5月雇用統計をきっかけに6月5日に米国市場が急落した件、整理します。
何が起きたか
5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が17万2000人増、失業率4.3%で横ばいと、労働市場の強さが示されました。これを受けて「FRBが年内利下げをしない、むしろ利上げ警戒」との見方が広がり、リスク資産全般が売られました。
具体的な下落幅は、ダウが695ドル安(-1.3%)、ナスダックが4.1%下落(約1カ月分の上昇を消失)、S&P500が2.6%安で9週連続上昇に終止符。テック株が特に痛手で、インテル-11%超、オラクル-9.5%、エヌビディア-6%。金は2.5%超下落して4388ドル(2カ月ぶり安値)、銀は6%超下げて69ドル割れ、ビットコインも6万ドル割れ。日経平均先物も夜間取引で4.27%安(2850円安の6万3820円)と、週明けの東京市場に警戒感が広がっています。
なぜ「good news is bad news」になるのか
雇用が強い=景気が良いはずなのに、なぜ株が下がるのか。
景気が強いとFRBはインフレ再燃を警戒して金利を高く保つ(または上げる)。金利が上がると、(1)企業の借入コスト増・将来利益の現在価値が目減りするので特に成長株(ハイテク)が売られ、(2)金は利息を生まないため「持つコスト(機会費用)」が高まって不利になり、(3)ドル高が進んで金・銀などドル建て商品に下押し圧力がかかる、という連鎖です。記事中のTDセキュリティーズのコメントもまさに「金の保有コストが高くなる」と指摘しています。
今回テック株が突出して下げたのは、金利要因に加えてブロードコム安、スペースXのIPO資金捻出のための利益確定売り観測も重なったためです。
過去の類似事例
「強い経済指標で株安・金安」というパターンは何度も繰り返されてきました。代表例をいくつか調べて、過去にどう推移したか正確な数字を確認しましょうか。記憶だけで語ると数字がずれるので、検索して裏取りしてからお出しします。特にこのあたりが有力な比較対象です。
- 2013年テーパータントラム — FRBの緩和縮小示唆で金利急騰、株も金も急落
- 2022年の利上げ局面 — 強い雇用統計のたびに株安、金も年間で下落
- 2018年末 — 利上げ継続観測でナスダックが急落
過去事例:下落はどのくらい続いたか
2018年末の急落(利上げ継続観測)
これは今回といちばん構図が似た事例です。当時はFRBが利上げを続け、「来年もまだ上げる」という観測が市場を冷やしました。ナスダックは2018年8月29日の高値を起点に、12月21日に下落率が20%を超え、12月24日に23.6%の底をつけました。つまりピークから底まで約4カ月。
そして回復は意外に早く、米中貿易協議の進展とともに相場は落ち着きを取り戻し、2019年4月23日には2018年8月の高値を回復しました。底打ち(12月24日)から高値回復まで約4カ月という、比較的短期の調整でした。FRBが利上げ姿勢を和らげたことが効きました。
2022年の利上げ局面(強い指標のたびに株安)
これは「強い経済指標が出るたびに利上げ警戒で売られる」が1年続いた、まさに今回の延長線上にある事例です。2022年の株価下落の最大の理由はFRBが1年間で4%ポイントを超える大幅利上げを実施したことで、金利急騰でバリュエーションが変化し、特にグロース株(ナスダック)への打撃が大きくなりました。
年間の成績は強烈で、S&P500は19%下落、ナスダック総合は33%安と、いずれも年間下落率はリーマン危機のあった2008年以来の大きさでした。期間で見ると、S&P500は2022年1月3日の高値4,796から6月13日に21.8%下落して弱気相場入りし、その後も下落基調が続き10月12日までの下落率は25.4%に達しました。つまり高値から底まで約9〜10カ月かけてじりじり下げ続けた、長期戦でした。
底打ちは2022年10月で、11月のChatGPT登場をきっかけにAI相場が始まり、2024年初めに約2年かけてようやく下落前の水準を完全に取り戻しました。
ここが2018年との大きな違いです。利上げの「終わりが近い」と分かれば回復は早く(2018年=4カ月)、「まだ続く」と長引けば回復には年単位かかる(2022年=約2年)。今回どちらに転ぶかは、今後のFRBの姿勢次第ということになります。
