この記事は、日本の止まらない円安を1ドル360円~1ドル75円の歴史から学ぶ記事です。
この記事を読むと2024年の円安で生き残る方法が11個、わかります。
2024年の円安
過去2年間で、円は大幅に価値を下げ、1ドル125円が、さらに30円の下落を記録しています。この円安がなぜ問題なのでしょうか。
円安によって、日本の物価は急激に上昇しています。
- 輸入品の価格が高騰
- 国内の消費者物価も高騰
輸入される商品の価格がドルベースで固定されているため、円価値が下がると同量の商品を購入するためにより多くの円が必要になります。
この結果、生活費が増加し、実質的な購買力が低下し、円安は国内企業にも影響を与え、輸入原材料に依存する中小企業では、材料費の増加を商品価格に転嫁することが困難で、経営が圧迫され、多くの企業が経済的な困難に直面し、倒産のリスクも高まっています。
円安の原因と政策対応
円安の原因
- 国際金利の差異
- 特に日米間の金利差が大きい
アメリカでは金利が比較的高く設定されているため、投資家はより高いリターンを求めてドルを選ぶので、これが円の供給過剰となり、円価値の低下を招いています。
日本政府と日銀
日本政府と日本銀行は、この問題に対処するために複数の政策を実施していますが、特に注目されているのは、為替介入と金利政策の見直しです。
為替介入によって短期的に円価値を支える試みがなされていますが、これは一時的な解決策に過ぎず、根本的な解決には、金利の引き上げによる円の魅力を高め、長期的な安定を図ることが必要です。
日本経済の歴史
1ドル360円
日本経済は第二次世界大戦後、急速に復興し、1949年に設定された1ドル360円の固定為替レートは、戦後復興の基盤となる国際通貨基金(IMF)体制の一環で、このレートは、安定した経済成長を促し、高度成長期の基盤を築く重要な要素となりました。
変動相場制の導入
1971年、米国のニクソン大統領は金本位制の停止を宣言し(ニクソン・ショック)、国際金融市場は大きく不安定化し、日本を含む多くの国は固定為替レート制度から変動相場制へ移行を余儀なくされ、日本にとって新たな経済成長のチャンスともなりましたが、同時に多くの危機をもたらしました。
高度成長と円の価値上昇
円の自由化後、日本経済は更なる加速を見せ、1970年代から1980年代にかけての経済は「バブル景気」として知られる過熱期を迎えますが、バブルの崩壊とともに1990年代には長期的な経済停滞が始まり、「失われた10年」と呼ばれる時期が続きました。
1ドル80円
1995年には、1ドルが約80円まで急激に円高が進行し、この円高は、日本の輸出産業に大きな打撃を与え、国内のデフレ圧力を一層強める結果となり、橋本龍太郎首相下での財政緊縮が行われたものの、これがデフレをさらに悪化させる要因ともなりました。
1ドル75円
2008年のリーマンショックは、全世界的な金融危機を引き起こし、これが日本経済にも深刻な影響をもたらし、危機の直後、安全資産とされる円が急騰し、一時的に1ドル75円程度まで評価され、この急激な円高は、再び輸出産業に損害を与え、経済回復の足枷となりました。
1ドル157円
2020年代に入ると、日本は長期にわたる低金利政策と大規模な金融緩和を続ける中で、再び円安が進行し、2022年からの円安は、新型コロナウイルスのパンデミックとその経済への影響、さらには国際的な金利差の拡大によって加速しました。
日本通貨の歴史的
和同開珎
日本の通貨制度の起源である和同開珎に振り返ってみましょう。
708年に造られた和同開珎は、日本における貨幣経済の始まりを告げ、以降、日本経済の基盤となる多くの政策が展開され、現在の通貨価値の変動も、その長い歴史の一環として捉えることができ、政策の変化と経済は密接に結びついていることがわかります。
日本の課題
日本の国債の総額が現在約1000兆円に達しており、これは、国内総生産(GDP)に対する比率で世界ダントツ一位という実態で、異次元の金融緩和によって大量の国債が日本銀行(日銀)によって買い取られています。
金融緩和
2013年から始まった金融緩和政策は、不況とデフレから脱却するために、日銀が大量の国債を買い上げ、市場に大量の資金を供給することで、長期にわたるデフレ圧力の緩和と経済の活性化が狙いでしたが、この政策には副作用があり、国債の大量購入は国の借金を中央銀行が引き受ける形となり、これが財政ファイナンス(政府が直接金を刷る行為)に近い状況を生んでしまい、通貨価値の暴落やハイパーインフレを引き起こすリスクをはらんでいます。
日銀の現状
日銀は現在、国債を買い続けることでインフレ率を抑制し、経済を支えていますが、これが永続的な解決策ではなく、いずれ金利を正常化(利上げ)しなければならない時が来ますが、その際には大量の国債を保有する日銀の財政が圧迫されるでしょう。そして利上げが行われると、国債の価値は下がり(金利と国債価格は逆相関にあるため)、日銀のバランスシートは大きな打撃を受けるので、この「逆ザヤ」と呼ばれる現象は、金利を上げることによって日銀が受けるダメージが大きすぎ、財政が赤字に転じます。
生き残る方法
日本経済が直面している円安とインフレは止まる気配がありません。そこで生き残る方法を11個書き出します。
貯蓄から投資へのシフト
長期にわたる低金利環境とインフレの中で、単なる貯蓄では資産の実質価値が目減りするため、積極的に投資を行い、資産を増やす戦略が重要です。
新NISAを利用して安定した資産形成を行うことは自分の未来を守ることにつながります。
米国高配当株の購入
米国の高配当株は、配当利回りが高く、インフレ対策として有効で、ドル建ての資産を保有することで、円安時の損失を相殺し、収益を上げる可能性があります。
米国債券ETFのAGGや米国高配当株ETFのSPYDとHDVは配当金が安定していて魅力的なファンドです。
自分への投資
継続的な学習とスキルの向上は、雇用市場での競争力を保ち、より高い収入を得るために不可欠です。
副業を始める
収入源を増やすことは、経済的な安定に寄与します。
個人事業主として起業する
収入の多角化を図ることができ節税対策も可能です。
エネルギー効率の良い製品の購入
エネルギー効率の高い家電製品や自動車などを使用することで、長期的に見て支出を抑え、エネルギーコストの増加に対応します。
地産地消の推進
地元で生産された食品や商品を消費することで、輸入品の価格上昇の影響を受けにくくなります。
デジタルツールの活用
デジタル技術を活用して家計管理を行うことで、無駄な支出を削減し、資金の有効活用が可能になります。
保険の見直し
現在の生活スタイルに合った保険を選ぶことで、不測の事態に備えつつ、過剰な保険料の支払いを避けます。
生命保険の解約
遺族年金を計算すれば、必要な生命保険が見えてきます。
がん保険の解約
高額療養費制度があるので、がん保険に入らなくても、必要な治療を受けることができます。がんサバイバーとして「がん保険なんかいらない!」と言えます。
火災保険の見直し
自動車保健の見直し
長期的な金融計画
投資は15年~20年以上時間をかけて育てていくものなので、将来の目標に基づいた金融計画を立てることで、資産形成の方向性を明確にし、適切な投資判断が可能になります。
健康への投資
健康を維持することは、医療費の増加に対抗するためにも重要です。健康的な生活習慣を心掛け、予防医学に注目しましょう。
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