 (8031) 日本 総合商社 10.12%
丸紅 (8002) 日本 総合商社 9.30%
住友商事 (8053) 日本 総合商社 9.29%
Insurance Australia Group 豪州 保険 4.12%
Naito & Co. (7624) 日本 商社 5.15%
YG-1 Co. 韓国 工具 16.08%

バフェットの銘柄選び「4つの基準」

① ビジネス基準

シンプルで理解できる事業か?長期の営業実績があるか?

② 経営者基準

誠実で優秀な経営者がいるか?株主利益を考えているか?

③ 財務基準

ROEが高いか?利益率が安定しているか?低レバレッジか?フリーキャッシュフローが潤沢か?

④ 市場基準

本質的価値より割安か?「安全余裕」(margin of safety)があるか?

加えて、バフェットが最も重視したのは 「経済的な堀」(Economic Moat) ——競合に真似できない参入障壁のある企業です。

コカ・コーラのブランド力、Appleのエコシステム、American Expressのネットワーク効果、Moody’sの寡占的地位……すべてに共通する特徴です。


合計何社に投資していたのか?

完全子会社60社以上 + 上場株42銘柄 + 海外株8銘柄 = 合わせて110社以上の企業に投資 していたのが「バフェットのバークシャー」でした。


バフェット個人の保有資産

結論から言うと、バフェット個人が持っているのはほぼバークシャー・ハサウェイ株だけ です。

メイン:バークシャー・ハサウェイ株

バフェット氏はバークシャー・ハサウェイの発行済株式数の約14%を保有しており、時価総額は 約22兆円 にのぼります。

2006年に保有財産の99%以上を死後に慈善活動に寄付すると宣言しています。

その他ごくわずか

個人ポートフォリオとしては、バークシャー株約16%のほかに、JPモルガンとウェルズ・ファーゴの株をわずかに保有しているとされていますが、その規模は公開されていません。

毎年の寄付で保有比率は減り続けている

2024年11月には 約1,800億円分 のバークシャー株を、子供たちが運営する4つの財団に寄付しました。

2006年の寄付宣言以降、財団はすでに 約8兆2,500億円相当 のバークシャーB株を受け取っており、これは当時のバフェットの全資産約6兆4,500億円を上回る規模です。

究極の集中投資

バフェットの個人資産のポイントは 「究極の集中投資」 ということです。約22兆円の資産のほぼすべてがバークシャー1銘柄。

普通の投資教科書では「1銘柄に集中するな」と言いますが、バフェット自身は自分が経営する会社に全賭けしていたわけです。

一方で、バークシャー自体の中では42銘柄+60社以上の完全子会社で分散されているので、「会社の中で分散している」 という構造になっています。


バフェットの「妻への遺言」— S&P500 90%:短期国債 10%

原文(2013年 バークシャー株主への手紙より)

バフェットが2013年の株主への手紙の中で明かした内容です。原文はこうです:

「私がここでアドバイスすることは、私が妻に宛てた遺言書に記した指示と本質的に同じです。現金の10%を米国短期国債に、90%を超低コストのS&P500インデックスファンドに投資しなさい。ヴァンガードのファンドがいいでしょう。 この方針による長期的な成果は、高額な手数料の運用者を雇っている年金基金、機関投資家、個人の大半が達成するものより優れたものになると信じています」

根拠① プロでない人は銘柄選びをすべきでない

バフェットは同じ手紙の中で「プロではない投資家の目的はパフォーマンスの良い銘柄を選ぶことではないし、それを実際に行うことは本人もそのアドバイザーにも難しい。大切なことは幅広く横断的に投資することだ」と述べています。

投資の神様自身が 「普通の人は個別株をやるな」 と言っているわけです。

根拠② ヘッジファンドとの10年賭けで証明済み

バフェットはS&P500インデックスファンドを約1億5,000万円買い、ヘッジファンド側も約1億5,000万円で運用して10年後の結果を比べるという賭けを行いました。

結果、S&P500の年率8.5%に対してヘッジファンドはそれに及ばず、 インデックスの大勝 に終わりました。

高い手数料を払ってプロに任せるより、低コストのインデックスの方が勝つことを実証したのです。

根拠③ 10%の短期国債は「暴落時のリバランス用弾薬」

株が暴落してS&P500の比率が90%から80%に下がったとき、国債10%分を売却してS&P500を買い増すことで、安くなった株を自動的に拾える仕組みになっています。

つまりこの10%は「ただの安全資産」ではなく、 暴落時に安く買うための戦略的な弾薬 です。


なぜバークシャー株ではなくS&P500なのか

ここが一番面白いところです。

バークシャー・ハサウェイは1965年から2015年の50年間で株価が 約2万倍 になり、累積リターンは751,113%。同期間のS&P500は140倍。圧倒的にバークシャーの方がリターンは上です。

それなのに妻にはS&P500を勧めた。 なぜか?