参考までに、1970年代以降のS&P500の弱気相場の平均下落期間は約1年10カ月ですが、インフレ抑制が進めば短期間で高値を回復するケースもあります。
このことが日本株に与えるメリット・デメリット
米国の利上げ・株安は、日本株にとって一面的に悪いわけではありません。
デメリット(逆風になる面)
第一に、米株安が直接波及します。今回のように米国がショック安になると、日経先物が夜間に-4%超売られたとおり、東京市場も連れ安しやすい。世界の投資家がリスクを減らす局面では、日本株も一緒に売られます。
第二に、輸出企業の採算悪化リスクです。米利上げが止まり日銀が利上げに動くと、日米金利差が縮まって円高に振れやすくなります。円高はトヨタ(7203)・キヤノン(7751)・ブリヂストン(5108)など輸出株の利益を圧迫します。ただし今回は画像のとおりドル円が160円台と、まだ円安が続いている点は注目です。
第三に、ハイテク・グロース株への打撃です。米半導体株(SOX-10%)が崩れると、東京エレクトロンや日本の半導体関連も連れ安しやすい。日本のグロース株も金利上昇に弱いです。
メリット(追い風・好機になる面)
第一に、金融株には強い追い風です。日銀の利上げは銀行・保険・リースの収益改善に直結します。かおるさんが保有する三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)、第一生命(8750)、東京海上(8766)、オリックス(8591)、三菱HCキャピタル(8593)などは、利上げ局面でむしろ買われやすいセクターです。実際、今回の画像でも日経全体が下げる中でTOPIXは-0.07%とほぼ横ばい、グロース250は+2.91%と逆行高で、すべてが一律に下げているわけではありません。
第二に、高配当株の押し目買いチャンスです。優良な高配当株が市場全体に引きずられて安くなる局面は、長期で配当を積み上げる投資家にとっては「同じ配当をより安く買える=利回りが上がる」好機になります。これはまさに「暴落でも売らない理由」「むしろ淡々と買い増す」というかおるさんの投資哲学そのものです。
第三に、過去の事例が示す回復力です。2018年も2022年も、底はあったものの最終的にはすべて高値を更新して回復しています。長期・分散・配当重視で保有を続けた投資家は、下落を「通過点」として乗り越えられたわけです。JAL破綻で集中投資の怖さを知ったかおるさんが、16業種74銘柄に分散している意味がここで生きます。
第四に、内需・ディフェンシブ株の相対的な底堅さです。米国でもP&Gやウォルマートなど生活必需品株が逆行高だったとおり、JT(2914)、キリンHD(2503)、NTT(9432)、KDDI(9433)といった内需・通信のディフェンシブ銘柄は、こうした局面で相対的に下げにくい傾向があります。
まとめると、今回の下落は「米雇用統計→高金利長期化観測」と「日銀6月利上げ観測」が重なったダブルパンチですが、日本株全体が一律にダメになるわけではなく、金融株は追い風、ディフェンシブは底堅く、優良高配当株はむしろ買い場になりうる、というメリハリのある相場です。
1. ナスダック(NASDAQ)ってなに?
ひとことで言うと、「世界中の最新テクノロジー企業が集まっている、アメリカの株式市場」のことです。
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どんな場所?: 物理的な取引所(立会場)はなく、すべてコンピューター上(電子取引)で動いています。
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どんな会社があるの?: Apple(iPhone)、Microsoft(Windows)、Amazon、Google、NVIDIA(AI半導体)など、私たちの生活に欠かせないIT・ハイテク企業が数多く上場しています。
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特徴: 新しい技術で成長しようとする企業が多いため、世界中から注目されています。その分、景気の良し悪しで株価が大きく上がったり下がったりする「エキサイティングな市場」です。
2. なぜ「金利が上がると株価が下がる」の?
