飛行機の中で遺骨や位牌を手荷物として扱うことを知っていますか?
なぜならには、飛行機の中では安全性が最優先されるからです。
実は、多くの人が大切な遺骨を手荷物と同じ扱いをされることに不快感を感じているのです。
この記事では。キャビンアテンダントが、マニュアル上では手荷物として扱われる遺骨についても、遺族の気持ちに寄り添い、配慮を行っていることを説明しています。
この記事を読むと、キャビンアテンダントが遺骨を運ぶ時の配慮がわかります。
飛行機で遺骨を運ぶ時の手続き
遺骨を運ぶ時の注意点
遺骨を飛行機で運ぶ場合、事前に手続きが必要です。
まず、遺骨を収めた容器は、防水かつ丈夫なものが良いでしょう。
航空会社によって手続きが違いますが、例えば、JALでは「国際運送手順書」に従い、事前に申し出をする必要があります。
注意点
- 金属でできた骨壷だと、セキュリティーチェックで中身を確認できず、機内に持ち込めない場合がある。
- 国や地域によっては、火葬許可証、火葬証明書、埋葬許可証、埋葬証明書、粉骨証明書の提示を求められる場合がある。
- 海外では、英文の死亡診断書が必要な場合がある。
座席に余裕があるフライトなら、臨機応変な対応で、遺族の隣の席を遺骨用にブロックすることが可能ですが、座席に余裕がない場合、遺骨のために隣の席を購入する遺族がいます。
キャビンアテンダントの対応
遺骨を受け取ったキャビンアテンダトは、以下のような配慮を行います。
①手荷物であることを説明する
遺骨を受け取ったCAは、まず遺族に対して、遺骨は手荷物として扱われること、緊急脱出時には持ち出すことができないことを伝えます。そして、遺骨を大切に扱い、配慮を行うことを伝えます。
②専用の収納スペースに収める
遺骨は、上の棚や前の座席の下に収納することが基本ですが、遺族の心理に配慮し、コートルーム等、専用の収納スペースに預かることができます。
③遺族へ配慮
- 空席が多い便では、遺族の隣の席を利用し、座席にシートベルトを遺骨の結び目に通して、固定する。
- ファーストクラスのコートルームへ預かり、毛布や枕でカバーする。
- 上の棚へ収納する場合は、他の手荷物との間に、毛布や枕を入れてカバーする。
- シートベルトだけで届かない場合は、エクステンションベルトで補強する。
- 旅客が遺骨用の座席を買うことで、その座席にシートベルトを遺骨の結び目に通し、固定する。
キャビンアテンダントは、預けた場所を確認し、遺族にもその場所を伝えて、遺族が安心して過ごせるよう声掛けをしています。
思い出に残るキャビンアテンダントの配慮
こんな対応は日本の航空会社ならではではないか?
— apio (@apio_apio1516) July 16, 2017
【いい話】
遺骨を飛行機内に持ち込んだ乗客に対する客室乗務員の対応が素敵すぎて号泣「粋な計らいだなぁ」 pic.twitter.com/UjT8CYJbTL
松田聖子さん神田正輝さんの娘、神田沙也加さん
2021年12月18日、女優の神田沙也加さんが札幌のホテルから転落して亡くなりました。
葬儀は札幌市内で行われ、神田正輝さんと松田聖子さんが会見を行い、その後、松田聖子さんが遺骨を手に飛行機に乗り込みました。
松田聖子さんは神田沙也加さんの母親であり、一人娘を亡くした悲しみは計り知れません。
もしキャビンアテンダントが、遺骨を上の棚に収納するよう言ったら、松田聖子さんにとってはツラい気持ちになるはずです。
そこで地上スタッフは、松田聖子さんの隣の席を空席にして、そこに遺骨を固定することにしました。
遺骨は、大切な人が亡くなった後の最後の形となります。
松田聖子さんは、遺骨を持ち運ぶ際にも、神田沙也加さんを大切な存在として、最後まで寄り添うことができたのではないでしょうか。
シカゴ駐在員の死
大手商社に勤める駐在員の男性がシカゴで急死し、日本にいる家族に連絡が遅れたことで、妻は遺骨の夫と再会することになった出来事です。
男性の妻は、遺骨を抱えて飛行機に乗り、ビジネスクラスの座席を2席分、購入していました。
食事サービスでは、洋食と和食の2枚のトレイを並べましたが、奥様は食事に手を付けませんでした。
そこでキャビンアテンダントがコーヒーを2人分用意しました。
遺骨のコーヒーは10時間以上変わらず置かれたままでした。
海外での遺骨の取り扱い
海外で遺骨を飛行機に持ち込む時には、国際的な法規制に従う必要があり、国や地域によっては、遺骨を持ち込むことが禁止されている場合もあるので、事前に確認することが重要です。
国によっては、火葬が行われないため、遺骨を運ぶこと自体がルール違反となってしまう場合があります。
キリスト教徒やイスラム教徒の国では、遺体を焼くことに抵抗を感じる人がいます。
火葬が主流である日本では、遺骨を手荷物として取り扱うことが一般的です。
日本では、火葬後の遺骨は位牌とともに納骨堂や自宅などに納められるので、遺骨を持ち運ぶことが必要になります。
最後に
遺骨は、大切な人が亡くなった後の最後の形となります。
遺族にとって、遺骨を手元に置くことができることは、心の支えとなるので、キャビンアテンダントがは遺骨を大切に扱い適切に運ぶことが必要です。
私たちキャビンアテンダントは、遺骨を大切な存在として、遺族の気持ちに寄り添うことで、最後の旅を支えることができるように努めています。
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