106万円の壁の歴史を、戦後日本の社会変化とその背景にあるGHQ、経済動向、女性の社会参加の進展と今後の課題について説明します。 – YouTube
この記事は、パート労働者の106万円の壁について書いています。
この記事を読むと、GHQの下で作られた日本の制度が、現在の社会や経済に、そぐわないことがわかります。
今後、日本は、厚生労働省が作った「年収の壁」問題に対処することが必要です。
GHQの戦略
戦後、日本はアメリカ主導のGHQ(連合国総司令部)による占領政策の下に置かれ、GHQの主要な戦略は、日本を民主主義国家に再建し、戦前の軍国主義からの転換を図ることでした。
これにより、新憲法の制定、財閥解体、農地改革、教育改革など、社会のあらゆる面で大きな変革が行われました。
新憲法の影響
1947年に施行された新憲法は、基本的人権の尊重、平和主義、民主主義を柱としており、平和主義に基づき、日本は戦争放棄を宣言し、自衛のための軍事力を保持しないことを規定しまし、男女平等の原則が明記され、女性の社会的地位向上が図られました。
経済の変動
戦後の日本経済は、まず復興期を迎え、その後1950年代からの高度経済成長に突入しましたが、1970年代のオイルショックや、1980年代末から1990年代初頭のバブル経済の崩壊は、経済に大きな影響を与えました。
これらの経済変動は、雇用構造の変化や非正規雇用の増加をもたらしました。
女性の社会参加の増加
新憲法において男女平等が明記されたことや、女性の教育機会の拡大、家庭と仕事の両立を支援する政策などにより、女性の社会参加が進みましたが、同時に、伝統的な性別役割分担意識も根強く、女性が非正規雇用に多く就く傾向が見られました。
これらの要因が、戦後の日本社会の変化を形成してきました。
社会保険制度の発展や労働市場の変化も、これらの社会的・経済的背景から理解することができます。
「年収の壁」の歴史
戦後の日本において、パートタイム労働者に関する「〇〇の壁」という現象は、主に税制や社会保険制度の変遷に伴って変化してきました。以下は、主要な変化を年表形式で示したものです。
1950年代 – 1960年代
高度経済成長期、女性の労働参加が増加するも、主に家庭との両立を目指す形での参加が中心でした。
パートタイム労働者が増えましたが、特定の「壁」はありませんでした。
1970年代
女性の社会進出が進み、パートタイム労働者がさらに増加し、1974年に配偶者特別控除制度が導入され、年収120万円の壁が作られました。
1980年代
日本の経済はバブル期を迎え、1987年に配偶者特別控除の対象額が変動し、130万円の壁ができました。
1990年代
日本では、バブルが崩壊し経済は停滞していました。
契約制スチュワーデスができたのもこのころです。
企業のコスト削減策として非正規雇用が増加し、所得税の配偶者控除の基準額に関連する103万円の壁が注目され始めました。
2000年代 – 2010年代
労働市場が多様化し、非正規雇用者の増加が続きました。
106万円の壁が議論の対象となり、社会保険の加入基準が問題となりました。
2018年、働き方改革関連法の施行されました。
2020年代
テレワークの普及が始まり、新たな働き方の模索が進み、社会保険制度の適用拡大や保険料の見直し、サービスの充実が進められ始めました。
これらの「壁」は、税制や社会保険制度の制約から生じており、時代とともにその内容や基準が変化しています。政府はこれらの問題に対処するため、各時代に応じた法改正や政策の見直しを行ってきました。
2023年9月26日
厚生労働省は、「年収の壁」問題に対処するため、年収130万円超でも2年間は扶養内に留まれる方針を決定し、2025年の年金制度改正までの暫定措置として、2022年10月から実施予定です。
また、106万円の壁に対する支援策として、扶養から外れた労働者の社会保険料支援が企業に助成される計画があります。
まとめ
戦後の日本では、特に女性の立場と役割に関する変化が顕著で、子育てと社会参加のバランスの問題が浮上してきました。
また、GHQによって構築された社会保険制度についても、現代の社会構造やニーズに適合しているかが議論されています。
女性の子育てと社会活動
新憲法によって男女平等が保障され、女性の社会進出が進みましたが、伝統的な家庭の価値観や性別役割分担の意識も根強く、女性が職業と家庭の両立に苦しむケースが増えています。
非正規雇用の増加、特に女性がその多くを占める現状では、働く女性の労働環境や待遇の向上、子育て支援の充実が一層求められているので、政府は働き方改革、育児休業制度の拡充、保育所の増設など、様々な施策を打ち出してきています。
社会保険制度の適合性
GHQの指導のもと作られた社会保険制度は、当時の社会構造や経済状況を反映していましたが、時代の変化、特に非正規雇用の増加、少子高齢化、労働人口の減少などの新しい社会的課題に対応するためには、柔軟な変化と適応が求められています。
106万円の壁の問題
社会保険制度の中で、「106万円の壁」は特に女性の働き方に影響を与えているので、年収が106万円を超えると社会保険の被保険者となり、保険料が従業員給与から天引きされるため、手取りが大幅に減少します。
これが、女性がフルタイムで働くことを妨げ、パートタイムやアルバイトに留まる原因となっているとの指摘があり、この制度は家庭の労働供給のインセンティブを歪めるという批判もあり、その適切性が問われています。
これらの課題に対する議論や改革の動きは、日本社会が直面する新たな問題にどのように対応していくかを示すものであり、今後も注目されるでしょう。
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