「金利(お金を借りるときの利子)」と「株価」は、「シーソー」のような関係にあります。大きくわけて2つの理由があります。
① 企業が借金しにくくなる(会社にとってのダメージ)
企業は銀行からお金を借りて、新しい工場を作ったり、新しいゲームやアプリを開発したりします。
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金利が上がると: 銀行に支払う「利子」が増えてしまいます。そうなると、企業は自由に使えるお金が減り、新しい挑戦にお金を使えなくなります。
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結果: 企業が成長しにくくなると、投資家たちは「この会社の株を持っていても儲からないかも…」と考えて、株を売ってしまうため、株価が下がります。
② 「株」より「預金や債券」のほうが安心でお得になる(投資家にとってのメリット)
投資家は、「より儲かりそうで、なるべく安全な場所」にお金を置きたいと考えています。
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金利が低いとき: 銀行に預けても少ししか利息がもらえないので、「それなら成長している企業の株を買って、値上がりを狙おう!」とみんなが株にお金を使います。
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金利が上がったとき: 銀行に預けておくだけでも、そこそこの利息がもらえるようになります。そうすると、「リスクのある株を買うより、銀行に預けていたほうが安全で楽だよね」と考える人が増えます。
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結果: みんなが株を売って「預金」にお金を移すため、株価が下がります。
まとめ
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ナスダック: 世界の最先端企業(IT系など)が集まった、成長力のある市場。
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金利上昇が株価を下げる理由:
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企業の借金の負担が増えて、成長が鈍るから。
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投資家が株を買うのをやめて、銀行に預けるほうが得だと感じるようになるから。
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特にナスダックのような成長企業は「将来の大きな儲け」を期待して投資されていることが多いので、金利が上がると「今の利益が減ってしまう」という影響を、ほかの会社よりも敏感に受けやすいという特徴があります。
米国の雇用統計ショックに加えて「日銀の利上げ検討」も週明けの東京市場の重しになりそうですね。Bloombergの記事内容を確認します。日銀の利上げ検討について詳しく確認します。Bloomberg記事本体と日銀の状況を整理して説明します。
Bloombergの記事
今週前半に台風が今年初めて日本に上陸し、東京都内でも一時前が見えないほどの豪雨に見舞われたという話から始まり、今週の世界と市場の動きを五つ厳選して振り返る構成になっています。タイトルにある通り、目玉は「日銀の利上げ検討」「スペースXのIPO」「アパホテルの新戦略」の3本柱で、特に投資面で重いのが前の2つです。
スペースXのIPOについては、2兆ドル規模という史上最大級の上場で、すでに応募超過、日本の個別投資家向けにも募集が拡大されている状況です。前回お話しした「テック株の利益確定売り」の一因がこれですね。
本題:日銀の利上げ検討
報道によると、日銀は今月の金融政策決定会合で政策金利を0.25ポイント引き上げて1.0%とする方向で検討しており、物価の上振れリスクが意識される中、年内に追加利上げの可能性もあるとのことです。現在の政策金利は0.75%なので、これが実現すれば1.0%という節目に乗ります。市場でも6月利上げの織り込み確率は78%と高止まりしており、ほぼ既定路線という見方が強い状況です。
背景には金利の急騰があります。5月18日には長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時2.8%まで上昇し、6月利上げを見送れば長期金利が3%を超える可能性すら指摘されています。インフレ期待の上昇と円安が、日銀の背中を押している形です。
