※本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。
老後2000万円問題という言葉は覚えやすいのですが、2000万円という金額そのものに意味はほとんどない、というのが私の結論です。あの数字は、ある時点の平均的な高齢夫婦無職世帯の家計簿から出た差額を30年分に伸ばしたもので、私の家計の数字ではありません。私がやったのは、年金の見込額を調べて、自分の毎月の支出から引いて、自分の不足額を出すことでした。そのうえで、言葉の意味を一つずつ自分の言葉で言い直し、手数料という形で確実に出ていくお金から先に削りました。この記事は、投資を始めるきっかけになった山崎元さんの本を読み直しながら、50代の私が整理した記録です。
※この記事は私が公表資料を読んで整理した記録で、投資や税務の助言ではありません。当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、特定の会社や商品の売買を勧めるものではありません。数字は2026年10月時点のものです。
老後2000万円問題とは何だったのか
2019年に金融審議会の市場ワーキング・グループがまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」が元になっています。
この報告書には、高齢夫婦無職世帯の家計の平均として、実収入が月に約20万9千円、実支出が月に約26万4千円で、差額が月に約5万5千円という数字が載っていました。この月5万5千円の不足を30年続けると約2000万円になる、という計算です。
ここで私が大事だと思ったのは、2000万円という金額よりも、その計算の中身です。
- 平均の家計簿から出た数字で、持ち家か賃貸か、年金がいくらかで大きく変わります
- 30年という期間を掛けた数字で、20年なら金額は小さくなります
- 調査した年の家計で、物価が変われば差額も変わります
つまり2000万円は、誰にでも当てはまる目標額ではなく、計算のやり方の例でした。私はこれを知ってから、金額を覚えるのをやめて、自分の数字を出すことに切り替えました。日本年金機構の「ねんきんネット」で自分の見込額を見て、それを自分の支出から引く。そこで出た不足額が、私にとっての本当の数字です。
山崎元さんの本から私が受け取った三つのこと
私が投資を始めるときに最初に読んだのは、経済評論家の山崎元さんの本でした。1958年に北海道で生まれ、楽天証券経済研究所の客員研究員などを務められた方で、2024年1月に亡くなられています。
銀行や証券会社の窓口でお金の相談をすることの危うさを、最後まで書き続けた方だという印象が私には残っています。本を読み直して、私が受け取ったのは次の三つでした。
- 手数料は、相場が上がるか下がるかに関係なく確実に出ていく。だから最初に削る
- 相談相手が商品を売って報酬を得る立場なら、その助言は自分のための助言とは別のものになりうる
- 仕組みが説明できないものは持たない
三つ目は、私がウォーレン・バフェットのやり方を真似ようと決めたときの考え方と重なっていました。わからないものは買わない、決算や運用報告は自分で見る。読む本は違っても、たどり着く場所が近いと感じました。
なお、ここに書いているのは私が本と公表資料を読んで考えた記録で、特定の会社や商品の売買を勧めるものではありません。
投資の言葉を自分の言葉で言い直してみた
金融リテラシーという言葉は大きすぎて、私にはつかみにくいものでした。そこで、よく出てくる言葉を自分の言い方に置き換えてみました。書き直してみると、意味を勘違いしていたものがいくつもありました。
インデックス投資とアクティブ運用
インデックス投資は、日経平均やMSCIの指数といった「決められた物差し」に中身を合わせて、その物差しと同じ動きを目指すやり方です。アクティブ運用は、運用する人が会社を選んで、物差しを上回る成績を目指すやり方です。アクティブ運用のほうが調べる手間がかかるので、その分だけ費用も高くなります。
リバランス(ここを私は勘違いしていました)
以前の私は、リバランスを「成績の悪いものを外して、良いものを入れてくれる作業」だと思っていました。これは間違いでした。
リバランスは、決めておいた資産の比率が相場で崩れたときに、元の比率に戻す作業です。つまり、増えて比率が大きくなったほうを売り、減って比率が小さくなったほうを買い増します。感覚としては逆に見えますが、やっていることは比率を戻すだけです。
そしてもうひとつ大事なのは、これはインデックスファンドを持っていれば自動でやってくれるものではない、という点です。ファンドの中で指数の構成が入れ替わることはありますが、私が決めた「預金とファンドの比率」を戻す作業は、私がやらなければ誰もやってくれません。ここを勘違いしていた間、私は自分でやるべき作業をファンドに任せたつもりになっていました。
ポートフォリオ
持っているもの全部の組み合わせのことです。私は紙に円グラフを書いて、預金がどれだけ、ファンドがどれだけ、会社の株がどれだけかを並べています。書くと偏りが目に見えます。
ボラティリティ
値動きの激しさのことです。激しいほど、下がるときの幅も大きくなります。
キャピタルゲインとインカムゲイン
