投資で決算跨ぎは良くないと言われる理由

「100万円あるからといって一度に買わず、まずは一部を投資し、安くなったら買い増す」という戦略は、**「時間分散」と「心理的ハードル」**の両方を解決する、個人投資家にとって極めて現実的で賢い方法です。

この考え方をベースに、分散投資の重要性と「なぜそのやり方がプロとの戦いを回避しつつ勝率を上げるのか」をまとめた記事を作成しました。

決算で「一度に買わない」人が最後には勝つ。最強の防御策「時間分散」

1. 100万円を一気に投じるのは「プロへの献上金」

前回の記事でお伝えした通り、決算シーズンは年収数億円のプロたちが24時間体制で仕掛けてくる戦場です。

ここに100万円を「全額」投入して決算を跨ぐのは、彼らのアルゴリズムの餌食になるようなもの。もし予想が外れて株価が20%急落したら、その時点で20万円を失い、多くの人は恐怖で「損切り(退場)」してしまいます。

2. 「10万円ずつ」が最強である3つの理由

「まずは10万円投資、下がったら追加」という分散スタイルには、プロには真似できない3つの圧倒的なメリットがあります。

① 平均取得単価を自動的に下げる(ドル・コスト平均法の応用)

決算後に株価が下がったところで追加投資をすれば、1株あたりの買い付けコストは下がります。

データで見ても、一括投資は「タイミング」がすべてですが、分散投資は「下落」を味方に変えることができます。

② 感情をコントロールできる

「下がったら買おう」という準備ができている投資家にとって、急落は「悲劇」ではなく「バーゲンセール」になります。

  • 一括投資の人: 「これ以上下がったらどうしよう…」と夜も眠れない。

  • 10万円投資の人: 「計画通り安くなった。あとの90万円で安く拾えるぞ」と余裕を持てる。この精神的な余裕こそが、長期投資を成功させる最大の鍵です。

③ 「後出しジャンケン」ができる

決算跨ぎのギャンブルを避け、「決算内容を確認してから残りの資金を投じる」。これは、不確定要素を排除した「後出しジャンケン」です。

財務諸表(有価証券報告書)や四季報を確認し、「業績は良いのに、市場が過剰に反応して売られているだけだ」と判断できれば、そこは負ける確率の極めて低い買い場となります。

3. 個人投資家が「財務」と「四季報」を武器にすべき理由

プロのトレーダーは「コンセンサス(期待値)とのズレ」を1秒単位で競っていますが、私たちはそこに参加する必要はありません。

私たちがやるべきなのは、**「企業の土台(財務)」**を見ることです。

  • 自己資本比率が高いか?(不況でも潰れないか)

  • 営業キャッシュフローがプラスか?(本業で現金を稼げているか)

  • 四季報で成長の継続性があるか?(一時的なブームではないか)

これらをチェックする作業は、派手なトレードよりも地味ですが、「年収3億円のエリートの裏をかく」よりも遥かに「手っ取り早く、確実な」方法です。

小分けに買うことは「知性」の証

「少しでも安く買いたい」という願いを叶えるのは、勘や運ではなく、**「資金管理という技術」**です。

100万円を10回に分ける。この手間を惜しまない人だけが、プロが仕掛ける激しい荒波を乗り越え、5年後、10年後の大きな資産形成を成し遂げることができます。

決算シーズンは、投資家にとって最もエキサイティングでありながら、最も神経を使う時期でもありますね。

「決算跨ぎ(けっさんまたぎ)」、つまり決算発表の直前に株を買い、発表後の値動きを期待する行為について、メリット・デメリットを含めた多角的な視点でお答えします。


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1. なぜ「決算跨ぎは良くない」と言われるのか?

結論から言うと、**「ギャンブル性が非常に高いから」**です。

  • 「好決算=株価上昇」とは限らないたとえ業績が良くても、市場の期待(コンセンサス)に届かなければ売られます。また、「材料出尽くし」として売られることも珍しくありません。
  • 株価の乱高下(ボラティリティ)決算発表後は、1日で株価が10%以上動くこともあります。予測が外れた際の損失が大きくなりやすいため、リスク管理が困難です。
  • プロとの情報格差機関投資家は膨大なデータをもとに予測を立てていますが、個人投資家がそれ以上の精度で「サプライズ」を当てるのは至難の業です。

2. 決算シーズンにおける「3つの投資スタンス」

ご自身の投資スタイルに合わせて、以下のどの視点に近いか考えてみるのがおすすめです。

① インデックス投資・長期投資の視点(おすすめ)