日銀利上げが株価に与える影響
利上げが株価に効くルートは大きく3つあります。
第一に、企業の借入コスト上昇と将来利益の割引です。金利が上がると企業の調達コストが増え、将来の利益を現在価値に直すときの目減りも大きくなります。特に成長期待で買われているグロース株(ハイテク等)に逆風で、米国でナスダックが大きく下げたのと同じ構図が日本でも起きやすくなります。
第二に、円高方向への圧力です。日米金利差が縮まると円が買われやすくなり、円高はトヨタ(7203)やキヤノン(7751)、ブリヂストン(5108)といった輸出企業の採算を悪化させます。保有銘柄にも輸出関連が複数ありますね。一方で円高は輸入コストを下げるので、内需株には相対的にプラスに働きます。
第三に、高配当株・REITへの影響です。ここは少し丁寧に分けて考える必要があります。金利が上がると、リスクを取らずに得られる利回り(国債利回り)が上がるため、配当利回りの相対的な魅力が低下し、高配当株やJ-REITが売られやすくなる面があります。実際J-REITは下落が続いている状況です。ただし反対に、利上げの恩恵をストレートに受けるセクターもあります。銀行・保険・リース株です。保有する三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)、第一生命(8750)、東京海上(8766)、オリックス(8591)、三菱HCキャピタル(8593)などは、利ざや改善・運用利回り上昇の恩恵を受けやすく、利上げ局面ではむしろ買われる傾向があります。
つまり「利上げ=高配当株が一律ダメ」ではなく、金融セクターは追い風、内需ディフェンシブは相対的に底堅い、というメリハリがある
いま起きていること(週明けの東京市場)
今回は「米雇用統計ショックで米株安・米長期金利上昇」と「日銀6月利上げ観測」がダブルで重なったことで、日経平均先物が夜間取引で4.27%安と大きく崩れました。海外発の下落と国内の金融引き締め観測が同時に来た、という構図です。
ただ長い目で見れば、日本の利上げは「デフレ脱却が進み、経済が正常化している証し」でもあります。野村證券は2026年6月・12月・2027年6月に0.25ポイントずつ利上げし、ターミナルレート(到達点)は1.50%を見込むなど、急激ではなく数カ月に一度の緩やかなペースが想定されています。パニックになるような速度ではない
いま起きていること
まず指標を読みます。米国側では、フィラデルフィア半導体指数(SOX)が-10.30%という異常な下げ、NYSE FANG+が-5.30%、ナスダックが-4.17%、S&P500が-2.65%、ダウは-1.35%。ハイテク・半導体ほど深く沈む典型的な金利ショック型の下落です。そしてVIX(恐怖指数)が+39.68%の21.51へ急騰。VIXが20を超えると市場が「平常」から「警戒」に切り替わったサインで、投資家心理が一気に冷えたことを示します。米10年債利回りは4.534%へ上昇(債券が売られた)、WTI原油は90.54ドルへ-2.69%、NY金先物も4365ドルへ-3.10%。株・債券・金・原油がほぼ同時に下げる「全面安」です。
日本側は、現物の日経225が6月5日終値で-1.31%(66,588円)だったのに対し、CFD・先物は夜間取引で-4.14%(63,828円)まで崩れています。この差が重要で、東京市場の取引終了後に米国ショックを織り込んだため、週明け(6月8日)の現物市場は大幅安スタートが警戒される、という状況です。一方でドル円は160.31円とむしろ円安方向、グロース250だけ+2.91%とまだら模様なのも今回の特徴です。
下落理由を具体的に7個
1. 強い米雇用統計による利上げ・高金利長期化観測 5月の非農業部門雇用者数が予想を上回り、失業率も4.3%で底堅い。「景気が強い→FRBは金利を下げない、むしろ上げる」との見方が広がりました。好景気のニュースが株にとって悪材料になる、いわゆる「グッドニュース・イズ・バッドニュース」です。
2. 米長期金利の上昇 10年債利回りが4.534%へ上昇。金利が上がると、将来利益を当てにして高く買われていた成長株(ハイテク)ほど価値が割り引かれて売られます。SOXが-10%超という極端な下げはこれが主因です。
3. 半導体・ハイテクへの集中売り ブロードコムなど個別の重しに加え、これまで買われすぎていた反動。SOX-10.3%、FANG+-5.3%と、相場を牽引してきた主役が真っ先に崩れました。
4. スペースXのIPOに伴う資金移動 史上最大級のIPOを前に、その購入資金を作るための利益確定売りが既存のテック株に出たとの観測。「新しい器に資金を移すために古い株を売る」動きです。
