なぜ株価は上がるのか?円安・円高どっちかいいのか?

視聴者の方から質問をいただきました。

「なぜ株価が上がるのか?それは物価が上がり利益が出るから。なぜ物価が上がったのか?それは円安だから。円高は悪なのか?円安は金利差?解説お願いします」

この質問に答えようとすると、した時私は人類の経済の歴史すべてを語りたくなりました。

今回は、農業革命の時代から2026年の今この瞬間まで、「お金」と「物価」と「株価」の関係を、できるだけわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • お金と物価の歴史(農業革命〜資本主義の誕生)
  • インフレとは何か、中央銀行の役割
  • 日本の「失われた30年」が起きた5つの原因
  • 株価が上がる12の理由
  • 円安・円高の仕組みと、良い面・悪い面
  • 1985年プラザ合意と2026年「逆プラザ合意」の可能性
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「円高と円安、どっちがいいの?」への回答

結論:「どちらが良いかは、立場による」

円安・円高に「正解」はありません。誰にとって、いつ、どの立場で見るかで答えが変わります。


円安が「良い」人

立場 理由
輸出企業の株主 トヨタ、ソニーなど輸出企業の利益が増える
外貨資産を持つ人 ドル建て資産の円換算額が増える
インバウンド関連企業 海外観光客が「日本は安い」と感じて来日
海外で働く日本人 ドル給料を円に換えると増える

円安が「悪い」人

立場 理由
輸入品を買う消費者 ガソリン、食料、原材料が高くなる
海外旅行が好きな人 旅行費用が高くなる
円建ての貯金しかない人 国際的な購買力が落ちる

円高が「良い」人

立場 理由
海外旅行が好きな人 旅行費用が安くなる
輸入品を買う消費者 ガソリン、食料が安くなる
海外資産を買いたい人 米国株や海外不動産を安く買える

円高が「悪い」人

立場 理由
輸出企業の株主 トヨタなど輸出企業の利益が減る
外貨資産を持つ人 ドル建て資産の円換算額が減る
日本経済全体 デフレ圧力になりやすい

投資家として考えると

50〜60代、高配当株投資家にとっては

円安のメリット

  • 輸出企業(商社、自動車、電機など)の配当が増える可能性
  • 海外売上比率の高い企業の業績が良くなる

円安のデメリット

  • 輸入コスト増で内需企業の利益が圧迫される
  • 生活費が上がる(年金生活者には厳しい)

ポイント

  • ポートフォリオを分散していれば、どちらに転んでも対応できる
  • 輸出企業と内需企業の両方を持っておくことで、為替リスクをヘッジできる

円安・円高は「良い・悪い」ではなく、「誰にとって、どの立場から見るか」で変わります。大事なのは、どちらに転んでも困らないよう、資産を分散しておくことです。

お金と物価の歴史

農業革命前:物々交換の時代

1万年以上前、人類は狩猟採集で暮らしていました。お金なんてありません。

魚を獲った人が、肉を持っている人に「魚と肉、交換しない?」と言う。これが物々交換です。

しかし、物々交換には3つの問題がありました。

問題1:欲しいものが一致しない

私は魚を持っていて肉が欲しい。でも、肉を持っている人は「魚はいらない。果物が欲しい」と言う。交換が成立しません。

問題2:価値の基準がない

魚1匹と肉1キロ、どちらが価値があるのか、誰も決められません。

問題3:保存ができない

魚も肉も腐ります。「来月使おう」ができないのです。

お金の誕生

約1万年前の農業革命で、人類は小麦や米を育て始めました。すると余剰が生まれます。

「今年は小麦がたくさん獲れた。食べきれない分を保存しよう」

でも、小麦も最終的には腐ります。

そこで人々は考えました。「腐らないもので価値を表そう」と。

最初は貝殻。次に珍しい石。そして金(ゴールド)

金は腐らない、錆びない、加工しやすい、量が限られている。これが「お金」の始まりです。

重要なポイント

お金そのものに価値があるわけではありません。

1万円札は、紙です。紙切れです。

でも、みんなが「これは1万円の価値がある」と信じているから、使えるのです。

この「信用」が崩れると、お金は紙くずになります。これは後ほど「インフレ」の話で重要になります。

革命2:都市革命(約5,000年前)