持っているものを売って得る利益がキャピタルゲイン、持っている間に受け取る配当や利息がインカムゲインです。私はこの二つを分けて考えるようになってから、出口の計画が立てやすくなりました。
レバレッジ
借りたお金を加えて、自分の資金より大きな金額を動かすことです。うまくいけば利益も大きくなりますが、うまくいかなければ損も同じだけ大きくなります。私は自分が眠れなくなると思ったので、使わないと決めました。
コストをどこまで見るか|信託報酬という実物の数字
手数料の話を抽象的にしても自分の行動は変わらなかったので、実際の数字を見ることにしました。
よく名前が挙がる eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、三菱UFJアセットマネジメントが運用しているファンドです。信託報酬は純資産総額に対して年0.05775%以内(税込)とされていて、純資産総額は2026年10月20日時点で約14兆1,017億円でした。
年0.05775%ということは、100万円に対して年およそ578円です。この水準の数字を見てから、窓口で勧められる商品の費用を見ると、桁が違うことがはっきりわかりました。私が最初に削ったのはここです。相場は読めませんが、費用は自分で選べます。
ここで挙げたのはコストの大きさを自分で確かめるための例で、このファンドを勧めているわけではありません。
相談相手の立場を先に見るようにしました
私は誰かを悪者にしたいのではありません。ただ、相談相手がどこから報酬を受け取っているかを先に確かめるようになりました。
- 商品を売った件数や金額で報酬が決まる立場なら、売れる商品の話が中心になりやすい
- 相談料をもらって助言する立場なら、売らなくても成り立つので、持たないという答えも出てきやすい
無料の相談は、どこかで誰かが費用を負担しています。私はそれが自分の払う手数料だと気づいてから、無料という言葉を見たときに「誰が払っているのか」を考えるようになりました。
そのうえで私が選んだのは、窓口に行かず、自分でネット証券の口座を開いて、自分で注文を出すやり方です。最初は怖かったのですが、画面の順番を覚えてしまえば、電話も対面もいりませんでした。
私が手を出さないと決めたもの
これは私が自分で決めたことで、誰かに同じようにしてほしいという話ではありません。それぞれに合う人がいるはずです。私が外した理由だけ書いておきます。
FX(外国為替の証拠金取引)
値動きが大きく、借りた資金を使う形になり、市場が24時間動きます。私は自分の生活のリズムが壊れると思ったので外しました。
バイナリーオプション
決められた時刻に上がるか下がるかを当てる形で、当たるか外れるかしかありません。私には会社を調べて長く持つという考え方と結びつかなかったので外しました。
外貨建ての保険
保険と為替と運用が一つの商品に混ざっていて、自分がいくらの費用を払っているのかを私が説明できませんでした。説明できないものは持たないという自分の決めごとに合いませんでした。
外貨預金
為替が動けば円に戻したときの金額が変わります。それに加えて、外貨預金は預金保険制度の保護の対象外です。私はこの点を知って外しました。
テーマ型のファンド
特定の産業や技術に集中する形なので、その分野が不振のときに受ける影響が大きくなります。また、テーマ型は話題になってから売り出されることが多いと感じました。私は中身を自分で追いきれないので外しました。
手数料の高い商品全般
ここは線を引きました。私は、信託報酬が年0.5%を大きく超える商品は、その費用に見合う理由を自分で説明できないかぎり買わないことにしています。この0.5%という線は私が勝手に引いたもので、根拠のある基準ではありません。
私が今やっている順番
- 生活費の3か月から6か月分を、投資に回さない現金として確保する
- 「ねんきんネット」で年金の見込額を見て、自分の不足額を出す
- 使う予定のないお金だけで、費用の低いインデックスファンドを長く持つ
- 預金とファンドの比率を自分で決めて、年に一度だけ見直す
- 仕組みが説明できないものは、勧められても買わない
老後2000万円問題という言葉を見ると不安になりますが、不安の正体は金額ではなく、自分の数字を知らないことだったと私は思っています。自分の不足額がわかると、やることが減ります。
なお、年金の受け取り方や税金、社会保険料の具体的な計算は人によって変わるので、実際の判断は年金事務所や税理士、税務署に相談するのが確実です。私もそうしています。繰り返しになりますが、この記事は私が公表資料を読んで考えた記録で、特定の会社や商品の売買を勧めるものではありません。
参考資料:
– 金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年)
– 三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の交付目論見書および月次レポート(2026年10月20日基準の純資産総額)
– 預金保険機構「預金保険制度の対象となる預金等の範囲」
– 日本年金機構「ねんきんネット」
– 山崎元『やってはいけない資産運用 もう銀行・証券会社にだまされない!』
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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