5. ビットコイン・暗号資産の急落 ビットコインが6万ドルを割り込み、リスク資産全体の地合い悪化に拍車。投資家の「リスクを減らそう」という心理を強めました。
6. VIX(恐怖指数)急騰による連鎖的な売り VIXが約40%急騰したことで、リスク量を一定に保つ運用(機械的な売買プログラム)が自動的に株を売り、下げが下げを呼ぶ展開になりました。
7. 日銀の6月利上げ観測 日本側の固有要因です。日銀が政策金利を1.0%へ引き上げる方向で検討との報道で、国内金利上昇・将来の円高が意識され、日経先物の夜間-4%超の一因になりました。米国発の下落と国内の引き締め観測が重なった「ダブルパンチ」です。
今回の急落、見出しだけ見ると「暴落」ですが、長い物差しで測ると景色が変わります。記事が指摘するとおり、ナスダックはあれだけ下げても前月比でまだ+1.5%、S&P500とナスダックは年初来で+7.8%以上のプラスを保っています。
これはどういうことか。直近の数日で大きく下げたのは事実ですが、それは「この1〜2カ月で上がりすぎた分を少し吐き出した」だけで、年初から見ればまだ十分プラス圏にいる、ということです。9週連続で上昇してきた相場が一服した、いわば「上がった階段を一段降りた」状態であって、地下まで落ちたわけではありません。一日の値動きの赤い数字に心を奪われると、この全体像を見失います。
なぜ「私たちは何もせず見守る」のが正解なのか
ここが最も大事な点です。今回急落の主役だったのは何だったか。フィラデルフィア半導体指数が-10.3%、NYSE FANG+が-5.3%、ナスダックが-4%超。つまりAI・半導体・米巨大ハイテク株という、これまで買われすぎていた一群が真っ先に、そして最も深く沈みました。
一方で、私たちが投資しているのは何か。財務が安定し、長年にわたって増配を続けてきた日本の優良企業です。これらの企業の価値は、今日FRBが金利を据え置くか上げるかで一夜にして変わるものではありません。三菱UFJの収益力も、JTの配当を生む力も、NTTの通信インフラも、昨日と今日で何も変わっていない。変わったのは「市場のムード」だけです。
だからこそ、慌てて売るのは最悪の選択になります。市場全体の地合いで一時的に株価が下がっても、企業が稼ぐ力と配当を出す力が無事なら、株価はやがて価値に見合った水準に戻ります。過去がそれを証明しています。2018年末の急落は約4カ月で高値を回復し、2022年の1年がかりの下落も最終的にはすべて取り戻して高値を更新しました。下げている最中にうろたえて売った人だけが、その回復の果実を取り逃したわけです。
増配株投資のいちばんの強みは、「株価が下がっても配当は入り続ける」点にあります。株価がいくら揺れようと、保有していれば配当という現金が定期的に振り込まれる。だから私たちは株価ボードを一日中見つめて一喜一憂する必要がなく、「どっしり構えて見守る」ことができるのです。
なぜ「逆に買いとき」と言えるのか
そしてここが、AI・半導体に直接投資していない私たちならではの強みです。
今回崩れたのはハイテク・グロースが中心で、私たちの保有するような財務安定の高配当株は、相対的に底堅い。実際、画像でも日経全体が下げる中でTOPIXはほぼ横ばい、内需やディフェンシブは耐えていました。つまり私たちのポートフォリオは、震源地から距離があったのです。
それでも市場全体が下がる局面では、優良な高配当株までもが地合いに引きずられて多少安くなることがあります。ここで考えてほしいのは、増配株を「株価」ではなく「配当利回り」で見る視点です。たとえば年間120円の配当を出す株を3000円で買えば利回りは4.0%ですが、同じ株が市場全体の下落で2700円に下がれば、利回りは約4.4%に上がります。配当という中身は同じなのに、それを生む株を「より安く、より高い利回りで」仕込めるわけです。
優良企業の価値が変わっていないのに、市場のムードのせいで値札だけが下がっている。これは、長期で配当を積み上げる私たちにとっては不安ではなく、むしろ歓迎すべきバーゲンです。安くなった優良株を淡々と買い増せば、将来受け取る配当総額が増え、利回りも改善する。「暴落でも売らない」の一歩先にある「暴落だからこそ淡々と買い増す」が、ここで効いてきます。
まとめると
伝えたいメッセージを3つに絞るなら、こうなります。
ひとつ、今回下げたのはAI・半導体・米ハイテクという「上がりすぎた主役」であって、私たちの財務安定・増配企業は震源地ではない。ふたつ、企業の稼ぐ力と配当を出す力が無事なら、株価の一時的な下落は通過点にすぎず、過去も必ず回復してきたのだから、何もせず見守ることがいちばん賢い。みっつ、むしろ優良な高配当株が安くなった局面は、同じ配当をより高い利回りで仕込める買い場になりうる。