何が起きたか

メソポタミア、エジプト、インダス、中国で「都市」が生まれました。

何が変わったか

  • 人が集まる:知識と技術が交換される
  • インフラの整備:道路、水道、城壁
  • 専門職の発達:鍛冶屋、大工、医者
  • 支配構造の誕生:王、貴族、官僚

生産性の変化

人が集まると、「規模の経済」が働きます。

100人が別々に暮らすより、100人が1箇所に住む方が効率がいい。

道路は1本で済む。市場は1つで済む。知識は共有できる。


革命3:文字革命(約5,000年前)

何が起きたか

シュメール人が粘土板に「楔形文字」を刻み始めました。

同時期、エジプトでは「ヒエログリフ」が生まれました。

何が変わったか

  • 記録ができる:「昨日の約束」を忘れない
  • 知識の蓄積:先人の知恵を後世に残せる
  • 契約の発明:「言った言わない」がなくなる
  • 法律の誕生:ルールを明文化できる

生産性の変化

文字がなければ、毎世代ゼロからスタートです。

文字があれば、先人の100年分の知識を1年で学べます。

人類は「時間を超えて知識を共有」できるようになったのです。


革命4:貨幣革命(約2,600年前)

何が起きたか

リディア王国(現在のトルコ)で、世界初の「コイン」が作られました。

何が変わったか

  • 交換の効率化:物々交換の不便さが解消
  • 価値の保存:腐らない「富」を持てる
  • 信用の誕生:「この金貨は本物」という信頼
  • 市場経済の発展:より複雑な取引が可能に

生産性の変化

物々交換の時代、魚を肉に換えるには「魚が欲しくて肉を持っている人」を探す必要がありました。

お金があれば、魚を誰にでも売って、そのお金で肉を買える。

取引コストの劇的な削減です。


革命5:宗教革命(約2,500〜500年前)

何が起きたか

仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など「世界宗教」が誕生しました。

何が変わったか

  • 共通の価値観:見知らぬ人同士が信頼できる
  • 道徳の普及:「殺すな、盗むな」が広まる
  • 大規模な協力:宗教を超えた国家、帝国の形成
  • 識字率の向上:聖典を読むために文字を学ぶ

生産性の変化

「あの人は同じ神を信じている」という理由だけで、見知らぬ人を信頼できる。

これは商取引において革命的でした。

イスラム商人がアフリカからアジアまで交易できたのは、共通の宗教による信頼があったからです。


革命6:科学革命(16〜17世紀)

何が起きたか

ガリレオ、ニュートン、デカルトらが「科学的方法」を確立しました。

「神が決めた」ではなく、「観察と実験で確かめる」という考え方です。

何が変わったか

  • 迷信からの解放:「なぜ?」に答えを出せる
  • 技術の進歩:理論に基づく発明が可能に
  • 予測可能性:自然現象を予測できる
  • 医学の発展:病気の原因がわかる

生産性の変化

「りんごが落ちる」という現象を見て、「重力」という法則を発見する。

その法則を応用して、橋を作り、船を作り、やがてロケットを作る。

科学は「再現可能な進歩」を可能にしました。


革命7:産業革命(18世紀後半〜)

何が起きたか

イギリスで蒸気機関が発明され、工場制生産が始まりました。

何が変わったか

  • 機械が人間を代替:力仕事を機械がやる
  • 大量生産:同じ製品を安く大量に作れる
  • 都市化の加速:工場で働くために人が集まる
  • 交通革命:蒸気船、鉄道で移動が速くなる

生産性の変化

数字で見る産業革命

  • 1人の職人が1日で作れる布:2メートル
  • 蒸気機関を使った工場:200メートル

100倍の生産性向上です。

これが「指数関数的な成長」の始まりでした。


革命8:電気革命(19世紀後半〜)

何が起きたか

エジソンが電球を発明し、テスラが交流電流を開発しました。

何が変わったか

  • 夜がなくなる:24時間活動できる
  • 工場の効率化:電気モーターで機械を動かす
  • 通信の発達:電話、電信で瞬時に連絡
  • 家事の軽減:洗濯機、冷蔵庫、掃除機

生産性の変化

電気がなければ、日が暮れたら仕事は終わりです。

電気があれば、24時間工場を動かせます。

さらに、電話1本で地球の裏側と連絡が取れる。

時間と空間の制約が大幅に緩和されました。


革命9:情報革命(IT革命)(20世紀後半〜)

