今日は7月20日、海の日。日本の株式市場はお休みです。「日経平均が動かない日は相場を忘れていい日」——ではなく、こういう日こそ私は隣の国の市場を見に行きます。そして今日、韓国のKOSPIを見て思わず二度見しました。この記事では、韓国株がなぜ5日で10%も暴落したのか、なぜ同じ日に中国株は上がっているのか、そして明日からの日本株と私たちの老後資金にどう関係するのかを、投資初心者の目線でお話しします。
韓国株(KOSPI)が5日で10.86%暴落|何が起きたのか
KOSPIは6,606ポイント、この5日間でマイナス10.86%。1週間で1割です。もし日経平均が1週間で6,500円下がったら……と想像してみてください。それが今、隣の国で起きています。今日のKOSPIは朝9時の寄り付き直後にマイナス4%を超える急落。売り注文が殺到し、先物の急変動時にプログラム売買を一時停止させる「サイドカー」がなんと2日連続で発動されました。
7月の韓国市場はジェットコースターだった
- 7月2日:マイナス7.89%。米メタが「余っているAIのコンピューター資源をクラウドとして貸し出す」と発表。「AIの計算資源が余る=メモリ半導体はもう買われないのでは」という連想で、メモリの主役サムスン電子とSKハイニックスを擁する韓国株が真っ先に売られました。
- 7月13日:SKハイニックスが1日で15%安(過去最大の下げ)。3日前にナスダックへ鳴り物入りで上場した反動が一気に来ました。KOSPI全体では9%安、サーキットブレーカーが今年7回目の発動。
- 7月16日:マイナス5%。韓国の中央銀行が約3年ぶりの利上げ。個人に人気だったレバレッジ型ETFの巻き戻しが下げを増幅しました。
韓国株はこの1年、AIブームで世界一上がった市場でした。52週高値は9,385、今は6,606ですから高値から約30%下落し、いわゆる「弱気相場」に入っています。上がりすぎたものは下がるときも激しい——この言葉の重みが身に沁みます。
なぜ同じ日に中国株は上がったのか|韓国売り・中国買いの「裏表」
同じ今日、上海総合指数はプラス1.47%、香港ハンセン指数はプラス1.94%、中国企業のH株指数はプラス2.6%。韓国の売りと中国の買いは、実は同じ一つのニュースの「裏表」です。そのニュースとは、中国のメモリ半導体メーカーCXMT(長鑫存儲)の上場。7月27日に上海市場へ上場予定で、調達額は最大約1兆6,000億円と中国史上でも最大級のIPOです。
この会社はつい最近まで海外ではほぼ無名でしたが、AIブームでメモリ価格が高騰した追い風を受け、去年の赤字から今年1〜3月だけで約5,000億円の純利益へと劇的に黒字転換しました。市場は「中国がメモリ半導体で本当に追いついてきた」と判断したのです。だから追われる側の韓国勢が売られ、追う側の中国に世界のAIマネーが流れ込んでいます。なお台湾はほぼ横ばい。TSMCは「メモリ」ではなく受託製造の「ファウンドリ」で、値上げを発表できるほど需要が強く、同じ半導体でも明暗が分かれています。
日本株はどうなる?|すでに巻き込まれている
先週金曜日、TOPIXはマイナス2.72%、グロース市場はマイナス3.38%。メモリ関連銘柄が韓国と連動して売られました。ただ今日の日経225CFD(休日でも動く先物のような指標)はプラス0.92%の64,732円で、海外投資家は「明日の東京は反発スタート」を織り込みにいっています。理由は、中国・香港市場がしっかりしていること、米国の物価上昇が落ち着き利上げ観測が後退していること、ドル円162円台の円安が輸出企業に追い風であることの3つです。
一方で注意点も3つあります。韓国市場が引けにかけて下げ止まるか、7月27日のCXMT上場前後は世界の半導体株が荒れやすいこと、そして日本市場でも「AI・半導体関連」と「内需・高配当」で値動きが二極化しやすいことです。面白いのは、中国がメモリを増産するなら、その工場で使う製造装置・素材・シリコンウエハは日本企業の得意分野だという見方です。争いの当事者ではなく道具を売る側——ゴールドラッシュで儲かったのはツルハシ屋、という話に似ています。
高配当株投資家にとっての意味