「何もしない」のが正解です。

S&P500やオルカンのようなインデックス投資、あるいは長期保有目的の高配当株投資であれば、四半期ごとの一時的な変動は「ノイズ」に過ぎません。目先の上下に一喜一憂して売買すると、長期的な複利効果を損なう可能性があります。

② 高配当株・割安株投資の視点

「押し目買いのチャンス」として捉えます。

もし、自分が「一生持ちたい」と思っている優良企業が、決算後の過剰な反応で一時的に急落したなら、それは絶好の買い場になります。決算前に買うのではなく、**「決算を見て、中身が良いのに売られているものを拾う」**という後出しジャンケンの戦略です。

③ 短期トレードの視点

「期待値が低いなら避ける」のが鉄則です。

短期で利益を出したい場合、決算跨ぎは「丁半博打」になりがちです。プロのトレーダーでも、決算前には一度ポジションを軽くし、不確実性を排除する人が多くいます。


3. 決算跨ぎをするかどうかの判断基準

もし売買を検討されるなら、以下のチェックリストを参考にしてください。

項目 注意点
期待値(コンセンサス) 会社の予想よりも「市場が何を期待しているか」が重要です。
チャートの位置 決算前にすでに株価が上がりすぎている場合、好決算でも売られやすいです。
資産の割合 その銘柄がポートフォリオの大部分を占めるなら、跨ぐのはリスク過多です。

💡 まとめ:どうすればいい?

YouTubeの視聴者さんや初心者の方にアドバイスするなら、**「無理に決算で勝負する必要はない」**とお伝えするのが誠実かと思います。

  • コア(インデックス): 完全に放置。

  • サテライト(個別株): 決算内容をしっかり確認し、企業の成長ストーリーに変化がないかチェックする時間に充てる。

決算は「答え合わせ」の場です。試験の前にギャンブルをするよりも、試験結果を見てから「この会社はやはり優秀だ」と確信を持って投資を続ける方が、長期的な資産形成にはプラスに働きます。

長期投資家にとっての「決算」は、「目先の株価の上下」は無視していいけれど、「企業の健康診断」としては非常に重要、というスタンスになります。

より具体的に、トレーダーとの違いを整理してみました。


トレーダーと長期投資家の「決算」への向き合い方

視点 短期トレーダー(決算跨ぎ) 長期投資家(インデックス・高配当)
最大の関心事 「明日」の株価が上がるか下がるか **「5年後・10年後」**も稼ぎ続けているか
見るべき数字 市場予想(コンセンサス)との乖離 売上・利益の成長トレンド、財務の健全性
株価急落時 予想が外れたら即「損切り」 ストーリーが変わらなければ「静観」または「買い増し」
決算後の行動 値動きを利用して利益を確定させる 会社の成長や配当方針に変化がないか確認する

なぜ長期投資家は「跨ぎ」を気にしなくていいのか

長期投資家が、決算直前に「売るか持ち越すか」で悩む必要がない理由は主に2つあります。

  1. 「稲妻が輝く瞬間」を逃さないため長期投資の収益の大部分は、ごく短期間の急騰(稲妻が輝く瞬間)によるものと言われます。決算での急騰を恐れて直前に売ってしまうと、その恩恵を受けられず、長期的なリターンが大きく下がってしまいます。
  2. 平均取得単価の平準化コツコツ積み立てるインデックス投資などの場合、決算で下がれば「安く買える月」になるだけです。一時的な変動は時間の経過とともに平均化されるため、気にする必要がありません。

ただし、長期投資家も「中身」だけは見る必要がある

「株価」は気にしなくていいですが、**「企業の通知表」**としての決算書はチェックすることをおすすめします。特に以下の場合は、長期投資であっても「売却」を検討する材料になります。

  • 前提が崩れた時: 「この会社は増配し続けるはず」と思っていたのに、理由もなく減配された。

  • ビジネスモデルの劣化: 売上高が数期連続で右肩下がりになり、成長の兆しが見えない。

  • 不祥事や粉飾: 信頼できない経営陣にお金を預け続けるリスクが生じた。

  • 決算シーズン前: 「売らなきゃ!」とソワソワする必要はありません。

  • 決算発表後: 「わあ、下がったな」と株価を見るのではなく、**「売上や利益、配当金の見通しは順調かな?」**と、会社の健康状態をチラッと確認する。

このくらいの距離感が、精神的にも資産形成にとっても一番健康的です


記事タイトル:決算跨ぎは「年収3億円の天才」との殴り合い。私たちが戦う場所はそこじゃない。

1. 決算跨ぎ=プロとの正面衝突

「決算跨ぎで一攫千金を狙いたい」――その気持ちはわかります。でも、決算跨ぎという「短期トレード」の土俵に上がった瞬間、あなたの対戦相手は誰になるか想像したことはありますか?