何が起きたか

コンピュータとインターネットが普及しました。

何が変わったか

  • 情報の瞬時共有:メール、ウェブサイト
  • 知識へのアクセス:世界中の情報が手元に
  • グローバル経済:国境を超えた取引が容易に
  • 新しい産業:Google、Amazon、Appleの誕生

生産性の変化

例:銀行の振込

  • 1980年代:銀行窓口で30分待ち
  • 2024年:スマホで3秒

例:調べもの

  • 1990年代:図書館で半日
  • 2024年:Google検索で10秒

情報革命は「時間の使い方」を根本から変えました。


革命10:AI革命(2020年代〜)

何が起きたか

ChatGPT、画像生成AI、自動運転など、人間の「知的作業」をAIが代替し始めています。

何が変わったか(変わりつつあるか)

  • 知的労働の自動化:文章作成、プログラミング、分析
  • 創造性の民主化:誰でもプロ級のコンテンツを作れる
  • 意思決定の支援:データ分析をAIが行う
  • 新しい職業の誕生:プロンプトエンジニアなど

生産性の変化

例:レポート作成

  • 従来:調査2日、執筆1日、合計3日
  • AI活用:調査1時間、執筆30分、合計2時間

例:プログラミング

  • 従来:1機能作るのに1週間
  • AI活用:1機能作るのに1日

私たちは今、この革命の真っ只中にいます。


革命11:ロボット革命(進行中)

何が起きたか

工場だけでなく、日常生活にロボットが入り始めています。

何が変わったか(変わりつつあるか)

  • 物流の自動化:Amazon倉庫のロボット
  • 介護の支援:介護ロボット
  • 農業の自動化:自動トラクター、ドローン農薬散布
  • 家事の自動化:ロボット掃除機、調理ロボット

生産性の変化

例:Amazon倉庫

  • 人間だけ:1日1,000個の商品をピッキング
  • ロボット導入後:1日10,000個

例:農業

  • 1950年代:農家1人が10人分の食料を生産
  • 2024年:農家1人が100人分の食料を生産(先進国)

ロボットは「肉体労働」をさらに効率化しています。


革命12:宇宙革命(始まったばかり)

何が起きたか

SpaceX、Blue Originなど民間企業が宇宙開発に参入しています。

何が変わるか(予測)

  • 宇宙資源の採掘:小惑星から希少金属を採取
  • 宇宙太陽光発電:24時間発電、地球に送電
  • 宇宙旅行の大衆化:2030年代には宇宙旅行が身近に?
  • 人類の多惑星化:火星移住計画

生産性の変化(予測)

地球の資源には限りがあります。

しかし、宇宙には無限の資源があります。

小惑星「プシケ」には、1,000京ドル(地球のGDPの10万年分)の金属があると推定されています。

資源の制約がなくなれば、生産性は無限に向上する可能性があります。

革命と生産性:なぜ生活が豊かになるのか

生産性とは何か

生産性を簡単に言うと:

「1人が1時間で、どれだけの価値を生み出せるか」

生産性が上がると何が起きるか

例:Tシャツ1枚の生産

時代 生産時間 価格(現在価値換算)
1800年(手織り) 100時間 10万円相当
1900年(機械織り) 10時間 1万円相当
2000年(工場大量生産) 1時間 1,000円
2024年(自動化工場) 6分 300円

同じTシャツが、200年で300分の1の価格になりました。

これが「生産性向上」の力です。

生産性向上の3つの方法

方法1:道具を使う

石器 → 青銅器 → 鉄器 → 機械 → ロボット

より良い道具を使えば、より多くの仕事ができる。

方法2:分業する

1人で全部やるより、得意なことを分担した方が効率がいい。

アダム・スミスの「ピン工場」の例:

  • 1人で全工程:1日20本
  • 10人で分業:1日48,000本(1人あたり4,800本)