バフェットは個別株投資を妻に勧めなかったのです。

理由は明快で、 自分がいなくなった後、銘柄の良し悪しを判断できる人はそうそういない と考えたからです。

バフェットほどの実績を持つ人間でさえ「自分の妻には個別株は無理だ」と判断した。

投資の神様が家族に残したメッセージは 「難しいことをするな、低コストのインデックスを買って持ち続けろ」 というシンプルなものでした。


日本人への注意点

この遺言はあくまで アメリカに住みドルで生活し、何代かかっても使い切れない莫大な資産を持つバフェット家だからこその指示 であり、日本人がそのまま真似すべきではないという点も重要です。

日本人には為替リスクがある、生活通貨が円である、資産規模が全然違うなど前提条件が異なります。


バフェットの寄付・税金・資産の全体像

資産額の推移

時期 総資産 備考
2006年(寄付宣言時) 約6兆4,500億円 資産の99%以上を寄付すると宣言
2025年6月(最新寄付後) 約21兆7,500億円 9兆円以上寄付した後でも3倍以上に増えている

ここが驚くべきポイントです。

2006年の宣言時の全資産は約6兆4,500億円だったのに、それ以降に9兆円以上を寄付したにもかかわらず、バークシャー株の値上がりで 資産はむしろ増えている

寄付しても寄付しても増え続ける——これが 複利の力 です。


寄付先と金額

5つの財団に寄付を続けてきました。

① ビル&メリンダ・ゲイツ財団(最大の寄付先)

2025年6月の寄付では943万株( 約6,900億円分 )を寄付しました。貧困・疫病・教育格差の解消が目的です。

ただし、バフェットの死後はゲイツ財団への寄付は停止すると表明しています。

② スーザン・トンプソン・バフェット財団

亡き最初の妻スーザンの名前を冠した財団で、1964年設立。娘のスージーが運営し、生殖医療やネブラスカの大学生への奨学金を支援しています。

③ シャーウッド財団

娘スージーが率い、ネブラスカの非営利団体や幼児教育を支援しています。

④ ハワード・G・バフェット財団

長男ハワードが1999年に設立。世界の食糧安全保障、紛争解決、人身売買対策に投資しています。

⑤ ノヴォ財団

末っ子ピーターが2006年に設立。社会から疎外された女性やコミュニティの支援が中心です。

累計寄付額:9兆円超

2025年6月の約9,000億円の寄付により、過去約20年間の慈善寄付の累計は 約9兆円 に達しました。

すべてバークシャー・ハサウェイの株式で寄付しています。


遺言の変更(2024年)

2024年にバフェットは遺言を変更し、死後は残る資産の 99.5% を3人の子供たちが監督する慈善信託に入れると発表しました。

子供たちは約10年間で寄付先を決定しなければならず、決定は 全員一致 で行う必要があります。

つまり、バフェットの財産は家族には直接渡らず、子供たちは 「どの慈善事業に使うか」を決める役割 を与えられたということです。


税金の話 — 「秘書より低い税率」

バフェットは2011年、ニューヨーク・タイムズへの寄稿で衝撃的な告白をしました。

「昨年の連邦税と所得税、給与税は 約7億5,000万円 だった。大金のように聞こえるが、課税所得のわずか 17.4% にすぎず、会社の20人の従業員の誰よりも低い納税率だった。彼らの納税率は33〜41%で、平均は36%だった」


なぜ大富豪の税率が秘書より低いのか?