AIの熱狂から距離のある、配当をコツコツ出してくれる会社たち。相場全体が荒れれば無傷ではいられませんが、こういう局面では「熱狂に乗らなかったこと」自体が守りになります。含み益は減っても配当は減らない——私が中東ショックのときに実感したことです。
米中AI競争の本質|ソフトでは警戒、ハードでは追い上げ
去年のDeepSeekショックで世界が学んだのは「中国のAIは安くて優秀。でも欧米の企業や政府は情報の安全を考えると怖くて使えない」ということでした。ソフトの世界では中国製は敬遠されたのです。しかし今回の主役はソフトではなくハード、メモリ半導体。メモリは情報を抜かれる心配が比較的少ない「部品」ですから、安くて性能が良ければ世界は買います。だから今回の暴落は「中国の追い上げが本物だ」と世界の投資家が認めた瞬間でもあります。ソフトでは警戒され、ハードでは追い上げる。米中の競争は、これから両面でますます激しくなります。
では、その競争は私たちにとって悪いことでしょうか。私はそうは思いません。競争が激しくなると価格は下がります。実際AIの世界ではすでにそれが起き、少し前なら考えられなかった高性能なAIを個人でも月々の定額で使える時代になりました。私がこのチャンネルの台本づくりやスライドづくりにAIを使えているのも、米中の競争が価格を押し下げてくれているおかげです。
私たちの生き残り方|1400年前の遣隋使に学ぶ「第3の位置」
大国の争いは私たち一人の力では変えられません。JALの破綻もリーマンショックも中東ショックも、私には止められませんでした。でも、その動きの中でどう生き残るかは自分で決められます。この感覚、実は私たち日本人は1400年前から知っています。
飛鳥時代、日本は遣隋使・遣唐使を送りました。当時の隋や唐は世界最先端の超大国。日本はその大国と争うのではなく、海を渡って制度も仏教も文字も学びに行きました。奈良の平城京も京都の平安京も、唐の都・長安をお手本にした「輸入品」の都です。でも日本はコピーで終わりませんでした。894年、菅原道真が「唐はもう衰えた。危険を冒してまで行く価値はない」と遣唐使の停止を進言し、大国の衰えを冷静に見極めて付き合い方を変えます。そこから花開いたのが国風文化でした。漢字を崩してかな文字が生まれ、紫式部が源氏物語を書き、寝殿造や大和絵が生まれたのです。
外から学び尽くしたうえで自分の色に染め直す。「和魂漢才」——魂は和のまま、才は外から借りる。明治には「和魂洋才」で欧米から学び、戦後はアメリカに学んで世界一の品質のモノづくりに育てました。日本は歴史上一度も「世界一の大国」になったことはありませんが、大国の果実を一番上手に使いこなす国であり続けたのです。
今のAIもまったく同じだと思います。アメリカにも中国にもなれない。だったら遣隋使の時代と同じでいい。争いの当事者ではなく、両方から学び、両方に道具と素材を売り、米中の競争で安くなったAIという果実を自分の色に染めて使いこなす——第3の位置、個性と独自路線です。これは国だけでなく私たち個人の投資にもそのまま当てはまります。熱狂の都・長安にならなくていい。16業種を超える分散で、どちらが勝っても配当を受け取れる側に立つ。種銭は労働で、成長は企業に任せて、老後は配当で。隣の国の1週間マイナス10%は、決して他人事ではありません。
まだ証券口座がない方へ|SBI証券・楽天証券の口座開設
相場が荒れる局面こそ、コツコツ配当を受け取れる体制を整えておきたいものです。まだ証券口座をお持ちでない方は、「どこで口座を作るか」が将来の資産額を大きく左右します。数ある証券会社の中でも圧倒的な支持を集めているのがSBI証券と楽天証券です。SBI証券は日本の個別株や米国株をやるなら手数料も安くて最強です。楽天証券は画面が見やすくて初心者にやさしく、楽天ポイントで投資ができるのも嬉しいポイントです。下記の公式リンクから申し込みができます。
明日の東京市場、寄り付きがどうなるか私も朝からしっかり見届けます。今夜21時のライブでもみなさんのご質問にお答えしますね。
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