方法3:知識を蓄積する

先人の発明を学び、その上に新しい発明を積み重ねる。

ニュートンの言葉:「私が遠くを見ることができたのは、巨人の肩の上に立っていたからだ」

人間の本質:考える力と工夫する力

人間だけが持つ能力

動物も道具を使います。チンパンジーは枝で蟻を釣ります。

でも、人間だけが「道具を改良」します

枝を削って尖らせる。石を砕いて鋭くする。金属を溶かして形を変える。

そして、その知識を次の世代に伝える

なぜ人間は工夫するのか

答えは簡単です。

「もっと楽をしたいから」

重いものを運ぶのが大変 → 車輪を発明 暗いと仕事ができない → 電気を発明 計算が面倒 → コンピュータを発明

この「怠惰」こそが、人類の進歩の源泉です。

インセンティブの重要性

ここで重要なのは、**「工夫した人が報われる仕組み」**があるかどうかです。

工夫しても報われないなら、誰も工夫しません。

工夫したら儲かるなら、みんな工夫します。

この「報われる仕組み」こそが、資本主義の本質です。

資本主義がうまくいく理由

資本主義の3つの原則

原則1:私有財産の保護

自分が稼いだお金は、自分のもの。誰にも取られない。

原則2:市場による価格決定

物の値段は、買いたい人と売りたい人が決める。政府が決めるのではない。

原則3:利益の追求が認められる

「儲けること」は悪ではない。むしろ奨励される。

なぜ資本主義は成長するのか

「利己心が社会全体の利益になる」仕組みだからです。

パン屋さんがパンを作るのは、あなたの空腹を満たしたいからではありません。

自分が儲けたいからです。

でも結果として、美味しいパンが安く手に入り、私たちは満腹になる。

これがアダム・スミスの「見えざる手」です。

資本主義の「競争」が生む効果

A社がパンを100円で売る。 B社が「うちは80円で売ろう」と考える。 A社が「じゃあ品質を上げよう」と考える。

この競争が、価格を下げ、品質を上げる

消費者は得をし、企業は生き残るために努力する。

社会主義が失敗した理由

社会主義とは何か

資本主義の対極にある考え方です。

社会主義の3つの原則

  1. 私有財産の否定:財産はみんなのもの
  2. 国家による計画経済:何をどれだけ作るかは国が決める
  3. 平等の追求:全員が同じ給料、同じ生活

理論上は「平等で素晴らしい社会」に見えます。

でも、実際にはうまくいきませんでした。


事例1:ソビエト連邦(1922〜1991年)

何が起きたか

世界初の社会主義国家ソ連は、1991年に崩壊しました。

失敗の原因1:インセンティブの欠如

「頑張っても頑張らなくても給料は同じ」

これでは誰も頑張りません。

ソ連のジョーク:「私たちは働くふりをし、国は給料を払うふりをする」

失敗の原因2:計画経済の限界

国が「今年は靴を100万足作れ」と命令します。

でも、国民が欲しいのは200万足かもしれない。50万足かもしれない。

需要と供給を政府が把握するのは不可能なのです。

結果、ソ連では「靴は余っているのに、パンがない」という事態が頻発しました。

失敗の原因3:イノベーションの停滞

新しいアイデアを出しても、報われない。

むしろ「なぜ命令と違うことをしたのか」と罰せられる。

結果、技術革新が止まりました。

数字で見るソ連の失敗

  • 1989年、ソ連のGDPは米国の約40%
  • しかし、生活水準は米国の10%以下だった
  • 平均寿命:米国75歳、ソ連63歳

事例2:東ドイツ(1949〜1990年)

何が起きたか

第二次世界大戦後、ドイツは東西に分断されました。

  • 西ドイツ:資本主義(米英仏の支援)
  • 東ドイツ:社会主義(ソ連の支援)

同じ民族、同じ言語、同じ文化。違うのは経済システムだけ

40年後の結果

指標 西ドイツ 東ドイツ
1人当たりGDP 23,000ドル 12,000ドル
自動車保有率 98% 52%
平均待ち時間(車購入) 数週間 15年
電話普及率 95% 17%

同じ民族なのに、これだけの差がつきました。

ベルリンの壁

東ドイツ政府は、国民が西に逃げるのを防ぐため、1961年にベルリンの壁を建設しました。

壁を作らないと国民が逃げてしまう。これが社会主義の実態でした。

1989年、壁は崩壊し、1990年に東西ドイツは統一されました。


事例3:北朝鮮(1948年〜現在)

何が起きたか

朝鮮半島も南北に分断されました。

  • 韓国:資本主義
  • 北朝鮮:社会主義(主体思想)

75年後の結果

指標 韓国 北朝鮮
1人当たりGDP 35,000ドル 1,800ドル
平均寿命 83歳 72歳
インターネット普及率 97% ほぼ0%
栄養失調率 ほぼ0% 約40%