バフェットの収入の大部分はキャピタルゲイン(資産売却益)で、これには当時15%の優遇税率が適用されていたため、給与所得を主とする中間層の税率を下回る 逆転現象 が起きていたのです。

これは日本でも同じ構造です。

日本でも所得が1億円を超えると実効税率は下がり始め、100億円の所得がある人の負担率は14.2%まで下がるという 「1億円の壁」 現象があります。配当所得や株式売却益が分離課税(約20%)になるからです。


バフェット・ルール

バフェットはこの問題を是正するため、年収約1億5,000万円以上の富裕層に最低30%の実効税率を課す 「バフェット・ルール」 を提案しましたが、共和党の反対で否決されました。


寄付と税金のカラクリ

バフェットが寄付しているのはバークシャー・ハサウェイの 株式 であり、値上がりした株を寄付すると、寄付時の時価総額(公正市場価値)で税控除を受けられるうえ、キャピタルゲイン税を払う必要がありません。

つまり:

  • 株を売って現金にすると → 約20%のキャピタルゲイン税がかかる
  • 株をそのまま寄付すると → 税金ゼロ で、さらに寄付控除も受けられる
  • 慈善事業への寄付は → 相続税(連邦遺産税)も免除

バフェットは連邦遺産税の支持者として有名ですが、自身は資産の大部分を慈善寄付に回すことで、事実上その遺産税を回避する形になっている——この矛盾を指摘する声もあります。


「9兆円寄付しても資産が3倍になる男」

2006年に「資産の99%以上を寄付する」と宣言した時の総資産は約6兆4,500億円。

それから約20年で9兆円以上を寄付したのに、手元にはまだ 約21兆7,500億円 残っている。

バークシャー株の複利成長がそれだけ凄まじかったということです。


※金額は1ドル=150円で換算しています。実際のレートにより変動します。 ※データは2025年12月31日時点のSEC 13F提出書類に基づきます。

 

バフェットの日本投資 — 5大商社・投資理由・バフェット効果の全体像


5大商社への投資額(各社別)

2020年にバークシャーは5大商社にそれぞれ約5%ずつ、合計約9,375億円(約62.5億ドル)を投資しました。円建て社債で調達した資金を使っています。

2024年末時点では、5社合計の時価が約3兆5,250億円(約235億ドル)に達し、取得コストは約2兆700億円(約138億ドル)でした。

そして2025年10月時点では5社合計で約4兆6,500億円(約310億ドル)を超え、最初の投資からリターンは約392%、つまり約5倍に増えました。

各社の保有比率(2025年3月時点)は以下の通りです:

銘柄 コード 保有比率 推定評価額
三菱商事 8058 9.67% 約1兆3,300億円
三井物産 8031 10.12% 約1兆700億円
伊藤忠商事 8001 8.53% 約1兆1,700億円
住友商事 8053 9.29% 約3,850億円
丸紅 8002 9.30% 約3,700億円

バフェットが5大商社を選んだ理由

理由① 円建て社債の「裁定取引」 バフェットは2019年9月に約4,300億円、2020年4月に約1,995億円の円建て社債を発行し、約1%という超低金利で資金を調達。商社株の配当利回りは約4%あったため、金利差だけで利益が出る構造でした。

理由② バークシャーとビジネスモデルが似ている バフェット氏は商社に着目した理由として、バークシャー・ハサウェイと事業が似ていることを挙げ、「将来、事業のパートナーとしての関係を築くことも不可能ではない」と語っています。

理由③ 割安・高配当・安定キャッシュフロー 投資理由は3点に集約されます。(1)多角化された事業による安定したキャッシュフロー、(2)収益性や資産価値に比べて割安だった株価水準、(3)比較的高い配当利回りです。

理由④ 「永遠に生き延びる」事業構造 バフェットは2023年の来日時に商社は「これから約100年、そして永遠に生き延びるだろう」と語りました。ラーメンからロケットまで扱う多角的ビジネスモデルの耐久力を評価したのです。


「バフェット効果」——世界からいくら流れ込んだか

2023年度(2023年4月〜2024年3月)の海外投資家の日本株買い越し額

2023年度の海外投資家の買越額は7兆6,906億円。前年度の1兆8,000億円の売り越しから大転換し、アベノミクス相場が始まった2013年度以来の高水準でした。

バフェット来日直後の「爆発的な買い」

バフェット氏が5大商社株の保有比率を高めていたことが明らかになった2023年4月第2週には、海外投資家が現物株を1兆494億円買い越しました。週間の買越額としては約9年半ぶりの大きさでした。