まず「数字」で冷静になる
今回の急落、見出しだけ見ると「暴落」ですが、長い物差しで測ると景色が変わります。記事が指摘するとおり、ナスダックはあれだけ下げても前月比でまだ+1.5%、S&P500とナスダックは年初来で+7.8%以上のプラスを保っています。
これはどういうことか。直近の数日で大きく下げたのは事実ですが、それは「この1〜2カ月で上がりすぎた分を少し吐き出した」だけで、年初から見ればまだ十分プラス圏にいる、ということです。9週連続で上昇してきた相場が一服した、いわば「上がった階段を一段降りた」状態であって、地下まで落ちたわけではありません。一日の値動きの赤い数字に心を奪われると、この全体像を見失います。
なぜ「私たちは何もせず見守る」のが正解なのか
ここが最も大事な点です。今回急落の主役だったのは何だったか。フィラデルフィア半導体指数が-10.3%、NYSE FANG+が-5.3%、ナスダックが-4%超。つまりAI・半導体・米巨大ハイテク株という、これまで買われすぎていた一群が真っ先に、そして最も深く沈みました。
一方で、私たちが投資しているのは何か。財務が安定し、長年にわたって増配を続けてきた日本の優良企業です。これらの企業の価値は、今日FRBが金利を据え置くか上げるかで一夜にして変わるものではありません。三菱UFJの収益力も、JTの配当を生む力も、NTTの通信インフラも、昨日と今日で何も変わっていない。変わったのは「市場のムード」だけです。
だからこそ、慌てて売るのは最悪の選択になります。市場全体の地合いで一時的に株価が下がっても、企業が稼ぐ力と配当を出す力が無事なら、株価はやがて価値に見合った水準に戻ります。過去がそれを証明しています。2018年末の急落は約4カ月で高値を回復し、2022年の1年がかりの下落も最終的にはすべて取り戻して高値を更新しました。下げている最中にうろたえて売った人だけが、その回復の果実を取り逃したわけです。
増配株投資のいちばんの強みは、「株価が下がっても配当は入り続ける」点にあります。株価がいくら揺れようと、保有していれば配当という現金が定期的に振り込まれる。だから私たちは株価ボードを一日中見つめて一喜一憂する必要がなく、「どっしり構えて見守る」ことができるのです。
なぜ「逆に買いとき」と言えるのか
そしてここが、AI・半導体に直接投資していない私たちならではの強みです。
今回崩れたのはハイテク・グロースが中心で、私たちの保有するような財務安定の高配当株は、相対的に底堅い。実際、画像でも日経全体が下げる中でTOPIXはほぼ横ばい、内需やディフェンシブは耐えていました。つまり私たちのポートフォリオは、震源地から距離があったのです。
それでも市場全体が下がる局面では、優良な高配当株までもが地合いに引きずられて多少安くなることがあります。ここで考えてほしいのは、増配株を「株価」ではなく「配当利回り」で見る視点です。たとえば年間120円の配当を出す株を3000円で買えば利回りは4.0%ですが、同じ株が市場全体の下落で2700円に下がれば、利回りは約4.4%に上がります。配当という中身は同じなのに、それを生む株を「より安く、より高い利回りで」仕込めるわけです。
優良企業の価値が変わっていないのに、市場のムードのせいで値札だけが下がっている。これは、長期で配当を積み上げる私たちにとっては不安ではなく、むしろ歓迎すべきバーゲンです。安くなった優良株を淡々と買い増せば、将来受け取る配当総額が増え、利回りも改善する。「暴落でも売らない」の一歩先にある「暴落だからこそ淡々と買い増す」が、ここで効いてきます。
JAL破綻で集中投資の怖さを知り、だからこそ16業種74銘柄に分散して財務基準(配当利回り3.75%以上・PBR2倍以下・自己資本比率50%以上・流動比率200%以上)を満たす企業だけに投資してきた。その守りの設計が、まさにこういう日に効くのです。
まとめると
伝えたいメッセージを3つに絞るなら、こうなります。
ひとつ、今回下げたのはAI・半導体・米ハイテクという「上がりすぎた主役」であって、私たちの財務安定・増配企業は震源地ではない。ふたつ、企業の稼ぐ力と配当を出す力が無事なら、株価の一時的な下落は通過点にすぎず、過去も必ず回復してきたのだから、何もせず見守ることがいちばん賢い。みっつ、むしろ優良な高配当株が安くなった局面は、同じ配当をより高い利回りで仕込める買い場になりうる。
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