衛星写真で見る違い

夜の朝鮮半島の衛星写真を見ると、韓国は光り輝いています。

北朝鮮は、ほぼ真っ暗。平壌だけがかろうじて光っている。

電気すら満足に供給できないのが、社会主義の現実です。

北朝鮮で起きていること

  • 1990年代の「苦難の行軍」:推定30〜300万人が餓死
  • 配給制度の崩壊:国が食料を配れない
  • 闇市場の発達:国民は生き残るために「資本主義」を密かに実践

皮肉なことに、北朝鮮国民は「闘市場(チャンマダン)」という非公式市場で物を売り買いしています。

社会主義国の中で、資本主義的な行動をしないと生きていけないのです。


なぜ社会主義は失敗するのか:3つの根本原因

原因1:情報の問題

市場経済では、「価格」がすべての情報を伝えます。

りんごが高い → りんごが不足している → もっと作ろう

社会主義では、この情報伝達機能がありません。政府が「りんごは100個作れ」と決めても、本当に必要な量かわからない。

原因2:インセンティブの問題

人間は「報われる」と思うから頑張ります。

社会主義では、頑張っても頑張らなくても同じ。だから誰も頑張らない。

原因3:イノベーションの問題

新しいアイデアは、リスクを取って挑戦することから生まれます。

社会主義では、失敗は許されない。リスクを取る意味がない。だから技術が進歩しない。

資本主義と「利益」の概念

16〜17世紀、オランダやイギリスで「会社」という仕組みができました。

1602年に設立されたオランダ東インド会社。これが世界初の株式会社です。

「みんなでお金を出し合って、船を買って、アジアに行って、香辛料を持って帰って、売って、儲けを分けよう」

これが株式投資の原点です。

利益が生まれる仕組み

  • コショウをアジアで仕入れる:1キロ100円
  • ヨーロッパで売る:1キロ1,000円
  • 利益:900円

この900円を、お金を出した人(株主)で分ける。これが配当です。

シンプルに言えば、「欲しい人」が「売り手」より多いと、値段が上がる。これが資本主義の根本原理です。


インフレの歴史と中央銀行の役割

インフレとは何か

インフレを、コンビニのおにぎりで説明します。

  • 2000年:おにぎり1個100円
  • 2010年:おにぎり1個110円
  • 2024年:おにぎり1個150円

同じおにぎりなのに、値段が上がっている。これがインフレです。

インフレには2つの見方があります。

見方1:物の値段が上がった(おにぎりが高くなった)

見方2:お金の価値が下がった(100円で買えるものが減った)

この2つは、実は同じことを言っています。インフレとは、お金の価値が下がることなのです。

中央銀行が歴史から学んだこと

日本なら日本銀行(日銀)、アメリカならFRB(連邦準備制度理事会)。

中央銀行の仕事は、お金を発行する、金利を決める、経済を安定させることです。

中央銀行は歴史的な大失敗から多くを学びました。

例1:1920年代ドイツのハイパーインフレ

第一次世界大戦後、ドイツは賠償金を払うために、お金を刷りまくりました。

その結果、パン1個が1兆マルクになり、給料をもらって走って店に行かないと、翌日には値段が倍になるという事態に。お金で暖を取る(燃やした方が薪より安い)人まで出ました。

教訓:お金を刷りすぎると、お金の価値が暴落する。

例2:1929年 世界大恐慌

アメリカの株価が暴落し、銀行が潰れ、企業が倒産し、失業者があふれました。

当時のFRBは「何もしない」という対応を取りました。結果、不況が10年続いたのです。

教訓:危機のときは、お金を市場に供給して、経済を支える必要がある。

日本のバブル崩壊と世界への教訓

1989年末、日経平均株価は38,915円。史上最高値でした。

そこから暴落が始まります。

  • 1990年末:23,848円(−38%)
  • 2003年:7,607円(最安値、−80%)