2023年3月末から5月第3週まで8週連続で買い越しが続き、その総額は3兆6,300億円に達しました。


国・地域別:誰が日本株を買ったのか

2023年の海外投資家全体の年間売買代金総額は約1,199兆円で、地域別シェアは欧州が76.4%(約917兆円)で最大、アジアが16.2%(約194兆円)、北米が7.1%(約85兆円)でした。

買い越しの主役は「英国経由のオイルマネー」

2023年4月〜翌1月の10カ月間で欧州勢の買越額は8兆7,000億円で、海外投資家の買い越し全体の実に9割を占めました。そのうちメインが英国の8兆2,000億円であり、英国の買いでほぼすべて説明がつきます。なぜ英国かというと、中東の政府系ファンドの拠点がロンドン・シティーにあり、彼らが日本株を買うと英国の買いとして計上されるからです。同期間の米国の買越額は6,500億円と英国の10分の1以下でした。

つまり、バフェット効果で最も動いたのはアメリカの投資家ではなく、ロンドン経由の中東オイルマネーだったということです。


円建て社債の調達実績

2024年にはバークシャーが過去最大となる約5,451億円を円建て社債で調達しています。

2019年9月に約4,300億円、2020年4月に約1,995億円、その後も継続的に発行しており、累計で1兆円を超える円建て社債を調達し、日本株投資の原資としています。

バフェットの日本投資のストーリーは「約9,400億円が4兆6,500億円に化けた」という5倍のリターンの話ですが、それ以上にインパクトが大きかったのはバフェット効果による海外マネーの流入です。

バフェット自身の投資は約9,400億円でしたが、それをきっかけに2023年度だけで海外投資家が7兆6,906億円を日本株に投入しました。バフェットの投資額の約8倍のお金が「追随買い」として流れ込んだ計算です。

そしてその資金の9割は英国経由——つまりロンドンに拠点を置く中東のオイルマネーが中心でした。バフェットの一言が、地球の裏側のオイルマネーを日本に呼び寄せた。これが「投資の神様」の影響力です。


東京海上への投資 — 2,874億円

2026年3月23日、バークシャー・ハサウェイは東京海上ホールディングス(8766)と資本業務提携を発表。傘下の再保険子会社ナショナル・インデムニティが約2,874億円(約18億ドル)を出資し、発行済株式の約2.49%を取得しました。

翌24日・25日と連続で東京海上の株価はストップ高を記録し、上場来高値を更新。時価総額は一時15兆円を突破しました。


5大商社との違い — 単なる株式投資ではなく「事業提携」

5大商社への投資が純粋な株式投資だったのに対し、東京海上への投資はグレッグ・アベル新CEO体制における初の大型投資案件であり、バークシャーが日本の金融機関と事業面で連携するのも初めてです。

提携の中身は3つあります:

① 再保険取引:東京海上がナショナル・インデムニティから再保険商品を購入し、保険金支払いリスクを分散

② 共同M&A:両社で保険会社や関連分野の投資先を探し、共同でM&Aを実施

③ 長期パートナーシップ:提携期間は10年で、5年間は競合先と同様の提携を結べない独占条項付き。バークシャー側からの提案で始まったとされています。


なぜ東京海上を選んだのか

バークシャーの中核事業は損害保険であり、同じく損保を中核に据える企業への投資は「本命視」されていました。

東京海上はバフェットの投資哲学に合致する「経済的な堀(エコノミック・モート)」を備えたグローバルな事業網を維持しており、バークシャーの保険部門の長期戦略と合致しています。

東京海上は連結純利益の約5割を海外で稼ぎ、売上構成も2002年の海外3%から現在は約5割にまで拡大させてきた企業です。


バークシャーの日本投資 全体の金額まとめ

投資先 出資額(取得コスト) 現在の時価(推定) 保有比率
三菱商事 (8058) 約1兆3,300億円 10.8%
三井物産 (8031) 約1兆700億円 10.4%
伊藤忠商事 (8001) 約1兆1,700億円 10.1%
住友商事 (8053) 約3,850億円 9%台
丸紅 (8002) 約3,700億円 9%台
5大商社 合計 約2兆700億円 約4兆6,500億円超
東京海上HD (8766) 約2,874億円 約2,874億円〜 2.49%
日本投資 総計 約2兆3,500億円超 約5兆円規模
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