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航空機の事故が起きたあと、損失がいくらだったのかという話は数字が先に出回ります。私はその数字を自分で確かめる方法を持っていなかったので、以前はそのまま信じていました。いまは、会社が出す決算資料のどこに何が載るのかを先に覚えて、そこに出るまで待つことにしています。この記事は、その場所の案内です。
当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、特定の会社や金融商品の売買を勧めるものではありません。本文の数字や記述は2026年10月時点で公表されている資料にもとづくもので、最新の内容は各社の有価証券報告書、決算短信、適時開示の原文でご確認ください。この記事に損失額や賠償額の推定は書いていません。
損失の金額を、私が自分では書かないことにした理由
事故にともなう損失には、機体の帳簿上の価値、運航を止めたことによる収入の減少、お客さまへの対応にかかった費用、施設の修復費など、性質の違うものが混ざります。これを外から足し合わせて一つの金額にするには、会社の帳簿にある数字が必要です。外部の人間が手元の情報で出した金額は、どの範囲まで含めたのかが分からないまま流通します。
私は会社を見るときにウォーレン・バフェットのやり方を真似しているつもりで、自分で決算を見ることだけを頼りにしています。だから、裏の取れない推定額は書かないことにしました。代わりに、確定した数字がどこに出るのかを覚えておくことにしています。
事故にともなう費用は、損益計算書のどこに出てくるか
日常の運航で生じる費用は営業費用のなかに入りますが、臨時に生じた大きな損失は、損益計算書の特別損失の欄に項目名を付けて並ぶことがあります。どの費用をどの欄に入れるかは会社の判断と会計基準にしたがうので、外から決めつけることはできません。私は次の三か所を順に見ます。
| 見る場所 | そこで分かること |
| 損益計算書の特別損失 | 臨時の損失が、どういう項目名でいくら計上されたか |
| 損益計算書の特別利益 | 保険金の受取などが、どういう項目名で計上されたか |
| 財務諸表の注記 | その項目の内容、見積りの前提、まだ金額が確定していない部分の説明 |
注記はいちばん地味な場所ですが、私にとってはここが本体です。金額だけ見て納得していたころと比べて、注記を読むようになってから、同じ数字の意味が変わって見えるようになりました。
保険金の受取は、損失と同じ時期に出るとはかぎらない
私が誤解していたことの一つが、損失と保険金が同じ決算で打ち消し合うように出てくる、という思い込みでした。保険金は金額が確定して初めて計上されるので、損失が計上された期と受取の計上される期がずれることがあります。だから、ある四半期の数字だけを見て「結局いくらの負担だったのか」を結論づけることはできません。
では何を見るのか。私は、四半期ごとの開示を順に並べて、同じ項目名が次の期にどう変わったかを追うようにしています。手間はかかりますが、このやり方だと推定に頼らずに済みます。
有価証券報告書で、私が開く順番
有価証券報告書は長い書類ですが、見る場所を決めておくと負担が減ります。私の順番はこうです。
- 第一部の企業情報にある「主要な経営指標等の推移」。売上や利益、純資産などが複数年ぶん並んでいるので、ある年だけ形が崩れていればここで気づきます。
- 「事業等のリスク」。事故や災害、機材の調達、保険の付保状況について会社がどう書いているかが読めます。
- 「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」。数字が動いた理由を会社自身の言葉で説明している場所です。
- 連結財務諸表とその注記。特別損失や特別利益の内訳、重要な後発事象の記載。
どの会社の有価証券報告書も、金融庁の開示書類の閲覧システムか、会社自身のIRページから読めます。私は会社のIRページから入ることが多いです。
決算短信と適時開示は、役割が違う
同じ会社の数字でも、出てくる書類によって速さと詳しさが違います。私はこの違いを取り違えて、短信に書いていないことを「隠している」と思ってしまったことがありました。
| 書類 | 出る時期 | 私が見るところ |
| 適時開示 | 事実が決まった時点で随時 | 業績予想の修正、特別損失の計上見込み、金額の確定 |
| 決算短信 | 決算期末から比較的早い時期 | サマリー情報、配当の状況、業績予想 |
| 有価証券報告書 | 短信より遅れて提出 | 注記、リスク、経営者による分析 |
臨時の大きな損失が出るときは、まず適時開示に「特別損失の計上」や「業績予想の修正」という形で出ることが多いです。私はこの順番を知ってから、焦って推定額を探さなくなりました。
補償の中身については、会社の案内と公的な制度の原文を見る
お客さまへの対応や手荷物の扱いについては、航空会社が自社のサイトで運送約款や案内を公開しています。個別の事案でいくら支払われたのかは、当事者の間のことなので外部に公表されません。私はここを推測で埋めないことにしました。
制度として何が決まっているのかを知りたいときは、国際的な条約や国内の法令の条文そのものを読みます。会社の約款と条文、この二つが確かめられる材料です。
私の見方。事故の数字は、会社の体質を測るものにはならない
臨時の損失は、その期の利益を大きく動かします。ただ、それはその期かぎりの出来事なので、会社がふだんどれだけ稼げるのかを測る材料にはなりません。私は会社を見るとき、臨時の項目を外した状態で複数年の推移を見るようにしています。
これは、私が長く持つことを決めているからでもあります。買ったら売らないと決めているので、ある一期の数字の上下よりも、何年ぶんか並べたときの形を見ています。航空業界は景気や燃料の価格に揺れやすいので、なおさら一期では判断できないと考えています。
この記事で直したところ
この記事は以前、損失額や賠償額の推定表が中心でした。どの数字も出どころを確かめられず、記事のなかで前提の違う数字が並んでいたため、金額の表はすべて削除しました。あわせて次の点を直しています。
- 機体の損失額、乗客やペットへの補償の金額、施設の損傷額、ブランドの毀損額とされていた推定値をすべて削除しました。公表された確定額ではないためです。
- 引受保険会社と再保険会社として実名が挙げられていた箇所を削除しました。その契約関係を確かめられる公表資料に当たれなかったためです。
- 1機あたりの年間収益貢献額、耐用年数から計算した逸失利益といった試算を削除しました。前提が記事内に示されておらず、検算ができないためです。
- 過去の別の事故について、製造会社と航空会社の責任の負担割合を数字で示し、設計や修理の過失を断定していた表を削除しました。責任の帰属を当ブログで判断することはできません。
- 「ほぼ全額が保険会社の支払い」「実際のキャッシュアウトは限定的」という断定を削除しました。根拠となる開示を確認できていません。
- 一人あたりの賠償額について「〜という説もある」という形で書かれていた伝聞を削除しました。
- スラッグが記事の内容と無関係だったため、会計の読み方という内容に合わせて付け替えました。
- 冒頭の動画への誘導文を削除しました。
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他社の決算を注記まで追う習慣がついてくると、自分の取引や配当の履歴も同じように確かめたくなります。私は口座の画面と年間の取引報告書をそろえて、自分の数字を自分で検算できる状態にしておくことにしました。
私が実際に使っているのは次の2つです。どちらも1株(単元未満株)から買えるので、いきなり大きな金額を動かす必要はありません。
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