日銀はバブル崩壊後、金利を下げるのが遅く、不良債権の処理も遅れました。これが失われた30年の始まりです。

世界は日本から学んだ

2008年のリーマンショックで、アメリカのFRBは日本の失敗を見ていました。

FRB議長のバーナンキは、大恐慌の研究者でした。彼は言いました。「日本の二の舞にはしない」と。

金利をゼロにし、国債を買いまくって市場にお金を供給し、企業や銀行を支えました(QE=量的緩和)。

結果、アメリカは数年で回復。日本のような「失われた30年」にはなりませんでした。

日本の失われた30年:デフレの5つの原因

原因1:バブル崩壊後の政策ミス

日銀の金利引き下げが遅すぎました。不良債権処理も遅れました。

「いつか景気は戻る」と待っていたら、傷が深くなったのです。

原因2:人口減少・高齢化

1995年、日本の生産年齢人口(15〜64歳)がピークを迎えました。

それ以降、働く人が減り続けています。

  • 1995年:8,726万人
  • 2024年:7,400万人
  • 30年で1,300万人減少

人が減れば、物を買う人も減る。物価が上がりにくくなります。

原因3:企業の内部留保志向

日本企業は「守り」に入りました。

儲けたお金を、社員に還元せず、設備投資もせず、貯め込んだのです。

2023年度、日本企業の内部留保は555兆円。過去最高です。

お金が回らないから、経済が活性化しません。

原因4:賃金が上がらない構造

日本の平均賃金(実質)は、30年間ほぼ横ばいです。

  • アメリカ:+50%以上
  • ドイツ:+30%以上
  • 日本:ほぼ変わらず

給料が上がらないから、物を買わない。だから物価も上がらない。悪循環です。

原因5:デフレマインドの定着

「どうせ来年も値段は上がらない」「むしろ下がるかもしれない」「だから今買わなくていい」

この考え方が染み付いてしまいました。

企業も「値上げしたら売れなくなる」と思って、値上げできなかったのです。

なぜ株価は上がるのか?12の理由

ここからが本題です。「なぜ株価は上がるのか?」に、12の理由でお答えします。

理由1:物価上昇(インフレ)で企業の売上が増える

おにぎりが100円から150円になると、コンビニの売上は1.5倍になります。

原材料費も上がりますが、利益も増える傾向があります。売上が増えれば、株価は上がります。

理由2:企業が利益を出すから

株価の基本公式は、**株価 = EPS(1株利益)× PER(評価倍率)**です。

EPSが増えれば、株価は上がります。シンプルです。

理由3:世界の人口が増えているから

  • 1950年:25億人
  • 2000年:61億人
  • 2024年:81億人
  • 2050年予測:97億人

人が増えれば、食べる、着る、住む、移動する需要が増えます。企業の売上は増え、株価は上がります。

理由4:技術革新で生産性が上がるから

1900年、1人が1日で作れる製品は10個でした。2024年、機械を使えば1,000個作れます。

同じ人数で、より多くの価値を生み出せる。これが生産性向上です。

理由5:中央銀行がお金を供給するから

リーマンショック後、世界中の中央銀行がQE(量的緩和)を実施しました。

お金がじゃぶじゃぶあり、銀行に預けても金利はゼロ。「じゃあ株を買おう」となり、お金が株式市場に流れ込んで株価が上がりました。

理由6:金利が低いから

金利が低いと、企業は安くお金を借りられ、設備投資しやすくなり、利益が増えます。

個人も住宅ローンが安いので家を買い、経済が回ります。金利が低いと、株価は上がりやすいのです。

理由7:円安で輸出企業が儲かるから

トヨタを例に説明します。

  • 1ドル100円のとき、1万ドルの車を売る → 100万円
  • 1ドル150円のとき、1万ドルの車を売る → 150万円

同じ車なのに、円で受け取る金額が50万円増える。これが「円安メリット」です。

理由8:配当金が再投資されるから

企業が配当を出し、投資家はその配当でまた株を買います。

株の需要が増え、株価が上がる。複利効果です。

理由9:年金マネーなど長期資金が入るから

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、200兆円以上を運用しています。

その約半分を株式で保有。年金は毎月入ってくるので、ずっと買い続けます。株価を下支えする力になっています。

理由10:インフレ対策として株が選ばれるから

現金を持っていると、インフレでお金の価値が減ります。

でも、株や不動産は、インフレと一緒に価値が上がりやすい。「インフレから資産を守るために株を買う」という動きが、株価を押し上げます。

理由11:企業が自社株買いをするから

企業が自分の株を買うと、市場に出回る株の数が減り、1株の価値が上がります。

2024年、日本企業の自社株買いは過去最高水準でした。

理由12:日本銀行がETFを買ってきたから