そこには、ハーバード大や東大を首席で卒業し、ゴールドマン・サックスなどの投資銀行でボーナスだけで3億円を稼ぎ出すような「超エリート」たちが、24時間体制でモニターに張り付いています。

2. 「素人がプロに勝てる確率」はどのくらいか?

実際のデータを見てみましょう。

米国の調査(テラダイン等)や様々な市場データによると、**個人トレーダーの約90%が1年以内に退場し、最終的に利益を出し続けられるのはわずか数%(1〜3%程度)**と言われています。

なぜ、これほどまでに勝てないのか。それは情報の質とスピードが圧倒的に違うからです。

  • 情報格差: ニューヨークのプロは、世界中の生データに直結した端末(ブルームバーグ等)を使い、AI(アルゴリズム)がミリ秒単位で決算短信を読み取って売買を実行します。

  • 物理的な差: 日本にいて、日本語のニュースやTwitter(X)で情報を得ている私たちが、現地の生情報と超高速AIに勝てる確率は、限りなくゼロに近いのが現実です。

3. 年収数千万のプロと同じ土俵で戦う無意味さ

彼らは「投資のプロ」として人生のすべてを捧げています。

最新の衛星写真で工場の稼働率を調べたり、専門のデータサイエンティストを雇って消費者の動向を分析したりする組織と、片手間にスマホでポチポチ売買する個人投資家。

この状況で「決算を跨いで利益を出そう」とするのは、竹槍を持って、最新鋭のステルス戦闘機に挑むようなものです。負けるのが当たり前なのです。

4. 長期投資家が「決算跨ぎ」を無視していい理由

だからこそ、私たち長期投資家は、その戦いに参加する必要すらありません。

トレーダーは「明日」の株価で勝負しますが、私たちは「10年後」の企業の価値で勝負します。

短期的な株価の乱高下は、プロたちに勝手にやらせておけばいいのです。

5. 私たちが本当にやるべき「勝てる投資」

プロのアルゴリズムが唯一苦手とするのが**「超長期の視点」**です。

彼らは四半期ごとの成績を求められますが、私たちは何年でも待てます。

私たちが注力すべきは、目先の決算サプライズを当てることではなく、以下の「地味で確実な作業」です。

  • 有価証券報告書を読む: 企業の健康診断書を自分の目で確認する。

  • 財務の安定性を見る: 自己資本比率が高く、キャッシュフローが豊富な「潰れない企業」を探す。

  • 四季報をチェックする: 派手なニュースではなく、着実な成長の軌跡を追う。


まとめ:戦う場所を選べば、負けようがない

投資で一番大切なのは、**「勝てない場所で戦わないこと」**です。

ニューヨークのエリートとスピード競争をするのではなく、日本で腰を据えて、**「生活に根ざし、財務が盤石で、配当を出し続ける企業」**をじっくり選ぶ。

「決算跨ぎ」に一喜一憂する時間を、企業の財務分析や、あなた自身のスキルアップ、あるいは大切な人との時間に充てる。それこそが、賢い投資

決算跨ぎの恐ろしさと、チャンスの両面を象徴する日本の有名企業の事例を、**「急落」「急騰」**で5つずつ紹介します。

これを見ると、いかにプロの予想が激しくぶつかり合い、個人がその渦中に全財産を投じるのが危険かがよくわかります。


1. 決算跨ぎで「急落」した有名企業5選

「良い決算のはずなのに売られる」という、個人投資家が最も恐怖するパターンです。

銘柄名(コード) 背景と動き
レーザーテック (6920) 半導体王者の筆頭ですが、決算で受注見通しが少しでも市場予想を下回ると、1日で**10%〜15%**平気で下げることがあります。期待値が高すぎるゆえの暴落です。
ソフトバンクグループ (9984) 2.9兆円という過去最高級の利益を出しても、「ビジョン・ファンドの含み損」や「自社株買いの発表なし」といった理由で、翌日に株価が数%〜10%近く急落することがよくあります。
任天堂 (7974) 好決算であっても、新型機の発表がない、あるいは通期予想が保守的(低め)すぎると、「材料出尽くし」として大きく売られる「決算=売り」の典型例になることがあります。
ファーストリテイリング (9983) ユニクロを展開。国内が好調でも、中国市場の減速懸念などが一言決算資料にあるだけで、指数に影響するレベルの大きな窓開け下落を見せることがあります。
ベイカレント (6532) 高成長株の代表格ですが、2024年初頭の決算では成長鈍化が嫌気され、1日で**15%以上(ストップ安水準)**暴落。成長株は決算のハードルが極めて高いことを示しました。