日銀は2010年からETF(株のセット商品)を買い続けました。

保有額は約37兆円(簿価)。時価では50兆円以上です。

中央銀行が株を買うなんて、世界でも珍しいこと。これも株価を押し上げた要因の一つです。

円安・円高の仕組み

円安・円高とは何か

円安:1ドルを買うのに、より多くの円が必要になること

  • 1ドル100円 → 1ドル150円 = 円安

円高:1ドルを買うのに、より少ない円で済むこと

  • 1ドル100円 → 1ドル80円 = 円高

為替が動く3つの理由

理由1:金利差

これが一番大きい要因です。

  • アメリカの金利:5%
  • 日本の金利:0.5%

お金を預けるなら、金利の高いアメリカに預けたいですよね。

「円を売って、ドルを買う」人が増え、円安になります。

理由2:貿易収支

日本が輸入超過(買う方が多い)なら、ドルを買って海外に払うので円安に。

日本が輸出超過(売る方が多い)なら、ドルを受け取って円に換えるので円高に。

理由3:投機(トレード)

ヘッジファンドや個人投資家が「円は下がる」と予想して売ると、「売りが売りを呼ぶ」展開になり、一気に円安が進むことがあります。

円安のメリット・デメリット

メリット(良い面)

  • 輸出企業が儲かる(トヨタ、ソニー、任天堂など)
  • 海外からの観光客が増える(日本が「お得」に見える)
  • 海外で働く日本人の円建て収入が増える

デメリット(悪い面)

  • 輸入品が高くなる(ガソリン、食料、原材料)
  • 海外旅行が高くなる
  • 日本人の「国際的な購買力」が落ちる

円高のメリット・デメリット

メリット

  • 輸入品が安くなる
  • 海外旅行が安くなる
  • 海外の企業や不動産を安く買える

デメリット

  • 輸出企業が苦しい
  • 海外からの観光客が減る
  • デフレ圧力になりやすい

1985年プラザ合意とは

1980年代、アメリカは「ドル高すぎ!輸出できない!」と困っていました。

1985年、先進5カ国(G5)がニューヨークのプラザホテルで会議を開き、「みんなでドル安にしよう」と合意しました。

その結果、たった2年で1ドル240円から1ドル120円に。ドルの価値が半分になりました。

日本は急激な円高で輸出企業が苦しみ、日銀は金利を下げ、それがバブルにつながったのです。

2025〜2026年「逆プラザ合意」の可能性

今、アメリカは再び「ドル高」で苦しんでいます。

トランプ政権は「アメリカの製造業を復活させたい」と考えており、そのためにはドル安が必要です。

「日本に円高を要求する」という話が出ています。これを「逆プラザ合意」と呼ぶ人がいます。

ただし、1985年とは状況が違います。

  • 中国の存在(1985年にはなかった)
  • デジタル経済(為替の影響を受けにくい産業)
  • 日本の交渉力(もう「言いなり」にはならない)

日本は弱くなっているのか?

数字で見ると、日本の「国力」は相対的に下がっています。

  • GDP世界ランキング:2位 → 4位(ドイツに抜かれた)
  • 1人当たりGDP:2000年は世界2位 → 2024年は34位
  • 平均賃金:OECD加盟国で下から数えた方が早い

でも、悲観しすぎる必要はありません。

  • 日本企業の海外資産は世界一
  • 技術力は依然として高い
  • 社会インフラ(治安、医療、交通)は世界トップクラス

大事なのは、国が強いか弱いかではなく、日本の資産をどう守るかです。

私たちにできること

なぜ株価は上がるのか?(12の理由まとめ)

  1. インフレで企業の売上・利益が増えるから
  2. 世界の人口が増えて需要が増えるから
  3. 技術革新で生産性が上がるから
  4. 中央銀行がお金を供給するから
  5. 金利が低いから
  6. 円安で輸出企業が儲かるから
  7. 配当金が再投資されるから
  8. 年金など長期資金が入るから
  9. インフレ対策で株が選ばれるから
  10. 自社株買いで株数が減るから
  11. 日銀がETFを買ってきたから
  12. 資本主義の根本原理として、企業は利益を追求するから

円安・円高は良い悪いではない

誰にとって、いつ、どの立場で見るかで答えが変わります。

輸出企業を持つ株主なら、円安はメリット。海外旅行が好きな人には、円安はデメリット。

正解は一つではありません。

私たちにできること

  1. インフレに負けない資産を持つ(株、不動産)
  2. 長期・分散・配当重視で「自分年金」を作る
  3. 為替に振り回されすぎない
  4. ニュースを見て、背景を理解する力をつける

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この記事は2026年4月7日に作成されました。

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