2. 決算跨ぎで「急騰」した有名企業5選

一方で、分散投資をしていれば「嬉しいサプライズ」となるケースです。

銘柄名(コード) 背景と動き
東京エレクトロン (8035) 2024年2月の決算では、粗利率が過去最高を記録。市場の予想を大幅に上回る上方修正と増配を発表し、翌日の株価は10%以上も跳ね上がりました。
トヨタ自動車 (7203) 2024年3月期の決算などで、円安の恩恵とハイブリッド車の絶好調により、時価総額が数兆円規模で膨らむ爆騰を見せました。巨艦銘柄でも決算次第でこれほど動く好例です。
川崎汽船 (9107) 海運株は決算での「配当予想の増額」が強烈です。予想を上回る大幅増配が発表されると、配当利回り目当ての買いが殺到し、株価が急騰する場面が何度も見られました。
ディスコ (6146) 生成AI向けの装置需要が想定を上回ると、決算発表直後に株価が**10%〜20%**近い上昇を見せることがあります。プロの予測すら上回る爆発的な需要がある時です。
三菱商事 (8058) 決算と同時に「5000億円規模の自社株買い」といった株主還元策をブチ上げることがあります。業績以上に「還元姿勢」へのサプライズで株価が一段高になります。
  1. 「期待値」という魔物:業績が「黒字」か「赤字」かは重要ではありません。**「プロの予想(コンセンサス)を超えたかどうか」**だけで株価は動きます。素人がこれを見極めるのは不可能に近いです。
  2. 一括投資の危うさ:もし全額をレーザーテックに投じていたら、一晩で資産の15%が消えます。しかし、10分割して「10万円」だけ持っていれば、1.5万円の含み損で済み、むしろ安くなったところで買い増す余裕が生まれます。
  3. 財務が良い企業は「戻る」:一時的に急落しても、有価証券報告書や財務諸表で「稼ぐ力」に変化がないと確認できていれば、長期投資家にとっては単なる「バーゲンセール」に過ぎません。

「決算跨ぎは、プロのギャンブルに付き合わず、安くなった優良株を拾うためのイベントと捉える」。このスタンスこそが、最も手っ取り早く、かつ負けない方法です

2026年1月19日(月)現在、これから本格化する決算発表シーズンにおいて、直近で注目される日本の有名企業の予定は以下の通りです。

1月下旬は、特に製造業やハイテク産業の先行指標となる企業の発表が相次ぎます。

直近の注目決算スケジュール(2026年1月後半)

発表日 企業名(証券コード) 注目ポイント
1月22日(木) ニデック (6594) 旧日本電産。製造業の決算シーズンの「切り込み隊長」的存在で、相場全体のムードを左右します。
1月26日(月) ファナック (6954) 工作機械・ロボット大手。中国市場や世界の設備投資動向を占う上で最重要の銘柄です。
1月27日(火) 信越化学工業 (4063) 半導体シリコンウエハー世界首位。半導体市況の「体温計」として注目されます。
1月28日(水) アドバンテスト (6857) 半導体検査装置大手。AI半導体需要の勢いが継続しているか、市場の期待が非常に高い銘柄です。
1月29日(木) 日立製作所 (6501) 日本を代表する巨大製造業。インフラやITセグメントの好調さが維持されているか注目。
1月29日(木) キヤノン (7751) 12月決算企業。本決算発表となるため、今期(2026年度)の強気な見通しが出るかが焦点。
1月30日(金) 三井住友FG (8316) メガバンクの先陣。金利上昇局面での利ザヤ改善や、株主還元の強化(増配・自社株買い)に期待。
1月30日(金) 第一三共 (4568) 医薬品大手。がん領域の成長性と、海外での販売状況が株価を大きく動かす要因になります。

まさに今週から来週にかけて、日本の主力株の決算がドバッと出てきます。

前にお話しした通り、これら「時価総額が大きく、世界中のプロが注目している企業」は、決算直後の値動きが非常に激しくなります。

  • ニデックやファナックは、内容が良くても「先行きの警戒感」だけでガクンと下がることがあります。

  • 逆にアドバンテストなどは、少しでもサプライズがあれば爆騰する可能性があります。

「今、100万円持っているなら」

この1月下旬の激しい動きを「高みの見物」しつつ、もし自分が狙っている優良企業(例えば三井住友などの高配当株や、信越化学などの財務優良株)が、決算後に「えっ、こんなに下がるの?」というくらい売られたら、そこでおもむろに「10万円」だけ出動させる。

そんな「後出しジャンケン」ができる、最高に面白い時期が始まります!

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